サポートを受ける

お電話でのご登録・ご相談も承っております。

フリーコール 0120-959-755

月~金曜(祝・祭日を除く) 9:00~18:00

  1. 登録販売者 求人・転職TOP
  2. お役立ち情報
  3. 業界コラム
  4. 著名人コラム・対談
  5. 【指名の止まらない登録販売者を目指して】現場のお悩みにどこよりも正直に回答《前編》
業界コラム 著名人コラム・対談

【指名の止まらない登録販売者を目指して】現場のお悩みにどこよりも正直に回答《前編》

【指名の止まらない登録販売者を目指して】現場のお悩みにどこよりも正直に回答《前編》

【指名の止まらない登録販売者を目指して】現場のお悩みにどこよりも正直に回答《前編》

今回は特別編として私の【凡人賢者アカデミー】の会員様やYouTubeチャンネル[ヤマナオ会議室]の視聴者様たちからいただいた相談に心理学的、科学的に回答していきたいと思います。
というのも、執筆している私が言うのもなんですが、こういったコラムって「現場のリアルを知りたい」っていう欲求が、あまり解消されないことが多くないでしょうか?(私は極力リアルを追求していますが...)
綺麗事を信じ、登録販売者を目指して入社した結果、実情を目の当たりにして「こんなはずじゃなかった」なんてことになれば人生の無駄遣いです。そんな事態を避けるべく本記事では、実際に現場で働く方々からのお悩みを通して、登録販売者の現実をお伝えしていきたいと思います。あと、私の性格上ハッキリとお伝えしますので、その点予めご了承願います。

※今回とてもありがたいことに、本当にたくさんの質問をいただきました。できる限り多くの質問にお答えしたいので、やむを得ず<前編>と<後編>に記事を分けることにいたしました。
尚、プライバシーを考慮し、質問者様の名前は伏せております。

目次

【指名の止まらない登録販売者を目指して】現場のお悩みにどこよりも正直に回答《前編》

質問①薬剤師でもないのに・・・

質問①薬剤師でもないのに・・・

Q:「薬剤師でもないのに薬のことを説明するな!」と怒鳴るお客様や、用法用量を守るように一言添えると「うるさい」と怒鳴るお客様が多くてつらいです。

[回答]
これはすごくリアルな現実ですね。
私も昔は「登録販売者?なにそれ?薬のことなんだから薬剤師を出せ!」と言われて、落ち込んだものです。(今はもう慣れたので何とも思いませんが...。)
こういう場合は【変えられないものを受け入れる力】を身につけましょう。認知行動療法の世界で「心理的柔軟性」と呼ばれるものです。
例えば明日の気象予報が雨だとしても、その天気をあなたの力で晴れに変えようとは思いませんよね。それと同じで、世の中では【薬=薬剤師】という考えが常識的に蔓延しており、これは私たちではどうしようもありません。つまり、相手を変えることに念頭をおくのではなく「自分でコントロールできることは何だろう?」と考え、その選択肢を着実に実行していく方が得策です。

オススメは【脱フュージョン】です。認知行動療法の一つで、脱フュージョンを簡単に言うと「思考と距離をとる方法」のことです。これができるようになれば心理的柔軟性がかなり身につきます。様々な方法がありますが、職場でもすぐにできるのが【思考と感情の採点】です。
お客様から「登録販売者なんて...」と言われて落ち込んだら「今の落ち込み度合いは100点満点で60点くらいかな?悲しみより怒りの割合が高そうだな」という風に思考を巡らせているうちに、だんだんと感情が落ち着いてきます。
点数をつけると自分の感情を客観的に観察できるようになるので、メンタルが落ち着くのです。これを日々繰り返しましょう。

質問②怒鳴るお客様への対応

質問②怒鳴るお客様への対応

Q:お客様に理不尽に怒鳴られて対応に苦慮します。どうすればいいでしょうか?

[回答]
先程の方も怒鳴られてお困りでしたね。
もちろん店舗側に改善の余地がある"ご指摘"なら、受け入れるべきでしょうが、理不尽なケースで怒鳴ってくる場合は別な対応が必要です。
こういった、他人に対して頻繁に怒鳴ってコミュニケーションをとる人の性格特性を、心理学の世界では【サディスト】といって、研究者曰く"可能な限り関わってはいけないパーソナリティ"に分類されております。
彼らは「とにかく他人をいじめたい」「相手を陥れたい」という攻撃的な欲求が最優先で、他人をいじめればいじめるほど悦にひたれる特徴をもっています。したがって、どれだけ建設的な話や解決策を提示したとしても「お前の言い方が気に食わない」「そういえば前も⚫︎⚫︎だった」などと話題を転換させ、永遠に終わりがなく、すべて徒労に終わってしまいます。

幸い、昨今では「カスタマーハラスメント」という認識が広まりつつあり、以前よりも毅然とした態度がとりやすくなりました。
例えば最近任天堂は、カスハラ対策として「過剰な要求がなされた場合には対応をお断りし、警察や弁護士に連絡の上、適切に対応する。」と、対応を明確化しています。
これは一個人では対応が難しくなるため、カスハラにあたる行為を事前に店舗全体として共有し、明確に拒否できる体制作りが重要になりますので、上長と相談して毅然と対応しましょう。
万が一まともに相談にのってくれない上司や会社なのであれば、とっとと転職してしまいましょう。従業員を大事にできない会社に未来はありません。

《参考文献》

質問③薬の接客ができずにミスマッチが起きている

質問③薬の接客ができずにミスマッチが起きている

Q:ドラッグストアでは店長が変わるたびに店舗の状況が一変してしまうのが悩みです。以前の店長は定期的な勉強会や、薬の接客時間を重要視してくれましたが、今の店長は「推奨品をガンガン売れ」という考えで、一般従事者と何ら変わりません。登録販売者としてのモチベーションが下がりっぱなしです。

Q:登録販売者研修中です。働き始めて一年が経ちましたが、仕事は商品補充、清掃、レジばかりです。ドラッグストアの仕事であることは理解していますが、毎日トイレ掃除をしていると「登録販売者って?」と思ってしまいます。

Q:前職のパワハラ部長、店長から逃れるべく別のドラッグストアに転職したのですが、面接時に確認したのに蓋を開けてみたらレジオンリー。メンタルを病み、先日また辞める決意をしました。この場合、レジだけの店をやり続ければよかったのか、パワハラに耐え続ければよかったのか、何が正解か分かりません。

Q:現在勤務しているドラッグストアでは、薬の接客は数ヶ月に1度あるかどうかで、動画や本で毎日少しずつ学習し、脳内接客をしています。
転職も考えたりしますが、ほとんど未経験の名ばかり登録販売者で転職するのは気が引けてしまい、一歩が踏み出せません。

[回答]
今回1番多かったご相談が「薬の接客をさせてもらえない」でした。どなたも内容は違えど、おそらく同じようなお悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。まとめて言ってしまうと「ミスマッチ問題」になるかと思います。
あくまで個人的な見解にはなりますが、この問題を解消するには、働き方や登録販売者に対する考え方自体をアップデートする必要があると考えています。具体的には次の3つの意識改革が必要です。

意識改革①「登録販売者になりたければ、登録販売者になろうとしてはいけない」

意識改革①「登録販売者になりたければ、登録販売者になろうとしてはいけない」

さっそく意味不明なことを書いてしまいましたので、説明します。
このタイトルのネタ元は、医師であり心理療法士でもあるラス・ハリス氏の著書『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』ですが、この著書の内容をざっくり言うと「人は幸せになろうと思えば思うほど、実は不幸になってしまう。これを"幸福の罠"っていうから気をつけてね。」となります。
私たちは幸福になるために「あんな仕事はしたくない」「こんなつらいことは我慢したくない」と考え、あらゆるネガティブを避けようとする性質があります。しかし、これが不幸の始まりなのです。なぜなら、我々が人生において充実感や達成感を味わう瞬間は、必ず苦しいことを乗り越えた先にしか待っていないからです。例えば次のようなことが挙げられます。

  • 必死に受験勉強して志望校に合格
  • 苦しい筋トレを何ヶ月もして腹筋が割れる
  • 空腹に耐えぬいてダイエットを成功させる

つまり幸福とは、苦しみながら行動した先に待っている副産物で、結果的に手に入るものなのです。

ではこの話を皆さまのお悩みに置き換えるとどうなるでしょうか。

  • 薬の接客とは無関係な納品は、体力仕事なのでやりたくない
  • 薬の接客ができないからレジばかりしたくない

という風に言い換えられます。
ただ、いきなり身も蓋もないことを言ってしますと「それが登録販売者の仕事だよ」というのが私の意見です。もちろん企業間による違いはありますが、こんな実態は今に始まった話ではなく、私がドラッグストアで社員をしていた約10年前も似たり寄ったりな働き方でした。そういった苦しみの中で"如何にうまく接客や勉強の時間をとるか"というのが登録販売者の仕事だと感じていますし、その中でお客様から感謝の言葉をもらえたり、知識が活用できた時にはじめて"登録販売者としての幸福"が自然と訪れるものである、といえるのではないでしょうか。

さらにこの問題で何より大きいのが「べき思考」という認知の歪みです。
「登録販売者はお客様から薬や健康相談にのるべき仕事だ」という思考が強すぎる状態です。
この認知の歪みが常に頭にあると、それ以外の仕事が余計にストレスに感じてしまい「こんなの私の思っている登録販売者じゃない!」と退職に至ってしまいます。
分かりやすくいうと『白馬の王子様』がそのいい例でしょう。漫画などでよく女性が「私は白馬の王子様を待っているの」という描写がありますが、断言します。もしその女性の前に本当に白馬の王子様が現れたとしても、必ず女性は幻滅すること間違いなしです。
当然でしょう。白馬は近寄ってみると独特の家畜臭がしますし、いくら王子様でも寝起きの口はとんでもない臭いがするもので、どんなものにもネガティブな要素は必ず存在します。

そうやって理想と現実のギャップに苦しみ「こんなの私の白馬の王子様じゃない!」と自ら幸福を手放すのです。
つまり「登録販売者はこうあるべきだ」という物語に捕らわれていると、むしろ登録販売者という職業から離れざるを得なくなってしまうのです。これが『登録販売者になりたければ、登録販売者になろうとしてはいけない』の真意です。

「いやいや、別に納品やレジは構わないけど、その時間が長すぎるのが問題なんだ。物事には限度があるだろ!」

こんな声が聞こえてきそうですので、次のポイントに移りましょう。

意識改革②悩みのない世界など存在しない

ここで私の失敗談を紹介しましょう。
私のドラッグストア時代の悩みは【口うるさい上司がいない世界に行きたい】でした。
私は人の言うことを聞くのが、常軌を逸するレベルで嫌いです。特にそれが理不尽で意味不明な指示であった場合には尚更です。こんなややこしい性格なので、上司とはしょっちゅう揉めていました。ですから「面倒くさい上司がいなければなあ...」と、よく悩んでいました。悩みに悩み抜いた結果、脱サラして独立し、個人事業主になりました。とても晴れやかな気分でした。「もう口うるさい上司はいない!意味不明な頭の悪い指示もおりてこない!」そう感じていました。しかし、しばらくして勉強不足や経験不足から、様々な問題が私の前に立ちはだかるようになりました。私はそれまで、分からないことや難しいことは上司に相談、あるいは丸投げしていたので、自分には焼き刃程度しか解決スキルが身についていませんでした。
そんな私の今の悩みは【相談できる上司がいないこと】です。

「バカじゃないの?」と思う方もいるでしょう。
ですが、こんなことは皆さまにも十分起こり得るのです。
例えば【レジばかりで接客ができない】と違うドラッグストアに転職したとしましょう。そこでは接客がメインで、レジはついで程度。まさに思っていた通り...と思っていた矢先、想定外の事態が起こります。「お客様がこない」のです。
「接客メインでレジはついで程度」といえば聞こえはいいですが、裏を返せば『接客時間が大量にとれるほど暇な店』ということもあり得ます。だからレジは"ついで程度"で済むのです。
そんな転職先での悩みは【暇過ぎて接客ができない】となってしまうでしょう。
ちなみにこれはドラッグストア時代に日販30万台〜100万台まで、いくつかの店舗を異動して感じた私の体験談でもあります。
先ほど「物事には限度が...」という話に触れましたが、そんな自分の理想通りに接客ができる"ちょうどいい客数の店舗"などというのは、幻想に等しいと感じます。
どこにいたところで悩みの中身が変わるだけ、あるいは自分が思ってもみなかった物事の側面から別の悩みが発生してしまうのです。

「じゃあどうしたらいいんだよ...」と思いますよね。次のポイントで私なりの回答を示します。

意識改革③価値を明確化する

願望と得るもののギャップが大きくなり過ぎた時に役立つのは、登録販売者としての根本の価値に立ち戻ることです。
人には『欲求と価値』が存在し、この二つはまるで別物であると心理学の世界では考えます。
ややこしいと思うので、手短に説明しましょう。
価値とは心のもっとも深い部分にある欲望で、生きている間の「自分は⚫︎⚫︎な人でありたい」という考えから派生する態度や行動のことを指します。
対して欲求とは、あなたが得たいものや目標のことを指します。
まだ分かりづらいと思うので、以下に欲求と価値の違いの例を示します。

⚫︎競争に勝つ(欲求)
⚪︎自分の力を最大限に発揮しようと努める(価値)

⚫︎テストで100点をとる(欲求)
⚪︎全力で勉強し、常に新しい勉強法を探求する(価値)

⚫︎友達を100人作る(欲求)
⚪︎フレンドリーで社交的に人と接する(価値)

ここまで読んで気づいた方もいるかもしれませんが、この2つには明確な違いがあります。
それは『自分でコントロールできるかどうか』です。競争に勝つためには必ず相手を越えなければなりませんが、相手の能力を必ず上まわるとは限りません。テストで100点をとろうにも、問題を作るのは他人です。友達になってくれるかどうかは相手の同意も必要です。
しかし価値は違います。自分の価値に従って、いつでも行動することができるのです。
これを登録販売者におきかえると以下のようになるでしょう。

⚫︎薬の接客をする(欲求)
⚪︎周囲の人に薬や健康に対する知識を共有していけるよう全力を尽くす(価値)

仮にこのように価値を設定したときに「今の自分の場合、どう行動すればこの価値を満たすことができるだろう?」と考えるのです。

  • レジに入りながらサンプルを手渡し、健康知識を共有するきっかけを作る
  • レジや納品の時間を数分でも削り、勉強や接客の時間を増やしてもらえないか上長にコミュニケーションをとる
  • 推奨品の専属販売者に名乗りをあげ、試飲やサンプリングを通じて接客スキルを磨く
  • 「私に話しかけてください」などと書かれた自作ハッピを着ながら納品する(絶対誰かにいじられるので、そこで会話のチャンスが生まれる)
  • 接客ができそうな店舗と掛け持ちし、ポートフォリオを組む(法的な特定のルールあり)
  • 家族や親戚に登録販売者で得た知識を活用し、大切な人の健康をサポートする

などなど、様々な行動が浮かぶはずです。
それらをリスト化し、一つ一つ時間をかけて実践していくのです。価値が明確にさえなっていれば、たとえ直接的な薬の接客ではなくとも、あなたの欲望は満たせるのです。
それこそ私がオンラインを通じて皆さまに情報提供しているのも、私の価値を満たす行動の一つです。私の経験や知識を提供することで視聴者の方から「勉強になりました!」と感謝の言葉をいただけると、とても満足した気持ちになり「登録販売者で良かった」と感じることができます。
つまり、登録販売者としての価値を満たす行動は一つではないということです。

ちなみに「どうしてもアイデアが浮かばない」という人は、上司からこう言われたことを想像してみて下さい。

『今日は1日、ずっとレジはしなくていいぞ。納品もしなくていいから、薬壁に張り付いて好きなようにやってごらん。』

いかがでしょうか?
そこで浮かんだアイデアは極端なものになるので、それと現実との折衷案を考えるようにすれば、アイデアが最適化されます。
もしこれでもアイデアが浮かばない方は【ただ現状に文句が言いたいだけで、実は自分の中身が空っぽだった】という可能性もあるので、その場合は悔い改めましょう。

当たり前ですが、どうしても自分の価値が満たされない職場や、明らかなブラック職場なのであれば転職を選択肢に入れましょう。転職はたとえ遠回りでも、自分の価値を満たす行動の一つになり得ます。どうしても不安の感情が付きまとう場合は、以前ご案内した記事に【不安感情の克服法】がありますので、ぜひそちらからメンタルケアをしてみて下さい。

前回記事:【指名の止まらない登録販売者を目指して】ドラッグストアで役立つズルい心理学《不安感情の克服法》)

次回とりあげる予定の質問

次回とりあげる予定の質問

Q:管理者要件を満たしたあとのスキルアップの方法は?

Q:登録販売者にはノルマや買取りがあって、友人からは「登録販売者だけはやめておけ」と言われますが、本当でしょうか?

Q:研修中のオペレーションと勉強の知識をそれぞれ能率よくまとめる方法を教えてください。

Q:帰宅後に勉強していますが、眠気に勝てません。どうすればいいでしょうか?

等々、他にもお答えする予定ですので、ぜひ後編にもご期待ください。

ヤマナオ(登録販売者)

執筆者:ヤマナオ(登録販売者)
YouTube【ヤマナオ会議室】のチャンネル登録者数1.4万人。
DMMオンラインサロン【凡人賢者アカデミー】のオーナー。
登録販売者として、通算10年以上従事した経験を基に「医学」「心理学」「仕事術」をメインテーマとし、情報発信を行っている。

DMMオンラインサロン【凡人賢者アカデミー】はこちら>
過去の記事 【現役ドラッグストア店長直伝】登録販売者の失敗対策<登録販売者のキャリア>
新しい記事 【麻木久仁子さんが語る】セルフメディケーション時代における登録販売者の役割