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現役薬剤師が教える。登録販売者の新人教育マニュアル|OJTの進め方と後輩指導のコツ

現役薬剤師が教える。登録販売者の新人教育マニュアル|OJTの進め方と後輩指導のコツ

ドラッグストアの運営において重要なものは、「お客様応対」と「売り場づくり」、そして「市販薬に関する知識」です。スタッフの質が売り上げの鍵を握っているため、人材育成は店舗マネジメントにおいて欠かせない業務です。
突然「今日から新人の教育をお願いします」と言われ、どう教えたらいいのか戸惑っていませんか?店舗には明確な教育マニュアルがないため、後輩指導に悩む登録販売者も多いでしょう。 私も現場で多くの人材育成に携わり、失敗を繰り返しながらよりよい方法を模索してきました。
このコラムでは、私自身の経験をもとに、おすすめの指導方法について解説します。新人教育に頭を悩ませている方は、ぜひ参考にしてください。

【この記事で得られること】

  • 新人指導は「お客様応対」「売り場作り」「薬知識」の3柱で進めるのが効果的です。
  • OJTは座学3割、実践7割で繰り返し指導し成長を促すことが大切です。
  • 売り場作りでは、正確な陳列とJANコードの照合を丁寧に教え、ミス防止に繋げましょう。
  • 指導は得意分野を伸ばし、不安を軽減しつつ、未来への投資と捉えて取り組むことが大切です。

目次

新人登録販売者への教え方3ステップ|接客・売場・医薬品知識

新人登録販売者への教え方3ステップ|接客・売場・医薬品知識

ここでは、新人登録販売者への指導内容について、「お客様応対」、「売り場づくり」、「市販薬に関する知識」の3項目にわけて解説します。

お客様応対

接客業において最も重要なものは、「お客様応対」です。来店してくださったお客様に対し、感謝を込めてご挨拶をしたり、お声がけして商品の場所をご案内したりします。
まずは会社ごとに定められた接客用語を覚えてもらい、指導する登録販売者と一緒に練習します。あわせて声の大きさやトーン、表情などが問題ないかを確認してから、店内で実践してもらいましょう。

売り場作り

次は「売り場作り」ですが、大きくわけて3つの指導内容があります。

①商品の陳列場所の把握
ドラッグストアでは一般的に、医薬品は薬効カテゴリーごと(風邪薬、解熱鎮痛薬、胃腸薬など)に陳列されています。また、健康食品や化粧品、日用雑貨についても、大まかに店内レイアウトを把握してもらうところから始めましょう。

②取り扱い商品を覚えてもらう
取り扱い商品は非常に多いため、一気に覚えるのは不可能です。そのため、お客様から聞かれる機会の多い以下の3つの商品を優先して覚えていきます

  • 売れ筋商品...問い合わせの機会が最も多い。ゴールデンゾーン(商品が最も人の目にとまりやすく手に取りやすい陳列棚の位置のこと。具体的には75~135㎝の高さ)の概念についてもあわせて教えるとよい
  • 推奨販売品...「PB品(プライベート・ブランド商品)」や「月ごとの注力品」など種類は様々だが、利益率の高い商品が指定されることが多い
  • 季節商品...季節ごとに売れ筋となる商品のこと。夏は虫刺されの薬や熱中症対策の商品、冬は風邪薬やホッカイロなど

なお、品出しをする時が最も商品を覚えやすいタイミングなので、無心で品出しをするのではなく、商品を確認しながらおこなうようアドバイスしましょう。

③品出しの仕方を説明する
入荷した商品を陳列する時は、「先入れ先出し」が基本となります。つまり、入荷した日付が古いものを先に出荷するので、新しく入荷した商品は棚の後方に陳列します。

また、ドラッグストアで取り扱う商品は似通った見た目のパッケージが多いので(例:裸眼用の目薬とコンタクト用の目薬など)、正確な場所に陳列するよう指示します。その際、「商品パッケージ」と商品棚に設置された「プライスカード」に記載のあるJANコードの下4桁が一致するかを確認するなど、正確に陳列する方法を伝えるようにしましょう。

市販薬に関する知識

ここまでは一般の小売店でも指導する内容でしたが、ドラッグストアで働く登録販売者の重要な業務に「市販薬のカウンセリング」があります。「市販薬のカウンセリング」とは、お客様の症状をお聴きして市販薬をご案内したり、必要に応じて受診勧奨をしたりすることです。登録販売者の資格試験の「手引き」の内容はもちろんのこと、商品に関する知識も深めていく必要があります。

市販薬の知識については、会社によってサポート内容が異なります。新入社員の登録販売者の場合、本社に全員を集めて医薬品の知識を学ぶ座学の時間を取ることもありますし、店舗それぞれに対応を任せている場合もあります。

会社で決められた「教育用コンテンツ」があればよいですが、そういったものがない場合には、市販薬の知識が学べる書籍を1冊購入し、それに基づいて解説していくのがよいでしょう。

例として自著になりますが、「やさしくわかる!登録販売者1年目の教科書」では、登録販売者の基本的な業務だけでなく、「市販薬の選び方」や「現場での困りごとに対するQ&A」も掲載しています。「市販薬の選び方」の章では、風邪薬や胃腸薬など、需要の多いカテゴリーの薬の「症状聴き取りのポイント」や「主な有効成分」、「主な商品」などについて解説しているので、市販薬の基礎知識を体系的に教えることができます。

市販薬のカウンセリングができるようになるには、座学で学ぶ知識に加えて、OJT(On the Job Training:「実務」のこと)が必要になりますが、それについては次の項目で解説します。

「やさしくわかる!登録販売者1年目の教科書」の紹介」

登録販売者向け 新人教育チェックリストも活用を

以下のページにて、登録販売者の新人教育に使えるチェックリストが無料でダウンロードできます。あわせてご活用ください。

https://drugstorenote.com/information/shinjin-checklist/

※㈱東京マキアが運営しているサイトに飛びます

登録販売者OJTの基本と成功のポイント3選

次は、店舗でOJT(実務)をおこなうにあたり、重要なポイントについて解説します。

【OJTのポイント①】 医薬品の接客では実践とフィードバックを繰り返す

OJTのポイントの1つめは、医薬品の接客における「実践とフィードバック」です。
医薬品の接客をマスターするには、「座学による知識のインプット」と「OJTによるアウトプット」を3:7の割合で取り組むのがおすすめです。さらにOJTでは、積極的にお客様にお声がけをおこない、トライアンドエラーを多く繰り返してもらいます。このとき、最初のうちは「数」を意識し、お声がけのタイミングの見極めなど「質」の部分は次の段階で教えます。

そこで修正すべき対応があった場合には、先輩の登録販売者がフォローに入り、接客が終わった後に「よかった点」と「改善点」をフィードバックします。その際、市販薬の選定において「正しい答え」は1つではないので、指導側は頭をやわらかくして対応しましょう。また、指導側の接客を見てもらうのも勉強になるので、そのような時間を作るのもおすすめです。

なお、フィードバックする際には、「よかった点」を多く伝えます。「2褒めて1教える」くらいの割合を意識しましょう。
接客に不慣れなスタッフは、お客様にお声がけする際に、緊張や気恥ずかしさなどでパニックになっていることもよくあります。そのため、まずは慣れないなりにお客様と向き合ったことを評価し、スタッフの個性に合わせた長所を伝えましょう。
医薬品の接客では、お客様に対し、自信を持っているように見せる(=お客様を安心させる)ことも非常に重要です。先輩から肯定されることで、接客に苦手意識がある方も、少しずつ積極的に動けるようになりますよ。

【OJTのポイント②】 売り場作りは時間を意識してもらう

ドラッグストアでは、発注などの締め切りを守るべき業務が多数あるため、タイムスケジュールのマネジメントが欠かせません。皆が時間を意識してチームワークで取り組むことで、初めてその日の仕事を終わらせることができます。そのため、新人登録販売者にも時間の感覚を身につけてもらう必要があります。

例えば、品出しの時など、最初のうちは「30分以内に終わらせてください。」と目安の時間を伝えて取り組んでもらいます。慣れてきたら「何分で終わりそうですか?」と聞いて、本人に目標時間を設定してもらいます。この繰り返しによって、各業務にかかる適切な時間が身につき、店舗全体の業務効率を上げることができます。

ただし、接客業にはイレギュラーがつきものです。任せた業務がお客様応対などにより時間内に終わらないこともあります。新人登録販売者と丁寧にコミュニケーションを図りつつ、改善点があれば伝えるようにしましょう

まとめ|指導する登録販売者は「未来に投資する気持ち」で取り組もう

「初めて指導する立場になった」という方は気苦労も多いかもしれませんが、後輩スタッフの成長を感じられたときの喜びはとても大きいです。

お客様の年齢を必ず確認しよう

「初めて指導する立場になった」という方は気苦労も多いかもしれませんが、後輩スタッフの成長を感じられたときの喜びはとても大きいです。

指導側のよくある失敗として、「(自分がやった方が早いため)後輩に仕事を任せない」というケースがあります。確かにどんな仕事でも最初は時間がかかりますし、上手にできないかもしれません。しかし、誰しも初めはそれが当たり前です。

もしも「自分の分身」がいたら、仕事の負担も軽減されますよね。そのため新人教育は、「未来の自分への投資」と割り切って、焦らずに取り組むのがおすすめです。店舗運営の中心に立つ先輩として、スタッフたちの成長を見守っていきましょう。

また、今のキャリアに不安を感じたり、次のステップに踏み出したい方へ向けて、当社の【転職支援サービス】(無料)を活用してみませんか?専門のキャリアアドバイザーがあなたの希望やスキルに合わせた最適な求人をご紹介します。ご興味がある方は、ぜひ下記のエントリーフォームからお気軽にご登録ください。未来のキャリアを一緒に考えましょう。

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ2万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。

■著書
・医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略(金芳堂)
・薬機法暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第4章」(金芳堂)
・これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2023年度版(KADOKAWA)
・村松早織の登録販売者 合格のオキテ100(KADOKAWA)
・やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書(ナツメ社)
過去の記事 現役薬剤師が伝授|インフルエンザ時に使える解熱剤の見分け方と登録販売者の声かけ技術