【登販の接客】副鼻腔炎におすすめの漢方は?(急性・慢性)症状別のご提案について紹介
【登販の接客】副鼻腔炎におすすめの漢方は?(急性・慢性)症状別のご提案について紹介
![【登販の接客】副鼻腔炎におすすめの漢方は?(急性・慢性)症状別のご提案について紹介](https://www.touhan-navi.com/contents/column/assets_c/2024/12/20241220_1_1-thumb-900x580-7608.jpg)
ドロっとした鼻水やにおいの強い鼻水、顔の痛みなどの症状は、副鼻腔炎が疑われる症状です。副鼻腔炎の症状は風邪を引いた後によく見られるので、お客さまから相談を受ける機会も比較的多くあるでしょう。しかし、誤った認識のままで対応してしまうと症状をさらに悪化させてしまう可能性があるため、登録販売者には正確な知識を身につけておくことが求められます。
本コラムでは、副鼻腔炎が疑われるときの接客方法、おすすめできる漢方薬などについて解説していきます。
目次
- ・登録販売者の基礎知識 副鼻腔炎はこんな病気
- ・登録販売者必見!副鼻腔炎におすすめの漢方薬
- ・登録販売者のプラスアルファの接客に!副鼻腔炎におすすめの商品(漢方薬以外)
- ・まとめ|登録販売者の受診勧奨で「症状の慢性化」を防ごう
登録販売者の基礎知識 副鼻腔炎はこんな病気
![登録販売者の基礎知識 副鼻腔炎はこんな病気](https://www.touhan-navi.com/contents/column/img/20241220_1_2.jpg)
「濁った鼻水が出る」「ドロドロとした鼻水が出る」「顔面の痛みがある」といった症状を、皆さんも経験したことはあるのではないでしょうか?風邪を引いたときや、風邪が治った後によく見られる症状ですが、一度なってしまうとなかなか治らないですよね。
このような症状がある場合、まず疑われるのは「副鼻腔炎(蓄膿症)」という鼻の病気です。鼻の周りの骨には「副鼻腔」と呼ばれる空洞がありますが、副鼻腔炎はその名の通り副鼻腔に炎症を起こし、粘膜が腫れたり、空洞内に膿が溜まったりしてしまう病気です。主な原因は細菌やウイルスで、風邪などによって体の免疫が落ちているときに、副鼻腔に感染を起こすことで発症します。
【副鼻腔の位置】
![抗コリン成分の主な副作用](https://www.touhan-navi.com/contents/column/img/20241220_1_3.jpg)
参考:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「副鼻腔炎」
副鼻腔炎の症状
副鼻腔炎の主な症状は、次の通りです。
- 鼻づまり
- ドロっとした濁った鼻汁、においの強い鼻汁
- 頬・おでこ・目の奥の痛み
- 後鼻漏(大量の鼻水が喉に落ちてくる状態)
- 発熱 など
副鼻腔は頭蓋骨の中に計8つあり、頬や目の周り、額などに位置しています。そのため、副鼻腔炎を発症すると「頬が痛い」「おでこが痛い」といった症状が出るケースもあります。筆者の経験では、「奥歯の痛み」を訴える方が歯医者を受診したところ、虫歯などではなく副鼻腔炎だったというケースもありました。
また、大量の鼻水が喉に落ちてくることによって喉に炎症を起こし、咳がひどくなってしまう方もいます。
「急性副鼻腔炎」と「慢性副鼻腔炎」の違い
急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎は、次のように分類されます。
- 発症から1カ月未満のもの=急性副鼻腔炎
- 発症から3カ月以上経過したもの=慢性副鼻腔炎
発症から1カ月以上3カ月未満の副鼻腔炎は、急性副鼻腔炎の治癒過程のものと、慢性副鼻腔炎へと移行するものが混在しています。
副鼻腔炎が疑われる方は、受診勧奨が基本
急性副鼻腔炎は、ウイルスや細菌が原因となる場合が多く、ウイルス性の急性副鼻腔炎の場合、1週間程度で自然によくなることがほとんどです。このときに「症状がよくならない」という場合、細菌性の急性副鼻腔炎が疑われ、抗菌薬を使った治療が基本となります。抗菌薬はOTC(一般用医薬品)では手に入らないため、医療機関への受診が必要です。
一方、症状が3カ月以上続く場合に疑われるのが、慢性副鼻腔炎です。慢性副鼻腔炎は「蓄膿症」と呼ばれることもあり、主に細菌が原因となって引き起こされます。通常の抗菌薬による治療だけでは効果が不十分なため、複数種類の医薬品を使って治療します。
また、慢性副鼻腔炎になると、炎症が続くことによって鼻の中に「鼻茸(はなたけ)」というポリープができることがあります。鼻茸があると、鼻づまりがひどくなったり、においがわかりにくくなったりすることため、睡眠や食事に悪影響を及ぼしやすいです。鼻茸による症状を改善したい場合には、取り除くための手術が必要になります。
さらに、副鼻腔が目や脳に近い場所に位置していることから、副鼻腔炎を放置していると、まれに視力低下や髄膜炎を招くおそれもあります。そのため、副鼻腔炎が疑われる際はいずれの場合も、早めに医療機関を受診するようお客さまにお伝えしてください。
副鼻腔炎の症状緩和を目的としたOTC(一般用医薬品)もありますが、お客さまにとってもっともよい対処法は医師の診察を受けることです。そのため、おすすめの薬を聞かれた場合には、あくまでも「医療機関を受診するまでの対処」という前提でお薬をご案内するのがよいでしょう。
登録販売者必見!副鼻腔炎におすすめの漢方薬
![登録販売者必見!副鼻腔炎におすすめの漢方薬](https://www.touhan-navi.com/contents/column/img/20241220_1_4.jpg)
副鼻腔炎に効能効果のある漢方薬としては、以下のものがあげられます。
- ①辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
- ②荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
- ③葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
おすすめ漢方薬① 辛夷清肺湯
効能・効果
体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの次の諸症:鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)
特徴
副鼻腔炎のドロっとした鼻水の症状があり、とくに鼻づまりの症状が強い方に向く漢方薬です。こもった熱を発散させて鼻の炎症を鎮め、患部で発生する膿を抑える作用があります。構成生薬の「辛夷」には、香りによって鼻の通りをよくする働きがあります。
相談すること
- 体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)
- 胃腸虚弱で冷え症の人
商品例
- チクナインa
- チクナインb
おすすめ漢方薬② 荊芥連翹湯
効能・効果
体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張しているものの次の諸症:蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび
特徴
鼻や皮膚などに炎症を起こしやすく、症状が慢性化しやすい方に向く漢方薬です。余分な熱を冷やして追い出すとともに、「気」をめぐらせる働きがあります。首から上の炎症に効く漢方薬なので、副鼻腔炎の症状だけでなく、扁桃炎やにきびなどにも効果が期待できます。
なお、構成生薬の荊芥(シソ科の一種)により、服用した際に渋みを感じることがあります。
相談すること
- 胃腸が弱く下痢しやすい人
商品例
- 荊芥連翹湯エキス錠Fクラシエ
- ツムラ漢方荊芥連翹湯エキス顆粒
おすすめ漢方薬③ 葛根湯加川芎辛夷
効能・効果
比較的体力があるものの次の諸症:鼻づまり、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎
特徴
体の冷えからくる鼻づまりのある方に向いており、副鼻腔炎の症状に用いられる漢方薬です。体を温める「葛根湯」をベースにした処方で、体の中の余分な水分を排出させる働きによって鼻づまりを改善させます。そのため、葛根湯が適した「証」の方で、鼻づまりの症状が強い場合に用いるのがよいでしょう。
相談すること
- 体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)
- 胃腸の弱い人
- 発汗傾向の著しい人
商品例
- 「クラシエ」漢方葛根湯加川芎辛夷エキス錠
- ツムラ漢方葛根湯加川芎辛夷エキス顆粒
参考:クラシエ「辛夷清肺湯」
登録販売者のプラスアルファの接客に!副鼻腔炎におすすめの商品(漢方薬以外)
![登録販売者のプラスアルファの接客に!副鼻腔炎におすすめの商品(漢方薬以外)](https://www.touhan-navi.com/contents/column/img/20241220_1_5.jpg)
漢方薬に抵抗のあるお客さまもいるため、副鼻腔炎に対応可能な「漢方薬以外の商品」も知っておきましょう。ここでは次の2つの商品を紹介します。
- ①プソイドエフェドリン配合の鼻炎薬
- ②鼻うがい用キット
おすすめ商品① プソイドエフェドリン配合の鼻炎薬
プソイドエフェドリン配合の鼻炎薬は、鼻づまりの症状が強く、高血圧、糖尿病などの持病のない人にすすめられます。
なお、漢方薬ではない内服用鼻炎薬は、抗ヒスタミン成分が配合されている場合が多いため、眠気の副作用に注意する必要があります。眠気の副作用のないものがよい場合、漢方薬を選択してください。
商品例
- パブロン鼻炎カプセルSα
- アネトン アルメディ鼻炎錠
おすすめ商品② 鼻うがい用キット
副鼻腔炎になると、粘膜の炎症によって細菌・ウイルスを排出する機能が低下するため、症状が長引きやすくなります。
鼻うがいには、
- 病原菌を含んだ鼻汁を排出する
- 鼻腔内が加湿されて繊毛運動が促進される
といった点から、副鼻腔炎の改善に効果があると言われています。
なお、慢性副鼻腔炎の方で鼻茸(鼻のポリープ)がある場合は、鼻腔が狭くなっているため、無理に鼻うがいをすることは推奨されていません。また、鼻茸があると鼻うがい自体の効果が薄れてしまうという報告もあります。
商品例
- チクナイン 鼻うがいa
- ハナノアシャワー
まとめ|登録販売者の受診勧奨で「症状の慢性化」を防ごう
副鼻腔炎は、受診勧奨が基本となる病気です。漢方薬をはじめ、OTC(一般用医薬品)の役割はあくまでも「受診するまでのつなぎ」ですので、商品をご案内する際にはその旨を一緒にお伝えしましょう。
また、副鼻腔炎は慢性化しやすい病気であるため、「忙しくてなかなか病院に行けない」という方には、症状を放置するデメリットをお伝えするなどし、受診の必要性を理解していただくように努めましょう。
![執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)](https://www.touhan-navi.com/contents/column/img/d0f37fa1b952a8c928980809e99f7db9e340b8bf.jpg)
執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。
- ■著書
- ・医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略(金芳堂)
- ・薬機法暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第4章」(金芳堂)
- ・これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2023年度版(KADOKAWA)
- ・村松早織の登録販売者 合格のオキテ100(KADOKAWA)
- ・やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書(ナツメ社)
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