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【現役ドラッグストア店長直伝】登録販売者の高齢者への対応<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】登録販売者の高齢者への対応<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】登録販売者の高齢者への対応<登録販売者のキャリア>

花粉症シーズンが始まり、登録販売者の皆さまは店頭で多忙な毎日を送っていると思います。推奨品の紹介や売場作成もありますが、鼻炎薬での「濫用等のおそれのある医薬品」への対応もそのうちのひとつですね。

鼻炎薬の「濫用等のおそれのある医薬品」は近年、いわゆる「第2世代抗ヒスタミン薬」の台頭により販売数は減少していますが、ピーク時はやはりそれなりの販売数となるため多忙を極めます。
皆さんも体感されていると思いますが「濫用等のおそれのある医薬品」に該当する「第1世代抗ヒスタミン薬(以下「第1世代」)」の購入は高齢者層が非常に多いのもポイントです。

今回は花粉症シーズンにとくに重要な「OTC(一般用医薬品)販売における高齢者対応」を考えてみましょう。

目次

高齢者への接客上の注意点とは

高齢者への接客上の注意点とは

店頭経験が長い方ほど実感されていると思いますが、高齢のお客さまへの接客は年々増加しています。わたし達にとって、高齢のお客さまへの対応は必須です。
今後の登録販売者にとっての高齢者対策とは何でしょうか。

2025年・2030年問題から考える

2024年に入り「2025年問題」が話題となっています。

2025年問題とは...
2025年には約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)となり、国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えます。逆に社会保障の担い手である労働人口は減っていくため、社会保障費の増大、不足が予想されるほか、医療、介護分野の整備や少子化対策が急務となっています。

引用:2025年問題│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券

国民の25%が高齢者となってしまうのが2025年問題、そしてそれが更に顕著化するのが2030年問題です。
2030年問題に至ると更に働き手不足が深刻化し高齢のお客さまがさらに増えるため、今から意識をしておくと有利に仕事ができるのは間違いありません。

会社は経営上、サービスの典型的なユーザー像である「ペルソナ」を設定します。おそらくどのドラッグストアももっとも購入点数や来店頻度が高くなる『30代後半女性』を元に設定していますが、これを変更してくる可能性もあります。

そうなるとどうなるのでしょう?
店内のレイアウトや取り扱い商品が高齢者需要に応えられるように変更されます。

これは、時期はわかりませんが、いずれ起こる未来です。
わたし達、とくに若い登録販売者の皆さんは高齢者向けの商品知識と接客技術を身につけておく必要があります。

OTC(一般用医薬品)のリスク

高齢者の方々は持病の有無にかかわらず、OTC(一般用医薬品)を購入しに来店されます。
しかしOTC(一般用医薬品)の添付文書には「注意すること」の欄に基本的に「高齢者」の記述があります。

これは臓器の代謝などが衰えていたり様々な持病を考えてのことで、基本的には65歳以上は受診を優先したり使用を資格者に相談する必要があるのです。

先ほど2025年問題として「4人に1人が75歳以上」と書きましたが、実は「3人に1人が65歳以上」でもあるのです。
未成年は基本的にOTC(一般用医薬品)を自主的に購入することが少ないので、かなりの割合で「注意すること」に該当するお客さまへの接客販売が発生する計算になります。

わたし達の接客次第でお客さまへの副作用リスクを増大させてしまう可能性すらあるのです。
今まで以上に「お客さま目線」で接客をおこなう必要があります。

どこまで正しい情報を伝えるか

高齢のお客さまに対して正しい情報を伝えるのは、人によりますが至難の業です。
医薬品はOTC(一般用医薬品)とはいえ日進月歩ですし、医療は数年数十年で常識が逆になるようなことが起こります。

経験のある方も多いと思いますが、OTC(一般用医薬品)を信じられない使い方をする高齢のお客さまもいらっしゃいますし、自身の考え方を変えられない高齢のお客さまもいらっしゃいます。
OTC(一般用医薬品)なので販売方法が正しければ最終的にはお客さまの自己責任とはなりますが、自店で商品を購入したお客さまに不幸になって欲しいわけがありません。

お客さまを脅すような物言いは避けるべきですが、できるだけ情報を引き出した上でリスクを排除する接客をおこなうべきです。

高齢者から見たOTC(一般用医薬品)

高齢者から見たOTC(一般用医薬品)

2024年の時点で65歳の方は1959年(昭和34年)生まれです。
1955年から1973年の「高度経済成長期」の世代です。

高齢のお客さまへの対応は、この時代の雰囲気を意識すると共感力が上がります。

過去の経験からくる習慣

高齢者の方々はこの高度経済成長期に育ちましたが、どの世代とも同じように青年期の常識がいまだに色濃く残っています。

当時のOTC(一般用医薬品)は今から考えると症状を強力に抑える代わりに副作用が強いものが多いのです。
それは薬が発達途上であったり、高度成長期の雰囲気が後押ししていたと思われます。

仕事をするために皆がバリバリと働き、体調不良があったら根性で乗り切り、薬で抑えて休まずに働き続ける...
そんな生活の中でOTC(一般用医薬品)を使っていました。

おそらく「ヘルスリテラシー」という概念も今ほどではなかったと思われます。
お客さまと接して感じた方もいるはずですが、「昔はこうだった」「今まで大丈夫だった」という意識ですね。

この強い効き目(現在の「濫用等のおそれのある医薬品」や現在使用禁止となったものなど)が意識の根底にあるため、現在の主流の安全性の高いOTC(一般用医薬品)に満足されていなかったり使われていなかったりするのです。

体質変化や持病の捉え方

また、若いころの使用感をいまだに持ち続けている方もいらっしゃいます。
これは誰にでも起こりうることです。

わたしも高校生の頃にやっていたスポーツを20年ぶりにおこなったらストップがかからず、全身筋肉痛で動けなくなったことがあります。
こうした「若いころ」の感覚や、昔から続けてきた習慣はなかなか抜けないものです。

「自分には合っている」「今まで大丈夫だったから今回も大丈夫」という考えも出てきてしまいます。
自分にとって都合の悪いことを無視したり過小評価することを「正常バイアス」といいますが、OTC(一般用医薬品)分野でもかなり大きく起こるのです。

人は10年20年も経つと体調も変わりますし、持病も増えてきます。
接客していると「正常バイアス」で間違った薬を使ってしまっている方が非常に多いのです。

自己判断とリテラシー

皆さんも経験があるはずですが、持病に対する意識は個人によってかなり差があります。
始めは「持病はない」といっていたのに接客していると複数の持病が出てくる方もいらっしゃれば、持病と全く関係がないOTC(一般用医薬品)でも使うことを恐れる方もいらっしゃいます。

また副作用のことを過剰に恐れたり、全く気にしない方もいらっしゃいます。
これは宝くじにも似た感覚で「本気で当てにいく方」「習慣で買う方」「トータルで考えたら損だから絶対に買わない方」などこれは本当に人それぞれです。

ただ医薬品販売側としては安全性を重視する必要があります。
重大事故を防ぐためにも、お客さまのメリットよりデメリットを重視すべきです。

よく「飲み合わせ」のみを確認する登録販売者も見かけますが、それ以上にデメリットはお伝えすべきです。
具体的にいえば「指定第2類医薬品」「濫用等のおそれのある医薬品」はその商品単体でのリスクを必ずお伝えしましょう。

お客さまにとって「人生トータルで考えたメリット」は、それしかありません。

ベストな接客方法を考える

ベストな接客方法を考える

とはいえ、そうするとお勧めするものが無くなってしまう...と感じる方も多いはずです。
もっとも理想に近いのはお客さま自身にご納得していただいた上でリスクの少ないOTC(一般用医薬品)を提案することです。

ではどうしたらご納得していただけるのか、考えてみましょう。

高齢のお客さまから見た登録販売者とは

今から20年ほど前、まだ登録販売者制度が始まる前には調剤のない店舗にも薬剤師が勤務していました。
わたしは業界に入った当初、商品の理論を頭に叩き込み接客しましたが全く売れませんでした。

そんな中、高齢の薬剤師はポンポンと推奨品を販売していきます。
様子を見ていると、大したことはいっていませんでした。

「これ、〇〇っていうの。飲んでみて」
「このドリンクはビタミンがたくさん入ってるよ」

理論的に紹介しているわたしに対して、誰でもわかる事しかいっていない薬剤師の方が売れるのはどうしてだろう?
結局、貫禄とか資格の威厳とかなんだろうか?
しばらく考えても答えはわかりませんでした。

登録販売者の資格がスタートし店頭から薬剤師が減り、OTC(一般用医薬品)売場は主に登録販売者の舞台へと変わりました。
登録販売者にも「売れる人」「売れない人」がいます。

この違いは何でしょうか。

とくに今回のテーマである「高齢のお客さま」に登録販売者という資格がどれだけ認知されているのかはわかりませんが、大多数のお客さまにとって相談相手の「資格」というものはそれほど大きいものではありません。

理論武装や理屈での説明を求めるお客さまも中にはいらっしゃいますが、ほとんどのお客さまは「共感」「わかりやすさ」を求めています。
先ほど紹介した薬剤師のエピソードも結果をみると大したことはいっていませんが、それまでに築いたそのお客さまとの信頼関係がありました。

つまり「この人は自分のことをわかってくれている」という共感がお客さまに伝わっているからこそ、何気ない接客で販売が可能なのです。

インターネットのない時代に育った高齢のお客さまは「人との繋がり」を強く求めます。
今の20代30代の方からは想像もできないほど、その意識は強いのです。

言葉の選び方

ではどう高齢のお客さまと接したらよいのでしょう。

結論は「成分名を使わない」「ネガティブな言葉を使わない」に尽きます。

これは接客でなくてもどの媒体でもそうなのですが、専門分野でない人と話すときは専門用語は禁句です。
思わず出てしまう専門用語を排除して話をしてください。

「ヒスタミン」「抗アレルギー剤」なんて論外です。

「鎮痛剤」でなく「痛み止め」
「胃酸中和」でなく「胃酸を弱くしていく」
「のどの炎症」ではなく「のどの腫れ」

これは高齢のお客さま相手に限りませんが、小学生でもわかる言い回しを使わないと相手は思考が停止したり拒絶してしまいます。
「1・2・3・4・5」と話すところで「2」がわからなかったら「3・4・5」は全く届きません。

普段の勉強や、従業員同士の会話から意識して「専門用語を使わない」練習をおこなうと、ソフトな接客ができるようになります。
「この人、難しいことをいうな」と思われたら終わりです。

最強の登録販売者は「理論武装した上でソフトな言い回しができる」人なのです。

登録販売者ができる限界を意識する

もちろん登録販売者の知識ではわからないことも多く存在します。
お薬手帳を出されたときなどは、基本的に薬剤師にバトンタッチするか会社の社内相談窓口に引き継がなければいけません。

責任感の強い人やプライドの高い人は自分で解決しようとしてしまいがちですが、これは自分のことではなくお客さまの身体にかかわることです。
いくら頑張ってもわからないものはわかりませんし、登録販売者はOTC(一般用医薬品)の資格なので領域外です。

そして明らかに症状が一定のラインを超えていたら躊躇なく受診勧奨をおこなってください。
症状の他にも定期的に同じ医薬品を購入していたり、複数の医薬品を同時購入される際もお声がけは必須です。

先にも書いた通り、近い未来には半数のお客さまが添付文書における「注意すること」に該当するようになります。
登録販売者の存在意義は「お客さまのQOL向上」であり、デメリットが上回ることは許されません。

「自己責任」と責任をお客さまに押し付けず、店頭でお客さまの商品選択の案内役ができるように今から登録販売者として意識を変えていきましょう!

ケイタ店長(登録販売者)

執筆者:ケイタ店長(登録販売者)
ドラッグストア勤務歴20年、一部上場企業2社で合計15年の店長経験を活かし、X(旧Twitter)などで登録販売者へのアドバイスや一般の方への生活改善情報の発信を行っている。X(旧Twitter)フォロワー数約5,000人。

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