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【登販向け】漢方薬・五苓散の飲み合わせ禁忌とは?ご案内時の注意点を解説

【登販向け】漢方薬・五苓散の飲み合わせ禁忌とは?ご案内時の注意点を解説

五苓散(ごれいさん)は、漢方薬の中でもとりわけおすすめする機会の多い漢方薬です。このコラムでは、五苓散の働きや商品について解説します。後半では、五苓散の飲み合わせや連用(毎日の服用)など、五苓散に関するよくある質問について回答しています。

目次

登録販売者は知っておこう! 五苓散(ごれいさん)の基礎知識

登録販売者は知っておこう! 五苓散(ごれいさん)の基礎知識

五苓散(ごれいさん)は登録販売者試験の範囲外の成分ですが、ドラッグストアで扱っていることの多い薬です。ここでは、どのような漢方薬なのかを詳しく解説します。

五苓散の効能効果

五苓散(ごれいさん)の効能効果は、次の通りです。

体力にかかわらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔

この中に出てくる「しぶり腹」とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すものを指します。しぶり腹には使用できないため、注意してください。

五苓散の概要

五苓散は、「水(すい)」のバランスを整えるお薬で、頭痛や下痢など、さまざまな症状に用いられます。私たちの体内で「水」の巡りが滞ると、むくみが生じます。頭にむくみが生じると「頭痛」となって現れ、胃腸にむくみが生じると「吐き気」や「下痢」などの症状が現れることがあります。

また、二日酔いの薬としてもよく知られています。二日酔いの時は、頭痛、吐き気、下痢など、まさに五苓散の効能効果に書かれているような症状が現れますよね。漢方では、二日酔いも「水」の滞りが原因とされるため、五苓散を用いることがあるのです。

参考:ツムラ「ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒」
参考:クラシエ「五苓散(ごれいさん)」

登録販売者必須の知識!五苓散を使った商品

登録販売者必須の知識!五苓散を使った商品

五苓散が配合された商品を紹介します。商品ごとにパッケージの訴求(宣伝・広告などで、消費者が買う気を起こすよう訴えかけること)の仕方が異なることもありますが、基本的にはどれも同じ五苓散のお薬です。

ただし、朮(ジュツ)と呼ばれる生薬には、ビャクジュツとソウジュツの2種類があり、どちらが配合されているかは商品によって異なります。どちらの生薬も健胃作用と利水作用がありますが、一般的に、健胃作用はビャクジュツ、利水作用はソウジュツの方が優れるといわれています。

アルピタン(小林製薬)

①パッケージの訴求
「アルコールなどによる頭痛に」と記載がある。

②剤形
顆粒タイプ

③成分分量
1日量(3包中):五苓散料エキス2.3g(タクシャ5g、チョレイ・ブクリョウ・ビャクジュツ各3g、ケイヒ2g)

④特徴

  • 満量処方(満量処方=承認基準内の最大量を配合していること)
  • 顆粒タイプですばやく溶ける
  • 茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)が有効成分の「アルピタンγ」もある。「茵蔯五苓散」は、「五苓散」に、炎症を抑える作用や利水作用のある「茵蔯蒿(いんちんこう)」を加えた処方である

テイラック(小林製薬)

①パッケージの訴求
「低気圧などで不調を感じる方に」と記載がある。

②剤形
錠剤タイプ

③成分分量
1日量(12錠中):五苓散料エキス2.3g(タクシャ5g、チョレイ・ブクリョウ・ビャクジュツ各3g、ケイヒ2g)

④特徴

  • 満量処方
  • 錠剤タイプで飲みやすい
  • 持ち運びしやすい個包装タイプ

キアガード(ロート製薬)

①パッケージの訴求
「天気(気圧)の変化などによる頭痛に」と記載がある。

②剤形
錠剤タイプ

③成分分量
1日量(12錠中):五苓散エキス2.175g(タクシャ4g、チョレイ・ブクリョウ・ソウジュツ各3g、ケイヒ1.5g)

④特徴

  • 満量処方
  • 錠剤タイプで飲みやすい
  • 持ち運びしやすい個包装タイプ
  • アルピタンやテイラックと異なり、「ソウジュツ」が使われている

参考:ウチダ和漢薬「蒼朮(ソウジュツ)と白朮(ビャクジュツ)」
参考:小林製薬「アルピタン」
参考:小林製薬「漢方テイラック」
参考:ロート製薬「キアガード」

登録販売者の接客スキルアップ!五苓散に関するよくある質問

登録販売者の接客スキルアップ!五苓散に関するよくある質問

五苓散の接客時によくある、3つの質問にお答えします。

Q. お客さまがいつもお使いの「アルピタン」が欠品している時に、「キアガード」を勧めると、断られてしまうことがあります。同じ成分だと説明してもわかっていただけないのですが、どうしたらご納得いただけますか?
A. 「成分」以外のよさについても説明してみましょう。

【解説】
アルピタン、テイラック、キアガードは、いずれも満量処方の五苓散です。理論上は同じ効果を持つお薬ですので、いずれかが欠品している時に、この中の別の商品を案内しても問題ありません。

しかし、お客さまが指名買いしたいと思う理由には、成分だけでなく、「飲みやすさ」や「いつも使っているという安心感」など、他にもさまざまな要素があります。そこで、成分以外のその商品のよさについても言及してみてください。「いつも使っているという安心感」だけはどうにもなりませんが、他にプラスの要素があると感じられれば、購買意欲もアップしますよ。

Q. 五苓散と別の漢方薬、もしくは西洋薬で、飲み合わせがよくないものや併用禁忌のものはありますか?
A. 成分の重複がなければ、薬の併用は問題ありません。

【解説】
五苓散の添付文書(パッケージ)には、併用禁忌・併用注意に関する記載はとくにありません。そのため、他の薬との併用については基本的に問題ないと考えられます。五苓散の構成生薬は、タクシャ、チョレイ、ブクリョウ、ビャクジュツ(もしくはソウジュツ)、ケイヒですので、成分が重ならないように注意してください。

Q. 五苓散は毎日飲んでも大丈夫ですか?
A. 添付文書通りに服用するようアドバイスをしてください。

【解説】
五苓散の添付文書(パッケージ)には、「1カ月位(急性胃腸炎、二日酔に服用する場合には5~6回、水様性下痢、暑気あたりに服用する場合には5~6日間)服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師または登録販売者に相談してください」と記載があります。お客さまの使用目的を確認し、適切にご案内するようにしてください。

まとめ|五苓散を適切に勧められるようになろう

漢方薬の接客が苦手な人もいると思いますが、五苓散は比較的お客さまに勧めやすいお薬です。二日酔いやお天気頭痛などのあるお客さまに対し、五苓散の働きを的確にお伝えできるようにしておきましょう。

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC医薬品についての情報発信をおこなっている。

■著書
・医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略(金芳堂)
・薬機法暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第4章」(金芳堂)
・これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2023年度版(KADOKAWA)
・村松早織の登録販売者 合格のオキテ100(KADOKAWA)
・やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書(ナツメ社)
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