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事例から学ぶOTC医薬品~かぜ薬編~

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

2021年3月16日

事例から学ぶOTC医薬品 ~かぜ薬編~

  • 【お客様の背景】
  • 55歳、男性、会社員。血圧が高めだが、医師からは生活習慣の改善で様子を見るように言われている。かぜのような症状で来店した。

インフルエンザの可能性があるかどうかを確認していきます。

お客さま: 昨日の夜から熱があって、薬を買いに来ました。かぜですかね?

登録販売者: 熱は測りましたか?

お客さま: 朝測ったときは、37度7分でした。

登録販売者:関節痛や筋肉痛、全身のだるさなどはありますか?

お客さま: 少しだるさはありますが、筋肉痛や関節痛はないですね。他にせきと鼻水があるのと、のどのイガイガ感もあります。

周囲の人の状況を確認するのも、お客様の症状把握のヒントになります。

登録販売者:周りにかぜをひいている人はいますか?

お客さま: 特にいません。今年はかぜやインフルエンザの人が少ない感じがしますね。

一般的な「かぜ」かどうかを確認します。

登録販売者:それはあるかもしれませんね。鼻水とせき、のどの症状の中で、すごくつらい症状はありますか?たとえばせきが激しく出て、呼吸がしにくいなど...

お客さま: そこまでつらい症状はないですね。どれも同じぐらいです。

総合感冒薬を使用できるのかどうかを考えつつ、基本情報について確認していきます

登録販売者:承知いたしました。今治療中の病気はございますか?

お客さま: 血圧が高めですが、医師からは生活習慣の改善で様子を見るように言われています。それ以外に持病はありません。

登録販売者:では、服薬中のお薬やサプリメントもないということでよろしいでしょうか?

お客さま: はい。

コデインで便秘の副作用が、抗コリン薬や抗ヒスタミン薬で排尿困難の副作用が現れることがあります。

登録販売者:普段、便秘や尿が出にくいなどの症状もございませんか?

お客さま: そういえば最近、ときどき尿が出にくいことがありますね。

中高年の男性は特に、前立腺肥大症の可能性があるので注意します。前立腺肥大症は自然に起こる老化現象の一つです。

登録販売者:教えていただきありがとうございます。かぜ薬の中の鼻水を止める成分は、尿が出にくくなる副作用があります。入っていないものをお選びしてもよろしいでしょうか。

お客さま: そうなんですね。それで大丈夫ですよ。

登録販売者:そうしましたら「パブロン50錠」はいかがでしょうか。こちらは熱を下げるお薬や、のどを潤してイガイガ感やせきをしずめる働きのある漢方薬を配合したかぜ薬です。高血圧に影響のある成分も入っていません。

お客さま: よさそうですね。服用する時に何か注意点はありますか?

かぜは通常3日前後で自然に回復が見られるはずなので、それを越えても症状が改善しない場合、医療機関への受診を促します。養生法もお伝えします。

登録販売者:水分補給をしっかりと行って、温かくしてゆっくり休んでくださいね。5~6回お薬を飲んでも症状がよくならなければ、服用を中止してまたご相談ください。他にもいろいろな注意事項があるので、服用前にお薬の説明書に目を通してくださいね。

お客さま: 分かりました。ありがとう。

登録販売者:お大事になさってください。

かぜ症状に対応する時の考え方の流れ

「かぜ」の正式名称は「かぜ症候群」であり、上気道(空気の通り道)の急性炎症のことを指します。かぜ症状に対応する機会はよくありますが、重い病気の初期症状にはかぜとよく似たものもあります。一般的な「かぜ」かどうかを確認するポイントと、かぜの可能性が高い場合の対応について、確認していきましょう。

かぜ症状に対応する時の考え方の流れ

  1. 1.インフルエンザの疑いはあるか?
  2. 2.一般的な「かぜ」か?
  3. 3.総合かぜ薬の使用は適切か?
  4. 4.養生法は伝えたか?
1.インフルエンザの疑いはあるか?

インフルエンザは一般的な「かぜ」に比べて全身症状が強いことが特徴です。

  • 【インフルエンザの典型的な症状】
  • ●発熱(通常、38℃以上の高熱)
  • ●頭痛
  • ●全身症状(関節痛や筋肉痛、倦怠感など)
  • ●全身症状の後に、咳、鼻水などの症状

冬季は特に、インフルエンザの可能性について考えながら接客します。インフルエンザの疑いがある時は受診勧奨をしますが、医療機関によって推奨される受診のタイミングが異なるため、まずは電話で問い合わせるように伝えましょう。 また、インフルエンザに伴う発熱に対して使用が推奨されている解熱薬は、「アセトアミノフェン」です。アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はインフルエンザ脳症の発症が関係している可能性があるため、インフルエンザの疑いがある時は使用を避けます。

2.一般的な「かぜ」か?

かぜは、「咳、はな、のどの3症状が同時に同程度存在する病態」とされています。つまり、咳やのどの痛みで呼吸が苦しいなど、3症状の中で特に強い症状がある場合、一般的な「かぜ」ではない可能性があります。この場合も受診を促しましょう。

3.総合かぜ薬の使用は適切か?

総合感冒薬にはたくさんの成分が含まれており、成分が多いほどお客様情報の確認事項も増えていきます。特に処方薬を飲んでいる人や高齢者には「一番気になる症状」をお聴きして、「熱なら解熱薬」というようにまずは症状ごとに対応する薬を検討すると良いでしょう。

4.養生法は伝えたか?

かぜを早く治すために大事なことは、保温・保湿・休息の3つです。薬は、症状を抑えている間にゆっくり休み、体の回復を助ける目的で使います。外出する予定のお客さまには、周りの人への感染リスクについてもお伝えしましょう。

持病のある人への対応

会社のマニュアルがある場合、そちらを優先してください。ここでは一般的な「持病のある人への対応」について確認しましょう。

1.処方薬の確認

おくすり手帳があるかどうかを確認します。「血圧を下げる白い薬」といった大雑把なくくりでは薬剤師も飲み合わせの確認ができないことと、高血圧の人は心臓病の薬など複数の薬を飲んでいる可能性もあることから、おくすり手帳があると安心です。持ってきていない場合、次回より持参をお願いしましょう。

2.薬剤師への相談

処方薬を服用している場合、お客さまの基本情報と共に薬剤師に伝え、OTC医薬品との併用が可能かどうか確認します。この時に、もし可能であれば自分が選んだ商品2~3個を一緒に提案すると、薬剤師も「この成分は避けてください。」というように具体的にフィードバックすることができます。

3.2で薬剤師への相談ができない場合

「外用薬」や「医薬品以外の商品」をおすすめします。たとえばトローチ剤やのどあめ、のどスプレー、脱水症状を防ぐための経口補水液(※)、悪寒がある場合は使い捨てカイロなども良いでしょう。

  • ※生活習慣病で食事指導を受けている場合は、飲む前にかかりつけ医への相談が必要です。
  • 大塚製薬 よくあるご質問  https://www.os-1.jp/faq/03/
高血圧の人が服用できる可能性のあるかぜ薬

以下の薬は、いずれも添付文書に「高血圧」に関する注意事項の記載がない商品です。

  • ●パブロン50錠
  • 持病のある人にもおすすめしやすいシンプルな成分配合です。
  • 【成分】麦門冬湯乾燥エキス、アセトアミノフェン、グアヤコールスルホン酸カリウム
  • ●パブロンSゴールドW錠/顆粒
  • ジヒドロコデインリン酸塩が含まれるため、12歳未満の小児や気管支喘息発作中の人は禁忌であること、眠気や便秘、依存性の副作用に注意が必要です。 高齢者や肥満症の人も呼吸抑制のリスクがあるため、避けた方が良いでしょう。
  • 【成分】アンブロキソール塩酸塩、L-カルボシステイン、ジヒドロコデインリン酸塩、アセトアミノフェン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、リボフラビン
  • ●パイロンPL錠ゴールド
  • サリチルアミドを含むため、インフルエンザの疑いがある時には使用を避けます。
  • 【成分】サリチルアミド、アセトアミノフェン、無水カフェイン、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ブロムヘキシン塩酸塩
新しい記事 事例から学ぶOTC医薬品~解熱鎮痛剤編 partⅠ~