【登録販売者試験対策】第3章攻略が合格へのカギ!薬の成分はこうやって覚えよう
【登録販売者試験対策】第3章攻略が合格へのカギ!薬の成分はこうやって覚えよう
この記事では、登録販売者試験で最も難所であるとされる、第3章の攻略法について解説します。
【目次】
- ・登録販売者試験は第3章が難関
- ・第3章の試験範囲と求められる力
- ・第3章の攻略法
- ・実務でも活用できるよう、成分表を作るのがおすすめ
- ・漢方問題は捨ててもよい⁈
- ・まとめ|第3章は覚え方に工夫が必要!ポイントをおさえて、攻略しよう
登録販売者試験は第3章が難関
登録販売者試験の勉強では、第3章でつまずく人が多いといわれています。第3章は「医薬品の成分」に関する章であり、登録販売者になった後も多用する実用的な知識ばかりです。そのため、第3章は他の章と比べて2倍の問題数(40問)となっています。
第3章の試験範囲と求められる力
まずは、試験範囲について確認していきましょう。
【試験範囲】大分類 | 小分類 | |
---|---|---|
1 | 自律神経系とそれに関わる成分 | かぜ薬、解熱鎮痛薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、乗物酔い防止薬、小児鎮静薬 |
2 | 呼吸器官に作用する薬 | 鎮咳去痰薬、口腔咽喉薬、うがい薬 |
3 | 胃腸に作用する薬 | 胃の薬、腸の薬、胃腸鎮痛鎮痙薬、その他の消化器官用薬 |
4 | 心臓などの器官や血液に作用する薬 | 強心薬、高コレステロール改善薬、貧血用薬、その他の循環器用薬 |
5 | 排泄に関わる部位に作用する薬 | 痔の薬、泌尿器用薬 |
6 | 婦人薬 | ― |
7 | 内服アレルギー用薬・鼻炎用内服薬 | ― |
8 | 鼻炎用点鼻薬 | ― |
9 | 点眼薬 | ― |
10 | 外皮用薬 | ― |
11 | 歯痛薬、歯槽膿漏薬、口内炎用薬 | ― |
12 | 禁煙補助剤 | ― |
13 | 滋養強壮保健薬 | ― |
14 | 漢方処方製剤 | ― |
15 | 公衆衛生用薬 | 消毒薬、殺虫剤・忌避剤 |
16 | 一般用検査薬 | ― |
手引きにおける「第3章の問題作成のポイント」は以下の通りです。
- <第3章の問題作成のポイント>
- 一般用医薬品において用いられる主な有効成分に関して、次の事項につき理解し、購入者等への情報提供や相談対応に活用できること
- 基本的な効能効果及びその特徴
- 飲み方や飲み合わせ、年齢、基礎疾患等、効き目や安全性に影響を与える要因
- 起こり得る副作用
成分の効能効果や作用機序、使用方法、基礎疾患のある人への対応、副作用など、現場でお客さま対応をする際に必要な知識の基礎となる部分が問われます。
第3章の攻略法
ここでは、6つの攻略ポイントをご紹介します。
勉強の順番を変える
第3章の手引きは「かぜ薬」から始まります。そのため、「かぜ薬」から学習をスタートする受験生が多いですが、「かぜ薬」は配合剤であり、約80種類もの多さがあることから、最初につまづきやすくなっています。しかしながら、「かぜ薬」の内訳を見てみると、実は「解熱鎮痛薬」や「鎮咳去痰薬」、「内服アレルギー用薬・鼻炎用内服薬」の3つのカテゴリーの成分の組み合わせであることがわかります。
かぜ薬解熱鎮痛薬
鎮咳去痰薬
内服アレルギー用薬
鼻炎用内服薬
したがって、最初から「かぜ薬」を学習するのではなく、上記の3カテゴリーの成分についてそれぞれ学んだ後、「かぜ薬」について学習することをおすすめします。そうすることで、「かぜ薬」の成分はすでに学んだものばかりになり、新たに覚えることはほとんどなくなります。
なお、内服アレルギー用薬・鼻炎用内服薬の範囲内にある「抗ヒスタミン成分」や「アドレナリン作動成分」などは、かぜ薬以外のカテゴリーでも繰り返し出てくる成分群です。先に学習しておくと効率的でしょう。
成分の共通語尾を覚える
成分の名前を覚えるのはきわめて骨の折れる作業ですが、覚え方にはコツがあります。成分名は語尾に着目しましょう。多くの成分では、グループごとに語尾に共通の特徴があります。ただし、すべての成分が当てはまるわけではないため、注意が必要です。
語尾 | 成分群 | 成分の例 |
---|---|---|
○○アミン・スチン | 抗ヒスタミン成分 | ジフェンヒドラミン、クレマスチン |
○○アーゼ | 消化酵素 | ジアスターゼ、リパーゼ |
○○ゾン・ゾロン | ステロイド性抗炎症成分 | デキサメタゾン、プレドニゾロン |
○○ゾリン | 血管収縮成分 | ナファゾリン、テトラヒドロゾリン |
○○フィリン | キサンチン系気管支拡張成分 | ジプロフィリン、(テオフィリン:第5章) |
○○カイン | 局所麻酔成分 | リドカイン、ジブカイン |
○○シン | 抗生物質 | フラジオマイシン、バシトラシン |
○○リン | アドレナリン作動成分 | プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン |
ゴロ合わせで暗記する
ゴロ合わせで覚えるのもおすすめの方法です。ゴロ合わせを作るメリットは、「試行錯誤して作っている間に覚えてしまう」ところにあります。ある試験勉強の小話には、「カンニングペーパーを作っている間に全部覚えてしまった」というものがあります。カンペ作りは要点を抜き出し、集中して覚えるのに適していた、ということです。誰かの作ったゴロ合わせを拝借するのももちろんよいですが、ゴロ合わせ作りが苦痛でなければ、カンペの話と同じように自分で作った方がより記憶に残りやすいはずです。
漢方は最後に勉強する
漢方薬は全部で74種類あり、覚えることが多いため、勉強を後回しにする人もよく見られます。漢方薬は西洋薬とは異なり、独特な長い効能効果がまるごと出題されることがあります。そのため、まずは西洋薬を一通り憶えてから漢方薬に取り組んだ方が混乱しにくいでしょう。ただし、漢方薬の学習が間に合わなくならないように、計画的におこなう必要があります。
過去問を多く解いて出題傾向を探る
登録販売者試験の学習において、過去問対策は必須です。なぜなら、過去問を解くことでどのような問題が多く出題されているかなど、出題傾向を掴むことができるからです。過去問の勉強法については、以下のページで詳しく解説していますので、ぜひ参照ください。
【登録販売者試験】過去問の勉強法で合否が決まる!勉強のコツを解説
実際に店舗で成分表を見て記憶に残す
ドラッグストアなど医薬品を扱う職場ですでに勤務している人は、レジや品出し中に、商品のパッケージに記載のある成分を確認してみましょう。机上で勉強していることを実務の商品と結びつけることで、記憶に定着しやすくなります。
また、試験では、事例問題も出題されます。例えば、ある商品の成分一覧を掲載し、その成分に関する記述の正誤を答えるというものです。例えば、以下のような形です。
【問】- 1日量 12錠中 成人(15才以上)
- 銅クロロフィリンカリウム 120mg
- 無水リン酸水素カルシウム 1020mg
- 沈降炭酸カルシウム 1020mg
- 水酸化マグネシウム 960mg
- ロートエキス 30mg
実際の商品の処方が使われ、実務に直結する問題となっているのがわかります。この形式の問題に慣れておく意味でも、日ごろから商品の成分表を見ておくのは試験に有効です。
実務でも活用できるよう、成分表を作るのがおすすめ
自分で成分一覧表を作りまとめる方法も、おすすめの勉強法です。
<成分一覧表の例>グループ | 成分名 | 特徴 |
---|---|---|
解熱鎮痛成分 | アセトアミノフェン | 主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらすため、末梢における抗炎症作用は期待できない |
イブプロフェン | アスピリン等に比べて胃腸への悪影響が少なく、抗炎症作用も示す | |
アスピリン | アスピリンは、他の解熱鎮痛成分に比較して胃腸障害を起こしやすい |
資料を作るという作業で内容が記憶に定着しやすくなるほか、今後の実務でも役に立つというメリットがあります。
漢方問題は捨ててもよい⁈
今もなお、生薬や漢方薬の問題は捨ててもいいですか?と質問をいただくことがあります。実際に、5~6年以上前に受験した先輩登録販売者の中には、受験生に「生薬・漢方薬は捨てても問題ない」と助言する方もいます。しかし、近年の出題傾向として、第3章では、生薬・漢方薬に関する問題が増えているのが現状です。
例えば、2022年度の北海道・東北ブロックの登録販売者試験では、生薬に関する問題が多く出題されています。
- 【2022年の北海道・東北ブロック】
- 第3章 全40問中
- 生薬に関する問題、または、生薬が含まれた問題:12問
- 漢方薬に関する問題、または、漢方薬が含まれた問題:4問
- 参考:令和1年度版 登録販売者試験 過去問題集より
また、非常に合格率の低かった2019年度の首都圏ブロックでは、多くのの生薬・漢方薬に関する問題が出題されました。
- 【2019年の首都圏ブロック】
- 第3章 全40問中
- 生薬に関する問題、または、生薬が含まれた問題:9問
- 漢方薬に関する問題、または、漢方薬が含まれた問題:5問
- 生薬・漢方薬の複合問題:5問
- 参考:2019年 登録販売者試験 過去問題集より
上記の例では、第3章の約半数の問題に生薬・漢方薬関連の記述が含まれていたことになります。これらをすべて捨てることは、合否に大きく影響するのは明らかです。
また、上記の2022年度の北海道・東北ブロックにおける事例ですが、生薬を捨てた状態で試験に挑んだ方が、生薬・漢方薬関連の問題が予想以上に多かったことに精神的ダメージを受け、その他の基本的な問題まで落としてしまったというケースもありました。残念ながら、このような事例は少なくありません。現実的な対策としては、他の章と同様にしっかりと記憶する、あるいは頻出の成分だけでも覚える必要があるでしょう。
「捨ててもいい」といってもらえれば、その場は気が楽になるかもしれません。しかし、そのように助言した先輩が不合格の責任を取ってくれることはありません。捨ててもよいかどうかは自分自身で判断するようにしましょう。
まとめ|第3章は覚え方に工夫が必要!ポイントをおさえて、攻略しよう
第3章は多くの成分を覚える必要がありますが、やみくもに覚えるのではなく、今回ご紹介した方法を活用したり優先順位をつけたりして効率よく学習を進めましょう。
執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
twitter、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC医薬品についての情報発信をおこなっている。
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