【2023年試験速報】登録販売者試験の出題傾向を徹底分析!
公開日:2023年11月15日
更新日:2024年03月19日
【2023年試験速報】登録販売者試験の出題傾向を徹底分析!
2023年におこなわれた登録販売者試験の出題傾向や難易度、学習のポイントなどについて詳しく解説します。とくに2024年の受験を予定している方は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
登録販売者試験のブロックについて
登録販売者試験は全国を数ブロックにわけて開催され、同ブロック内の試験問題は同じ内容となっています。2023年のブロックの構成は、2022年と同様です。
- 北海道・東北ブロック
- 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県
- 北関東・甲信越ブロック
- 茨城県 栃木県 群馬県 新潟県 山梨県 長野県
- 首都圏ブロック
- 東京都 神奈川県 千葉県 埼玉県
- 北陸・東海ブロック
- 富山県 石川県 静岡県 愛知県 岐阜県 三重県
- 関西広域連合ブロック
- 大阪府 京都府 兵庫県 滋賀県 和歌山県 徳島県 福井県
- 奈良ブロック
- 奈良県
- 中国・四国ブロック
- 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 香川県 高知県 愛媛県
- 九州・沖縄ブロック
- 福岡県 大分県 宮崎県 佐賀県 長崎県 熊本県 鹿児島県 沖縄県
各ブロックの合格率
各ブロックの合格率は次の通りです。こちらの数字はブロックごとの平均合格率を記載しています。
ブロック名 | 2023年の合格率 | 2022年の合格率 | 増減 |
---|---|---|---|
北海道・東北ブロック | 45.1%※1 | 46.9% | -1.8ポイント |
北関東・甲信越ブロック | 51.9%※2 | 51.4% | +0.5ポイント |
首都圏ブロック | 45.0%※3 | 41.6% | +3.4ポイント |
北陸・東海ブロック | 47.2% | 43.3% | +3.9ポイント |
関西広域連合ブロック | 34.4% | 34.8% | -0.4ポイント |
奈良ブロック | 54.2% | 47.8% | +6.4ポイント |
中国・四国ブロック | 27.7% | 39.7% | -12ポイント |
九州・沖縄ブロック | 49.6% | 55.6% | -6ポイント |
※1 山形県の公表がないため除外して算出
※2 栃木県の公表がないため除外して算出
※3 千葉県で台風による追加試験があったため、それも含めて算出
2023年の登録販売者試験【ブロックごとの出題傾向(日程順)】
2023年におこなわれた登録販売者試験について、各ブロックの出題傾向などを解説します。
関西広域連合ブロック(試験日:2023年8月27日)
全体として難易度がやや高い試験であり、合格率も2022年に比べて0.4ポイント下がりました。当ブロックは「過去問対策だけしていればよい」という試験ではなく、「手引きを理解したうえで考えさせる問題」が多く出題される傾向があります。試験作成者が考え抜いて作った問題も毎年見受けられるため、「解きにくい」と感じる方もいることでしょう。
とくに第3章の難易度が高く、第3章のミスを他の章で補えているかどうかが合否をわけました。生薬・漢方薬の問題数はそこまで多くありませんでしたが、「構成生薬を問う問題」や「1つの漢方薬について詳しく問う問題」が複数見られ、悩んだ受験生も多かったことでしょう。
当ブロックでは、例年、漢方薬を重視している傾向が見られます。そのため、漢方薬については、頻出度の高い成分から順にできるだけ広く対策するのがおすすめです。
北関東・甲信越ブロック(試験日:2023年8月29日)
2022年は9月の開催でしたが、2023年は8月末に前倒しになりました。2024年も同時期の開催である可能性が高いため、2024年に受験予定の方は、スケジュールに注意してください。
総評としては、基礎的な問題が多く、選択肢もやさしめでした。合格率は51.9%と、全国ブロックの中で2番目に高い結果となりました。第3章についても全体として解きやすい問題が多く、細部まで勉強していた方からは「拍子抜けした」という声もあがっていました。しかしながら、2022年の手引き改訂で追加された成分(フェキソフェナジン、ロラタジンなど)も出題されていたため、2024年の試験を受ける予定の方は、近年、手引きに追加された成分についてもきちんと押さえるようにしましょう。
【2022年に手引きに追加された成分】
- サリチル酸系解熱鎮痛成分
- サリチル酸ナトリウム
- 抗ヒスタミン成分
- エピナスチン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩、ロラタジン
- 忌避剤
- イカリジン
北海道・東北ブロック(試験日:2023年8月30日)
全体として素直な問題が多く、難易度は低めであり、過去問を繰り返し解いていた人は高得点が狙える試験でした。合格率は2022年に比べてやや下がりましたが、おおむね平年並みです。
2022年の試験の第3章は生薬成分に関する出題が非常に多く、受験生を悩ませましたが、2023年は生薬・漢方薬の問題数も例年通りに戻っています。少し特徴があったのは第4章です。第4章では、手引きの本文ではなく、条文から引用された文章や、注釈部分に書かれている文章など、過去問であまり見かけない記述を含む問題が複数見受けられました(問23のd「化粧品の効能効果の範囲」、問35の1「帳簿」など)。
しかしながら、全体として選択肢はやさしいものが多かったため、合否への大きな影響はなかったと考えられます。
東海・北陸ブロック(試験日:2023年9月6日)
以前は安定した合格率を誇っていた北陸・東海ブロックですが、2022年は合格率が下がり、2023年も試験の難易度はやや難化傾向があります。しかしながら、2023年の合格率は47.2%であり、2022年に比べて回復傾向にあります。受験生が前年の傾向を分析・対策した、努力の結果が垣間見えます。
とくに第3章では、過去問であまり見かけない成分が多く出題され、解きにくい問題が多く見受けられました。生薬・漢方薬についても頻出度の低い成分(アカメガシワや当帰四逆加呉茱萸生姜湯など)が出題されていたため、気持ちの切り替えを必要とするタフな試験内容でした。第3章でどれだけ致命傷を防げたか、そして、他の章でどれだけカバーできたかが合否をわけたといえそうです。
難問はどのブロックでも必ず出題されますが、解けなくても気にせず前に進む強さが必要です。過去問を解く際には、難問に当たった時の自分の気持ちの動きにも着目し、冷静さを取り戻す方法をあらかじめ見つけておくようにしましょう。
首都圏ブロック(試験日:2023年9月10日)
首都圏ブロックの合格率は45.0%であり、2022年よりも3.4ポイント上昇しました。
首都圏ブロックは他ブロックと比較して、生薬・漢方薬に関する問題が多く出題される傾向があるため、注意が必要な地域です。2023年も予測通り、第3章では生薬・漢方薬の問題が16問出題されました。これは第3章全体の4割を占めているため、生薬・漢方薬の対策をしていなかった方にはつらい試験になったことでしょう。しかしながら、合格率への大きな影響はなかったことから、受験生が傾向をつかみ、きちんと対策した結果であると考えられます。
また、第5章では過去問にはないような実践的な問題が含まれていました。とくに第5章の問111、「かぜ薬の対応」についての問題は、複数の要素が組み込まれた良問でした。なお、第3章と第5章以外は素直な問題が多く、過去問で対応可能な内容でした。
奈良ブロック(試験日:2023年9月24日)
関西の登録販売者試験は「関西広域連合ブロック」として共通の試験をおこなっていますが、2023年も奈良ブロックのみ統合されずに別日程での試験となっています。
しかしながら、2023年に奈良県の知事が交代し、新知事は「関西広域連合」に全面加入する意思を表明しています。したがって、2024年は奈良県も関西広域連合ブロックに加わる可能性があるため、該当地域の受験を予定している方は関連情報をこまめに確認するようにしてください。
2023年の奈良ブロックの試験は例年並みの難易度であり、素直な問題が多く、過去問で充分に対策できるものでした。合格率も54.2%と、全国でもっとも高い結果となりました。ただし、先述した通り、2024年は関西広域連合ブロックに吸収される可能性を踏まえ、関西広域ブロックの試験対策もおこなっておくことをおすすめします。
中国・四国ブロック(試験日:2023年10月17日)
2023年の合格率は27.7%と、全国でもっとも低い結果となりました。2022年との比較でも、12ポイントも下がってしまい、苦戦した受験生が多くいたことでしょう。試験の難易度を高くしている要因は次の通りです。
- 手引きの文章そのままでなく、言い換えた形で「理解」を問う問題が多かった
- 過去問でほとんど出てきたことのない記述・問題形式が多い
- 頻出成分だけでなく、少しマニアックな成分まで網羅的に出題されている
- 手引きの欄外に記載された記述も出題されている
- 消去法が効かない問題がある
具体的な対策として、過去問は平均的に100点(120点満点中)を取れる水準まで持っていっておくことが大前提になります。中国・四国ブロックの試験では、過去問を土台にして(つまり過去問の類似問題については必ず点を取るということ)、応用問題でどこまで得点できるかが勝負になります。
また、根本的な解決策になりますが、他のブロックよりも合格のハードルが高いため、中国・四国ブロック以外のブロックでの受験も考慮してください。
九州・沖縄ブロック(試験日:2023年12月10日)
九州・沖縄ブロックの2023年の合格率は、2022年に比べて6ポイント下がりましたが、49.6%と全国の中では高めです。難易度も平易であり、過去問演習で充分に得点できる内容でした。
九州・沖縄ブロックの合格率は、例年そこまで大きな波がなく、試験問題も素直なものが比較的多いです。試験日程も12月であり、他のブロックよりも遅いため、併願先として考慮するのもおすすめです。
まとめ|各ブロックの登録販売者試験の傾向を踏まえて対策しよう
登録販売者試験はブロックごとに特色があります。まずは受験予定のブロックの近年の傾向をつかみ、しっかりと対策を講じましょう。また、今年どこかのブロックで出題された問題が、翌年、別のブロックで出されることもあります。したがって、少なくとも直近1年の全国ブロックの問題は解いておくようにしてくださいね。
執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC医薬品についての情報発信をおこなっている。
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