【登録販売者向け】気象病に効く市販薬や漢方薬はある?接客のポイントをわかりやすく解説
【登録販売者向け】気象病に効く市販薬や漢方薬はある?接客のポイントをわかりやすく解説
ここ数年の間に、「気象病」や「天気痛」の方を対象としたパッケージデザインの市販薬が店舗に並ぶようになりました。気象病に用いられるメインの医薬品は漢方薬となっていますが、本コラムでは、気象病の基礎知識と医薬品の選び方、接客のポイントについて詳しく解説していきます。
目次
登録販売者が知っておきたい、気象病の特徴
梅雨の時期や雨が降っている日、雨が降る前日などに、なんとなく体の不調を感じたことのある人もいるのではないでしょうか?気温・湿度・気圧などの気候変動に伴って起こる体調不良は、一般的に「気象病」と呼ばれています。ここでは、気象病の症状や原因について把握しましょう。
気象病の症状
気象病の症状は人により様々ですが、よくあるものは頭痛、関節痛、倦怠感、気分の落ち込みです。また、第一三共ヘルスケアの「気象病に関する実態調査」によれば、気象病の症状ランキングは以下の通りとなっています。
【気象病の症状ランキング】(n=1985)
- 1位 頭痛 67.1%
- 2位 だるさ 50.8%
- 3位 気分の落ち込み 23.6%
- 4位 首や肩の凝り 21.2%
気象病の原因
気象病の原因は、自律神経の乱れであると考えられています。自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがありますが、これらのバランスが崩れて交感神経が優位になることで頭痛などが発生するといわれています。
登録販売者による接客 気象病に用いられる市販薬と接客のポイント
気象病に対応できる市販薬について学びましょう。漢方の考え方では、気象病は「水毒」が原因であると考えます。水毒とは、体の水分が停滞したり、偏在したりして、その巡りが悪いことを意味します。したがって、気象病には主に体内の水分バランスを調整する漢方薬が用いられます。
五苓散
五苓散は体内の水分代謝を調整する代表的な漢方薬であり、気圧性の頭痛などの症状が見られる時の第一選択薬となることが多い薬です。したがって、実際の接客では、まずは五苓散を試してもらい、「改善しなかったらまた相談に来てください」とお伝えするのもよいでしょう。
- 効能効果:体力にかかわらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、吐き気、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症状:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔い
- 商品例:テイラック、キアガード
苓桂朮甘湯
苓桂朮甘湯は主にめまいの症状に用いられる漢方薬ですが、気象病に用いられることもあります。五苓散との使い分けとしては、お客さまに不眠や不安、神経過敏などの精神不安があるかどうかを伺って、もしそのような症状がある場合には苓桂朮甘湯をおすすめするのがよいでしょう。
- 効能効果:体力中等度以下で、めまい、ふらつきがあり、ときにのぼせや動悸のあるものの次の諸症状:立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏
- 商品例:苓桂朮甘湯エキス錠クラシエ
当帰芍薬散
当帰芍薬散は、女性に不足しがちな「血」を補うと共に、余計な水分を体からとり除く作用があります。気象病に用いられることもありますが、とくに冷えや貧血などの症状が見られる場合に選択するのがよいでしょう。
- 効能効果:体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り
- 商品例:ナリピタン 当帰芍薬散錠、クラシエ当帰芍薬散錠
解熱鎮痛薬
気圧性の頭痛に対しては、アセトアミノフェンやイブプロフェン、ロキソプロフェンなどの解熱鎮痛薬も使用することができます。とくに漢方薬が苦手な方や、西洋薬をご希望の方に勧めるのがよいでしょう。解熱鎮痛薬を選ぶ際は、「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」などを防ぐためにも、できるだけお客さまがいつもお使いの頭痛薬と同じものを選ぶようにしましょう。
プラスアルファの接客 気象病の養生法
医薬品の案内をする際には、あわせて日常生活における養生法についてお伝えすると、お客さまからの信頼度もアップします。接客のクロージングの際に、ぜひ一言付け加えてくださいね。
食べ物や飲み物に注意
水毒を防ぐには、普段から食べ物や飲み物にも配慮するのがおすすめです。まずは食べ物ですが、塩辛いものを食べるとのどが渇き、水分がほしくなります。この時に飲んだ水分は体にたまりやすいため、味付けに注意するのがよいでしょう。また、水分を摂りすぎないようにし、水分補給する際はこまめに少しずつおこなうようお伝えしてください。
規則正しい生活習慣
気象病は、自律神経のバランスに大きくかかわっていると考えられます。そのため、早寝・早起き、毎日同じ時間帯に食事をとるなどし、まずは生活リズムを整えましょう。また、朝は太陽の光を浴び、寝る前はスマホなどの使用を控えることで、生活の質をあげることができますよ。
まとめ|気象病への対応は市販薬でも可能
気象病の可能性があるときは、市販薬で様子を見ることもできます。漢方薬や解熱鎮痛薬など選択肢もたくさんありますので、お客さまにぴったりの商品を選んであげてくださいね。ただし、市販薬で改善されない場合、気象病ではない可能性もあるため、医療機関への受診を促すようにしましょう。
執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC医薬品についての情報発信をおこなっている。
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