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【指名の止まらない登録販売者を目指して】悪用厳禁!!ドラッグストアを生き抜く力《超販売力》

【指名の止まらない登録販売者を目指して】悪用厳禁!!ドラッグストアを生き抜く力《超販売力》

【指名の止まらない登録販売者を目指して】悪用厳禁!!ドラッグストアを生き抜く力《超販売力》

「どうせ今日も売れないっしょ...」
これは私がドラッグストア時代、とある店舗で働いていた時の心の声です。
ドラッグストアの仕事といえば、納品や医薬品の接客を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は何より重要な仕事が「推奨販売(以下:推売)」と呼ばれる仕事です(※企業によって呼称は異なります)。
推売とは、会社が指定する商品をお客さまにオススメ販売する仕事で、端的に言ってしまえば"営業"です。

この仕事に対してどう向き合うかで、私たちのドラッグストア人生はプラスにもマイナスにも大きく影響します。幸い私は営業がそこまで嫌いではなかったので、入社したての頃は「よっしゃ!やったろやんけ!」と鼻息荒く意気込んでいました。しかし、そんな日々は長く続きません。なぜなら、とにかく"売れない"のです。

詳しくは後述しますが、そんな日々が続くと毎日お客さまから否定されたような感覚に陥り、先ほど冒頭に述べたような「どうせ今日も...」という思考ばかりが頭の中を支配してしまい、モチベーションはまったく上がりませんでした。
過去の私と同じような悩みを抱えている方は多く、そのせいでドラッグストアの仕事が嫌になり退職を余儀なくされることもしばしば。

そこで本記事では、推売に対してどう向き合うべきなのか、さらにどうすれば推売で結果を残すことができるのかを心理学的に解説したいと思います。

目次

【指名の止まらない登録販売者を目指して】悪用厳禁!!ドラッグストアを生き抜く力《超販売力》

なぜ推奨販売は売れないのか?

なぜ推奨販売は売れないのか?

推売に対して悩みを抱えている方も少なくないのは前述の通りですが、具体的によくあるのは次のようなパターンです。

  • 売れない日々が続くとお客さまから全否定されたように感じる
  • 売れない自分をよそに同僚が結果を出していると「お前は無能だ」と烙印を押されている気がする

こういった思考が頭の中を支配し、私たちはどんどん病んでいってしまいますが、それと同時に一つの疑問がわいてきます。

「こんなに頑張っているのに、なんでお客さまは買ってくれないのだろう?」

もちろん商品にもよりますが、推売の対象商品には本当に魅力的でいいものもありますが、それでも売れません。いったいなぜなのでしょうか?
その原因がわかるだけでも、あなたのメンタルは相当軽くなるはずです。
その疑問を解消するべく、私たちが犯してしまいがちな3つの過ちから解説します。

間違い❶オススメすれば売れる

ハッキリ言います。そもそも推売は売れません。いきなり言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、心理学的な事実です。
ヒトには「反新奇バイアス」といって、無意識のうちに未知の体験や見知らぬ情報に対して嫌悪感を抱く心理メカニズムが備わっています。

  • 新しい健康食品を試してみたいと思うが、気がつくといつもと同じサプリを買ってしまう
  • 行ったことのないドラッグストアに行こうと思っても、結局はいつものドラッグストアで済ませてしまう

同じ経験に心当たりがある人は多いでしょう。
いずれのケースも私たちの中で反新奇バイアスが発動し、無意識のうちに以前と同じ行動をとるよう誘導された結果です。
このバイアスについては、心理学者のジェニファー・ミューラーらが行った実験が有名です。
チームが200人以上の男女を調べた結果、以下のことが分かりました。

  • すべての参加者が「新しい事は積極的に取り入れたい」「斬新な発想を望んでいる」と答えたが、テストの結果では、大半の人が創造的なアイデアを「嘔吐」「毒」「苦痛」などの否定的な言葉と結びつけていた。
  • すべての参加者が「創造的なアイデアは役に立つ」と答えたが、実際に斬新な商品を手にした後は、ほとんどが「新しさと実用性は両立しない」とコメントし、「目新しい発明など現実では無意味だ」と答えた。

つまり多くの人は「新しいことは素晴らしい」と口では言うものの、内心では新しいものに対してネガティブなイメージを持ち、斬新な提案を見下しがちなのです。
このような現象が起きるのは、新しいことには不確実性が伴うからです。「失敗して損をしたくない」という気持ちが心の底にずっとあり、その不確実性を回避しようと敏感に反応してしまうのです。したがって「売れないのが普通」ということになります。

《参考文献》
The Bias Against Creativity: Why People Desire but Reject Creative Ideas

間違い❷ひたすら商品の魅力をアピールする

「なんでこんなに魅力的な商品なのに、分かってもらえないんだろう?」
こんな風に感じたことはありませんか?
エビデンスはさておき、ドラッグストアには魅力的な推売品がたくさんあるので、その魅力を余すことなく伝えようと、私たちは必死にお客さまに対してアピールします。ですが、そもそもそれが間違いなのです。

これは私たちが陥りがちな思い込みの一つで「魅力の法則」と呼ばれるものです。
付加価値が十分であればお客さまは賛同してくれるだろう、と私たちは反射的に思います。

しかし前述した通り、ヒトは新しいものに強い抵抗感を感じる生き物です。そんな中でどれだけ魅力的なアイデアを必死に伝えたところで、その抵抗感は増すばかりです。
さらに必死にアピールすることで発生するデメリットがもう一つあります。それは「押し売り」です。「自己コントロール感」といって「自分の人生を自分でコントロールしたい」という欲求がヒトには備わっています。

私たちが商品の魅力をアピールし過ぎてしまうと、お客さまは「あれ?もしかしてこの人、私に売りつけようとしてる?」と感じて「操作されている」という感覚が芽生えるため、抵抗感に拍車がかかるのです。
もちろん一定の情報提供は必要ですが、ことさら声高に「こんなにスゴい商品なんですよ!」と叫ぶことは決して得策とはいえないのです。

間違い❸完璧主義

毎日のように断られ続けていると、やがて私たちはこう考えます。

「失敗したくないから、確実に買ってくれそうな人にだけ声をかけよう・・・。」

これはいわゆる、完璧主義的思考です。
「完璧主義」と聞けば「何でも完璧でなければ満足できない優秀な人」を思い浮かべる方もいるでしょう。しかし、実は完璧主義には2種類存在します。それは"内向き"と"外向き"です。

  • 内向き→自分の中に価値基準をおくタイプ
  • 外向き→自分の外に価値基準をおくタイプ

中でも悪影響が強いのは"外向き"です。
このタイプは自分の中に価値基準がないため、他人と自分を比較して能力の有無を判断したり、常に他人からの評判を気にしたりしています。
そんな外向き完璧主義が陥るパターンは次の通りです。

『声をかける→拒絶される→自尊心が傷つく→周りに無能と思われたくないから慎重になる』

という負のサイクルに陥ってしまい、これ以上傷つきたくないあなたは"確実に買ってくれそうなお客さま"を選別するようになっていきます。
しかし、これはもうハッキリ言って末期症状です。なぜなら、成功にはそれだけの母数が必須だからです。想像してみてください。次のうち、どちらが成功する登録販売者でしょうか?

  1. 1日に3人に声かけをする登録販売者
  2. 1日に100人に声かけをする登録販売者

言わずもがな、正解はBです。
なぜなら「確実に買ってくれそうな人も必ず買うとは限らないから」です。早い話が、推売とは「確率論」なのです。これは私も経験済みですが、薬壁の前に立って明らかに悩みがあって買ってくれそうな人でも、反応はとくに他の人と変わりません。

なんなら「買ってくれそう」という先入観がこちらにある分、必死感が出過ぎてしまい、先程の❶と❷のダブルパンチ状態。撃沈するのは目に見えています。こうなると私たちは最終的に「誰にも声をかけなくなる」のです。

もちろん断られ続けてメンタルがズタボロなのはすごくわかります。しかしだからといって、お客さまの選別を始める行為は悪手でしかないのは明白でしょう。

売りたいなら売るな

売りたいなら売るな

とはいえ、そんな中でもしっかりと成績を出さなければいけないのも事実です。
何より不思議なのは、置かれている状況は同じなのに、結果を出している同僚がいることです。結果を出す人とそうでない人では、いったい何が違うのでしょうか?

その答えは「売らない」です。「は?何を言っているんだお前は?」と思いますよね。結果を出している人は必ずといっていいほど、売り込みをしません。そうすることでお客さまが感じている抵抗値を限りなく下げています。
前述した「犯しがちな間違い」でもわかる通り、私たちは「売るための方法」を考えてばかりですが、そもそもその考え方が間違いなのです。

「売る」という思考が頭にあると、私たちはあっという間に「魅力の法則」に取り憑かれてしまいます。そうならないために、まずは「売る」という思考から抜け出す必要があるのです。
「そんなこと言われても...」と思ってしまいますよね。

それでは自分自身に置き換えて考えてみましょう。もし仮に皆さまが、初対面の登録販売者からオススメされた商品を買うとしたら、どういう場合が多いでしょうか?もちろん商品に多少の関心や魅力があるのは前提とはなりますが、おそらく「この人が言うなら...」という"信頼できる人"から買っていることが多くはないでしょうか?

当然のことでしょう。本来買うつもりがないもので、ましてや初対面の店員から物を買う場合に、敢えて無愛想な店員を好む人はいないはずです。
私たちには「反新奇バイアス」が備わっているので、それをクリアするためには、心の中に芽生えている抵抗値を下げる必要があります。その中でも重要なのが「信頼」です。

つまり、私たちは「売る」のではなく「あなたから買いたい」とお客さまから言われるような信頼関係を築く必要がある、ということです。それさえできていれば、わざわざこちらが売り込んでいかずとも、自ずと物は売れるのです。
さらに、この販売手法には大きなメリットがあと3つあります。

①リピート購入につながる

商品は継続的に購入に繋がらなければ意味がありません。
しかし、見せかけだけの販売数にこだわる推売活動では、その肝心の部分はほとんどフォーカスされません。ましてや人手不足の昨今です。毎度来店があるたびに深い接客ができるとは限りませんし、担当者が休日であることもあります。つまり「セルフでリピート購入」という状態が実現できれば、店舗としても継続的な利益が望めます。

お客さまとの信頼関係が築けていれば、それも十分可能です。
心理学の世界では【認知的不協和】といって、ヒトの脳は自分が一度肯定したものを後になって否定できない性質があります。これが先ほどお伝えした「ヒトは自分が決めたことに1番価値を感じる」という【自己コントロール感】と相乗効果を生みます。

例えばお客さまがあなたからサプリを買ったとしましょう。ケースバイケースですが、サプリは医薬品ではないため、その効果を感じづらいものが大半です。ただ、お客さまは分かりやすく効果が実感できるものを好みますから、大半がリピート購入に繋がりません。ましてや、半ば押し売りのような形で購入したものは「つい勢いで買っちゃったけど、本当に効くの?」と思いながら使用し、効果を実感する前にやめてしまうため、リピート購入には繋がりません。
ですが、お客さまとの信頼関係ができていれば話は変わってきます。

  • 信頼関係に基づいて購入
  • 持ち帰った直後「自分で選んで買ったのだから、これには価値がある」と感じ"買わされた"という感覚が芽生えない(自己コントロール感)
  • 使用中にまだ効果を感じていなくても「信頼できる店員さんから買った価値の高いものだから、ずっと続けていこう」という思考が働いてリピート購入(認知的不協和)

②プラセボ効果

登録販売者試験でもおなじみのプラセボ効果ですが、お客さまとの信頼関係がなされたうえで購入にいたった商品にはプラセボ効果が働き、その効果を倍増させます。
こんな実験があります。

164人の健康な参加者に「アレルギーのテストをします」と告げたうえで、ヒスタミンを注射します。続いて、今度は「アレルギーを抑えましょう」と言いつつ、注射を打った場所に不活性のクリームを塗布します。そのうえで全体を4つのグループにわけました。

  1. クリームを塗る医者が優しくて有能っぽい
  2. 医者が優しくないけど有能っぽい
  3. 医者が優しいけど無能っぽい
  4. 医者が優しくなくて無能っぽい

結果、次のことがわかりました。

  • 優しくて有能っぽい医師にクリームを塗られた参加者は、アレルギー反応がもっとも軽減していた(他にくらべて半分程度まで軽減)
  • それ以外の医師にクリームを塗られた場合、アレルギー反応のレベルはどれも同じだった

「優しくて有能っぽい医師」にかかわった人たちの効果が突出しています。つまり「この人は信頼できる」と感じれば、同じものだったとしてもその効果は変化するのです。

先ほどリピート購入について触れましたが、信頼関係に基づいた販売にはプラセボ効果が働くため、リピート購入につながるというわけです。

《参考文献》
Harnessing the placebo effect: Exploring the influence of physician characteristics on placebo response.

③サンクコストバイアスに気付いてあげられる

販売の心理学を語るうえで欠かせないのが【サンクコストバイアス】です。個人的には『キャバクラ効果』と勝手に呼んでいます。ヒトには時間やお金など、コストがかかったものほど価値を高く見積もってしまう認知バイアスが備わっています。

男性がお目当ての女性を口説き落とそうと、長年足しげくお店に通って散財しながらも「ここでやめたら勿体無い!あと少しで俺の女になるはずだ!」という思考に陥ってしまい、借金をしてまで通い詰めてしまう悲劇はこうして生まれるのです。

サプリも同じです。リピート購入する回数が増えれば増えるほど【サンクコストバイアス】が発動し、止められなくなります。

「いや、それ悪徳登録販売者の手口やん」と思われるかもしれませんが、そうではありません。勘違いしないで欲しいのは、このテクニックを悪質な詐欺師のように使えということではなく、むしろその逆です。信頼関係が築けていればお客さまがサンクコストバイアスにハマっていた場合に気づいてあげることができるのです。

「そういえばこのサプリ、ずっと使っていますけど本当に効果を実感できてます?」とコミュニケーションをとり、他の選択肢を提示することもできます。心理学を学んでいれば、こういう細やかなコミュニケーションが可能になり、顧客化に繋げることができます。

これが信頼関係に基づいた販売手法の凄さであり、指名の止まらない登録販売者になるための必須条件であるといえるでしょう。

みんなが失敗する声かけ

ここまで信頼関係について解説してきましたが、もっと根本的な話があります。それが「お客さまへのひとことめ」です。

どれだけ会話術に長けていようとも、このひとことめでスベッているようでは何も生まれません。どれだけ大きな数字でも、最初にゼロをかけてしまえば答えもゼロになります。なかでもいちばんよくある声かけが「お伺いしましょうか?」ですが、実はこれもスベる声かけの一つです。

こんなに偉そうに言っていますが、私もずっとこれで失敗してきました。そんな経験も踏まえて作った「スベらないひとことめの声かけ」という動画が凡人賢者アカデミーにありますので、つづきはぜひ下記のプロフィールにあるリンクからご覧ください。

ヤマナオ(登録販売者)

執筆者:ヤマナオ(登録販売者)
YouTube【ヤマナオ会議室】のチャンネル登録者数1.4万人。
DMMオンラインサロン【凡人賢者アカデミー】のオーナー。
登録販売者として、通算10年以上従事した経験を基に「医学」「心理学」「仕事術」をメインテーマとし、情報発信を行っている。

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