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事例から学ぶOTC医薬品~解熱鎮痛剤編 partⅠ~

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

 

2021年3月16日

事例から学ぶOTC医薬品 ~解熱鎮痛剤編 partⅠ~

  • 【お客様の背景】
  • 43歳、女性。中学生の子供を育てながら、営業事務の仕事をしている。仕事ではパソコンに向かうことが多く、頭痛持ちである。いつも使っている解熱鎮痛薬で頭痛が治まりにくくなり、もっと効く解熱鎮痛薬を探しにきた。

【A頭痛薬の成分】イブプロフェン / 酸化マグネシウム / アリルイソプロピルアセチル尿素 / 無水カフェイン 

お客さま: 普段、頭痛のために「A頭痛薬」を使っているのですが、もっと効き目の良い鎮痛薬はありますか?

登録販売者:「A頭痛薬」では、頭痛はあまり改善しませんか?

お客さま: そうなんです。最近は頭痛が治まらないこともあって...

登録販売者:そうでしたか...。薬を選ぶ前に、何点かお伺いしてもよろしいでしょうか?

お客さま: はい、お願いします。

頭痛の種類について確認します。片頭痛の疑いがある場合、OTC医薬品が効かないとの訴えがあるため、この時点で受診勧奨をします。緊張型頭痛の場合も同じ理由で受診をすすめても良いですが、養生法をアドバイスできる可能性もあるので、今回はもう少しお話を伺います。

登録販売者:痛みの種類は、頭全体が締め付けられるような重い痛みですか?もしくは、「ズキンズキン」するような強い痛みですか?

お客さま: そこまで強い痛みではないですね。どちらかというと頭全体が重い感じです。それと、パソコンを使う仕事だからか首や肩もこっていて、そこから来ているのかなと思っていました。

登録販売者:おっしゃる通り、筋肉の緊張が原因の頭痛もありますよね。頭痛に吐き気を伴うことはないですか?

お客さま: ありません。

薬物乱用頭痛の疑いがないかどうかを確認します。月に何日ぐらい頭痛薬を服用しているかを把握します。月単位だと答えにくいことがあるので、週に何日薬を飲んでいるかを聞いてみると良いでしょう。

登録販売者:だいたいで良いので、平均すると週に何日ぐらい頭痛薬を服用しているか分かりますか?

お客さま: 今はだいたい週に3日ぐらい飲んでいます。以前は週に1回でした。思い返してみれば、薬を使う回数が増えているような気もしますね...。大丈夫でしょうか。

登録販売者:詳しく教えていただきありがとうございます。そうすると、月に12日ぐらい頭痛薬を飲んでいる計算になりますね。ひとつの目安ですが、月に10日以上頭痛薬を服用している場合、お薬が原因で頭痛が起こりやすくなったり、薬が効かなくなったりすることがあります。

お客さま: 頭痛薬のせいで頭痛が増えることがあるんですか?

病気の「診断」をするのは医師なので、伝え方に注意しましょう。必要に応じて、頭痛外来や脳神経内科など具体的な診療科をご案内するのも良い方法です。

登録販売者:さようでございます。ただ、お客さまの症状がそれに当てはまるかどうかの判断も、その治療も医師が行います。早めにかかりつけのお医者さんに行っていただくことをおすすめします。

お客さま: そうなんですね、初めて知りました。教えていただきありがとうございます。土曜日は仕事がお休みなので、行ってみますね。

頭痛薬の接客の大まかな流れ

  • 1.頭痛の種類を確認する
  • 2.薬物乱用頭痛の疑いがあるかどうかを確認する
  • 3.①受診を促す ②薬を選ぶ ③養生法をお伝えする のいずれかを選択する

1.頭痛の種類を確認する

ドラッグストアで対応する機会の多い頭痛は、緊張型頭痛と片頭痛です。 片頭痛は軽度のものであれば、解熱鎮痛薬が有効です。ただし、OTCの解熱鎮痛薬を使っても改善が見られない場合は医療機関の受診を促します。片頭痛のための処方薬には、トリプタン系薬剤などいろいろなものがあります。

緊張型頭痛 片頭痛
主な原因 頭や首、肩の筋肉の緊張 不明(脳の血管拡張が原因であるという説がある)
痛みの種類 後頭部全体が締め付けられるような痛み ズキンズキンと脈打つような痛み
生活への支障 それほど支障は出ない 仕事や家事に支障が出ることがある
頭痛以外の症状 肩や首のこり 吐き気、光過敏、音過敏
その他 温めると楽になる 冷やすと楽になる
2.薬物乱用頭痛の疑いがあるかどうかを確認する

●薬物乱用頭痛とは

もともと片頭痛や緊張型頭痛に悩んでいる人が、頭痛薬をその都度飲んでいると、頭痛が慢性化してしまうことがあります。このような頭痛を薬物乱用頭痛と言います。その診断基準のひとつに、「単一成分の鎮痛薬ならば1か月に15日以上の使用、複合成分の鎮痛薬ならば1か月に10日以上の使用」というものがあります。今回の事例では、普段A頭痛薬をお使いとのことなので、複合成分に当てはまります。ただし薬物乱用頭痛の疑いがある場合は早期受診が大事ですので、単一成分・複合成分に関わらず、「1か月に10日以上の使用の場合は受診勧奨をする」と覚えておくと良いでしょう。

●複合成分の鎮痛薬の使用は慎重に

OTCの頭痛薬は解熱鎮痛成分だけでなく、カフェインや鎮静成分を配合した商品がたくさんあります。しかしこれらの成分の依存性が、薬物乱用頭痛の発症に寄与していることが指摘されています。鎮痛薬を選ぶ時は、特段の理由がない限り「単一成分の鎮痛薬」をおすすめし、特定の商品を使用していただくように(複数の商品を混ぜて使わないように)ご案内すると良いでしょう。

3.頭痛の時の養生法

緊張型頭痛の場合、肩を回す体操、ウォーキングや水泳などの運動、血流を改善するためにおふろにゆっくり浸かる、首や肩を冷やさないようにするなどの対策が考えられます。また、デスクワークの時には正しい姿勢を心がけ、こまめに休憩を入れて伸びや足踏みなどをするようにします。 片頭痛の場合、痛む部分を冷やし、静かな暗い部屋で横になって休みます。患部を温めたり体を動かしたりすると悪化することがあるので、注意しましょう。

過去の記事 事例から学ぶOTC医薬品~かぜ薬編~
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