サポートを受ける

お電話でのご登録・ご相談も承っております。

フリーコール 0120-959-755

月~金曜(祝・祭日を除く) 9:00~18:00

  1. 登録販売者 求人・転職TOP
  2. お役立ち情報
  3. 業界コラム
  4. 現場で活かす知識
  5. 【現場で使える!漢方】登販向け:季節の変わり目に多い咳の対処法
業界コラム 現場で活かす知識

【現場で使える!漢方】登販向け:季節の変わり目に多い咳の対処法

【現場で使える!漢方】登販向け:季節の変わり目に多い咳の対処法

気温差が激しく徐々に乾燥の強まるこの時期は咳でお悩みの方が増える時期でもあります。
漢方での五臓六腑の考えの中でも、秋は「肺」と関係の深い季節。

この記事では「咳」をテーマに、登録販売者さんがご自身の店頭にある漢方薬を「自信をもって」「わかりやすく」患者さまにご提案できるよう、漢方の選び方や特徴をお伝えしてまいります。

咳が長引く場合や他の症状も併発している場合は適切な医療機関への受診勧告が先決です。そのうえで、お客さまのセルフメディケーションのお手伝いがしっかりとできるよう、咳の漢方を見ていきましょう。

●扱う漢方
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
五虎湯(ごことう)
麦門冬湯(ばくもんどうとう)

目次

咳の漢方、パッケージの暗記よりも大切な事

咳の漢方、パッケージの暗記よりも大切な事

咳の漢方はパッケージの文言だけでは選びづらい、決め手に欠ける場合が多々あります。
「体力中等度?」「体力中等度以下?」という文言で選択してしまうと「咳」という症状の原因とずれた漢方を選んでしまいかねません。

お客さまも選ぶのに迷う部分でもあるので、その背景にある漢方の特徴をしっかり押さえるようにしましょう。

ポイントは「寒熱」と「虚実」です。
難しそうに感じるかもしれませんが大丈夫!簡単に説明しますのでお付き合いください。

登録販売者が理解しておきたい咳の寒熱

登録販売者が理解しておきたい咳の寒熱

肺が冷えたときと肺が熱を持ったときでは状態も対処法も異なります。特徴は以下の通りです。

肺が冷えた時の青い咳(寒)

状態
冷えた空気を吸うと咳が悪化。痰はさらさらと水っぽく、色は薄い~透明。
対処法
肺を温める漢方を使用します。
漢方薬
小青竜湯

・小青竜湯
構成生薬:麻黄・桂枝・五味子・半夏・乾姜・細辛・芍薬・甘草
麻黄湯や葛根湯と同様に、麻黄+桂枝の組み合わせで身体の表面を温めます。それとともに、細辛・乾姜・半夏で身体の中心を温め、痰を取りのぞきます。そして、五味子で肺気を温め逆気を収斂することで咳をケアする漢方です。

肺が熱を持った時の赤い咳(熱)

状態
咳込みが強めで、痰を伴う。痰は粘度が強めで、白~黄色。
対処法、漢方薬
さらに見極めてから判断。

赤い咳はさらに虚実を分けていきます。

虚実とは...ここでは簡易的に、邪気が過剰な状態を実/身体の守備が不足した状態を(虚)としています。

登録販売者が理解しておきたい咳の虚実

登録販売者が理解しておきたい咳の寒熱

上記の寒熱に、さらに虚実を分類して考えます。

赤い咳の虚実

赤い咳の原因となる「熱」は、実熱と虚熱があります。同じ熱症状でも原因や状態が異なるので、対応する漢方薬も異なります。見分け方もふくめて解説します。

実熱

実熱とは熱(邪気)が盛んな状態です。

状態
咳込みが強く、痰は粘度が高く、白~黄色の色がついている。
対処法
肺実熱→肺熱をしっかり冷ます漢方を使用します。
漢方薬
麻杏甘石湯、五虎湯

・麻杏甘石湯
構成生薬:麻黄・石膏・甘草・杏仁
肺に熱を持つ咳に対して、麻黄+石膏の組み合わせで肺熱を清める漢方です。
(石膏は、美術室にある石膏像のイメージ通りひんやりとさせる生薬です。)

・五虎湯
構成生薬:麻杏甘石湯+桑白皮(そうはくひ)
桑白皮はより炎症をケアするために加えられたイメージになります。
咳嗽や咽頭痛が強い場合には五虎湯をおすすめしますが、判断に迷う場合はどちらを選んでも大きく失敗はしません。

これらは「実」に使われる漢方なので「体力が中等度以上の~」という文言になっています。

虚熱

虚熱とは実際に熱が盛んなのではなく、熱を冷ますための潤い不足で相対的に熱を冷ませず熱を持っているイメージです。

状態
(潤い不足で)痰がない、または粘度が高くへばりついて吐き出せない、喉に乾いた感覚があり潤すと咳が少し落ち着く、夜間(陰の時間帯)に咳がひどくなる。
対処法
肺陰虚→肺を潤す漢方を使用します。
漢方薬
麦門冬湯

・麦門冬湯
構成生薬:麦門冬・半夏・人参・大棗・甘草・粳米
麦門冬は肺胃の陰を補う代表生薬です。
気道の粘膜が乾燥して刺激を受けやすくなっているような咳に対して、陰を補い潤す漢方です。半夏自体は本来、痰を取り去るような乾燥させる生薬ですが、麦門冬や他の生薬が潤性であるため、全体として肺陰虚に使用する漢方になっています。

麦門冬湯は「虚」に使われる漢方なので「体力中等度以下で~」という文言になっています。

それぞれの漢方の使用上の留意点

・小青竜湯
発散性の強い「麻黄(まおう)」という生薬を含みます。胃腸が極端に弱い方は注意が必要です。また漫然と長期で服用するとお身体に負担がかかることがあります。
また敏感な方は夜間の服用で寝付きづらくなることがあります。妊婦さんへの使用も注意が必要です。

・麻杏甘石湯/五虎湯
これらも小青竜湯と同様、麻黄を含みますので上記の点にご注意ください。

・麦門冬湯
比較的穏やかな構成生薬の漢方ですが、同じく漫然と使用するのではなく症状に変化が見られない場合などは医療機関への受診勧告が必要です。

プラスαの養生提案でよりお客さまに愛される登販に!

肺冷えの咳(小青竜湯を提案するような方へ)

肺の冷えが原因での咳ですので肺を温めて上げるような養生が大切です。
ネギや生姜など、薬味として活躍する食材はお身体を内側から温めてくれますのでおススメです。冷たい空気で刺激を受けやすいので外出時はマスクもお忘れなく。

肺熱の咳(麻杏甘石湯/五虎湯を提案するような方へ)

肺の熱が原因での咳ですので、「余分な熱を冷ます」養生が大切です。
おすすめは大根。大根は余分な熱を冷ます食材で、大根おろしにして召し上がると喉の炎症ケアにもつながります。これからお鍋のおいしい時期になりますので上手に活用してください。

麦門冬湯を提案するような方へ

肺の渇きが原因での咳ですので「肺を潤す」養生が大切です。
おススメは蓮根。肺を潤すには白い食材がよい、といわれますが中でも蓮根は実際に漢方薬の生薬として咳のケアにも使われています。
潤いを飛ばしてしまうような発散性のつよいもの(辛い物やスパイシーなものなど)は、しばらく控えるとよいでしょう。

まとめ

今回は咳の漢方の選び方をご紹介しました。
お客さまから咳のご相談をいただいた際に、まずは何を伺うか、次にどんな質問をするか、しっかりと組み立てておくとスムーズに漢方の提案まで完結することができます。

漢方の提案には商品知識だけでなく、お客さまから症状についてお話いただく「カウンセリングスキル」も非常に大切になります。実践により磨かれていきますので、積極的にお客さまとお話されるとよいと思います。

商品のご提案だけでなく、合わせて生活養生もお伝えし、「次回来店時に、ご様子お聞かせくださいね。」とお伝えすると漢方の販売がただの「物販」ではなく、お客さまにとっての「体験」となり、ファン化につながります。

より深いカウンセリングや問診スキルを学び的確な処方選択を目指す場合には研鑽が欠かせません。ご興味のある方は協会ホームページを参照ください。

執筆者:猪子英恵(いのこ はなえ)

執筆者:猪子英恵(いのこ はなえ)
薬剤師・国際中医専門員
臨床漢方カウンセリング協会理事
神奈川ME-BYOスタイルアンバサダー
集英社LEEキャラクター

首都圏を中心に全国の医療機関で漢方外来を受託。
「現場で使える」漢方とカウンセリングスキルの講座を
薬剤師・登録販売者に向けて開催。
臨床漢方カウンセリング協会

【執筆、監修など】
・わかさ出版ムック本 ハトムギ水 執筆、監修
・セントラルメディエンスコミュニケーションズ出版 月刊雑誌「からだにいいこと」2020年1月号 ハトムギ美容記事 執筆、監修
・株式会社ハルメクホールディングス出版 月刊雑誌「ハルメク」2021年1月号ハトムギ美容記事 監修
・第一三共ヘルスケアダイレクト株式会社 化粧品「RICE FORCE」web ボディシミに注意!記事執筆
過去の記事 【登販向け】秋バテへの対策は?症状ごとのおすすめ市販薬を紹介
新しい記事 【登録販売者はチェック!】接客で麦門冬湯の飲み合わせ、効果を説明する際の注意点を紹介