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【登販向け】秋冬に注意!花粉症・寒暖差アレルギー・風邪の違いと接客ポイント

【登販向け】秋冬に注意!花粉症・寒暖差アレルギー・風邪の違いと接客ポイント

例年、9月後半から夏の暑さが少しずつ和らぎ、過ごしやすい日が増えていきます。しかし、朝晩の冷え込みが強くなってくる秋冬は「花粉症なのか、風邪なのか分からない」という相談が急増する季節です。登録販売者としては症状の見極めと適切な市販薬提案が求められます。本記事では、症状ごとの原因や対応の流れを整理し、接客でそのまま使えるポイントを解説します。

【この記事で得られること】

  • 花粉症・寒暖差アレルギー・風邪の原因と症状の違いが整理され、接客時に見極めるポイントがわかる
  • 各症状別に、登録販売者が提案できる市販薬の選び方とおすすめ商品が理解できる
  • ヒアリングから市販薬提案までの接客フローとセルフケアの伝え方が身につく
  • お客様の症状が不明確な場合の受診勧奨の重要性と対応方法が把握できる

目次

秋冬に多い症状と原因|登録販売者が押さえておくべき基礎知識

秋冬に多い症状と原因|登録販売者が押さえておくべき基礎知識

秋から冬にかけて相談の多い症状として、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどがあります。これらの症状は花粉症や寒暖差アレルギー、風邪などで生じることがあり、登録販売者は接客の際に、何が原因となって引き起こされている症状なのかを個別に判断して対応する必要があります。この判断を誤ってしまうと、効果のない薬をおすすめしてしまうことにも繋がるため、注意しましょう。

花粉症や寒暖差アレルギー、風邪の原因

それぞれの症状の原因は、次の通りです。

  • (秋の)花粉症:ブタクサ、ヨモギ、カナムグラの花粉に対するアレルギー
  • 寒暖差アレルギー:原因不明。ただし、7℃以上の寒暖差によって自律神経が乱れることで生じると考えられている
  • 風邪:主にウイルス感染

このうち「寒暖差アレルギー」は、「アレルギー」という言葉から誤解を招きやすいですが、医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれます。アレルギーが原因ではなく、温度差が刺激となり、鼻の粘膜の血管が拡張して生じると考えられています。

症状の見わけ方

花粉症や寒暖差アレルギー、風邪は似たような症状が現れますが、それぞれに特徴があります。
花粉症では、主に無色透明な鼻水とくしゃみ、目のかゆみの症状が現れます。寒暖差アレルギーの症状と似ていますが、寒暖差アレルギーでは目のかゆみの症状が出ることは少ないです。

また、風邪では多彩な症状が現れることが多く、鼻症状や熱だけでなく、のどの痛みや咳、寒気などを伴うことがあります。お客様への症状のヒアリングをしっかりとおこなうと共に、風邪は主にウイルス感染が原因であるため、周囲に感染症の方がいないかどうかを確認してください。

それぞれの症状をまとめると、次の表の通りになります。

花粉症 寒暖差アレルギー
(血管運動性鼻炎)
風邪
鼻水
  • 無色透明
  • 副鼻腔炎を併発すると黄色っぽくなることもある
  • 水っぽく、さらさらしている
  • 黄色っぽい
  • 粘り気がある
くしゃみ
  • ある
  • ある
  • ある場合とない場合がある
目のかゆみ
  • ある
  • ほとんどない
  • ない
  • ほとんど出ない
  • 出ない
  • 出る

秋冬に多い症状別|登録販売者おすすめの市販薬

秋冬に多い症状別|登録販売者おすすめの市販薬

花粉症や寒暖差アレルギー、風邪におすすめの市販薬について解説します。

花粉症

花粉症を緩和する薬には、第二世代の抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬があります。特に鼻づまりの症状が強い場合には、ステロイド点鼻薬を選ぶとよいでしょう。また、目のかゆみなどがある時は、アレルギー用の目薬も選択肢になります。以下はおすすめの商品です。

【花粉症におすすめの市販薬】

  • 第二世代の抗ヒスタミン薬:アレグラFX、クラリチンEX
  • ステロイド点鼻薬:フルナーゼ点鼻薬<季節性アレルギー専用>、ナザールαAR0.1%〈季節性アレルギー専用〉
  • アレルギー用の目薬:マイティアアイテクトアルピタット、ロートアルガード コンタクトa

おすすめ記事:【登販の知識】冬の花粉症とは?症状や対策、おすすめの市販薬を紹介!

寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)

確立された治療法はありませんが、一般的に医療機関で処方される薬として、抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬があります。

市販薬の場合、「アレグラFX」などの第2世代の抗ヒスタミン薬の効能効果は「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり」となっていますが、先述した通り、寒暖差アレルギーはアレルギー症状ではないため適応外となります。

また、「フルナーゼ点鼻薬<季節性アレルギー専用>」などのステロイド点鼻薬も、効能効果は「季節性アレルギー(花粉症)」のみなので適応外となります。

そのため、「レスタミンコーワ糖衣錠(成分:ジフェンヒドラミン塩酸塩)」などの、第一世代の抗ヒスタミン成分が中心となった薬で、かつ、効能効果に「鼻炎」という大きな症状の分類で記載された商品を選ぶとよいでしょう。

※「レスタミンコーワ糖衣錠」の効能効果:じんましん,湿疹,かぶれ,かゆみ,鼻炎

なお、寒暖差アレルギーは、医療機関において、風邪や花粉症などのほかの病気を除外した上で、最終的に診断されるものです。市販薬を使っても効果がない場合、ほかの原因が疑われるため、受診勧奨してください。

【寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)におすすめの市販薬】

  • 第一世代の抗ヒスタミン薬:レスタミンコーワ糖衣錠、アレルギール錠

風邪

風邪でたくさんの症状が出ている場合には「風邪薬(総合感冒薬)」が便利ですが、「熱」や「咳」など、個別の症状で対応できそうな場合には、「解熱鎮痛薬」や「鎮咳去痰薬」などを選択します。風邪薬には非常に多くの商品がありますが、大きくわけて、①アセトアミノフェン配合の風邪薬、②イブプロフェン配合の風邪薬があります。
大まかな使い分けは、以下の通りです。

  1. アセトアミノフェン配合の風邪薬
    子供から大人まで家族で使いたいというご要望のある場合や、インフルエンザの疑いがある場合、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症成分(NSAIDs)により胃腸障害の副作用が出やすい場合に選択する。
  2. イブプロフェン配合の風邪薬
    のどの痛みや頭痛などが強い場合に選択する。15歳未満の小児には使えないことに注意。また、インフルエンザの疑いがある場合にはアセトアミノフェンの風邪薬の選択を優先する。

【風邪におすすめの市販薬】

    • アセトアミノフェン配合の風邪薬
    • パブロンSゴールドW:高血圧に関する注意書きがない。2つの去痰成分配合
    • ストナファミリー:高血圧に関する注意書きがない。麻薬性鎮咳成分が無配合
    • イブプロフェン配合の風邪薬
    • コルゲンコーワIB錠TXα:イブプロフェン(1日あたり)最大量600mg配合。去痰成分のアンブロキソール塩酸塩配合

登録販売者が知っておきたい!秋冬の症状を見極める接客フロー

ドラッグストアや薬局において、秋冬に多い症状に対し、どのような流れでヒアリングをおこなっていけばよいかを解説します。

  1. ①症状を聴き取る
    まずは、「どのような症状にお困りですか?」とお聞きして、うまく症状が出てこなければ、「目のかゆみはありますか?」「のどの痛みはありませんか?」などと、具体的な症状名を出して聴き取りをおこないます。
  2. ②原因を把握する
    花粉症が疑われる場合、「花粉に対するアレルギーなどはありますか?」とお聞きし、風邪が疑われる場合、「周りに風邪をひいている方や、同じ症状のある方はいますか?」とお聞きします。
    さらに、1日の寒暖差が激しい時期で、かつ、花粉症や風邪ではなさそうな時は、寒暖差アレルギーの可能性も視野に入れます。「寒暖差の激しい日に症状が出るなど、何か思い当たる原因はありませんか?」などとお聞きして、原因を探っていくのがよいでしょう。
  3. ③市販薬を選ぶ
    この後は通常通り、お客様の年齢や持病、服用中の薬などについて確認し、ヒアリングした内容をもとに適切な市販薬を選んで情報提供をおこないます。
  4. ④セルフケアのポイントも伝える
    以下のように、セルフケアのポイントについてもお伝えすると、お客様からの信頼度もアップします。
    • 花粉症:マスクを着用する、ブタクサ・ヨモギなどの群生地に近づかない
    • 寒暖差アレルギー:体で感じる温度差を小さくすることが重要なので、マスクやマフラーを着用し、上着をいつでも羽織れるようにしておく
    • 風邪:温かくして安静にする、水分補給をしっかりとおこなう

まとめ|登録販売者は症状や原因をしっかりとヒアリングしよう!

花粉症や寒暖差アレルギー、風邪が原因と考えられる症状では、それぞれ適切に選ぶべき市販薬が異なります。お客様へのヒアリングをしっかりとおこない、適切な市販薬を選択できるようにしましょう。中には判別がつかないケースもあるので、原因不明の場合は受診勧奨をしつつ対応するように心がけてください。

参考:サワイ健康推進課「花粉症でも風邪でもない? その症状、寒暖差アレルギーかも」
参考:一般社団法人日本アレルギー学会「患者さんに接する施設の方々のためのアレルギー疾患の手引き《2022年改訂版》」

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ2万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。

■著書
・医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略(金芳堂)
・薬機法暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第4章」(金芳堂)
・これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2023年度版(KADOKAWA)
・村松早織の登録販売者 合格のオキテ100(KADOKAWA)
・やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書(ナツメ社)
過去の記事 登販必読!抗ヒスタミンの市販薬の選び方|眠気・副作用・使い分けを徹底解説