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事例から学ぶOTC医薬品〜鼻炎薬編〜

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

事例から学ぶOTC医薬品〜鼻炎薬編〜

  • 【お客さまの背景】
  • 18歳男性、予備校生。くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状が出ており、花粉症と考えられる。できれば病院に行きたくないため、OTC医薬品で様子を見たいとの申し出があった。

お客さま:くしゃみ、鼻水、鼻づまりに効く薬はありますか?

登録販売者:選択肢がたくさんありますので、ご案内いたします。いつごろから症状が出ていますか?

お客さま:今週に入ってからです。去年は病院に行って花粉症の薬をもらったのですが、今年はできれば病院に行きたくないので、ここに来ました。

いつから症状が出ているかを伺って、鼻炎の原因を探っていきます。

登録販売者:承知いたしました。今ある症状の中で、一番気になる症状はどちらですか?

症状を確認します。

お客さま:鼻づまりです。

登録販売者:鼻づまりですね。現在、治療中の病気は何かありますか?

お客さま:特にありません。

登録販売者:では、今飲んでいる薬やサプリメントなどはございませんか?

お客さま:ないですね。

登録販売者:それと、鼻炎薬は眠くなりやすいものもありますが、眠くなりにくいものの方がよろしいですか?

抗ヒスタミン薬によって眠気の副作用が出ることがあるので、お客様のご希望を伺います。

お客さま:そうですね、予備校に通っているので。

登録販売者:薬によっては年齢制限があるので教えていただきたいのですが、今おいくつですか?

お客さま:18歳です。

登録販売者:そうしましたら、ステロイド点鼻薬の「ナザールα AR0.1%」はいかがでしょうか?眠くならないですし、鼻づまりだけでなく、鼻水やくしゃみにも効果があります。

  • ナザールα AR0.1%
  • 成分:ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(18歳未満は使用不可)

お客さま:ステロイドって副作用が強いイメージがありますが、大丈夫ですか?

登録販売者:そのようなイメージありますよね。ですが、ステロイドの点鼻薬は、用法・用量通りに使用すれば、効き目も安全性も高いお薬です。鼻に直接使うので、全身への影響が少ないんですよ。

ステロイドの副作用を気にするお客さまが多いので、ていねいに説明します。

お客さま:そうなんですね。それと、もっと安い点鼻薬もあるようですが、何が違うんですか?

登録販売者:おっしゃる通りですね。そちらの商品には、血管収縮薬と呼ばれる成分が入っています。血管収縮薬は鼻づまりに即効性がありますが、効果はその場限りで持続しません。また、副作用のリスクが比較的高く、使い続けていると慢性的な鼻づまりを引き起こすことがあります。

ステロイドの点鼻薬は他の点鼻薬に比べて値段が高いので、おすすめする理由をていねいに説明します。

お客さま:そうなんですか、初めて知りました。

登録販売者:そうなんです。ステロイド点鼻薬は1日~2日で効果が出始めて、使い続けることでより高い効果が得られるお薬です。使い続けられるという点で、長期的に見れば血管収縮薬よりもコスト的に有利だと言えます。このように効果や安全性などを総合的に考えると、ステロイド点鼻薬に軍配があがります。

お客さま:納得しました。それにします。

登録販売者:ありがとうございます。そうしましたら、朝晩、左右の鼻に1噴霧ずつしてください。ですが、1日4回、計8噴霧まで増やすことができるので、症状によって調節していただき、まずは1週間使ってみてください。その時点で症状が改善していなければ、またご相談ください。

商品の使い方について説明します。

お客さま:症状が改善したらどうすれば良いですか?

登録販売者:改善すれば使用回数を減らして、悪化すれば増やしてください。ただし1年間に3か月を超えて使用しないこととなっています。ほかにもいろいろな注意事項が箱の中の説明文書に書いてありますので、薬を使う前にご一読ください。

お客さま:わかりました。ありがとうございます。

登録販売者:お大事になさってください。

鼻炎薬の接客の大まかな流れ

  • 1.鼻炎の原因と症状を確認する
  • 2.原因と症状に合った薬を選択する

1.鼻炎の原因を確認する

鼻炎の原因には、大きく分けて、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の3つがあります。原因と症状によって使用する薬が異なるので、お客さまに確認するようにしましょう。

急性鼻炎(鼻風邪) アレルギー性鼻炎 副鼻腔炎
主な原因 ウイルスや細菌によって引き起こされる 花粉、ほこり、動物などのアレルゲン体内の免疫システムを刺激することで引き起こされる 急性鼻炎を起こした後に、ウイルスなどの感染が副鼻腔に及ぶことで引き起こされる
症状 風邪のひき始めは水様性の鼻水が出るが、時間が経つと粘度の高い鼻水に変化することもある くしゃみや水様性の鼻水、目のかゆみ 大量の鼻水、頭痛、鼻周辺の痛み、鼻から黄色(緑色)のうみが出る
優先して検討する薬または対応
  • ●鼻水、くしゃみがある:抗ヒスタミン薬(第一世代)
  • ●鼻づまりがある:血管収縮薬
  • ●鼻水、くしゃみがある:抗ヒスタミン薬(第二世代)
  • ●鼻づまりが中心である:ステロイド点鼻薬
  • ●放っておくと重症化することがあるため、受診勧奨を基本とする

2.原因と症状に合った薬を選択する

  • ●急性鼻炎(鼻風邪)

  • 急性鼻炎の場合、抗ヒスタミン薬の効果は抗コリン作用によるものと考えられるため、「第一世代の抗ヒスタミン薬」を選びます。鼻づまりには「血管収縮薬」が有効ですが、高血圧や心臓病、甲状腺機能障害、糖尿病などの持病のある人には注意が必要です。また、プソイドエフェドリン塩酸塩は、「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されていることにも留意します。
  • ●アレルギー性鼻炎

  • アレルギー性鼻炎による鼻水やくしゃみに対しては、眠気、口の渇きや排尿障害などの副作用の少ない「第二世代の抗ヒスタミン薬」を優先して検討します。鼻づまりに対しては「ステロイド点鼻薬」や「血管収縮薬」が有効ですが、より安全性の高い「ステロイド点鼻薬」を優先して検討してください。また、事例の中で説明したとおり「血管収縮薬」が含まれた点鼻薬は、薬剤性鼻炎の副作用のリスクが高く、扱いの難しい薬です。「血管収縮薬」が含まれた点鼻薬を選ぶ時は、用法・用量、副作用、使用期間(長くても1週間程度)について説明し、さらに、症状がつらいときに限って使うように注意喚起を行います。

    なお、ステロイド点鼻薬は、アレルギー性鼻炎による鼻づまりだけでなく、くしゃみや鼻水にも有効ですが、急性鼻炎には使用できないので注意しましょう。また多くのステロイド点鼻薬は、高血圧や緑内障などの持病のある人には、添付文書上、使用できないことになっています。その場合、要指導医薬品の「フルナーゼ点鼻薬」であればこれらの疾患に禁忌になっていないため、必要であれば薬剤師にバトンタッチをしてください。

    また、鼻炎用点鼻薬と鼻炎用内服薬は併用可能です(※)。ただし成分が重複すると副作用が現れやすくなる可能性があるので、注意してください。

  • ※日本OTC医薬品協会 おくすりQ&A 鼻炎用点鼻薬
  • https://www.jsmi.jp/qa/bien2.html
  • ●副鼻腔炎

  • 急性鼻炎の症状が1週間以上治らない時は、急性副鼻腔炎に移行している可能性があります。さらに、副鼻腔炎と思われる症状が3ヶ月以上続く場合、慢性副鼻腔炎と診断されることがあります。副鼻腔炎は放置すると重症化してしまう可能性があるので、薬は受診までの繋ぎとして使用し、受診勧奨を基本とします。
過去の記事 事例から学ぶOTC医薬品〜鎮咳薬編 partⅠ〜
新しい記事 事例から学ぶOTC医薬品〜下痢止め薬編〜