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【現役ドラッグストア店長直伝】推奨販売のコツ<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】推奨販売のコツ<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】推奨販売のコツ<登録販売者のキャリア>

前回のコラム(【現役ドラッグストア店長直伝】推奨販売との関わり方)で登録販売者が推奨品とどう向き合うかをお伝えしましたが、今回はそれを踏まえた上で「推奨品を販売するコツ」を考えていきましょう。

推奨品販売は前回もお伝えしましたが、ふたつの大きな意味があります。

  • 利益の確保
  • リピーターの創造

推奨品をお客様が納得した上で購入し使用され、実感されて初めて信頼が生まれます。
それが再来店動機となり、繰り返すことによってリピーターとなるのです。

お客様の信頼を得ながら実績を伸ばすにはどうしたらいいか、「推奨品販売のコツ」を導き出していきましょう。

目次

推奨品を販売するパターンを考える

推奨品を販売するパターンを考える

推奨品を販売する、という行為を一度分解して考えてみましょう。
皆さんどんなシチュエーションで推奨品をお勧めしていますか?

とにかく不特定多数に?
関連付けられるなら全てチャレンジ?
需要がありそうなお客様に一点集中?

どれもよく見られる光景ですね。
私の経験からいうと、あらかじめ決めておくと実績は作れるのです。

推奨品をお勧めするパターン

「推奨品を販売するパターンから推奨品を販売するパターンをみてみましょう。
なお、接客を伴わない「セルフ販売」は除外します。

  • 「悩み」から推奨品を提案する
  • 「いつも使っている商品」からスイッチする
  • 「初めて購入を考えている商品」から提案する

主にこのパターンが考えられます。共通するのはどれもそれなりの接客時間が必要なことです。稀に一言で売れてしまう事もありますが、ほぼ例外なくお客様に推奨品が優れている根拠を提示する必要があります

これに必要なのは前回のコラムでもお伝えしましたが、「時間」と「知識」です。知識を得るのにも時間が必要なので、推奨品の有無によって時間的な拘束が大きく発生します。

推奨品販売は正攻法で

では推奨品販売の数値を上げるにはどうしたらいいでしょう。

よくある失敗が「得た知識を総動員してお客様を論破する」系の接客です。
しかしこれは理屈で正しくても、接客業としては大間違いですよね。

実はこれは私も経験したパターンです。
前回「インプットしたら即アウトプット」とお伝えしましたが、やはりTPOをわきまえる必要はあります。目の前にいるお客様の心の需要を満たさないと実績は伸びないのです。

どうすれば分かるのでしょう?

結論から言えば、攻略法はないので行動を増やすしかありません。声掛けを増やすしか方法はありません。「お客様用の読心術」も「魔法の一言」もないのです。

読心術は論外として、なぜ魔法の一言がないのでしょう。

そう、薬機法が存在するからですね。

登録販売者はお客様のQOL(生活の質)を高めるための資格です。決して薬機法違反はしてはいけません。

サプリ販売で薬効をうたったり、お客様の悩みと無関係の商品を無理矢理こじつけて販売したり、リスクを考えなかったり。あなたの職場でこうした行為が蔓延っていませんか?

バレなければいい?

もちろん論外です。お客様に虚偽を伝え販売する事は資格者としても商売人としても断罪すべき行為です。お客様を裏切る行為だと考えています。

薬機法を遵守しつつお客様の信頼を得る声掛けを増やすのが正攻法となります。

接客数を増やすには

接客数を増やすには

推奨品販売の実績を伸ばすだけならグレーゾーンを突けば容易い事ですが、それはすべきではありません。それは前回コラムでもお伝えした通り、推奨品販売の意義に反するからです。

お客様からの信頼を得つつ、実績を伸ばす。
効果がなかったり、お客様のQOLを損なうことはあってはなりません。

では、どう正攻法で実績を伸ばせばいいのでしょう。

時間は本当にないのか

推奨品の販売数を増やすには接客数を増やすしか方法はないのですが、こう言うと必ず「そんな時間がない」という声が上がってきます。

人時削減の中、どこの企業も店舗も利益を出す最も簡単な方法である「固定費抑制」に力を入れています。

日々の納品や発注、メンテナンス、期限チェック、棚替...
この上で接客数を増やすというのは無理、と私もパートさんに言われます。
確かに新たな時間を生み出すのはとても難しいことです。時間を捻出するには削るしかないのが現状です。

ではどこを削るのか?

別の作業を削ることはできません。
なので私は「接客」を削りました。

どういう事かというと、「接客時間」を削り「接客回数」を増やすのです。

登録販売者のよくある失敗例として「一生懸命になりすぎる」というものがあります。特にヤル気に満ち溢れているなりたての登録販売者にありがちなパターンですね。この意欲は素晴らしいので、冷静に自身を分析しつつベクトルをちょっとだけ変えてみましょう。

お客様が望まない接客、これを排除し時間を確保していくのです。
その時間的ソースを違うお客様に向けるのです。

では、一生懸命になりすぎるパターンを見ていきましょう。

お客様と店舗に共通するデメリット

「接客してほしいお客様」のうち、時間削減できるお客様を見分ける事が必要なのです。 接客を希望するお客様の中には自身で決めたい方もいますし、登録販売者に選んでほしいという方もいらっしゃいます。

必要なのはお客様の要望に応じた接客です。必要以上に売り手側の都合を押し付けてはいけません。必要とされていない以上、失うのは時間とお客様の信頼です。

もちろん、持病や体調のヒアリングは必須です。これ以外の「お客様」と「店側」のムダを省く必要があります。

ではこれ以外のお客様と店舗にとってのムダとは具体的に一体何なのでしょう。

それは「お客様が購入する意思がない商品の推奨」です。

店舗(店員)側は実績を伸ばすために必死ですが、それはお客様の時間を奪うことでもあります。それは「ホスピタリティ(思いやり)」に反する行為です。

そして店舗側も結局は人時生産性を下げることにつながります。
購入意思が最初はなかったお客様10人に各5分接客し1個販売したとすると、50分の人時が必要です。人時生産性が3000円の店舗なら2500円の利益でようやくトントンなのです。

そのお客様がリピートする可能性を加味すると単純計算はできませんが、これでは割に合いません。

それではお客様が望んでいることを提案すべき...とはいえ、それは一体何でしょう。
そしてその対応方法とは? 何を削るべきでしょう?

声掛けから販売までの道筋

お客様と登録販売者、どちらかから声を掛けて接客が始まります。
接客の道筋から「ムダ」を考えてみましょう。

接客で皆さん何を聞き話しますか?
実は需要のスクリーニングを行うとお客様にも店舗にもメリットが大きいのです。

お客様の求めるもの

お客様の求めるもの

お客様が求めるものは「効果が実感できる商品」が「予算内で購入できる価格」で納得して購入することです。

ここで最初にしっかりと情報を聞き出しスクリーニングを行います。
「効果」と「価格」、ハードルが大きいのはもちろん価格です

恐らく「効果」を先に説明する方が多いはずですが、効果を説明後に価格を見て「こんな高い商品いらない」...
コレがよくあるパターン。スイッチ先が高価格商品の場合は先に予算を聞くべきです。

ただこれにもコツが必要で、いきなり「予算は5000円です」なんてお客様はいません。
ここで「一日当たり単価」を使います。通販でよく使われる手法です。
話は逸れますが、テレビ通販の話法はとても参考になります。これもいずれ取り上げますね。

症状や持病を聞いたら「この商品は一日当たり100円ですが、一日当たり110円で更に効果が高い商品があるんですよ」というクッションを挟むことでお客様と店側ににムダな時間を省く事ができます。

お客様に販売するのは信頼

成分の勉強をしている私たちは忘れがちですが、「成分」という概念がないお客さまもいらっしゃいますし、理解していても購入の最重要ポイントが「価格」のお客様も思いのほか多いのです。必ずお客様の価格ハードルの高さを確認してから説明を行うべきです。

そして推奨品の説明ですが、ここでも「売ろう売ろう」という意思は鞘に納めて下さい。
お客様が購入するのは商品ですが、我々が販売するのは「信頼」と思ってください。

決して無理強いはしてはいけないですし、対抗品のデメリットを協調するのもタブーです。
仮にお客様が納得していない状態で売れて実績が上がったとしても、それはその時だけです。お客様は使い捨てではありません。今回店舗を利用し、充分な満足を得られて漸くリピートしていただけるのです。

「推奨品はお客様にリピーターとなっていただくためのツール」なのです。

これを繰り返していくとリピーターは自然と増えていきます。
社員の異動があっても推奨品の販売が落ちない店舗は、信頼を販売している店舗なのです。

逆に社員異動などで人の入れ替わりが発生して実績が落ちる店舗はマンパワーで販売し、店舗全体で信頼を販売できていない...とも言えます。

お客様に信頼される接客とは

お客様に信頼される接客とは

例え10分でも「店舗都合のムダな接客」を削ることができれば、他のお客様への接客時間に充てられます。決して販売側の都合でお客様の購入品を決めてはいけませんし、そのための時間を使うべきでもありません。

接客のパターンを決めておくと結果、時短にもなるのでお勧めです。
当然この「時短」は接客の手を抜くのではなく、「お客様と店舗にムダな時間をとらせない」ことです。

接客のパターン化

日々、私が行っている接客のパターンを紹介しておきます。

①売場で立ち止まっているお客様には全てお声掛け
基本的に作業中でも全てお声掛けを行います。「何かお探しですか?」の一言を投げかけます。

②断られたら一言残して引く
接客を望まなかったり、苦手なお客様もいらっしゃるので、断られたら「商品の違いで分からないことがあったらお声掛けください」とお伝えし、終わりましょう。
この際に例えばビタミン剤だったら「疲れに応じて必要な栄養素が違うので、分からなかったらお声掛けください」と布石を打つのが有効です。

③必要事項のヒアリング
接客を望まれたら必ず「使用者が誰か(何歳か)」「持病の有無」「他の薬の使用」を聞きます。
特に持病を隠したり、軽くみている方も多いので注意が必要です。
高血圧を病気と思っていなかったり、関係ないと思って緑内障を申告しない方も多いので必ず聞いてください。

④各ハードルの確認
推奨品へのスイッチならここで価格の確認を行います。事前に推奨品の一日当たり単価は覚えておくとスムーズです。
そして商品によっては持続性を訴求しましょう。ビタミン剤や健康食品など即効性が低いものは大容量を購入していただくチャンスです。

この際に、試しに...と小容量を購入しようとするお客様へ症状に応じて大容量を購入しないのなら使わない方がいい(効果が出ない)と正直にお伝えするのも信頼を売ることにつながります。目に見えないですが確実に将来の売上をとる事ができます。

⑤販売と同時に行いたいこと
そして購入して頂けたら一言アドバイスを行うと信頼度が増します。

(例)
整腸剤だったら「免疫力もアップしますよ」「実はおならにも効果があるので使ってみてください」など
皮膚薬なら「お持ちの保湿剤と併用すると効果的ですよ」「かゆみが止まらなかったら物理的に冷やすのも効果あります」
咳止めなら「実ははちみつも効果があるといわれています」「必ず歯磨きしてくださいね」

など、何でもいいので一言添えてください。
ここから更に商品を購入して頂けることもあります。売って終わりではなく、お客様がお帰り頂くまでホスピタリティを忘れずにしましょう。

全ては信頼していただくためです。

接客回数を増やして起こること

接客回数を増やすと「信頼」が増えるのです。それは売上につながり、登録販売者としての評価となります。

そして目立ちませんが、クレームも減少するはずです。私は店長として20年弱経験していますが、店舗で大きな接客クレームが発生した事はありません。

登録販売者としての社会的な責務はお客様のQOLを向上させることです。

そのためには販売側の都合による時間的なムダを省く必要があります

これによりお客様の信頼を得られ、店舗の信用にもつながるのです。

今日からの接客に、ぜひ活かしてみてください!

ケイタ店長(登録販売者)

執筆者:ケイタ店長(登録販売者)
ドラッグストア勤務歴20年、一部上場企業2社で合計15年の店長経験を活かし、Twitterなどで登録販売者へのアドバイスや一般の方への生活改善情報の発信を行っている。Twitterフォロワー数約5,000人。

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