サポートを受ける

お電話でのご登録・ご相談も承っております。

フリーコール 0120-959-755

月~金曜(祝・祭日を除く) 9:00~18:00

  1. 登録販売者 求人・転職TOP
  2. お役立ち情報
  3. 業界コラム
  4. 現場で活かす知識
  5. 現役薬剤師が伝授|インフルエンザ時に使える解熱剤の見分け方と登録販売者の声かけ技術
業界コラム 現場で活かす知識

現役薬剤師が伝授|インフルエンザ時に使える解熱剤の見分け方と登録販売者の声かけ技術

現役薬剤師が伝授|インフルエンザ時に使える解熱剤の見分け方と登録販売者の声かけ技術

インフルエンザは通常、冬に流行しますが、ここ数年は季節外れの流行も発生しており、対応する機会も増えています。ドラッグストアの店頭では「熱が出たけど、病院へ行かなくても大丈夫?」「市販薬で様子を見たい」という相談を受ける機会が増えています。登録販売者として、どの解熱剤をすすめるべきかを迷うことはありませんか?
この記事では、インフルエンザ時に避けたい成分、安全な市販薬の選び方、接客時に押さえておきたい声かけのコツを解説します。

【この記事で得られること】

  • インフルエンザ時に安全な解熱剤を選ぶ判断力が身につきます。
  • 登録販売者として受診の勧め方や接客対応の要点が分かります。
  • 避けるべき成分と推奨される市販薬の選び方を理解できます。
  • 信頼される登録販売者になるための声かけ実践法を学べます。

目次

インフルエンザの症状を見極めよう|登録販売者が押さえておくべき受診の目安

インフルエンザの症状を見極めよう|登録販売者が押さえておくべき受診の目安

まずはインフルエンザの症状や受診勧奨の目安など、インフルエンザの基本的な知識について解説します。

インフルエンザの症状

インフルエンザでは、局所症状(のどの痛み、鼻汁、咳)に加えて、高熱や全身症状(頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感)が現れることがあります。お客様への症状のヒアリングをしっかりとおこない、適切な対応ができるようにしましょう。

【風邪とインフルエンザの症状の違い】

症状 風邪 インフルエンザ
37~38℃の微熱 38℃以上の発熱
局所症状(のどの痛み、鼻汁、咳) ある ある
全身症状(頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感) ほとんどない 強い

参考:政府広報オンライン インフルエンザの感染を防ぐポイント「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」
参考:第一三共株式会社 インフルエンザについて

受診勧奨の目安

インフルエンザは多くの場合、自然に回復するため、軽症のお客様については必ず受診が必要というわけではありません。しかし、医療機関を受診すると、抗インフルエンザ薬を処方してもらえる可能性があります。抗インフルエンザ薬を適切なタイミングで使用した場合、使用しなかった場合よりも、発熱期間を1~2日程度短縮することができます。そのため、軽症のお客様についても、「抗インフルエンザ薬を使ってみたい」などの要望がある場合には受診勧奨をしてください。

なお、以下に該当する方については、インフルエンザが重篤化するおそれがあるため受診勧奨します。お客様の年齢、妊娠や持病の有無についてもしっかりと聴き取りをおこないましょう。

  • 高齢者
  • 幼児
  • 妊婦
  • 持病のある人(喘息、慢性呼吸器疾患(COPD)、慢性心疾患、糖尿病などの代謝性疾患)

参考:
厚生労働省 インフルエンザ(総合ページ)
政府広報オンライン インフルエンザの感染を防ぐポイント「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」

インフルエンザ疑い時の薬選び|登録販売者が避けるべき成分とおすすめ市販薬

インフルエンザ疑い時の薬選び|登録販売者が避けるべき成分とおすすめ市販薬

インフルエンザが疑われるお客様に対しては、熱がある時は解熱鎮痛薬、咳がある時は鎮咳去痰薬といった要領で、その時に出ている症状に合わせて薬を選びます。そのため、熱や咳、鼻水など、様々な症状が同時に出ている場合、総合感冒薬も候補になります。

ただし、インフルエンザの際に使用すると合併症が生じやすくなる解熱鎮痛成分もあるので、注意が必要です。
ここでは、「注意すべき解熱鎮痛成分」と「おすすめの市販薬」について解説します。

インフルエンザの際に注意すべき解熱鎮痛成分

インフルエンザが疑われるときの解熱鎮痛成分としては、アセトアミノフェンがよいという話を皆さんも聞いたことがあるかもしれません。

一部のNSAIDs(ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸)については、小児に起こりやすいインフルエンザ脳炎・脳症に何らかの関与をしている可能性があるため、インフルエンザを治療する際のNSAIDsの使用は慎重におこなうべきと考えられています。
インフルエンザ脳症とは、インフルエンザの合併症の1つであり、意識障害やけいれん、異常言動、異常行動などの神経症状を引き起こす病気です。5歳以下、特に1~2歳の幼児に発症する場合が多く、重症になると命にかかわることもあります。

もう1つ、インフルエンザ脳症と似た病気に「ライ症候群」があります。ライ症候群は、急性脳症と肝機能障害を特徴とする病気で、通常は小児が水痘(水疱瘡)やインフルエンザなどのウイルス性疾患にかかっているときに発症します。その発生はまれですが、死亡率が高く、生存した場合も脳に重い障害を残すなど予後は不良です。
また、アスピリンなどのサリチル酸系解熱鎮痛成分の使用により、ライ症候群を発症するリスクが高まることが知られています。

これらの理由により、インフルエンザの疑いがある人(特に小児・幼児)には、NSAIDsではなくアセトアミノフェンを使うことが推奨されます。特に、小児も服用可能な解熱鎮痛薬には、「エテンザミド」と呼ばれるサリチル酸系解熱鎮痛成分が配合されていることがあるので注意してください。

厚生労働省 市販の解熱鎮痛薬の選び方
健栄製薬 インフルエンザ脳症の症状の特徴や原因について

大人のインフルエンザでもアセトアミノフェンを使うべき?

インフルエンザ脳症やライ症候群の発症頻度は、小児・幼児が高く、大人は低いです。
そのため、大人については医師の判断でNSAIDsが使われることもあります。但し、市販薬の場合、アセトアミノフェンを選んだ方が安心ですので、お客様への情報提供をしっかりとおこないましょう。

インフルエンザの際におすすめの市販薬

インフルエンザが疑われる場合、解熱鎮痛成分がアセトアミノフェンのみの市販薬を選びます。以下におすすめの市販薬を記載しますが、お客様の年齢によって使用可能な商品が異なるので注意してください。

蕁麻疹の場合

蕁麻疹の場合、第二世代の抗ヒスタミン成分が配合された「抗ヒスタミン薬主薬製剤」や「アレルギー用薬」を選びましょう。なお、先に紹介した「アレグラFX」や「クラリチンEX」は、蕁麻疹に対する適応がありません。蕁麻疹の薬を選ぶ時は、「効能効果」に「蕁麻疹」と記載のある商品を使用しましょう。

1.解熱鎮痛薬

  • 15歳以上:カロナールA、タイレノールA
  • 7歳以上:ノーシン アセトアミノフェン錠、バファリンルナJ
  • 3歳~15歳未満:小児用バファリンCⅡ、小児用バファリンチュアブル

2.総合感冒薬

  • 12才以上:パブロンSゴールドW錠
  • 7才以上:ストナファミリー
  • 1才以上:パブロンS微粒

登録販売者のスキルアップに!インフルエンザが疑われる方へのお声がけのポイント

インフルエンザが疑われる方を接客する際、どのようにお声がけをすればよいのか、そのポイントについて解説します。

お客様の年齢を必ず確認しよう

インフルエンザの際に使用する解熱鎮痛薬は、特に小児や幼児では慎重に選ぶ必要があります。そのため、「薬を使われる方の年齢はおいくつですか?」と正確な年齢を確認してください。

症状は具体的にヒアリングしよう

お客様に症状を確認する時は、「どのような症状がありますか?」と聞くだけでなく、「頭痛や関節痛、倦怠感などはありますか?」などとインフルエンザに特徴的な症状があるかどうかを確認しましょう。インフルエンザなのか、それとも風邪なのかによって薬の選択肢が異なります。症状のヒアリングは具体的におこなってください。

周囲の感染状況を確認しよう

お客様の症状を聴き取る際、あわせて「周囲にインフルエンザの方はいらっしゃいますか?」とたずねてください。周りでインフルエンザが流行している場合、お客様も感染している可能性が高まります。

使用注意または使用可能な薬についても説明しよう

インフルエンザが疑われる場合、NSAIDsの使用は控えた方が無難です。そのため、「インフルエンザの時に使用すると、重い病気(脳炎)を引き起こす可能性のある成分もあります。そのような成分を含まないお薬を選びますね。」、「インフルエンザの時は、アセトアミノフェンという解熱鎮痛成分の使用が推奨されます。」などとお伝えするとよいでしょう。

まとめ|登録販売者としてインフルエンザ相談に自信を持って対応しよう

これから本格的な冬に入ると、インフルエンザのお客様も増えていくことが考えられます。年齢や症状、周囲の感染状況などをお客様にきちんと確認し、適切な市販薬を選べるようにしましょう。特に子供はインフルエンザによる合併症を引き起こしやすいので、慎重に対応するようにしてくださいね。

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ2万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。

■著書
・医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略(金芳堂)
・薬機法暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第4章」(金芳堂)
・これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2023年度版(KADOKAWA)
・村松早織の登録販売者 合格のオキテ100(KADOKAWA)
・やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書(ナツメ社)
過去の記事 登録販売者と薬剤師の違いを徹底比較!仕事内容や収入、資格等の違いをわかりやすく解説
新しい記事 現役薬剤師が教える。登録販売者の新人教育マニュアル|OJTの進め方と後輩指導のコツ