【登販向け】秋バテへの対策は?症状ごとのおすすめ市販薬を紹介

夏から秋にかけての季節の変わり目は、天候や気温が安定しにくく、日中と夜間との寒暖差も激しくなっていきます。それが原因で起こるさまざまな体調不良を、「秋バテ」と呼ぶことがあります。このコラムでは、お客さまからの秋バテの相談への対応方法や、おすすめの商品について詳しく解説していきます。
目次
- ・登録販売者は把握しておこう!秋バテのよくある症状
- ・登録販売者必見!秋バテの症状ごとのおすすめOTC(一般用医薬品)
- ・ワンランク上の登録販売者に!秋バテの養生方法も伝えよう
- ・まとめ|登録販売者は秋バテにありがちな症状に対応できるようにしよう
登録販売者は把握しておこう!秋バテのよくある症状

秋バテのよくある症状は、以下の通りです。
- 体のだるさ、疲れやすさ
- 食欲不振、胃腸の不調
秋バテへの対応については次の項目で詳しく解説しますが、「秋バテ」そのものを効能効果に持つ商品はありません。そのため、お客さまに「今ある症状」を確認し、それに合った商品を選ぶようにしましょう。
登録販売者必見!秋バテの症状ごとのおすすめOTC(一般用医薬品)

ここでは、秋バテのよくある症状ごとに、押さえておくべきOTC(一般用医薬品)をご紹介します。
「からだのだるさ、疲れやすさ」におすすめのOTC(一般用医薬品)
「体のだるさ、疲れやすさ」は、養命酒や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの生薬製剤・漢方処方製剤が得意とする症状です。「夏バテ対策」の記事の中で詳しく紹介しているので、本コラムとあわせてチェックしてみてください。
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「食欲不振、胃腸の不調」におすすめのOTC(一般用医薬品)
ここでは、秋バテによる胃腸トラブルにおすすめの商品を、3つ紹介します。
①食欲不振には「「クラシエ」漢方 六君子湯エキス顆粒」
六君子湯(りっくんしとう)は、食欲不振に用いられる漢方薬の代表選手です。胃腸虚弱で、食欲がなく、みぞおちがつかえる、疲れやすい、といった症状のある人に向いています。
なお、六君子湯が店頭にない場合、食欲不振に対し、健胃生薬が配合された胃腸薬を選んでも問題ありません。たとえば、「太田胃散〈分包〉」は、健胃生薬に制酸剤、消化酵素を配合した胃腸薬です。粉薬ですが、生薬の芳香感とl-メントールの清涼感により、スッキリとした爽やかな飲み心地が特徴的です。
<「クラシエ」漢方 六君子湯エキス顆粒の詳細>
【成分】
六君子湯エキス(1/2量)
【効能効果】
体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐
【主な使用上の注意】
- してはいけないこと:生後3カ月未満の乳児
- 相談すること:妊婦
②胃痛・胸焼けには「ガストール錠」
ガストール錠は、空腹時の胃痛や胸焼けがある時に適した胃腸薬です。主成分の「ピレンゼピン塩酸塩水和物」は、抗コリン成分の一種です。自律神経のうち、副交感神経の亢進にかかわるアセチルコリンの作用を抑えることで、消化管の運動亢進に伴う痛みなどに効果を現します。秋バテの主な原因は「自律神経の乱れ」であると言われているため、お客さまの症状が合っていれば、ガストール錠はよい選択肢になります。
<ガストール錠の詳細>
【成分】
ピレンゼピン塩酸塩水和物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、ビオヂアスターゼ2000
【効能効果】
- 胃痛、胸やけ、胃酸過多、胸つかえ、げっぷ
- 胃もたれ、胃重、胃部不快感、胃部膨満感
- はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐、飲み過ぎ
- 食べ過ぎ、消化不良、消化不良による胃部・腹部膨満感、消化促進、食欲不振
【主な使用上の注意】
- してはいけないこと:透析療法を受けている人、服用後の乗物・機械類の運転操作
- 相談すること:排尿困難、緑内障、腎臓病の人
③胃が弱っていると感じる時は「スクラート胃腸薬S(散剤)」
胃の機能が低下している時は、胃粘膜保護・修復成分が含まれたOTC(一般用医薬品)を選ぶとよいでしょう。「スクラート胃腸薬S(散剤)」は、胃粘膜保護・修復成分のスクラルファート水和物を始め、胃を元気にする健胃生薬や胃酸を中和する制酸成分、消化不良に効果のある消化酵素が、バランスよく配合されています。
<スクラート胃腸薬S(散剤)の詳細>
【成分】
スクラルファート水和物、健胃生薬(ウイキョウ、ウコン、ケイヒ、ゲンチアナ、サンショウ、ショウキョウ、チョウジ)、炭酸水素ナトリウム、合成ヒドロタルサイト、ビオヂアスターゼ2000、リパーゼAP12
【効能効果】
胃痛、もたれ(胃もたれ)、胃重、胃部膨満感、胃部不快感、消化不良、消化不良による胃部・腹部膨満感、消化促進、食欲不振(食欲減退)、食べ過ぎ(過食)、飲み過ぎ(過飲)、はきけ(むかつき、二日酔・悪酔のむかつき、胃のむかつき、嘔気、悪心)、胸つかえ、嘔吐、胸やけ、胃酸過多、げっぷ(おくび)
【主な使用上の注意】
- してはいけないこと:透析療法を受けている人
- 相談すること:腎臓病の人
④症状が絞れない場合は「総合胃腸薬」をチョイス
ここまでは、「1つの症状がとくに気になる」という場合に使える商品を選んできました。しかし、症状が1つに絞れないようなさまざまな胃腸トラブルがある場合、総合胃腸薬を選ぶとよいでしょう。例えば、「第一三共胃腸薬細粒s」は、消化成分や制酸成分、健胃生薬などが配合され、幅広い症状に使える処方となっています。また、腸の調子も気になるという場合、整腸剤の含まれる「第一三共胃腸薬プラス細粒」もよいでしょう。
ワンランク上の登録販売者に!秋バテの養生法も伝えよう

秋バテの接客では、お客さまに日々の生活のアドバイスをするのも有効です。たとえば、以下のような養生法があります。
- 冷たい食べ物・飲み物をとらないようにする
- 冷房を使い過ぎない
- ぬるめのお風呂につかる
- 旬の食材(山芋、さつまいも、きのこなど)を食べる
- 適度な運動やストレッチをおこなう
残暑が厳しいと、秋になっても夏の生活習慣がそのままになってしまうことがあります。夏と同じように、冷たい飲食物の摂取や冷房の使用を続けている場合は要注意です。体を冷やすと自律神経が乱れる原因になり、胃腸の機能低下をもたらすことがあります。ぬるめのお風呂につかるなどして、できるだけ体を温め、旬の食材で栄養をつけることが重要です。また、適度な運動やストレッチも、自律神経を整えて質のよい睡眠をとるのに効果があります。
OTC(一般用医薬品)の案内をする際、一緒に養生法についてもお伝えすると、「またこの人に相談したいな」とお客さまに感じてもらえます。ぜひ実践してみてください。
まとめ|登録販売者は秋バテにありがちな症状に対応できるようにしよう
今回は、秋バテの症状にありがちな「胃腸トラブル」に対応できるOTC(一般用医薬品)を中心に解説しました。胃腸薬は種類がたくさんあり、接客が苦手だと感じる登録販売者もいることでしょう。まずは今回ご紹介した3つの胃腸薬を押さえるだけでも、秋バテのお客さまに対応しやすくなります。ぜひ復習しておきましょう。

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。
- ■著書
- ・医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略(金芳堂)
- ・薬機法暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第4章」(金芳堂)
- ・これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2023年度版(KADOKAWA)
- ・村松早織の登録販売者 合格のオキテ100(KADOKAWA)
- ・やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書(ナツメ社)
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