2026年薬機法改正をわかりやすく解説|市販薬OD対策・18歳未満販売規制の現場対応【現役店長ガイド】
2026年5月1日に改正薬機法が施行されてから数か月経過しました。
皆さんの店舗でも新しい対応が日常になってきたのではないでしょうか。
しかし新ルールのグレーゾーンに戸惑ったり、実際の店舗での運用における問題点などが課題となっています。
また施行後の行政指導や処分事例はまだ見えておらず、運用の境界に迷う場面が残っているのではないでしょうか。
今回は2026年5月の改正での変更点を登録販売者の視点で整理します。
- 自店の対応が法令上、何が足りないのかを判断できるようになります
- 成人のお客さまや常連の方に対して、スムーズな確認ができるようになります
- レジでの対応の具体的な文言例を覚えられます
この3つのポイントを施行後の現実の現場感と照らし合わせて解説します。
目次
- ●2026年薬機法改正をわかりやすく整理|OD対策・オンライン販売・登録受渡店舗の3大ポイント
- ●改正後数か月で見えた"現場のリアル"|2026年薬機法改正でどこに負荷とギャップが出たかを検証
- ●2026年薬機法改正後の現場対応|OD対策で絶対に外せない3つの"最低ライン"チェックポイント
- ●明日から変えられる2026年薬機法改正対応|自店の運用を見直すための3つのチェック項目
2026年薬機法改正をわかりやすく整理|OD対策・オンライン販売・登録受渡店舗の3大ポイント
では今回の改正で何が変わったのか、現場で対応する登録販売者の視点で整理します。
自店での状況と照らし合わせてみてください。
指定濫用防止医薬品の販売規制が強化された
そもそもODとは「オーバードーズ」の略で、医薬品を定められた用法・用量を超えて過剰に摂取することを指します。
処方薬だけの話ではなく、せき止めやかぜ薬などの市販薬でも特定の成分を大量に服用することで依存や重い健康被害につながります。
これまでの「濫用等のおそれのある医薬品」は「指定濫用防止医薬品」に名称が変わりました。
今回の改正では「濫用等のおそれのある医薬品」を法律上の独立した規定に整理し、成人を含む購入者への確認と情報提供・18歳未満への数量制限・陳列・販売等手順書などが強化されました。
対象成分も従来の6成分にジフェンヒドラミンとデキストロメトルファンが加わり、外用剤を除く8成分が対象となりました。
せき止めや総合感冒薬、睡眠改善薬などが加わり、わたしの店舗でも対象商品は従来より大幅に増えています。
現場に関わる要点は次のとおりです。
- 購入しようとする方の年齢を確認する。18歳未満の場合は氏名も確認し、販売数量と販売方法が制限される
- 他の医薬品の使用状況、他店を含めた購入状況などを確認する
- 大容量製品や複数個の購入希望には、理由と必要数量を個別に確認する
- 濫用時のリスクを書面等を用いて情報提供し、理解したことと質問の有無を資格者が確認する
- 購入者が直接触れられない方法、または情報提供設備から7メートル以内に陳列して資格者を継続的に配置する方法など、定められた陳列基準を守る
- 自店の販売等手順書を作成し、そのとおりに実行する
なお小容量の基準は原則1包装かつ5日分以下ですが、指定成分と効能の組み合わせによって、かぜ薬・鼻炎用内服薬・解熱鎮痛薬の一部は7日分以下とされています。
これを超える製品が「大容量製品」です。
要指導医薬品のオンライン販売が始まった
2026年5月1日から、薬剤師がオンラインで服薬指導をおこなったうえでの要指導医薬品の販売が可能になりました。
ただし「特定要指導医薬品」は引き続き対面での販売が必要です。
2026年7月現在の特定要指導医薬品はいわゆる「緊急避妊薬(アフターピル)」のみです。
要指導医薬品=薬剤師による販売・指導が必須。原則としてオンライン対応も可能になった区分
特定要指導医薬品=その中でも店頭での対面販売が絶対に必要な区分
要指導医薬品は登録販売者が販売に直接関わることはありませんが、お客さまの問い合わせに答えられるようにしておく必要があります。
有資格者としての信頼を損ねないよう対応できるようにしておきましょう。
登録受渡店舗の制度は2027年5月20日施行
3つめは2027年5月20日に始まる「登録受渡店舗」の制度です。
要指導医薬品のオンライン販売より1年後の施行ですので、混同しないよう注意しましょう。
薬局や店舗販売業である管理店舗が一般用医薬品を販売し、資格者が常駐しない登録受渡店舗がその医薬品を保管して購入者へお渡しします。
管理店舗による遠隔での確認・情報提供と、受渡店舗での受け取りを組み合わせた形と考えると分かりやすいのではないでしょうか。
では、どの医薬品が対象になるのでしょう。
対象は第一類、第二類、第三類の一般用医薬品で、要指導医薬品は含まれません。
ただし取り扱う区分は登録受渡店舗ごとに定められますので、登録すれば全区分を扱えるわけではありません。
管理店舗での確認と情報提供をおこなうのは、第一類は薬剤師、第二類・第三類は薬剤師または登録販売者です。
そして医薬品の保管方法が課題となります。
受渡店舗に資格者はいない可能性が高いですが、医薬品を預かることに変わりはありません。
温度や湿度の管理、使用期限の確認、他の商品との区分、別の方へ誤ってお渡ししない仕組みが必要です。
つまりわたし達が売場で日常的におこなっていることを、資格者がいない場所で守らなくてはいけないので、ここがこの制度の難しさとなります。
つまり資格者が常駐しない施設も、要件を満たせば受け渡し拠点になり得ます。
そして管理店舗の側には、離れたお客さまへ確認と情報提供をおこなう役割が生まれます。
ドラッグストア業界としては競合が増える要因となりますが、登録販売者個人としては資格の価値を一段引き上げるものと考えています。
改正後数か月で見えた"現場のリアル"|2026年薬機法改正でどこに負荷とギャップが出たかを検証
昨年11月度に執筆した更新前の記事でお伝えした、「2026年法改正で"ここが変わる"!登録販売者が押さえたい3つの現場ルール」にて予測した変更点3点(18歳未満への対応、陳列義務化、購入者への確認義務強化)について、施行後の実態を検証していきます。
18歳未満への対応で増えた「判断の負荷」
まず、何が法的に制限されたのかを整理しておきましょう。
18歳未満の方には厚生労働大臣が定める数量を超えて販売できません。
具体的には小容量の製品を1個までとなり、大容量製品や小容量でも複数個の販売は認められず、あわせて年齢だけでなく、氏名の確認も必要になります。
つまり成人のように「確認したうえで資格者が判断する」のではなく、18歳未満と分かった時点で売れる数量が決まるのです。
だからこそ年齢の見極めが重い意味を持つのですが、ここに現場の難しさがありました。
昨年のコラムで「明らかに18歳以上のお客さまに身分証を求める必要はないが、特に若く見える場合は確認しなくてはならない」と書きました。
ただ運用開始してみると資格者によっては「明らかに18歳以上」と「特に若く見える」の境界線が明確ではなくあいまいなまま対応しているのが現状でした。
特に20代前半にも高校生にも見える方がレジにいらしたとき、判断するのは登録販売者です。
店舗の登録販売者にヒアリングをしてみると、増えたのは身分証などを確認する手間ではなく、お客さまの年齢を判断する負荷だったのです。
なお身分証については、外見等から18歳以上と確実に確認できる場合は自己申告等でも差し支えないとされ、判断できない場合に身分証明書などを用いることが適当とされています。
一律に提示を求めることが義務づけられているわけではありません。
わたしの店舗では幅を持たせて「20代前半に見える方は身分証明書の提示を求める」運用としています。
「年齢確認が必要なお薬ですので、年齢が確認できるものを拝見してもよろしいでしょうか」
わたしの店舗ではこの伝え方ですが、トラブルになったことはありません。
陳列とマニュアルは遵守できているか?
陳列に関してはどの企業も直前まで判断に迷ったようで、現場は4月下旬で慌ただしく売場変更をおこないました。
各社「空箱」か「常駐」が主な対応となっていますが、これは必ず守らないと法令違反となってしまいます。
わたしの店舗では資格者を増やしてあるので対応できていますが、近隣の店舗を視察すると充分に対応できていなかったり社内でも人員不足で対応が厳しい店舗も散見されます。
もし現状が充分な対応ができていないのなら、会社や上司に改善を相談する必要があります。
そしてマニュアルには「〜を確認すること」と書かれているだけで、どう聞くかまでは書かれていないものも多いはずです。
この聞き方は後半で紹介していきますが、店舗の状況(売れ筋・客数・客層など)を勘案し、店舗内で共有しながら改善していきましょう。
旧制度では11.6%が質問なしで複数購入できた
厚生労働省は毎年、委託調査によって販売ルールの遵守状況を確認しています。
令和6年度の調査では、複数個を購入しようとした1,519件のうち11.6%にあたる176件、約9件に1件は質問などを受けることなく購入できたという結果が出ました。
法令となった現制度でこの数字は出ないと考えていますが、確認を怠ることの最も大きな問題点は「次回濫用対応する資格者を追い込んでしまう」ということです。
先週は何も聞かれずに買えたが今日は年齢も購入理由も聞かれた。
お客さまから見れば、変わったのはルールではなく店員です。
「前は聞かれなかったのに?」
ルールを守った資格者や店舗が「面倒な店員・店舗」になってしまいます。
ドラッグストアはチェーン店です。
お客さまは「どの店舗のどの店員でも同じ対応をする」ことを前提にご来店されますから、サービスの均一化は商品そのものと言っていいほど重要なのです。
自分が省略してしまった負担は自分ではなく他の資格者です。
では、守らなかった場合はどうなるのでしょうか。
監視指導をおこなうのは、許可権者である都道府県や保健所設置市などです。
不適切な販売が確認されれば、まず口頭や文書での行政指導が入ります。
改善されなければ改善命令や業務停止命令、さらに重ければ許可の取消しへと進んでいきます。
そしてこれらの対象が資格者個人ではなく、店舗の開設者である会社や店舗だという点です。
ただし「個人に責任がない」という意味ではありません。
会社が行政処分を受ければ、就業規則に基づく社内処分の対象になる可能性は十分にあります。
しかし施行から数か月、処分事例はまだ表に出てきていません。
行政指導は基本的に公表されないので事例が見えないことと違反が指摘されていないことは別の話です。
自分と会社の両方を守るためにも、確認を省略しないでください。
※参考:薬機法 第72条〜第75条の4(販売業者・薬局等に対する処分)
2026年薬機法改正後の現場対応|OD対策で絶対に外せない3つの"最低ライン"チェックポイント
陳列や数量制限は会社が定めたルールです。
日常的に省略されがちな確認のなかで漏れやすいポイントを3つ見ていきましょう。
年齢・併用薬・購入状況を確認する
前提として「指定濫用防止医薬品」の購入に関して購入者が誰であっても確認は一律で必要です。
年齢・他の医薬品の使用状況・他店を含めた購入状況・適正使用を目的とした購入かどうかの判断に必要な事項などです。
- 明らかに成人だから年齢確認を飛ばす
- 常連さんだから確認を省略する
- 高齢者、外国人だから聞かない
これらは明らかに確認を落としやすいポイントですので自店や自身の確認を振り返ってみてください。
そしてもうひとつ、混同しやすい論点があります。
購入者の年齢と、実際に使用する方の確認は別の話だということです。
この18歳という基準は、原則として購入しようとする方の年齢で判断します。
一方で、購入者と使用者が同じとは限りません。
購入者が明らかに18歳以上でもご家族が使用されるのであれば、必要に応じて使用者の年齢や症状や併用薬を確認しなければその市販薬が適しているか判断できないのです。
実際に使用する方を尋ね、家族で使うのならこのようにお聞きします。
「差し支えなければ、年齢や症状をお伺いできますか」
年齢確認は法令上の要件ですが、適正使用のために使用者の確認はお聞きしましょう。
大容量・複数個の理由と必要数量を確認する
ここが現場でもっとも漏れていると思われます。
大容量製品や複数個の購入を希望されたとき、資格者には理由を個別に確認しその理由が適切か、希望数量が妥当かを判断することが求められます。
常備、家族での使用、長期の旅行などは合理的な理由になり得ますが、それだけで一律に販売してよいわけではありません。
しかし、この確認がとにかく聞きにくいのです。
まず、大容量という制度上の区分が、一般のお客さまにまだ十分浸透しているとは言いにくい状況です。
しかも該当するかどうかは見た目の箱の大きさではなく、市販薬のジャンルで定められた日数分を超えるかで決まります。
そして多くのお客さまは「風邪をひいたらこれ」という指名買いが実情です。
「いつもの薬」なので大容量を選んでいるという自覚も理由もないため、一度気まずいやり取りをすると次から聞きにくくなってしまいます。
「理由って言われても、いつも買うから...」
「風邪をひいたから買うんだけど?」
聞き方を誤るとお客さまも質問の意図が分からず答えることができません。
お勧めするのは使用者・使用目的・使用予定を順に確認するやり方です。
「こちらは法律で大容量に該当しますので、どなたがどのような目的で使用されるか確認しております」
「常備薬なので」というお答えなら「ご家族で使用される予定でしょうか?」とお聞きするとこちらの質問の意図も伝わりやすくなります。
必要な時間は30秒ほどです。
書面でリスクを伝え、理解と質問の有無を確認する
店舗では濫用確認を紙やタブレットなどの「書面」を用いておこなっているはずです。
そしてこれはほとんどの会社が守っています。
ただ、法令が求めているのは説明することだけではありません。
お客さまが説明を理解したことと質問の有無を資格者が確認し、質問があれば回答するところまでが一連の対応です。
この対応を濫用確認だけで終わらせていませんか?
抜けている資格者が多いのですが、なぜ抜けるのでしょうか。
濫用確認は「読み上げ」が中心の業務だからだとわたしは考えています。
決められた項目を決められた順に確認する。
すると意識は「確認事項を読み上げること」だけに向いてしまい、お客さまへ理解したかどうかを投げかける工程が抜け落ちてしまうのです。
しかも質問の有無をお聞きしても、ほとんどは「大丈夫です」というお答えです。
毎回同じ結果が返ってくる作業を、人は重要だと感じられません。
ここが今回いちばんお伝えしたい点です。
説明内容を理解したことが確認できないまま販売すれば、法令が求める理解確認を完了していないことになります。
どうしても焦ってしまう方も多いので時間の話もしておきます。
わたしの店舗で実測したところ、濫用確認だけなら約90秒、禁忌の確認まで含めると約120秒でした。
決して短くはありません。
ただこの対応で、レジでお待たせしたことへの苦情が出たことはありません。
濫用確認をおこなうと実際以上に長く感じてしまうのです。
一度濫用確認のロールプレイングをして測ってみてください。
最後にマニュアルに準じて確認事項を総括する意識を持つと良いです。
これはお客さまの理解力を疑うのではなく、説明が伝わったかを確かめる質問なので失礼に感じる必要はありません。
明日から変えられる2026年薬機法改正対応|自店の運用を見直すための3つのチェック項目
前回のコラムを、わたしは「新ルールのスタートまでまだ時間があります」と締めました。
実際に新ルールとなって数か月経過し、慣れが生じてきた頃だと思います。
そして「作業を省略してしまう」方もいるはずです。
しかしやることは難しくありませんし、この先もこの濫用確認は続きます。
見落としやすいポイントは
- 成人でも年齢確認をおこなう
- 大容量の使用目的を聞く
- 最後に「ご質問はありますか」でクロージングをする
この3つです。
確認は、お客さまを疑うためのものではなく、安全に薬を使っていただきわたし達自身を守るためのものです。
そしてその先に、お客さまのQOLを上げるという本来の仕事が続いていくのです。
ぜひ明日、自店の最低ラインを見直してみてください!
執筆者:ケイタ店長(登録販売者)
ドラッグストア勤務歴20年、一部上場企業2社で合計15年の店長経験を活かし、X(旧Twitter)などで登録販売者へのアドバイスや一般の方への生活改善情報の発信を行っている。X(旧Twitter)フォロワー数約5,000人。
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