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【指名の止まらない登録販売者を目指して】治さないと退職に至る思考<認知の歪み>

【指名の止まらない登録販売者を目指して】治さないと退職に至る思考<認知の歪み>

【指名の止まらない登録販売者を目指して】治さないと退職に至る思考<認知の歪み>

突然ですが、あなたは精神的に病みやすい体質でしょうか?もしそうであるならば、なるべく早くメンタルの改善に取り組まなければいけません。なぜなら昨今の登録販売者界隈では、過度なストレスを招きかねない要因が増え続けているからです。実際私のところにも様々な相談が寄せられています。濫用防止コミュニケーション、登録販売者不要論、リスク区分の抜本的な見直し等、枚挙にいとまがありません。

これらに翻弄されてストレスに晒され続けると、やがては鬱病に発展してしまいます。個人差はありますが、鬱病は一度かかってしまうと以前のように職場復帰することがとても難しい病気で、薬物療法のみの場合は完全復職率が2割程度になってしまうともいわれています。つまり「そうなる前に何とかしようぜ」というのが今回の話の大筋です。

そこで本記事では、ストレスがこじれて鬱病に発展してしまう根本原因である【認知の歪み】について解説したいと思います。

目次

【指名の止まらない登録販売者を目指して】治さないと退職に至る思考<認知の歪み>

認知の歪みとは?

認知の歪みとは?

「認知の歪み?何か小難しい話が始まったな」と思われるかもしれませんが、簡単なので安心してください。ひとことで言うと『過度な思い込みによって物事が正しく見られない状態』のことを指します。わかりやすく言うと、カメラのレンズが指紋や汚れで曇っている状態です。たとえ美しい風景だとしても、曇ったレンズではその美しさをありのまま撮影することはできません。

実は私たちのメンタルにも同じようなことが起きています。過去の体験から良くも悪くも様々なことを学習してきた私たちは、同じ一つの出来事でも人によってポジティブな反応とネガティブな反対にわかれます。

例えば「失敗」がわかりやすいでしょう。登録販売者として接客をする際「どの医薬品を選択することがもっとも適当なのか」というシーンによく出くわしますが、研修が終わったばかりの時期は見当違いの薬を提供してしまうこともあります。私もドラッグストアに入社して間もない頃、雪目で困っている方に抗菌タイプの目薬を提供してしまい、先輩に鼻で笑われながら注意されたことをいまだによく覚えています。

こういった失敗でも「ああ、自分は本当にダメなヤツだ」と落ち込む人もいれば「よし!これは勉強をするいい機会だ!」と契機にする人もいて、その反応は様々です。
つまり感情を決定付けるのは現実世界で起きている事実ではなく、それをどう受け止るかによって決まっているのです。

この受け止め方をひたすらネガティブな方向に傾けてしまう原因が【認知の歪み】です。この歪みを何とかしなければ、どれだけポジティブな経験をしていたとしても台無しになってしまうのです。
ただ一番厄介なのが「ヒトは認知の歪みに自分では気付けない」という事実です。

『自動思考』といって、ヒトの感情は自動的に湧き上がってくる性質があります。当然のことでしょう。ことあるごとに「よし!今からネガティブに考えるぞ!」と意気込んでいる人はいません。つまり気付かないうちにドツボにハマってしまうのが認知の歪みの厄介なポイントなのです。

認知の歪みリスト

認知の歪みリスト

自分で気付けないのであれば、それを改善する方法は1つです。それは『認知の歪みの種類を知ること』です。認知行動療法の基本は「自分を俯瞰して観察すること」で、これを難しい言葉でメタ認知といいます。

メタ認知することで「あ、今自分は認知の歪みに囚われているな」と気付くことができます。先ほどのカメラの例でいえば、レンズが曇っていることに気付けるのです。このメタ認知が基本中の基本になるので、今回は認知の歪みの定義をリスト化してみたいと思います。自分がどれにハマっているのか、想像しながらご覧ください。

❶全か無か思考

これは物事を極端に白か黒かのどちらかに分けて考えようとする傾向を指します。次のようなことが典型例です。

  • 登録販売者試験の受験生が「今年の試験に落ちたなら自分は完全に終わりだ」
  • いつもは間違えないような問題をたまたま間違えただけで「完全にダメだ」
  • 推奨販売の競争で「トップ以外はゴミだ」

こういった考え方には完璧主義が垣間見えますが、とても非現実的です。なぜなら、世の中に"完全なもの"など存在しないからです。

今あなたがいる床を見てください。完璧に塵一つ落ちていないと言えますか?ホコリは一切ないでしょうか?おそらく一部はある程度きれいで、一部は引くほど汚いでしょう。
人間もそうです。100歩譲って、完璧で誰からも愛される人がいたとしても、その人気を妬む人が必ずどこかにいます。

つまりこの世に"完全"ということは存在し難いのです。このような思考に囚われていると、人生が途端につまらなくなります。なぜなら、失敗を極度に恐れるあまり挑戦しなくなるからです。

「医薬品の接客をしようと声をかけたい」

「うまくできなければダメなヤツだ」

「そんな思いをするぐらいなら声かけはしない」

これでは登録販売者としての成長の機会を一生失いますので、いの一番で気付きましょう。

❷一般化のし過ぎ

たった一つのネガティブな出来事だけを捉えて「自分はいつもこうだ」「世の中はすべてこれだ」と考える思考を指します。次がその典型例です。

  • お客さまに声をかけたけど素っ気ない態度をとられたら「自分はいつも誰からも必要とされていない。このまま一生医薬品の接客はうまくいかないんだ。」と考える。
  • 車で通勤していると窓ガラスに鳥のフンが付着しているのを見つけ「いつもこうだ!」と考える。

たしかにこういったいわゆる"不運"は存在します。しかし冷静に考えてみてください。本当に"いつも"でしょうか?そうでないこともあるはずです。つまり、その判断は時期尚早で不正確なものです。もし口癖で「自分はいつも〜だ」と言ってしまったら「待て待て!今"いつも"って言ったな...本当に"いつも"か?」と自問自答してみましょう。

❸ネガティビティバイアス

ネガティブな出来事があると、そこばかりに注目してしまい、ポジティブなことには意識が向かなくなります。先ほどの『一般化のし過ぎ』と合わせ技で囚われることが多い歪みです。
典型例が『失敗』でしょう。一つの失敗だけを捉えて、他の成功が見えなくなるのです。

  • 登録販売者試験の過去問を解いた結果、全120問中30問を間違えてしまい、その30問だけに注意が向いて「本番ではもっと間違えるに違いない」と思う。しかし事実はトータルでみれば合格ラインに達している。

こういう方は失敗に対する考え方を学び直すといいでしょう。
そもそも人生とは成功よりも失敗の方が多いものです。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による『最高のクラシック名曲50選』のリストには、モーツァルトが6曲、ベートーベンが5曲、バッハが3曲挙げられています。しかし彼らはその傑作を生み出した裏で大量の失敗をしています。

モーツァルトは35歳で逝去するまでに600曲、ベートーベンは生涯で650曲、バッハは1000曲以上を作曲しています。もし彼らが1曲の失敗に囚われていたなら、この世にあのような名曲は存在しなかったことでしょう。人生は失敗することの方が圧倒的に多いでのです。

❹マイナス化思考

『マイナス思考』は一般的によく耳にすると思いますが、この"マイナス化"はもっと厄介です。なぜなら、ポジティブな出来事までネガティブに変換してしまうからです。

お世辞に対するリアクションをイメージするとわかりやすいでしょう。例えば誰かにお世話を言われたら、おそらくあなたは「いや、そんな大したことではありませんよ」と謙遜するでしょう。この場合は標準的なコミュニケーションですから、問題はありません。しかし、認知が歪んでいるとすべての事柄にこういったリアクションをしてしまいます。次がその典型例です。

  • 登録販売者試験に落ちたら「やっぱりな」と考え、合格しても「これはまぐれだ」と考える
  • 上司に褒められても「彼は嘘をついている。自分は褒められるような人間などではなく、この世でもっともくだらない人間だから」と考える

このような考え方では豊かな人生など送りようがありません。

❺結論の飛躍

事実と違った悲観的な結論を一足飛びに出してしまう歪みを指します。次がその典型例です。

  • 開店前の朝出勤した時に数メートル先に見えた店長に挨拶をしたら、返事がなかった。実際には店長はイヤホンをしていてあなたの声が聞こえていなかったが、あなたはそれに気付かなかった。するとあなたは「店長は私のことが嫌いに違いない」と結論付ける
  • もう一度挨拶なんてしたらしつこいと思われてますます嫌われるだろうと早合点してコミュニケーションが減り疎遠になる

こういう方は、確実な証拠がないのであれば、積極的に明確な根拠を求める癖をつけましょう。私も以前はこの歪みがかなり強くて難儀しましたが、最近は『脳内にひろゆきさんを飼う』を習慣化するようにしてうまく乗りこなせています。このテクニックはかなりオススメで、そういった「これは◯◯に違いない」といった思い込みが先行した思考が浮かんだら

「それってあなたの感想ですよね?何かそういうデータあるんスか?」

と、ひろゆきさんに話しかけてもらうところをイメージするようにしています。ちょっと笑ってしまうでしょうが、実はそれが重要なポイントなんです。つい笑ってしまうことで、浮かびあがった思考と一定の距離がとれ、メタ認知できるようになるのです。ぜひお試しください。

❻拡大解釈と過小評価

これもよくある罠です。これは対象物を拡大したり縮小したりする歪みを指します。人の長所や短所を例に挙げるとわかりやすいでしょう。

  • 「自分は生まれつき眉毛が薄いから男性的な魅力がなく、頼り甲斐がなさそうに見える。つまりお客さまに頼りにされないダメ登録販売者なんだ」と、眉毛の話が能力の話にまで拡大する
  • お客さまから褒められたり常連さんができても「こんなことは誰でもできる取るに足らないことだ」と自身の功績を過小評価する

もしあなたがこのような歪みを持っているなら、自分くらい自分の味方でいましょう。

❼感情的決めつけ

先ほど"脳内ひろゆき氏"を話題にあげ「何かそういうデータあるんスか?」と言ってもらえばいい、とお伝えしましたが、これをすべて無効化してしまう歪みです。なぜなら、そのデータや根拠を『自分の感情』を基にしてしまうからです。次がその典型例です。

  • 「自分はダメ登録販売者だ。なぜって?自分がそう感じるからだ。それが何よりの証拠だ」

こう考える人には脳内ひろゆき氏の「それってあなたの感想ですよね?」は一切通用せず「はい!そうです!」という返事しか返ってきません。ただハッキリ言ってこれも間違った思考と言わざるを得ません。なぜなら冒頭お伝えした通り、絶対的な事実などは存在せず、あるのは各々の解釈だけです。したがって、認知が歪んでいれば、感情には妥当性がなくなります。つまり根拠にはならないのです。

感情的決めつけは鬱病のほとんどすべての症状に関係してきますので、必ず対処するようにしましょう。

❽すべき思考

何かをやるとき、「これを"すべきだ"」「これを"しなければならぬ"」と考えてしまうことです。こういう考え方は必要以上にプレッシャーを与え、自分自身を追い詰めてしまいます。

登録販売者の仕事においてこの歪みがもたらす影響は甚大です。例えば「接客機会が少ないドラッグストア」で働いている場合は顕著です。「登録販売者は医薬品の接客を"すべき職業だ"」と強く思い込んでいると、接客ができないお店で働くことはモチベーションを著しく低下させてしまい、退職に至るケースも珍しくありません。もし仮に転職したとしても、思い描いている登録販売者の理想像だけが先行し、また違う悩みを抱えてしまうでしょう。

この歪みがもたらす体験が積み重なると、人は独善的になり、現実に裏切られたように感じたり、他人に対し敵意を抱くようになります。
結果、人間関係まで壊れてしまい、すべてを失いかねない事態に発展するのです。

❾レッテル貼り

間違った認知に基づいて完全にネガティブな自己イメージを創作してしまう歪みを指します。
先ほど挙げた『一般化のし過ぎ』の極端なバージョンともいえます。この背景には「人の価値はその人の失敗の数で決まる」という考え方です。この歪みが強い人の口癖は「まったく私ってやつは...」です。次が典型例です。

  • 何か仕事などでミスをするたびに「私ってやつは本当にダメ人間だ!」と表現する
  • 推奨販売の競争で負けたら「自分は敗北者だ!」と考える

この思考がどれぐらい意味不明かというと、登録販売者を指さして「薬人間」「白衣人間」と表現しているレベルで、もはやイチャモンに等しい思考です。

❿個人化

ネガティブな出来事を理由もなくすべて自分のせいにしてしまう歪みを指します。次がその典型例です。

  • 濫用防止に努めようとお客さまに声をかけたが、理不尽に怒鳴られて説得しきれなかった。このとき「世の中で起きている濫用問題は自分のせいだ。自分はダメ登録販売者だ」と考える

これは責任感が強すぎる人に多い思考です。
たしかに、あなたの役割が他人に"影響"を与えているのは事実ですが、決してあなたが他人を"操作"しているのではありません。他人の行動の結果は、結局はあなたではなく、その当事者の責任です。登録販売者として為すべき仕事に対して一定の役割を果たせているのであれば、それで十分です。適度な重量は私たちの筋肉を成長させますが、過度になると怪我をするのと同じで、責任感も程々にしましょう。

認知の歪みを正すには?

認知の歪みを正すには?

いかがでしたか?
これらの認知の歪みに当てはまる数が多ければ多いほど、登録販売者人生は厳しいものになるでしょう。ではどうすれば認知の歪みを正すことができるのかというと、答えは「認知行動療法」です。

なかでも「ACT(アクト)」と呼ばれるテクニックが非常に有効で、心理療法の世界でも最先端のアプローチ方法です。これができれば、ネガティブな自分の思考と一定の距離がとれ、事実をありのまま見ることができるようになります。基本的にはご自身の状態に合わせて対応します。重度の歪みで生きづらさを抱えているのであれば専門家を頼りましょう。

「いきなり病院に行くのはちょっと・・・」という方は、私の凡人賢者アカデミーで私生活でも実践できるようACTをわかりやすくまとめている動画がありますので、ぜひ下記のリンクからチェックしてみてください。

ヤマナオ(登録販売者)

執筆者:ヤマナオ(登録販売者)
YouTube【ヤマナオ会議室】のチャンネル登録者数1.4万人。
DMMオンラインサロン【凡人賢者アカデミー】のオーナー。
登録販売者として、通算10年以上従事した経験を基に「医学」「心理学」「仕事術」をメインテーマとし、情報発信を行っている。

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