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【現役ドラッグストア店長直伝】登録販売者が見落としやすい接客ポイント<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】登録販売者が見落としやすい接客ポイント<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】登録販売者が見落としやすい接客ポイント<登録販売者のキャリア>

2006年に登録販売者制度がスタートしてから約18年が経過しました。
実務経験を積んでいるベテランの方もいれば、この春から店舗デビューした方もいると思います。

今回はその登録販売者制度が始まってから今日まで私が感じた「見落としやすい接客ポイント」をあげながら改善策を考えてみましょう。
自身に置き換え本当に正しい対応だったか、考えてみてください。

目次

接客の「落とし穴」を実例で振り返ってみよう

接客の「落とし穴」を実例で振り返ってみよう

皆さんも接客をおこなったあとに後悔することはありませんか?

  • 提案すればよかった
  • 聞き忘れた
  • 勘違いに気付いた

どうしてこのような「接客ミス」が起こるのでしょう?
取り返しがつかない事態を防ぐために、事例をみながら考えてみましょう。

誰が使用するのかを確認しない

よくある接客ミスとして「使用する方を目の前のお客さまと勘違いしてしまう」というものです。
接客するお客さまは大半が成人の方ですが、

  • 15歳未満の家族のための薬だった
  • 持病のある高齢の方の薬だった

というシチュエーションに毎日のように遭遇するはずです。

ここでお客さまとの認識のズレが発生すると適正使用ができず大きな副作用リスクになるだけでなく、医薬品の適正販売という面でも店舗側に責任が及ぶケースも考えられます。
このミスは誰もが想定できるものですが、「慣れ」「多忙」によって見落としてしまうケースが想定されます。

これを防ぐには接客トークをルーチン化するしかありません。
個人的には「誰が使うのか」は「どんな症状か」より重要だと考えます。

そもそもの前提が覆るのですから、これは接客の最初に確認すべき項目です。

また、接客を行わないセルフ販売でもレジでお声がけすることで間違った販売を阻止することもできます。
購入する方が家族連れの場合はとくに「誰が使用するのか」を確認する癖を店舗でつけることで健康被害を防ぐことができます。

「使用上の注意」の確認ミス

実際に過去に所属した店舗のパート登録販売者さんのミスで「小児への湿布薬販売」がありました。
用法用量の記載があると思い込んでしまい認識が薄かったそうですが、皮膚薬や湿布薬などには年齢は「注意すること」と記載されることがあります。

たとえば小児が使用できるのは「サリチル酸」なので低価格帯の湿布薬の使用がメインとなり、その他にはアセトアミノフェンの解熱鎮痛剤や漢方薬での対応となります。
とくに病院では小児にもロキソプロフェンなどの湿布薬が処方されるため、市販薬も同じく使用できると思い込んでいる方も多いため注意が必要です。

さらに春夏を迎えると薄着になることから、ジクロフェナク製剤で「注意すること」に記載されている「光線過敏症」も注意が必要なので貼付する部位をお客さまに必ず確認します。

薄着になったときに肌が露出する箇所に使用する場合は禁忌事項をしっかり確認する必要があります。

他にも一部のアレルギー用点眼薬の「してはいけないこと」点鼻薬との併用で「機械類の操作」の記載があるなど、落とし穴のような禁忌事項が存在するため注意が必要です。

これは定期的に勉強しておかないとお客さまが重大な健康被害を受けてしまう可能性があるため、とくに新商品や新たに認可された成分などは充分に注意すべきです。

自動車運転に「だろう運転」は禁物ですが、医薬品販売においても経験に基づく「だろう販売」は禁物です。

商品リニューアルの確認ミス

近年、メーカーも商品のリニューアルが活発になり、「〇〇EX」「△△αDX」などの商品名が増えてきています。
若干の成分の追加や変更に留まるものから大幅に成分変更がされたものまでさまざまですが、この変更も確認ミスや先入観による誤解が起きやすいため注意が必要です。

とくに気を付けたいのはのは「〇〇α」と「〇〇EX」が併売される...といったシリーズで商品が追加されたパターンです。
この場合はパッケージが酷似している場合がほとんどなので、接客側も気付かずにお客さまにご迷惑をかけてしまう場面が想定されます。

同じジャンルなら成分の違いも少ないのですが、例えば「風邪薬」と「咳止め」で同じシリーズで展開されている商品などは注意して接客をおこなうようにしてください。
このパターンだとどちらも「濫用等のおそれがある医薬品」のためレジでのお声がけが義務付けられているので、しっかりと成分表示を示しながらヒアリングをおこなってください。

実例から失敗しないための準備をしよう

実例から失敗しないための準備をしよう

接客ミスを実例をあげながら振り返ってみましたが、身に覚えがある方もいたでしょう。
また他にも事例を思い出した方もいると思います。

ではそれらの「接客ミス」を未然に防ぐためにはどんな準備をすべきか考えてみましょう。

接客での必須確認事項

まずは売場で接客をおこなう際の「必須事項」をもう一度確認しておきましょう。

  • 誰が使うか
  • どんな症状か
  • 今回の症状で他に薬は使用していないか
  • 使用しているのなら改善はしたか
  • 持病やアレルギーはないか
  • 自動車運転はおこなうか

お客さまがどんな方であっても、聞かなければいけない事項は少なくともこれだけあります。
お客さまのためにも店舗のためにも、接客ごとに毎回必ずお聞きしてください。

とくに「どんな症状か」以外は見落としがちなので気をつける必要があります。
医薬品はメリットだけでなくデメリットも存在しますが、資格者である登録販売者が主導してお客さまにお伝えすることで不幸な健康被害が防ぐことができます。

「使用上の注意」をもう一度確認する

自身がよくお勧めする商品の「使用上の注意」をもう一度、よく目を通してみてください。
おそらく意外なものが記載されているはずです。

自宅でも「【商品名】 添付文書」とネットで検索すれば添付文書を確認できます。
重点的に販売している推奨品のデメリットももう一度確認しておきましょう。

見落としがちなのですが「濫用等のおそれのある医薬品」のお声がけ時にデメリットは該当成分以外にないのかの確認も重要です。
依存性以外のデメリットも販売時にお伝えすることで、リスクの少ない医薬品に変更できる機会が生まれます。

完全に暗記はできないので一日一品、添付文書を読むことで知識が増していきます。
要点をメモして忘れないよう読み返すことがスキルアップにつながるのでお勧めです。

新商品やリニューアルのチェックをおこなう

そして新商品やリニューアル商品のチェックは必ずおこなうべきです。
ほとんどの会社は商品情報を全店に共有していると思いますが、必ず目を通すのはもちろん、自身でも各主要メーカーのHPを確認するのがお勧めです。

毎月月初などに各主要メーカーの新商品ページを確認すると興味も沸き、また自社や自店で取り扱わない商品も確認することで商品知識も身につきます。
ぜひ自身のパソコンやスマートフォンに新商品ページをブックマークしておきましょう。

とくにシーズン前の確認は自社が取り扱わない商品が多く発売され、お客さまからの問い合わせもあるため必須です。

登録販売者としての本質から行動を改めよう

登録販売者としての本質から行動を改めよう

ここまで具体的な事例や方法をあげてきましたが、接客をする際の本質を理解することで接客ミスは減らせます。

ではその「本質」とは何なのか、考えながら深堀りをしてみましょう。

商品の本質とは

ドラッグストアで取り扱う商品で集客の役割を果たす食品や雑貨以外が、メインの商材となります。
それが「ヘルス部門」であり「ビューティー部門」です。

どちらもお客さまが「今よりも良い生活」を送るために、お客さま自身に直接作用する商品群です。
逆にいえば使い方を誤るとマイナスに作用する可能性もある商品群でもあります。

日々の業務で医薬品や化粧品に囲まれていると感覚が麻痺してしまいがちですが、お客さまの生活を向上させているという「購入後の商品の使われ方」をしっかり考えるべきです。
そしてそのためのリスク(副作用やアレルギーなど)が起こり得るという意識を持つことが大切です。

このためこれらの商品に詳しい資格者、登録販売者やビューティーアドバイザーがドラッグストアに配置されているのです。

接客の本質とは

登録販売者として接客をおこなうときのお客さまの目的は「お客さま自身の健康」に他なりません。
お客さまの健康とQOLを向上させるための商品を提案したり、共に考え選ぶのが「ドラッグストアに勤務する登録販売者の責務」です。

先ほど化粧品も例にあげましたが、化粧品と比較すると医薬品は「資格者とお客さまの関係性」が希薄になりがちです。
化粧品は強固なリピーターが付きやすい半面、医薬品はお客さまとそこまで強固な関係性を築くことは難しいのです。

理由はいくつかあります。

  • 持病は通院するから
  • 市販薬は「一時的な症状の緩和」に使うから
  • 価格に店舗差があり複数の店舗を使い分けるから...など

要は現状では「登録販売者の接客がお客さまにとって重要ではない」ことの証左でもあります。

接客の本質とは「お客さまにとって価値のある商品を紹介し、満足度を上げることで再来店の動機とすること」です。
お客さまと店舗が幸せになる行為が接客ともいえます。

つまり、お客さまにとっての幸せはQOLの向上です。
そのことを忘れて「売る」ことが目的になった時点で、「接客ミス」の原因が生まれてしまうのです。

わたし達は雇われている立場ですから企業の利益を生むための、直接的な利益追及施策をおこなうことも大切ですが、登録販売者としての社会的な責務が生む「企業の利益」も大切です。
後者の利益は地味ながらも店舗や企業の利益を底上げさせるのです。

それには現状よりもさらに、お客さまに登録販売者の存在価値を感じていただく必要があります。

どう考えお客さまと接するべきか

では今目の前にいるお客さまと、どう接するべきでしょうか。

結論からいえば「メリットを活かしつつリスクを極限まで排除する」ことを意識することが重要です。

企業としての目標や店舗の売上も本当に大切なのですが、それ以上に大切なのは「次回もお客さまに来店していただくこと」です。
リピーターになっていただくことが、明日の売上を生むのです。

お客さまに登録販売者が必要と感じていただくことで、明日の売上が生まれます。
他の業態や競合に勝つこともできるのです。
そのための接客のコツと商品選択のポイントをあげておきます。

  • 接客時の優先順位を決めておく

先ほどもあげた最低限の必要事項をもう一度確認しましょう。
メモに記載してテンプレート化するとスムーズですし接客ミスを防げます。

  • ①誰が使うか
  • ②どんな症状か
  • ③今回の症状で他に薬は使用していないか
  • ④使用しているのなら改善はしたか
  • ⑤持病やアレルギーはないか
  • ⑥自動車運転はおこなうか

この6点は何も特別なものではなく、商品外箱にも記載されている「注意すること」に沿った内容です。

お客さまの大多数の方が「注意すること」を読んでいません。この確認をすることでお客さまへの健康被害が防げます。

もしお客さまの状態がご希望商品の「注意すること」に抵触するようなら、該当箇所を一緒に確認しながら他の商品を推奨したり受診勧奨をおこないましょう。

  • 提案商品を固定しない

会社の推奨商品を売りたいがあまり常に同じ商品を提案する方も多いですが、この行為は「接客」ではなく「営業」に近いです。
わたし達は「〇〇を買ってください」という商品提案ではなく「どんな症状ですか?」という接客業務です。

特定商品を販売するための道具として接客を用いるのではお客さまからの信頼や信用を得られにくくなります。
毎回同じ商品を提案される店舗に行きたいと思いますか...?

必ずお客さまの「声」をお聞きし、メリットとデメリットをお伝えしつつお客さまと一緒に商品を選ぶと信頼度が増します。
こうした行動を各個人が繰り返しおこなうことでお客さまはリピートされますし、最終的には登録販売者の社会的地位も向上するのです。

今までの自身の考え方を振り返りもう一度「登録販売者とは何か」を考え、お客さまのために接客ミスを減らしていきましょう!

ケイタ店長(登録販売者)

執筆者:ケイタ店長(登録販売者)
ドラッグストア勤務歴20年、一部上場企業2社で合計15年の店長経験を活かし、X(旧Twitter)などで登録販売者へのアドバイスや一般の方への生活改善情報の発信を行っている。X(旧Twitter)フォロワー数約5,000人。

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