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自律神経失調症におすすめの市販薬5選。体質別の選び方や接客方法を解説【登販向け】

自律神経失調症におすすめの市販薬5選。体質別の選び方や接客方法を解説【登販向け】

自律神経失調症におすすめの市販薬5選。体質別の選び方や接客方法を解説【登販向け】

ドラッグストアでは、お客さまから「なんとなく体調が悪い」と相談されることがあります。このような場合、自律神経失調症をはじめとして様々な病気の可能性が考えられるため、まずは受診勧奨すべきかどうかを判断し、セルフケアが可能かどうかを考えていきます。このコラムでは、自律神経失調症の詳細と受診勧奨のポイント、接客のコツやセルフケアの方法、おすすめの漢方薬について解説します。

目次

登録販売者が知っておくべき 自律神経失調症の詳細

登録販売者が知っておくべき 自律神経失調症の詳細

自律神経失調症とは、明らかな身体の病気がないにもかかわらず、自律神経のバランスの崩れにより感じる不調のことを言います。まず初めに、自律神経失調症の詳細について見ていきましょう。

自律神経失調症の診断方法

「自律神経失調症」は正式な病名ではなく、明確な診断基準もありません。自律神経失調症の症状としては、全身倦怠感やめまい、肩こり、頭痛、動悸などがあります。このような症状がある時に医療機関を受診して検査をしても、これといった原因が見つからないことがあります。そこで初めて、自律神経失調症の可能性を考えることになります。

この方法は「除外診断」と呼ばれ、患者さんが訴える症状から関連のありそうな病気の検査をおこない、候補の病気を除外しながら診断を進めていくものです。

自律神経失調症は「気のせい」ではない

医療機関での検査で「異常なし」との結果が出てしまうと、周囲の人から「気のせい」「怠けている」などと思われてしまうことがあります。しかし、検査で原因がわからないのは、自律神経の働きを正確に調べる検査方法がないことや、病気の背景として精神的ストレスなどの検査では結論を出すのが難しいという問題があるからです。

そのため、自律神経失調症は、検査結果だけで語ることができない病気だということを、正しく理解することが大切です。

自律神経とは

自律神経とは

自律神経系は、末梢神経系の1つであり、交感神経系と副交感神経系の2つがあります。交感神経系が活発な時は「闘争状態の自分」、副交感神経系が活発な時は「リラックス状態の自分」をイメージするとわかりやすいでしょう。

自律神経は「自ら律する神経」の字の通り、体内で自動的に働き、体を常にベストな状態に保つ神経です。例えば、暑い時には汗をかいて体温の上昇を抑えたり、運動時には心臓の鼓動を早くして筋肉に大量の血液を送ったりと、様々な役割があります。

自律神経失調症では、自律神経がうまく働かず、安静にしているのに心臓の鼓動が激しくなる、胃腸がうまく働かないといった「不快な症状」が現れます。また、自律神経失調症の症状は、その人の「弱いところ」に出やすいと言われています。例えば、日頃からお腹を壊しやすい人では、腹痛や下痢などが強く現れることがあります。

【自律神経系と効果器の関係】

効果器 交感神経系 副交感神経系
瞳孔散大 瞳孔収縮
唾液腺 少量の粘性の高い唾液を分泌 唾液分泌亢進
心臓 心拍数増加 心拍数減少
末梢血管 収縮(血圧上昇) 拡張(血圧降下)
気管、気管支 拡張 収縮
血管の収縮 胃液分泌亢進
運動低下 運動亢進
肝臓 グリコーゲンの分解(ブドウ糖の放出) グリコーゲンの合成
皮膚 立毛筋収縮(鳥肌)
汗腺 発汗亢進
膀胱 排尿筋の弛緩(排尿抑制) 排尿筋の収縮(排尿促進)

自律神経失調症の原因

先述した通り、自律神経失調症では直接的な原因がありませんが、間接的にはストレスや生活習慣が関係していることが多いです。そのため、「ストレスと上手に付き合うこと」と「生活習慣を正すこと」で、症状を軽くできます。

登録販売者としての接客スキルを磨こう!自律神経失調症のお客さま対応

登録販売者としての接客スキルを磨こう!自律神経失調症のお客さま対応

自律神経失調症の治療は、主に対症療法でおこないます。つまり、痛みがある時は解熱鎮痛薬、下痢の症状がある時は整腸薬などで対応します。また、漢方薬もよく使われます。場合によってはOTC(一般用医薬品)での対応も可能であるため、自律神経失調症が疑われるお客さま対応の流れを、接客のコツと共に説明します。

受診勧奨すべき症状かどうかを確認する

まずは、お客さまが訴える個々の症状に対し、受診勧奨が必要かどうかを判断していきます。一番避けたいのは、お客さまが「自分は自律神経失調症だ」と自己判断し、大きな病気を見逃してしまうケースです。登録販売者が受診勧奨する際の、大まかな判断基準は以下の通りです。

①その症状によって日常生活に支障が出ている
仕事に支障が出ている、眠れないなど、日常生活に支障が出ている場合は受診勧奨します。
②症状がずっと続いているが病院に行っていない
「1カ月以上ずっと下痢が続いている」といった場合、重大な病気の可能性もあるため、まずは病院で診察してもらう必要があります。
③OTC(一般用医薬品)を使ってみたがよくならない
OTC(一般用医薬品)で症状が改善しない場合や、症状を繰り返している場合、受診勧奨します。
④精神的な症状を抱えている
「不安感がある」「うつの傾向がある」といった精神的な症状がある場合、対応可能なOTC(一般用医薬品)がありません。自律神経失調症で精神的な症状がある場合、抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などが処方されることもあります。そのため、精神的な症状を抱えている場合には受診勧奨をしてください。

セルフケアをおこなう場合は薬のアドバイスをする

例えば、お客さまがすでに自律神経失調症であると診断されていてOTC(一般用医薬品)での対応が可能と言われている場合や、受診勧奨するほどではない軽度の症状である場合、セルフケアで様子を見ることも可能です。ただし、基本的にOTC(一般用医薬品)は長期にわたって使うものではありません。使用期間については添付文書の指示に従い、OTC(一般用医薬品)で症状が改善しない場合の対応についても説明しましょう。

生活のアドバイスをする

自律神経失調症が疑われる場合、ストレス解消や生活習慣の改善が大切だということも伝えます。
ストレス解消法としては、散歩や体操、入浴などがあげられます。生活習慣の改善方法としては、規則正しい生活を心がけることや、適度な運動などがあります。

登録販売者必見!自律神経失調症に使用可能な市販の漢方薬

登録販売者必見!自律神経失調症に使用可能な市販の漢方薬

最後に、自律神経失調症に用いることができる市販の漢方薬を、虚証の人(体力がない人)向けと実証の人(体力がある人)向けにわけて解説します。漢方薬は「証」の見極めが重要です。お客さまに体質と症状の聴き取りをおこない、適切な薬を選ぶようにしましょう。

虚証の人に向く漢方薬

①加味逍遥散
精神不安やいらだちなど、お客さまが訴える症状がたくさんある時に選ぶ漢方薬です。
●しばり:体力中等度以下でのぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、時に便秘の傾向のあるもの
●症状:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症
②柴胡桂枝乾姜湯
冷え性で体力がない人の自律神経を整える薬です。とくに発汗異常がある場合に選びます。
●しばり:体力中等度以下で、冷え症、貧血気味、神経過敏で、動悸、息切れ、時に寝汗、頭部の発汗、口の渇きがあるもの
●症状:更年期障害、血の道症、不眠症、神経症、動悸、息切れ、かぜの後期の症状、気管支炎
③加味帰脾湯
くよくよと思い悩み、熱感のある人の不眠に用いられます。
●しばり:体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うもの
●症状:貧血、不眠症、精神不安、神経症

実証の人に向く漢方薬

①柴胡加竜骨牡蛎湯
体力がある人の、不眠や不安、イライラに用いられます。
●しばり:体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴うもの
●症状:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜なき、便秘
②黄連解毒湯
のぼせや熱感があり、イライラして落ち着かない人に用いられます。
●しばり:体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色が赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるもの
●症状:鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎

まとめ|適切な漢方薬を選ぶサポートも登録販売者の大切な仕事

自律神経失調症が疑われる症状がある場合、市販の漢方薬も選択肢になります。漢方薬の接客が苦手な登録販売者もいるかもしれませんが、近年、一般消費者の漢方薬への関心はどんどん高まっています。お客さまから漢方相談を受けても戸惑うことのないよう、しっかりと知識を身につけておきましょう。

参考:厚生労働省 こころの耳「自律神経失調症」

参考:一般社団法人 日本臨床内科医会「自律神経失調症」

参考文献:村松早織著『医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格!「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略』(金芳堂)

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
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