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事例から学ぶOTC医薬品〜鎮咳薬編 partⅠ〜

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

事例から学ぶOTC医薬品〜鎮咳薬編 partⅠ〜

  • 【お客さまの背景】
  • 32歳、女性、会社員。風邪と思われる症状があったが、今は咳だけ残っている。テレワークが増え、運動不足で便秘気味である。

お客さま:咳が出ていますが、良い薬はありますか?

登録販売者:いらっしゃいませ。いつから咳がありますか?

お客様:風邪かなと思いますが、2日前に熱や鼻水、咳が出て、今は咳が残っています。痰はほとんどありません。

咳が出始めた時期を確認します。2週間以上続く咳の場合は、この時点で受診を促します。 お客様から「〇〇(病名)だと思う」と言われることがありますが、先入観を持たずにお話しを伺いましょう。

登録販売者:熱はもう下がったということですね?ほかに、強いふるえや倦怠感などの全身症状はないですか?

お客様:37度7分まで出ましたが、今は下がりました。全身症状もありません。

症状の経過を伺います。38度を超える高熱や強い悪寒などの全身症状を伴う場合、一般的な「風邪」ではない、肺炎などの可能性も考慮します。

登録販売者:呼吸をする時にゼーゼーヒューヒューと音がするようなことや、呼吸困難感がある、夜眠れないなどの症状はありますか?

お客さま:ありません。でも咳で体が疲れてきました。

気管支喘息では、ゼーゼーヒューヒューと音がする、息苦しいなどの症状が、肺炎では、呼吸困難感がある、呼吸が荒いなどの症状が出ることがあります。この質問でYESの場合、受診を促します。

登録販売者:咳が続くとしんどいですよね。緑内障や高血圧、気管支喘息、てんかんなどの持病や、便秘の症状はありますか?

お客さま:持病はありませんが、テレワークで運動不足のせいか便秘気味です。

登録販売者:そうしましたら、コデインと呼ばれる成分は便秘を起こしやすいので避けますね。薬やサプリメントは何か飲んでいますか?

お客さま:家に1回分だけ風邪薬があったので、初日に飲みました。

登録販売者:今は何も飲んでいないということですね。それと、鎮咳薬は眠くなる成分の入ったものが多いですが、眠くなりにくいものの方が良いですか?その場合は漢方薬なども含めて検討します。

  • 【注意すべき持病】
  • ・抗ヒスタミン薬:緑内障、前立腺肥大症
  • ・アドレナリン作動薬:高血圧
  • ・気管支喘息発作中:麻薬性鎮咳薬の使用は禁忌である
  • ・ジプロフィリン:てんかん

乾いた咳の場合は麦門冬湯を、痰の絡む湿った咳の場合は小青竜湯を検討するのも良いでしょう。

お客さま:眠くなるものでも大丈夫です。仕事はお休みなので。

登録販売者:ゆっくり休むのが一番ですね。そうしましたら、1日2回の服用で長く効く「新コンタックせき止めダブル持続性」か、咳と一緒にのどのイガイガ感もあるようでしたら、「ベンザブロックトローチ」はいかがでしょうか。

  • ●新コンタックせき止めダブル持続性
  • 成分:デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ジプロフィリン
  • ●ベンザブロックトローチ
  • 成分:デキストロメトルファンフェノールフタリン塩、グアヤコールスルホン酸カリウム、セチルピリジニウム塩化物水和物

お客さま:服用回数が少ないものの方が良いので、コンタックにします。

登録販売者:そうですね、1回1カプセルで12時間効きますので、楽ですよ。5~6回服用しても症状が改善しない場合は、また相談してくださいね。

お客さま:そうしますね。ありがとうございます。

登録販売者:お大事になさってください。

選択肢を2~3個提案して最終的にお客さまに選んでもらうのも、薬を安心してご購入いただくための1つのテクニックです。ただし、資格者に判断を全部任せたいというお客さまもいますので、場合によって使い分けます。

鎮咳・去痰薬の接客の大まかな流れ

咳は体内の異物を取り除くために必要な生体防御反応ですので、薬がなくても我慢できる程度の咳では、無理に薬を使う必要はありません。ではなぜ咳止め薬が存在しているかとういうと、咳によって体力が消耗したり不眠を起こしたりして、治りが遅くなることがあるからです。鎮咳薬の販売では、それを念頭に置いて対応するようにしましょう。

  • 1.咳がいつから出ているのかを確認する
  • 2.受診勧奨すべきかを判断する
  • 3.薬を選ぶ

1.咳がいつから出ているのかを確認する

咳は、発症からどのくらい症状が続いているかによって、急性の咳、遷延性の咳、慢性の咳の3つに分けることができます。咳が2週間程度続いている場合や、咳が出始めて1週めでも、夜眠れない、呼吸困難感があるなどの症状があれば、医療機関への受診を促します。

鎮咳_図1.png

2.受診勧奨すべきかを判断する

気管支喘息や肺炎など、OTC医薬品で対応ができない病気の疑いがないかを確認します。気管支喘息は症状が重症化すると、呼吸ができなくなり窒息する可能性もある病気です。OTC医薬品での対応は困難なので、即刻の受診を促します。また麻薬性鎮咳薬は、気管支喘息発作中は禁忌です。OTC医薬品の場合、添付文書にそのような表記がありませんので、注意してください。

受診勧奨の目安

  • ◆気管支喘息:呼吸をする時にゼーゼーヒューヒューと音がする、息苦しい
  • ◆肺炎:咳と共に、高熱(38度以上)がある、強い悪寒・倦怠感などの全身症状、呼吸困難感がある
  • ◆高齢者:肺炎にかかりやすいため、咳がある場合には受診勧奨を基本とする

3.薬を選ぶ

●麻薬性鎮咳薬の使用について

多くの商品に麻薬性鎮咳薬が含まれていますが、麻薬性鎮咳薬は比較的リスクの高い成分です。車の運転をする人、妊娠中・授乳中の人、12歳未満の子供、気管支喘息発作中の人は使用を避けます。この他、肥満症の人では呼吸抑制の恐れが、便秘の人では症状が悪化する恐れがあり、連用による薬物依存にも注意すべきです。適切な理由により麻薬性鎮咳薬をすすめる必要のある場合には、依存性のリスクについても注意喚起を行い、数日に限って使用するようにお伝えします。

●麻薬性鎮咳薬とデキストロメトルファンの比較

麻薬性鎮咳薬には強い鎮咳作用がありますが、デキストロメトルファンは、麻薬性鎮咳薬とほぼ同等の鎮咳作用があるとされています。接客の際には、デキストロメトルファンの配合された鎮咳薬を優先して検討するようにしましょう。ただし、デキストロメトルファンにも眠気の副作用があることと、海外で濫用されている例もあります。どのような薬にもリスクはありますが、その度合いは大小さまざまです。OTC医薬品の接客では、効果とリスクを天秤にかけて薬を選ぶことが大切です。

●麻薬性鎮咳薬が使われていない商品

以下に、麻薬性鎮咳薬が入っていない商品をピックアップしました。麻薬性鎮咳薬が入っていない商品は少ないので、自店のラインナップをあらかじめ押さえておきましょう。

  • 【鎮咳薬(デキストロメトルファン主要製剤)】
  • ◆新コンタックせき止めダブル持続性
  • ◆プレコール持続性咳止めカプセル
  • ◆エスエスブロン液L
  • ◆ベンザブロックトローチ
  • ◆ピタスせきトローチ
  • 【去痰薬】
  • ◆ストナ去たんカプセル
  • ◆クールワン去たんカプセル
  • 【かぜ薬】
  • ◆パブロン50錠
  • ◆新コンタックかぜ総合
  • ◆エスタック総合感冒
  • ◆パイロンPL錠
  • ◆パイロンPL錠ゴールド
  • ◆改源錠
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