【指名の止まらない登録販売者を目指して】働きながら目標を達成する方法
【指名の止まらない登録販売者を目指して】働きながら目標を達成する方法
あけましておめでとうございます。
皆さま、おそらく「今年こそは!」と様々な"目標"を設定し、やる気に満ち満ちていることでしょう。しかし、残念ながら多くの方が目標を達成することなく挫折し、毎年同じことを繰り返してしまいます。とくに多忙を極める登録販売者の仕事に圧倒されて「正直、目標どころではない」という方もいるのではないでしょうか?
そこで本記事では、そんな日々に終止符をうつべく、なぜ目標は達成できないのか、どうすれば目標達成できるのかを心理学的に解説します。
目次
【指名の止まらない登録販売者を目指して】働きながら目標を達成する方法
自分に嘘をつくと挫折する
目標が達成できない原因は多岐に渡りますが、そもそも論として、皆さまがたてたその目標が間違っている可能性を考えたことはありますでしょうか?心理学の世界では「ヒトは自分自身を把握するのが苦手な生き物」というのが通説で、目標設定に関しても同様です。皆さまがたてた目標自体が正しくなければ、モチベーションは上がらず、達成できるはずがありません。
というわけで、その目標が皆さまにとって正しいものかどうかを検証できる質問を用意しました。次の5問にイエスかノーで判断してみましょう。
- この目標は、他の人の希望をかなえるためにおこなうのか? あるいは、達成したら何かをもらえるからやるのだろうか?
- この目標を達成できなかったら、私は恥ずかしいと思うだろうか?
- この目標は、私にとって重要な目標だと本当に信じられているだろうか?
- この目標は、私に楽しみや喜びを与えてくれるだろうか?
- この目標は「私がどのような人間であるか?」を表現し、私が思う人生の価値を反映しているだろうか
以上です。
質問3〜5の回答がイエスなら、正しい目標設定である可能性は高め、質問1と2の回答がイエスなら目標設定を再考した方がいいかもしれません。
このテストで何を問われているかというと【自己調和性】です。
つまり「あなたのその目標、外部からの影響でたてたもの?それとも自分の内面からたてたもの?」ということで、言わずもがな、自分の内面から設定した目標は心底納得している状態で頑張るので、達成率が上がります。「会社に言われたから仕方なく...」のような自分の気持ちに嘘をついた目標設定では、モチベーションが上がらずに挫折してしまうのです。
心理学の世界ではこれを【内発的動機付け】や【外発的動機付け】と呼び、内発的なモチベーションは目標達成に大きく影響します。
実際カールトン大学の研究でも、目標と自己調和性に関しては有効なデータが示されていて、研究チーム曰く『自分の価値観や才能、興味、ニーズに合った目標(自己調和ゴール)を追求すると、目標を達成する可能性が高くなる。自己調和的な目標を達成すると、私たちの幸福感に欠かせない自律性、有能感、関連性などの感覚が高くなる。逆に、自己と調和しない目標を追求すると、たとえ達成できたとしても、自分の幸福や成長のプラスにならない目標に時間とエネルギーを浪費することになってしまう。』とのこと。
ここで大切なのは「自分が心から納得しているか」の部分なので、納得できるように意味を見出せればモチベーションは必然的に湧いてきます。具体的なテクニックは後述しますので、まずは最低限この部分はおさえておきましょう。
正しい目標設定のガイドライン
前述したチェックテストだけではさすがに大雑把過ぎるので、ここではもう少し詳細に正しい目標設定の方法を見ていきましょう。
◯ SMARTで設定する
ビジネスや自己啓発の世界で有名な目標設定理論に『SMARTの法則』というフレームワークがあります。これにしたがって目標を設定するとパフォーマンスが向上する、というものです。『SMART』とはイニシャルの頭文字をあらわしており、具体的には下記の通りです。
- Specific(具体的)=できるだけ具体的に明確な目標に落とし込む
- Measurable(計測可能)=目標の達成度が数字で把握できる
- Achievable(達成可能)=夢のような目標ではなく、現実に達成できそうなレベルを選ぶ
- Related(関連性)=自分に関係があるかどうか
- Time‐bound(締め切りが明確)=いつまでの目標を達成するかを決める
例えば「登録販売者の資格勉強をするぞ!」のような抽象的な目標をたてるのではなく、「3カ月後までに過去問で70点をとれるようにする」といった、SMARTの要素を満たした目標を設定すると達成率が高まるという考え方です。
ただ、先行研究をみてみると【SMARTの法則は科学的根拠が薄い】といったデータがありますので、世間では言われているほど盲信は厳禁です。とはいえ「具体的な目標設定が苦手」という方には使いやすいテクニックなので、目標に対する行動を明確化する際にお使いください。
◯ SUCCESSで設定する
「SMARTは科学的に怪しい」というなら、どうすればいいのでしょうか?そこでカリフォルニア大学の心理学者であるトーマス・ラトリッジ先生が一つのガイドラインを提唱してくれています。それが『SUCCESSの法則』です。SMARTと同じく、効果的な目標を立てるのに欠かせない要素の頭文字を取ったものです。
SMARTとの違いは『科学的根拠』で、過去に有効なデータが示された内容を基にしているため、やはりこちらの方が信憑性は高いです。具体的なガイドラインは次の通りです。
- Subjective(主観的)=達成度が高い目標は、どこまでも個人的でなくてはならない。他人が望んだ目標では達成度が低くなってしまうので、まずは「自分が本当に欲しいものは何か?」「自分にとって本当に必要なものは何か?」を掘り下げてから、それに沿った目標を作る。
- Urgent(緊急性)=即座に行動を起こすことができる目標ほど達成度が高くなる。「今すぐ行動できる目標はなんだろうか?」「今すぐ行動することで得られるメリットは何か?」「待つことの代償は何だろうか?」と考えて、できるだけ緊急性が高く、すぐに取りかかれるような目標を作る。
- Committed(コミット)=達成度が高い目標は、「達成できるまで頑張ろう!」と思えるようなものでなくてはならない。できるだけコミットメントがわいてくるような目標を作る。
- Concrete(具体性)=漠然とした目標よりも、具体的な目標の方が実現しやすいのは間違いなし。「読書をする」ではなく、「1週間で本を1冊読む」など、より具体的にする。
- Evaluate(評価)=達成度が高い目標は、つねに目標に対する進捗状況を確認できなくてはならない。「いまゴールまでちょうど中間地点だな」「棚卸までに倉庫整理を終えるには、1日2カテゴリを片付ければ間に合う!」と思えるぐらい、進捗状況をチェックできる目標を作る。
- Shared(シェア)=目標の達成度を高めるためには、他人に知らせねばならない。ゴール達成率を高めるには、目標を書き出して、周囲に公表する。休憩室に掲示するのがおすすめ。
- Support(サポート)=目標の達成度を高めるためには、他者から支援を受けたり、他者と協力して進められねばならない。誰かからの助けを得られるか、一緒にゴールを目指せる相手がいるような目標を作る。
個人的にはSupport(サポート)がとくに重要だなと感じました。目標達成できない人にありがちですが「1人で頑張っている」のをよくみかけます。人は1人では生きていけません。互いに励まし合い切磋琢磨することでモチベーションは維持されます。そういった他者からの支援がきっちりと受けられるコミュニティに所属していることも重要なので、ぜひそういったポイントにも気を配ってみてください。
目標行動は"いつ"やるべきなのか
具体的な目標が設定されたなら、いよいよ実践あるのみです。ただ、ヒトは先延ばしをする生き物です。目の前にやらなければならないことがあったとしても、何とかして"やらない理由"を見つけ出して先延ばしにします。
典型的な例を紹介しましょう。例えば学生時代、テスト勉強をしなければいけないのに急に机周りや部屋の片付けを始めてしまった経験はないでしょうか。私もあります。
これは心理学の世界で【セルフハンディキャップ】と呼ばれる現象です。なぜこんなことになるかというと「失敗した時の言い訳」です。ヒトは自尊心が傷つけられることを嫌います。テストで点がとれないと能力が低い自分を目の当たりにしなければならないので、自尊心が傷つきます。そんな自尊心を守るため「テストがダメだったのは部屋の片付けをしたから」という言い訳をするため、自ら目標達成に障害を作ってしまうのです。これではいつまで経っても目標達成は夢のまた夢です。
こういった非合理的なメンタルに左右されないためにも『目標行動の習慣化』が重要です。
つまり「目標行動をとるタイミングを固定化する」ということです。分かりやすくいえば歯磨きがその代表例でしょう。「気合いを入れなければ歯が磨けない」という人はほとんどおらず、どれだけ眠たくても出来てしまいます。これが習慣化の力です。習慣化さえしてしまえば、モチベーションにも左右されずに体が勝手に行動してくれるので、セルフハンディキャップの余地すら与えません。
そこでオススメなのが【if-thenプランニング】です。
方法は簡単で『もしXが起きたらYをする』というもの。例えば先ほどの歯磨きを例にあげれば『(if)朝起きたら(then)歯磨きをする』といった具合です。if-thenプランニングには非常に有効的な研究も多く、なかでもニューヨーク大学のメタ分析では『if-thenプランニングを使うと目標を達成しやすくなる。その効果量は0.65だ』という結果が出ております。
0.65と言われたらショボそうに見えると思いますが、科学の世界では十分優秀な数字です。しかもこのif-thenプランニングで習慣化してしまえば「無感情で行動できる」というのもメリットです。
例えば『シャンプー』がいい例でしょう。お風呂に入りながら「あれ?今シャンプーしたっけ?」といった経験はないでしょうか?あれはシャンプーという行動が習慣化され、無感情で行った結果起きる現象です。習慣化とは、それほど無感情、無意識で行えるのです。
目標行動には「勉強したくないな」「今日は運動するのは面倒だな」といった感情が必ず付きまといます。そういった感情に邪魔されないためにも、習慣化は必須なのです。ぜひご自身に合った条件を設定し、目標行動に落とし込んでみましょう。
《参考文献》
Implementation Intentions and Goal Achievement: A Meta-Analysis of Effects and Processesどうしてもやる気が起きない時の対処法
「今日は何もやる気が起きない」という日が必ず誰にでもあります。こういったモチベーションの低下にはどう対処すればいいのでしょうか?
もちろんあまりの疲労に押しつぶされそうなら睡眠を優先するなどの回復行動に努めることをおすすめしますが、もし"なんとなくやる気がしない"といった程度のモチベーションの低下であれば、十分対処が可能です。
そんな時は「Why思考」を使ってみましょう。「"なぜ"自分はこの目標を年始にたてたんだっけ?」と自問自答することで、失いかけていた自身の目標の意味を思い出すことができ「サボってる場合じゃねえ!」と自分に喝をいれることができます。
ちなみにもうひとつ「What思考」も目標達成には重要です。これは目標に対する進捗状況が芳しくない時に使えるテクニックで「進捗が悪いのは"なに"が原因だろう?」と考えることで、ボトルネックが明確化されて対処しやすくなります。自分の悩みに合わせて使い分けてみましょう。
新しいことを始めるならやっぱり1月
UCLAが発表したデータによると『記念日は人生の区切りになるから有効活用せよ』といわれていて、研究チームは【フレッシュスタート効果】と呼んでいます。
誕生日や恋人との記念日、それこそ元旦といった区切りの日に目標を設定すると、その達成率が高まるというテクニックです。区切りの日に特別な定めはなく「この日で自分はリセットされて生まれ変われる特別な日」と"自分で思えれば"それでいいそうなので、実は本記事が出ているタイミングは最高にマッチしています。
この記事を契機に、新たな目標に取り組んでみてはいかがでしょうか。
《参考文献》
The Fresh Start Effect: Temporal Landmarks Motivate Aspirational Behavior
執筆者:ヤマナオ(登録販売者)
YouTube【ヤマナオ会議室】のチャンネル登録者数1.4万人。
DMMオンラインサロン【凡人賢者アカデミー】のオーナー。
登録販売者として、通算10年以上従事した経験を基に「医学」「心理学」「仕事術」をメインテーマとし、情報発信を行っている。
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