【2026年制度変更に備える】OTC類似薬とは?登録販売者が押さえるべき接客・対応ポイント

登録販売者の皆さんも、最近のニュースで「OTC類似薬」という言葉を見聞きしているかもしれません。なんとなくOTC(一般用医薬品)にかかわる話なのかな?と思いつつ、実際どういったことが議論されているのか、把握している方は少ないのではないでしょうか?
実は、「OTC類似薬」は2026年から保険適用が除外される方針が掲げられており、登録販売者や医薬品販売現場に大きな影響を与える制度変更として注目されているのです。
このコラムでは、「OTC類似薬とは?」という基本的な部分から、関連ニュース、登録販売者に及ぼす影響について解説します。「登録販売者としてどんな準備が必要?」と不安を抱える方に向けて、対応のポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
【この記事から得られること】
- OTC類似薬とは、OTC(一般用医薬品)と類似する医療用医薬品のこと
- OTC類似薬の保険適用除外が、2026年から実行される方針が掲げられている
- OTC類似薬の保険適用除外が実行されると、OTC(一般用医薬品)を利用する方が増え、登録販売者は適切な商品選びや薬剤師との連携などの対応が求められるようになる
目次
- ・登録販売者必見!「OTC類似薬」の意味と具体例をわかりやすく解説
- ・【最新ニュースまとめ】「OTC類似薬」をめぐる制度議論と社会的影響
- ・登録販売者への影響は?「OTC類似薬」の保険適用除外で想定される変化と接客対応策
- ・まとめ|登録販売者は「OTC類似薬」制度変更をチャンスに変える準備を
登録販売者必見!「OTC類似薬」の意味と具体例をわかりやすく解説

OTC類似薬とは、医療用医薬品のうち、要指導医薬品を含むOTC(一般用医薬品)と類似する医薬品を指す言葉です。
例えば、OTC医薬品には「アレグラFX」という商品がありますが、医療用医薬品でも「アレグラ錠60mg」があります。効能効果が一部異なるものの、有効成分や成分量などは同じです。この場合、「アレグラ錠60mg」を「OTC類似薬」とみなすことができます。
なお、医療用医薬品は保険適用になりますが、OTC(一般用医薬品)は全額自己負担です。
OTC類似薬の種類
OTC類似薬は、軽微な症状に使用される医薬品が該当します。具体的には、風邪薬やビタミン剤、胃腸薬、漢方薬、外用鎮痛消炎薬(湿布など)、外用の保湿剤などが挙げられます。
OTC類似薬が議論される背景
OTC類似薬が議論される大きな背景として、現役世代の医療費負担の増大が挙げられます。日本の医療保険制度は非常に便利ですが、その反面、すぐに医療機関にアクセスできるため、軽微な風邪の症状などでも医師の診察を受ける方が多くいます。
そういった「本来は不要な受診」を防ぐ制度になれば、患者さんは薬局やドラッグストアで、自己負担によりOTC(一般用医薬品)を購入することになります。このような理由で、軽微な症状に用いられる医療用医薬品については、保険適用を見直す動きが強まっているのです。
「OTC類似薬」と「OTC医薬品」の違い
OTC類似薬は、あくまで「OTC(一般用医薬品)に類似した医療用医薬品」であるため、OTC(一般用医薬品)とまったく同じものではありません。そのため、現状ではOTC類似薬をそのままOTC(一般用医薬品)に置き換えて使うことができないという問題点があります。
この辺りも今後議論されると考えられますが、以下にOTC類似薬とOTC(一般用医薬品)の違いを一覧表でまとめてみました。
OTC類似薬(医療用医薬品) | OTC(一般用医薬品) | |
---|---|---|
1回(1日)あたりの成分量 |
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効能効果 |
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値段 |
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入手のアクセス |
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【最新ニュースまとめ】「OTC類似薬」をめぐる制度議論と社会的影響

OTC類似薬をめぐっては、さまざまな人や政治団体などが活発な動きを見せています。ここでは、OTC類似薬に関連する最近のニュースをご紹介します。
難病患者の家族が「OTC類似薬」の保険適用除外に反対する署名を提出
難病の皮膚病患者の家族が、「治療で使用している薬の保険適用の継続を求める」要望書とともに、インターネットで集めた、およそ8万5000人分の署名を厚生労働省の担当者に提出しました。
会見した女性の息子さんは、難病指定の皮膚病で、医師に処方された保湿剤を使用しています。これらの薬が保険適用されなくなると、薬代だけで現在の30倍以上の費用がかかることが見込まれるそうです。
OTC類似薬に関するルールを決める時には、こうした慢性疾患を持つ患者さんを守る対策が必要になると考えられます。
OTC類似薬の保険適用除外、2026年にも実行か?
石破政権は、「骨太方針2025」でOTC類似薬の保険給付の在り方の見直し(OTC類似薬の保険適用除外)について、自民党・公明党・日本維新の会の3党合意を踏まえつつ、早期に実現可能なものは2026年から実行するの方針を掲げています。
早くて来年から動きが見られるかもしれませんね。次の項目で解説していますが、登録販売者への影響も考えられるので、世の中の動向をきちんと追っていきましょう。
登録販売者への影響は?「OTC類似薬」の保険適用除外で想定される変化と接客対応策

「OTC類似薬」の保険適用除外が現実のものになると、薬局やドラッグストアで働く登録販売者への影響も考えられます。ここでは、今後を見据えて登録販売者がどういったことに気を付ければよいのかを解説します。
OTC(一般用医薬品)を活用する方が増える
制度変更より、OTC(一般用医薬品)を活用する方の増加が考えられます。登録販売者は、OTC(一般用医薬品)を適切に選ぶ知識が何よりも重要になるので、今から備えておくことをおすすめします。
薬剤師との連携が重要になる
今までは軽微な症状で医療機関に通っていた方が、ドラッグストアに来店するケースも増えることでしょう。そのような方は、高齢であったり、持病があって医療用医薬品を使っていたりする可能性が高いので、薬剤師との連携が一層重要になります。
同じ店舗に薬剤師が在籍している場合には、日ごろから薬剤師とコミュニケーションを図り、スムーズに対応できるようにしておきましょう。一方、薬剤師が在籍していない場合には、お客さまからかかりつけの薬局にご相談いただく、近所の薬局と連携して対応するといった方法が考えられます。
制度変更に納得できないお客さまも...
制度変更により、自費でOTC(一般用医薬品)を購入しなくてはならない方も増えます。すると、お客さまから「値段が高い」「処方されている薬はこれまで通り買えるの?」「高齢者にとっては移行のハードルが高くない?」といった不満や不安の声も聞こえてくるかもしれません。まずはお客さまのお話に耳を傾け、共感の姿勢でいることが大切です。
法改正や制度変更の際には、このような不満はつきものです。時間が経って制度が浸透していけば、お客さまのこのような気持ちは自然におさまっていきます。あまり気にせずに、自分の仕事を粛々とこなしてくださいね。
まとめ|登録販売者は「OTC類似薬」制度変更をチャンスに変える準備を
「OTC類似薬」の保険適用除外は、登録販売者にとって職能を発揮するための「追い風」になる可能性が高い制度変更です。ニュースで取りあげられる機会も今後ますます増えることが予想されるので、登録販売者の皆さんは、きちんとアンテナを張って動向を継続的に追っていきましょう。

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ2万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。
- ■著書
- ・医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略(金芳堂)
- ・薬機法暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第4章」(金芳堂)
- ・これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2023年度版(KADOKAWA)
- ・村松早織の登録販売者 合格のオキテ100(KADOKAWA)
- ・やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書(ナツメ社)
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