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登販必読!抗ヒスタミンの市販薬の選び方|眠気・副作用・使い分けを徹底解説

登販必読!抗ヒスタミンの市販薬の選び方|眠気・副作用・使い分けを徹底解説

抗ヒスタミン成分は、アレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン」という体内の化学伝達物質の作用を抑えることで、くしゃみや鼻水などの症状を緩和する薬です。市販薬には抗ヒスタミン成分を含む商品が非常にたくさんあるため、登録販売者はどんな特徴があるのか知っておく必要があります。
このコラムを読めば、接客時に眠気や副作用を回避した最適な市販薬を提案できるようになります。花粉症・風邪・蕁麻疹などケース別の選び分けも、現場経験を踏まえて解説します。

【この記事で得られること】

  • 抗ヒスタミン成分の仕組み・種類・副作用など、基礎知識が整理される
  • 第一世代・第二世代の特徴や使い分け方、眠気や抗コリン作用といった注意点を理解できる
  • 花粉症・風邪・蕁麻疹など症状別におすすめ市販薬と接客提案のポイントがわかる
  • 過剰摂取や販売時の注意事項を踏まえた安全な商品提案方法が身につく

目次

登録販売者が知っておきたい抗ヒスタミン成分の基本|仕組み・種類・副作用を解説

登録販売者が知っておきたい抗ヒスタミン成分の基本|仕組み・種類・副作用を解説

抗ヒスタミン成分は、くしゃみや鼻水、皮膚や目のかゆみなど、さまざまなアレルギー症状を改善する薬です。まずは抗ヒスタミン成分の作用機序や成分の種類など、概要を把握しましょう。

抗ヒスタミン成分の作用機序

抗ヒスタミン成分の作用機序を把握するにあたり、先にどのようにアレルギーが起こるのか、その仕組みを簡単に説明します。

【アレルギーを生じる仕組み】

  1. アレルゲンが皮膚や粘膜から体内に入り込むと、その物質を特異的に認識した免疫グロブリン(抗体)によって肥満細胞が刺激される
  2. 細胞間の刺激の伝達を担う生理活性物質であるヒスタミンなどの物質が遊離する
  3. 肥満細胞から遊離したヒスタミンは、周囲の器官や組織の表面に分布する特定のタンパク質(受容体)と反応する
  4. アレルギー症状が引き起こされる

このような順序でアレルギーが生じます。

【抗ヒスタミン成分の作用機序】

抗ヒスタミン成分は、上記③の段階において、ヒスタミンがヒスタミン受容体に結合するのをブロックし、アレルギー症状を抑えます。なお、似たような作用を持つものとして、抗アレルギー成分(クロモグリク酸ナトリウムなど)があります。抗アレルギー成分は、②の段階で、肥満細胞からのヒスタミンの遊離を抑える作用を示します。
これを図にすると、次の通りです。

【抗ヒスタミン成分の作用機序】

抗ヒスタミン成分と抗コリン作用

抗ヒスタミン成分は、アレルギー症状を抑える"抗ヒスタミン作用"だけでなく、"抗コリン作用"もあわせ持ちます。これは、ヒスタミン受容体とアセチルコリン受容体の構造が似ており、抗ヒスタミン成分がアセチルコリン受容体にも結合してしまうためです。そのため、抗ヒスタミン成分を使う際には、口渇や排尿困難といった、抗コリン作用による副作用にも注意する必要があります。

おすすめ記事:アポプラス登販ナビ 【登録販売者必見】抗コリン薬はなぜ禁忌?作用や接客方法をわかりやすく解説

抗ヒスタミン成分の種類

登録販売者試験では出題されませんが、抗ヒスタミン成分は「世代」によって分類されています。現場の知識として非常に重要なので、登録販売者は覚えておきましょう。

抗ヒスタミン成分には、「第一世代」と「第二世代」があります。
第一世代の抗ヒスタミン成分は第二世代よりも古く、眠気や抗コリン作用による副作用が出やすいという特徴があります。抗コリン作用と聞くとさまざまな副作用が連想され、ネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、抗コリン作用を持つ薬は、風邪による鼻水の症状を抑える作用があるため、風邪薬には基本的に第一世代の抗ヒスタミン成分が配合されています

※メキタジンは第二世代でありながら抗コリン作用が強いため、風邪薬に配合されることがある

一方、第二世代の抗ヒスタミン成分は、眠気や抗コリン作用による副作用が少ないという点が特徴です。
特にフェキソフェナジン塩酸塩(商品例:アレグラFX)やロラタジン(商品例:クラリチンEX)は眠気の副作用が少なく、服用後の車の運転が禁止されていません。逆にそれ以外の成分については、すべて服用後の車の運転が禁止されているため、注意してください。

また、第二世代の抗ヒスタミン成分は抗コリン作用が少ないため、風邪薬には配合されず、専ら花粉やハウスダストなどによるアレルギー症状を抑える薬として用いられます。

世代 主な成分 眠気の副作用
第一世代 ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩 あり
第二世代 ケトチフェンフマル酸塩 あり
メキタジン、アゼラスチン ややあり
エピナスチン塩酸塩 少ない
フェキソフェナジン塩酸塩、ロラタジン かなり少ない

抗ヒスタミン成分の過剰摂取に注意

抗ヒスタミン成分の「ジフェンヒドラミン塩酸塩」は、「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されていませんが、乱用されることの多い成分です。過去には子供たちの間で「ベナドリル・チャレンジ」が流行り、死亡者も複数出ています。「ベナドリル・チャレンジ」とは、アメリカの市販薬でアレルギー症状に用いられる「ベナドリル(成分:ジフェンヒドラミン塩酸塩)」を、幻覚を引き起こす量で過剰摂取し、その様子を撮影した動画をSNSに投稿する行為です。

ジフェンヒドラミン塩酸塩は、過剰摂取により心臓発作や昏睡を引き起こします。そのため、法律上、販売個数に制限がないとしても、1個販売を原則とし、複数個購入しようとする方についてはその理由を尋ねることをおすすめします

なお、ジフェンヒドラミン塩酸塩は、蕁麻疹や鼻炎などのアレルギー症状を緩和する薬(商品例:レスタミンコーワ糖衣錠)に加え、眠気の副作用を逆に利用した睡眠改善薬(商品例:ドリエル)にも配合されています。そのため、睡眠改善薬についても同様に過剰摂取に注意する必要があります。

参考:Yahoo!ニュース 危険なSNSチャレンジが若者に大流行 ─ 15歳死亡のTikTok「ベナドリル・チャレンジ」とは?
参考:CNN 「TikTokチャレンジ」参加の13歳少年死亡 抗ヒスタミン剤大量服用

症状別おすすめ市販薬|登録販売者が現場で提案できる抗ヒスタミン成分の選び方

症状別おすすめ市販薬|登録販売者が現場で提案できる抗ヒスタミン成分の選び方

抗ヒスタミン成分にはさまざまな種類があるため、どの症状に対し、どの成分を選ぶべきか迷う方もいるでしょう。
ここでは、症状別に第一世代・第二世代の抗ヒスタミン成分をどのように使い分けるか、現場で提案する際のポイントを具体的に紹介します。

風邪が原因の鼻症状(鼻風邪、急性鼻炎)の場合

風邪が原因の鼻症状(鼻風邪、急性鼻炎)では、第一世代の抗ヒスタミン成分が配合された商品を選びます。鼻症状以外にも熱や咳などの症状がある場合は「風邪薬」を選び、鼻症状のみの場合は効能効果に「急性鼻炎」と記載のある「鼻炎内服薬」を選んでください。
なお、第一世代の抗ヒスタミン成分が配合された商品は、排尿困難や緑内障のある人に使用すると症状が悪化するおそれがあり、注意が必要です。

【おすすめ商品】

ストナジェルサイナスEX

  • 薬効分類:風邪薬
  • 特徴:鼻症状を改善する成分を中心とした風邪薬で、抗ヒスタミン成分だけでなく、抗コリン成分も配合されている。また、去痰成分のアンブロキソール塩酸塩は、鼻の奥に溜まった鼻水の排出にも効果がある
  • 成分:ジフェニルピラリン塩酸塩(第一世代の抗ヒスタミン成分)、ベラドンナ総アルカロイド(抗コリン成分)、アンブロキソール塩酸塩(去痰成分)、ジヒドロコデインリン酸塩(麻薬性鎮咳成分)、ノスカピン(非麻薬性鎮咳成分)、dl-メチルエフェドリン塩酸塩(気管支拡張成分)、アセトアミノフェン(解熱鎮痛成分)、無水カフェイン(鎮痛補助成分)、ビタミンB2

パブロン鼻炎カプセルSα

  • 薬効分類:鼻炎用内服薬
  • 特徴:抗ヒスタミン成分や抗コリン成分だけでなく、血管収縮成分のプソイドエフェドリン塩酸塩が配合されており、くしゃみ・鼻水だけでなく、鼻づまりもある場合の選択肢になる
  • 成分:カルビノキサミンマレイン酸塩(第一世代の抗ヒスタミン成分)、プソイドエフェドリン塩酸塩(血管収縮成分)、ベラドンナ総アルカロイド(抗コリン成分)、無水カフェイン(鎮痛補助成分)

花粉やハウスダストなどが原因のアレルギー性鼻炎の場合

花粉やハウスダストなどが原因のアレルギー性鼻炎では、眠気や抗コリン作用による副作用の少ない、第二世代の抗ヒスタミン成分が配合された「鼻炎内服薬」や「アレルギー用薬」を選びましょう。

【おすすめ商品】

アレグラFX

  • 薬効分類:鼻炎内服薬
  • 特徴:「フェキソフェナジン塩酸塩」単剤の商品。眠気の副作用が少なく、服用後の車の運転が禁止されていない。1日2回の服用が必要である。小児を対象とした「アレグラFXジュニア」もある
  • 成分:フェキソフェナジン塩酸塩(第二世代の抗ヒスタミン成分)

クラリチンEX

  • 薬効分類:鼻炎内服薬
  • 特徴:「ロラタジン」単剤の商品。眠気の副作用が少なく、服用後の車の運転が禁止されていない。1日1回1錠の服用でOK
  • 成分:ロラタジン(第二世代の抗ヒスタミン成分)

蕁麻疹の場合

蕁麻疹の場合、第二世代の抗ヒスタミン成分が配合された「抗ヒスタミン薬主薬製剤」や「アレルギー用薬」を選びましょう。なお、先に紹介した「アレグラFX」や「クラリチンEX」は、蕁麻疹に対する適応がありません。蕁麻疹の薬を選ぶ時は、「効能効果」に「蕁麻疹」と記載のある商品を使用しましょう。

【おすすめ商品】

ジンマート錠

  • 薬効分類:抗ヒスタミン薬主薬製剤
  • 特徴:「メキタジン」やビタミン成分が配合された薬。服用後の車の運転が禁止されている。また、メキタジンは第二世代でありながら抗コリン作用が強く、排尿困難や緑内障のある人は「相談すること」とされている。
  • 成分:メキタジン(第二世代の抗ヒスタミン成分)、ビタミンB2、ビタミンB6、ニコチン酸アミド

ムヒAZ錠

  • 薬効分類:アレルギー用薬
  • 特徴:「アゼラスチン塩酸塩」単剤の商品。服用後の車の運転が禁止されている。「ジンマート錠」とは異なり、排尿困難や緑内障のある人に関する注意書きがない
  • 成分:アゼラスチン塩酸塩(第二世代の抗ヒスタミン成分)

参考:PMDAの添付文書検索ページ

まとめ|登録販売者が抗ヒスタミン成分をすすめる時は副作用に配慮しよう!

抗ヒスタミン成分は多くの市販薬に配合されており、登録販売者が接客で説明する機会も多い成分です。眠気や抗コリン作用による副作用があるため、販売時はお客様の体調や既往歴をしっかり確認しましょう。特に緑内障や排尿困難の症状がある方への対応は、慎重におこないます。また、一般的に、高齢男性は普段から尿が出にくいといった症状を自覚していることが多いので、ヒアリングを丁寧におこない、適切な商品を選ぶようにしましょう。

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ2万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。

■著書
・医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略(金芳堂)
・薬機法暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第4章」(金芳堂)
・これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2023年度版(KADOKAWA)
・村松早織の登録販売者 合格のオキテ100(KADOKAWA)
・やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書(ナツメ社)
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