登録販売者の研修中とは?経験期間など店舗管理者に必要な条件を解説
登録販売者の研修中とは?経験期間など店舗管理者に必要な条件を解説
正規の登録販売者では、研修中の登録販売者に比べて、給与や転職などにおいて有利な面がたくさんあります。なぜこのようなことが起こるのか、一緒に見ていきましょう。
目次
- 1.正規の登録販売者と研修中の違いはなに?
- 2.正規の登録販売者(店舗管理者)になる条件
- 3.研修中の登録販売者必見!経験期間の数え方
- 4.月80時間未満でも管理者要件を満たすことも可能
- まとめ|早い段階で研修期間を終えよう!
正規の登録販売者と研修中の違いはなに?
自分の裁量で第二・三類医薬品を販売できる
研修中の登録販売者は、必ず薬剤師または管理者要件を満たした登録販売者の管理及び指導の下に、医薬品販売業務に従事しなくてはなりません。つまり、研修中の登録販売者は、他の資格者の勤務している時間帯に一緒に勤務する形になりますので、シフトの組み方などにも大きく影響します。
一方、研修期間を終えた正規の登録販売者では、このような制約がなくなります。つまり、自分の裁量で第二類・第三類医薬品を販売できます。
店長・店舗責任者になれる
正規の登録販売者になると、店長や店舗責任者になることができます。店長や店舗責任者になれば、医薬品の販売だけでなく、店舗全体の「人」、「もの」、「お金」に関わる責任ある仕事を任されることになります。これは自分のスキルアップのよい機会になるのに加え、自身の経歴の底上げにもなるため、年収アップの近道であると言えます。
しかし、正規登録販売者になっても、なかなか店長や店長候補になる機会が回ってこないこともあります。特に新規出店の少ない企業の場合、10年以上も店長ポジションが空かないことがあるため、「店長」や「店長候補」を条件に転職も視野に入れてみましょう。待っているだけではチャンスはやって来ないので、自らチャンスをつかみに行くといいですよ。
給与に差がある
正規の登録販売者と研修中の登録販売者では、一般的に資格手当に差があります。その金額は企業によって様々ですが、研修中の登録販売者では数千円であることが多いのに対し、正規の登録販売者の場合ではその倍以上であることが多いです。このように、正規登録販売者になれば給与アップが見込めるため、少しでも早く研修期間を終わらせましょう。
正規の登録販売者(店舗管理者)になる条件
直近5年間で2年以上の実務もしくは業務経験をこなす
正規の登録販売者になるには、過去5年間のうち2年以上、かつ、1920時間以上、一般従事者として実務に従事、もしくは登録販売者として業務に従事する必要があります。実務・業務時間のカウントの仕方は企業によって異なり、カウントできる時間が細かく定められている場合や、一般従事者の間は全くカウントしない場合もあります。勤務先のカウント方法を知らない場合は、きちんと把握しておくようにしましょう。
薬剤師・管理者要件を満たした登録販売者の管理下で従事する
一般従事者や研修中の登録販売者が実務・業務に従事する場合、薬剤師または管理者要件を満たした登録販売者の管理及び指導の下で行わなくてはなりません。正規の登録販売者になれば、一人で医薬品関連の仕事を任される機会も増えるため、先輩たちと話せる機会が減ってしまうこともあります。研修中は先輩たちに分からないことを気軽に質問できる絶好の機会ですので、医薬品の接客を中心にどんどん学んでいきましょう。
実務(業務)従事証明書を自治体に提出する
実務(業務)従事証明書は、一般従事者または登録販売者として行った実務・業務経験を証明するための書類です。研修中から正規の登録販売者に切り替えるときは、実務(業務)従事証明書を発行する必要があります。従事証明書を発行してもらうためには、実務・業務の実績を積んだ勤務先に直接依頼し、発行してもらった従事証明書は、その他必要書類とともに、勤務地の都道府県に提出します。
研修中の登録販売者必見!経験期間の数え方
同じ店舗で月80時間以上実務または業務をこなす
この方法が、最も基礎的な実務・業務経験の積み方です。ポイントは、同じ店舗で1か月のうち80時間以上、実務・業務経験を積むことです。
経験期間は連続していなくてもOKである
経験期間は、過去5年間のうち2年以上となっているため、期間が連続していなくても問題ありません。たとえば以下のように3年間離職し、再度勤務する場合であっても管理者要件を満たすことは可能です。
実務経験と業務経験は合算可能である
先述した通り、実務経験は販売従事登録前の経験、業務経験は販売従事登録後の経験です。これらの経験は合算することが可能です。
月80時間未満でも管理者要件を満たすことも可能
管理者要件を満たす可能性があるケース1
令和2年3月の改正省令で、多様な勤務状況を踏まえて管理者要件が緩和されました。内容としては、月80時間以上を満たさない場合でも、従事した期間として認められる「みなし要件」の条件が追加されたものです。つまり、月単位で従事した期間が2年以上あることは変わっていませんが、月当たりの時間数にかかわらず、過去5年間において合計1920時間以上、従事した場合も管理者要件として認められることとなりました。
たとえば以下のケースでは、実務経験を積んでいる期間は月50時間の経験時間となっていますが、離職後の業務経験を月120時間に調整することで、管理者要件を満たせます。
ここで注意したいのは、例えば月に160時間の実務・業務経験を積む場合、1年間で1920時間の経験となります。この場合、1920時間という条件は満たしていますが、2年以上という条件は満たしていないため、管理者要件を満たしていることにはなりません。「1920時間以上」と「2年以上」の条件は、同時に満たす必要があるので、注意しましょう。
この場合、「1920時間以上」の条件は満たしているが、トータルの実務・業務期間が18か月(1年半)なので、「2年以上」の条件を満たしません。
管理者要件を満たす可能性があるケース2
2009年(平成21年)6月1日以降、つまり登録販売者制度開始以降に、店舗管理者または区域管理者としての業務の経験がある人の場合、通算して2年(1920時間)以上の実務・業務経験があれば、管理者要件を満たせます。
管理者要件を満たす可能性があるケース3
2009年(平成21年)6月1日以降、つまり登録販売者制度開始以降に、通算して5年(4800時間)以上の実務・業務経験があり、かつ、「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」(昭和39年厚生省令第3号)に規定する研修と同等以上の研修を通算して5年以上受講している場合、管理者要件を満たせます。「研修」とは、外部研修が望ましいとされています。外部研修は、厚生労働大臣に届け出た実施機関が行う研修で、様々なものがあります。外部研修についてよく分からない場合、まずは勤務先に聞いてみましょう。あらかじめ受講内容が決まっている場合もありますが、もし決められていない場合、自分の好きな研修実施機関を選んで受講が可能です。
まとめ|早い段階で研修期間を終えよう!
研修期間をどれだけ早く終えるかが、年収アップのカギです。また、研修中の登録販売者よりも正規の登録販売者のほうが転職時に有利に働くので、キャリアアップの機会を逃さないよう、自分の実務・業務経験について再度見直しておきましょう。
執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
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