登録販売者のための漢方入門|試験対策・暗記のコツ・頻出キーワードから現場の服薬指導まで
漢方に対する関心は、近年ますます高まっています。OTC薬として販売可能な漢方薬は、「一般用漢方製剤」とも呼ばれており、厚生労働省の基準を満たしたもののみです。登録販売者が取り扱えるのは、そのうちの第2類・第3類医薬品です。この記事では、登録販売者に漢方の知識が必要とされている背景や、漢方を覚えるメリットなどを解説していきます。登録販売者試験対策も併せて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
- 1.登録販売者に漢方の知識が必要な理由とメリット
- 2.登録販売者が漢方を学ぶメリット|試験・接客・キャリアプランへの影響
- 3.【試験対策】登録販売者のための漢方・生薬の勉強法と暗記のコツ
- 4.【暗記リスト】登録販売者の試験に出る代表的な漢方薬一覧(症状別)
- 5.【実務編】登録販売者が現場で使える漢方の服薬指導・副作用・年齢別注意点
- 6. 漢方の専門性を活かせる登録販売者のキャリアパス|求人・転職で有利になる働き方
- ・まとめ|漢方を武器にして選ばれる登録販売者になろう(試験対策からキャリアアップまで)
1.登録販売者に漢方の知識が必要な理由とメリット
カタカナでユニークなネーミングのお薬も、実のところ中身は漢方薬であることも多く、漢方薬を取り扱うドラッグストアは少なくありません。漢方薬を販売する以上、登録販売者としてしっかり漢方の知識を身に付けておく必要があります。ここでは、その理由とメリットをひとつずつ見ていきましょう。
1-1.理由1:漢方を取り扱う店舗が増えてきたから
「漢方薬は、なんだかとっつきにくいイメージ......」と感じている登録販売者の方は少なくありません。しかし、近年の漢方へのイメージは、自然派志向の高まりや、おしゃれな内装の漢方薬局・薬膳料理屋さんの流行により、かなり親しみやすいものになりつつあります。そうしたイメージの変化に伴い、一般用漢方薬のパッケージも、手に取りやすく、見分けやすいデザインに変化してきているようです。
一般的なドラッグストアでは、漢方薬専用のコーナーがあり、さまざまな漢方薬がずらりと並んでいます。年々、お客様の漢方薬への関心も高まっており、相談件数が増えていることを実感している登録販売者も多いでしょう。
1-2.理由2:漢方は専門性が高く難しいから
漢方の専門知識を持っていない一般消費者が、適切な漢方薬を選ぶのは難しいでしょう。商品のパッケージにはその漢方薬が合う人の症状が列挙されているものの、合わない漢方薬を自己判断で服用すると、効果が出にくい場合や副作用の心配があります。そのため、漢方薬を選ぶときには「証」を考慮する必要があります。
「証」とは、「患者様の体力・体質・抵抗力・症状の現れ方などを総合的に分析し、全身症状を把握したうえで処方される、漢方独特の指標(治療の方向性)」です。薬の専門家である登録販売者が客観的に「証」の判断を行うことで、お客様もより安心して漢方薬を購入できるでしょう。
1-3.理由3:西洋医学に漢方の要素が含まれることもあるから
西洋医学と漢方医学は「まったく別の治療法」というわけではありません。たとえば、「病気そのものの治療」には西洋薬を、「病気に伴って現れる不定愁訴」には漢方薬を使うなど、両方のメリットを活かして治療を進めていくこともあります。
西洋薬が得意な部分と漢方薬が得意な部分を融合させて治療を行えば、より早い病気からの回復が期待できるでしょう。お客様・患者様がよりよい治療を受けられるよう、漢方薬の知識は、登録販売者にとって必須であるとも言えます。
同時に、漢方薬の知識を身に付けることには大きなメリットがあります。次項では、試験・接客・キャリアに与えるよい影響について解説します。
2.登録販売者が漢方を学ぶメリット|試験・接客・キャリアプランへの影響
登録販売者が漢方の知識を身に付けることは、試験だけではなくその後の接客においても大きなメリットがあります。生薬成分を理解していれば、例えば「冷え」対策商品を健康食品や入浴剤コーナーへご案内することもでき、接客スキルもアップします。ここからは、登録販売者と漢方の関係について解説していきましょう。
2-1.試験合格を左右する!第3章「漢方・生薬」の配点と重要性
登録販売者試験の「主な医薬品とその作用」の項目では、漢方薬の問題が3割を占める自治体もある(※監修者の居住地における今年度試験の目視確認)ため、苦手意識を持ってる受験者も少なくありません。そのような中、しっかり漢方薬の知識を身に付けておけば高得点につながり大きなアドバンテージとなります。
2-2.セルフメディケーション推進で高まる漢方の需要と登録販売者の役割
漢方薬は一般の方にはわかりづらいため、適切に選択できるよう専門家の手助けが必要です。病気ではないけどなんだか不調という「未病」の状態を解決に導くのが漢方薬の得意分野でもありますので、お客様に合う漢方薬の案内ができると顧客満足度も上がり次回の相談にもつながるでしょう。
2-3.既存OTC薬にも漢方製剤が多数ある
漢方薬は従来から風邪薬や胃腸薬などで目にしてきた方も多いでしょう。効能効果を覚えることも大事ですが、構成されている生薬の特性から覚えておくことで、取り扱いのない商品の問い合わせがあった場合に「製薬会社が違うが同じ処方の漢方薬」などのご案内もできるため、登録販売者として信頼度がアップするはずです。
2-4.漢方の専門性を武器に「漢方アドバイザー」等へのステップアップ
しっかりとした漢方薬の知識付け、実践的なスキルが身に付いたら「漢方アドバイザー」などの民間資格を取得すると、その肩書きが自信につながり市場価値も高まるでしょう。職場でのキャリアアップチャンスにつながったり、転職で優位に働いたりすることも少なくありません。
さまざまなメリットがある漢方知識ですが、覚えなければならないことも少なくありません。次項では、試験対策として、漢方・生薬の勉強法や暗記のコツをご紹介します。
3.【試験対策】登録販売者のための漢方・生薬の勉強法と暗記のコツ
登録販売者試験で初めて漢方薬や生薬の勉強をすると、馴染みのない名前からは効果や生薬がイメージしづらく、主な漢方薬を覚えるだけでも大変です。ですが、実は生薬の原料は身近なものだとわかると、勉強も楽しく進められるでしょう。ここでは、漢方に関する知識の効率的な覚え方を詳しく紹介します。
3-1.本で勉強する
漢方薬の本は、一般の方向けの本から専門家向けの本まで、非常にたくさんあります。まずは一般の方向けに書かれた、イラストが多めの書籍で勉強することをおすすめします。漢方は、漢方独自の専門用語が多いため、最初から専門家向けの書籍を購入すると、それがたとえ「入門者向け」であっても難しい場合があります。一般書籍でなんとなく全貌をつかめたら、徐々に専門家向けの本にシフトしていきましょう。
3-2.名前から体の場所や効果を連想する
漢方薬の名前には、効能効果のヒントが隠されています。たとえば、漢方名に含まれる「中」の字は、おなかのことを指しています。また、「上」の字は、首から上のことを指しています。具体例として、補中益気湯の「中」はおなかのことです。おなかの機能を補い、気を益(ま)して元気にすることから、この名が付きました。
また、清上防風湯は主に「顔」の皮膚炎に用いられます。このように、漢方名と効能効果には、密接な関係があります。ここを切り口に学んでいくと、面白い発見があるでしょう。
3-3.漢方薬の作用はキーワードで覚える
漢方薬の効能効果はとても長く、覚えられない登録販売者の方がいるかもしれません。そのようなときは、効能効果のキーワードをピックアップするのがおすすめです。
たとえば葛根湯の効能効果は、「体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期(汗をかいていないもの),鼻かぜ,鼻炎,頭痛,肩こり,筋肉痛,手や肩の痛み」ですが、まずは、「感冒の初期」、「肩こり」などの少数のキーワードを拾います。慣れてきたら、キーワードをどんどん増やしていきましょう。
3-4.重要生薬の「グループ分け」暗記法!カンゾウ・マオウ・ダイオウ
「甘草」(カンゾウ)、「麻黄」(マオウ)、「大黄」(ダイオウ)は、登録販売者試験に頻出されるため、合格の鍵を握る最重要生薬と言えます。生薬名がお薬の名前に入っていることもありますので、意識して学習すると良いでしょう。この3つの生薬については特に、それぞれの特徴、成分と副作用、配合されている主な漢方薬について、しっかり覚えましょう。
これら3つの生薬は「単独の効能」が問われるだけでなく、多くの漢方処方の「構成成分」として登場します。この3つの含有有無を判別できれば、漢方問題の選択肢を絞り込みやすくなるため、生薬暗記の軸に据えておきましょう。実務においても副作用や相互作用を確認する上で最も注視すべき成分であるため、登録販売者にとって必須の知識といえます。
記憶が定着しやすい覚え方として、項目別に何度もパズルのようにリスト化してみることをおすすめします。たとえば、風邪関連の漢方薬を羅列して、この3つの成分のうちどれが含まれるか書き出してみましょう。次に、カンゾウが構成生薬である漢方薬を羅列して、それぞれ効能効果を書き出してみてください。このように、何度も別の視点でリスト化していくと覚えるのも早くなります。
また、マオウに含まれるエフェドリンは、「濫用の恐れのある医薬品」の指定成分でもあるため、その特徴を押さえておくことは実務上でも非常に重要です。
3-5.受験生必見!頻出漢方薬を楽に覚える「語呂合わせ」集
「葛根湯」(かっこんとう)、「小柴胡湯」(しょうさいことう)、「芍薬甘草湯」(しゃくやくかんぞうとう)などは、登録販売者試験によく出る漢方薬です。単純に構成生薬を聞いてくることはあまりなく、構成生薬を覚えておかなければ回答できない問題も少なくありません。
語呂合わせで覚える方法は、さまざまなメディアでも紹介されていますが、語呂を覚えることに一生懸命になって肝心の中身が入ってこないと意味がないでしょう。「芍薬甘草湯」は、構成生薬である芍薬と甘草が名前に入っているため覚えやすいですが、構成生薬がいくつもあるケースもあります。そうしたケースでは、生薬の漢字を一文字ずつ取り出す方法がおすすめです。
たとえば、生薬で「人(ひと)」と言えば人参(ニンジン)ですし、「生姜」(ショウキョウ)と「乾姜」(カンキョウ)はどちらもショウガが原料ですが、ショウキョウが生のショウガを、カンキョウが乾燥させたショウガを指す、といったように「生」と「乾」の違いで分けてみます。また、生薬で「黄」(オウ)とつくのは黄連(オウレン)、黄芩(オウゴン)、黄柏(オウバク)といくつかありますので、それぞれ「レン」「ゴン」「バク」として定義付けます。
このようなルールで読んでみた「シバハン・ゴンタイジン・アマセイ」は、なんの漢方薬かわかりますでしょうか。
「柴・半・芩・大・人・甘・生」
「柴胡・半夏・黄芩・大棗・人参・甘草・生姜」で小柴胡湯です。
暗記は大変ですが、自分にしっくりくる方法を見つけてみてください。書きながら読んで、手と口を同時に動かしながら覚えると記憶に残りやすいかもしれません。ぜひ試してみてください。
3-6.生薬の「部位」と「名称」を関連づけるイメージ学習のコツ
生薬は、動物や鉱物が原料のものもありますが、主に植物などからできていて、根や茎、葉、花や種子など使用部位が生薬の名称になっているものもあります。葛根はその名のとおり、クズの根を乾燥させたもので、イメージしやすいでしょう。しかし、「根(コン)」と名がつく生薬は意外と少なく、ほかには紫根(シコン)が皮膚外用薬の紫雲膏(シウンコウ)の原料として知られています。
茎は、「根茎」(コンケイ)として「生姜」(ショウガ)や「鬱金」(ウコン)、「山薬」(サンヤク)などがあり、土もの野菜として薬膳などでも食されているものが原料になっていることが多いです。サンヤクは、実は身近なものでヤマノイモやナガイモの根茎を乾燥させた生薬です。
種子は、クコの実でおなじみの「枸杞子」(クコシ)は有名ですが、そのほかの生薬にも「五味子」(ゴミシ)や「山梔子」(サンシシ)など、「子」がつくことが少なくありません。サンシシは「梔子」(くちなし)の果実を乾燥させた生薬で、生薬名では読み方が違うだけです。漢字とセットで覚えると良いでしょう。研究施設などの公式ホームページで薬用部位別の一覧表を一度確認してみるとイメージしやすくなるかもしれません。
次項では、登録販売者の試験にも役立つ、症状別の暗記リストを紹介していきましょう。
4.【暗記リスト】登録販売者の試験に出る代表的な漢方薬一覧(症状別)
漢方薬はたくさんの処方がありますが、実際に登録販売者としてお客様からご相談がある漢方薬はある程度決まっています。だからこそ、そのような漢方薬について試験でも問われるのでしょう。ここでは試験によく出る代表的な漢方薬と、その効能効果を見ていきましょう。
4-1.「証(しょう)」を理解する!実証・虚証の見極めと構成の基本
「証」とは、そのときの心身状態を漢方医学独特の考え方において定義付けた「型」のようなものです。これが決まると適応した漢方薬が必然的に決まるため、治療の指示とも言えます。少し難しく感じますが、個々に違いのある人の状態を科学的に説明できないため、漢方医学の分類で結果(証)ごとに対応する漢方薬を導いている、といったイメージです。
具体的には、対照的な2タイプのうち「どちらか」に偏っている状態から、「良い状態」とされる中間を目指すような考え方が基本です。証の主な分類として次のものがあります。
- 虚実(キョジツ)ー虚証か実証か
- 寒熱(カンネツ)ー寒証か熱証か
- 表裏(ヒョウリ)ー表証か裏証か
虚実について、虚証は「体力が低下している状態」実証は「体力が充実している状態」を指しています。これはまさに、漢方薬の効能効果に記載されている「体力虚弱で」や「体力充実して」と書き出しの部分にある、虚実どちらの状態で服用して良い薬であるかの指標です。
寒熱はイメージしやすく、寒証ならば温める処方を、熱証ならば熱を取り除く処方を考えることになります。こちらは、漢方薬の効能効果に「はれや痛みがあるものの」(熱証)などと記載があります。表裏については、表証は皮膚や粘膜などの体の表面に症状が出ている状態と急性症状や初期症状のことで、裏証は体の内部(内臓など)に症状が出ている状態と慢性症状のことも指しています。
登録販売者試験では、漢方薬は虚実などの「証」と「症状」をセットで覚えておかないと、引っ掛け問題で減点される可能性もあるため、手元の参考書でしっかり学習しましょう。
4-2.風邪・痛み・婦人薬など症状別の比較表で違いを明確化
漢方薬の名称や構成生薬、効能効果をある程度覚えられるようになったら、その記憶をしっかり定着させるため、いくつか「〇〇目線の比較表」を自分で作成してみましょう。漢方薬は多角的な目線で考えなければならず、一義的には表現しづらいものが多いためです。
| 漢方名 | 効能効果 | 補足 |
|---|---|---|
| 葛根湯 | 体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期(汗をかいていないもの),鼻かぜ,鼻炎,頭痛,肩こり,筋肉痛,手や肩の痛み | 「風邪と言えば葛根湯」と考えているお客様も多いので、注意が必要です。 |
| 麻黄湯 | 体力充実して,かぜのひきはじめで,寒気がして発熱,頭痛があり,せきが出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの次の諸症:感冒,鼻かぜ,気管支炎,鼻づまり | インフルエンザなど、比較的重い風邪症状に使われることもあります。 |
| 小青竜湯 | 体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様のたんを伴うせきや鼻水が出るものの次の諸症:気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症 | 冷えにより体に水がたまる「水毒」を改善する薬です。 |
| よく苡仁湯 | 体力中等度で,関節や筋肉のはれや痛みがあるものの次の諸症:関節痛,筋肉痛,神経痛 | イボや皮膚の荒れに用いられる生薬製剤の「ヨクイニン」とは別の薬ですので、混同しないようにします。 |
| 桔梗湯 | 体力に関わらず使用でき,のどがはれて痛み,ときにせきがでるものの次の諸症:扁桃炎,扁桃周囲炎 | 甘い漢方薬で、トローチ剤になっているものもあります。 |
| 五虎湯 | 体力中等度以上で,せきが強くでるものの次の諸症:せき,気管支ぜんそく,気管支炎,小児ぜんそく,感冒,痔の痛み | 麻杏甘石湯にソウハクヒを足して、鎮咳作用を高めた薬です。 |
| 人参湯 | 体力虚弱で,疲れやすくて手足などが冷えやすいものの次の諸症:胃腸虚弱,下痢,嘔吐,胃痛,腹痛,急・慢性胃炎 | ニンジンが主薬の漢方薬で、冷えでおなかを壊しやすい人に用いられます。 |
| 大黄甘草湯 | 便秘,便秘に伴う頭重・のぼせ・湿疹・皮膚炎・吹出物(にきび)・食欲不振(食欲減退)・腹部膨満・腸内異常醗酵・痔などの症状の緩和 ※体力に関わらず使用できる |
便秘に用いる代表的な漢方薬ですが、原則として頓服での使用が推奨されます。 |
| 五積散 | 体力中等度又はやや虚弱で,冷えがあるものの次の諸症:腰痛,神経痛,関節痛,頭痛,感冒,月経痛,更年期障害,胃腸炎 | 「寒・食・気・血・痰」の5つの停滞に対応することから、この名が付きました。 |
| 清上防風湯 | 体力中等度以上で、赤ら顔で、ときにのぼせがあるものの次の諸症:にきび、顔面・頭部の湿疹・皮膚炎、あかはな(酒さ) | 顔の熱や炎症を鎮める薬で、赤みや炎症のある湿疹や皮膚炎、にきびなどに用いられます。 |
| 酸棗仁湯 | 体力中等度以下で,心身が疲れ,精神不安,不眠などがあるものの次の諸症:不眠症,神経症 | 心身ともに疲れ果ててしまって眠れないときに用いられます。 |
| 十全大補湯 | 体力虚弱なものの次の諸症:病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血 | 気虚と血虚を同時に補う薬です。 |
| 防風通聖散 | 体力充実して,腹部に皮下脂肪が多く,便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘,蓄膿症(副鼻腔炎),湿疹・皮膚炎,吹出物(にきび),肥満症 | 体内にこもった熱、脂肪、尿、便など様々な「詰まり」を除去し、通りを良くする薬です。 |
上記に掲載した表は「代表的な漢方薬名を羅列した一覧表」です。その中で広い意味での風邪症状に用いられる漢方薬は、葛根湯、麻黄湯、小青竜湯、桔梗湯、五虎湯がありますが、それぞれ証によって用いる場面も違いますし、構成されている生薬によって対応できる主な諸症がせきか鼻水かで違ってきます。
そこで、「虚実目線の風邪薬比較表」や「痛み目線!漢方薬の構成生薬比較表」などを、暗記カードをパズルのように何度も組み替えられるようなものを作っておくと、症状(証)に対して用いられる漢方を覚えるのに役立つでしょう。
西洋薬では、頭痛や生理痛、歯痛、腰痛に至るまで「痛み」を感じさせる成分の発生を元から抑える働きで痛みを鎮めます。一方、漢方薬は構成生薬の働きから血流を促すことによって痛みの原因を取り除く仕組みです。「漢方薬痛み目線比較表」を作成し学んでいくと、そうした漢方薬のアプローチ方法もより理解しやすくなるでしょう。
また、登録販売者試験では「この漢方薬を服用するのに不向きな症状」などを入れ替えて正誤を追う問題もありますので、そこもしっかり押さえておいてください。次項では、いよいよ実務的なポイントを解説してきます。
5.【実務編】登録販売者が現場で使える漢方の服薬指導・副作用・年齢別注意点
お客様から漢方薬について相談を受けていると、意外と用法用量を守っていなかったり、独断で併用されていることがあります。そこで、登録販売者は、体質や症状に合った漢方薬をご案内できるよう、お客様の体調や生活習慣などを確認しながら適切な服薬指導を行います。ここでは、その際のポイントや押さえておきたい注意点について解説していきましょう。
5-1.お客様の悩みを引き出すカウンセリングと西洋薬との併用確認
お客様にお薬をご案内する際に確認するのは、以下の項目が基本です。
- どのような症状か(その中で主な症状)
- いつから症状があるか(症状に変化はあったか)
- 誰が服用するか
- ほかに服用している薬があるか
ただし、漢方薬を希望するお客様に対しては、より生活習慣などをより細かく尋ねることもあるため、案内時は注意が必要です。特に尿トラブルや瀉下剤(便秘薬)、喫煙習慣のある方のせきのお薬などは、自分のことを話すのを嫌がる方もいます。
また、風邪薬をお探しのお客様には、西洋薬は「運転禁忌」のものが多いことを先に伝え、漢方薬からご案内することも少なくありません。加えて、漢方薬について飲み合わせなども制限がないと思われている場合もありますので、お薬手帳などの確認が必要です。
5-2.重大な副作用「偽アルドステロン症」と「間質性肺炎」の指導
「偽アルドステロン症」や「間質性肺炎」は、漢方薬で引き起こされる副作用のうち、特に注意するべき重篤なものです。甘草・麻黄・黄芩などに含まれる成分が関与している場合がありますので、これらの生薬が構成生薬である漢方薬の服薬指導の際には、しっかりお客様にお伝えできるようにしましょう。
「アルドステロン」とは、血圧を上昇させるホルモンのことで、このホルモンが上昇していないのに高血圧やむくみといった症状が医薬品によって引き起こされる場合「偽(ぎ)アルドステロン症」といいます。甘草やその成分であるグリチルリチンを含む医薬品には、注意が必要です。
なんらかの医薬品を服用していて、手足のだるさ、こわばり、こむら返りなどの症状が現れて、だんだんきつくなるといった場合には医療機関の受診や、専門医への相談が必要な場合があります。
「間質性肺炎」は、炎症などによって肺胞壁が厚くなり酸素が取り込みにくくなる疾患ですが、まれに漢方薬によって引き起こされる場合があります。服用後、発熱や呼吸器症状が出た場合は副作用を疑い相談や受診するなど、十分注意が必要となります。
副作用を疑い相談があった場合は、医療用・市販薬に関わらず服用した医薬品の種類と量、服用期間などを伝えて受診するよう案内しましょう。
また、甘草は汎用性が高く、含まれる漢方薬が多いことに加え、グリチルリチン酸として内服薬に含まれていることもある上に、甘味料として食品の原料となっている場合もあります。お薬をご案内する際は、全体として甘草の摂りすぎになっていないかカウンセリングし、必要ならば副作用について説明しましょう。
5-3.小児・高齢者・妊婦への漢方薬選びの注意点と判断基準
漢方薬だけでなく、医薬品は使用できる年齢やそれに応じた用量が決まっています。特に小児薬では、年齢が細かく区切られていて、用量も「1回につき1⁄2包」などと記載がありますので、用法用量を守って服用するようにお伝えしましょう。
大手ドラッグストアなどでは、妊婦が服用できるお薬かについてなど、共用のフローチャートがある場合もあります。まずは、それらをよく確認しておきましょう。それでもわからない場合は、製薬会社公式の添付文書で閲覧できるようツールの使用方法なども確認しておいてください。
また、高齢者は肝機能や腎機能が低下している場合が多く、漢方薬との相性が良いと言われています。漢方薬の服用タイミングが食後ではなく「食前または食間」であることを知らずに続けて服用されている場合がありますので、用法用量についてしっかり服薬指導を行いましょう。
小児・高齢者・妊婦については、用法や飲み合わせによって体に大きく影響を及ぼすこともあります。現在処方されているお薬が多数ある場合や治療中などの場合は、迷わず受診を勧奨しましょう。
身に付けるのもたいへん、実務面でもデリケートな判断が求められる漢方薬ですが、キャリア形成や転職の際には大きな武器になります。次項では、漢方の専門性を活かすポイントについて解説していきましょう。
6. 漢方の専門性を活かせる登録販売者のキャリアパス|求人・転職で有利になる働き方
最後に、漢方の専門性を活かせる、登録販売者のキャリアパスについても解説します。まずは、漢方関連の登録販売者求人をチェックしておきましょう。漢方薬局は、一般的なドラッグストアで働くよりも給料が低い傾向にある一方、ドラッグストアでは経験できない特別な仕事ができることから、とても人気があります。
6-1.ドラッグストアでの「漢方担当」として指名される存在へ
しっかり漢方の知識を身に付けると、お客様も安心して相談できるため、相談件数も増えて経験値が上がります。従業員からも「漢方薬のことはあの人に聞け」といった感じで店舗内でも漢方のプロといったポジションに立つこともあるかもしれません。
そのためには、漫然とパッケージに記載のある効能効果だけで案内せず、丁寧なカウンセリングで相手の状態を聞き出し、お客様に合った漢方薬を選択できるお手伝いができるよう、漢方薬についてのスキルアップも意識した日々を過ごしましょう。
6-2.「漢方アドバイザー」等、専門資格とのダブルライセンスで差別化
ほかの登録販売者との差別化を図るため、実務経験を積むこと以外に民間の資格を取得するのもおすすめです。
一般社団法人日本技能開発協会監修の「漢方アドバイザー」や日本安全食料料理協会認定の「漢方コーディネーター」などがあります。民間資格とはいえ、漢方という専門の分野の知識を身に付けたことの証明となる肩書きですので、履歴書でのアピール力が高まり、転職時や給与交渉において有利になることもあるでしょう。
6-3.調剤併設店や漢方相談専門店への転職で、より深いカウンセリング業務へ
大手ドラッグストアなど、医薬品以外の商品も取り扱う店舗では、登録販売者も一般従事者(資格を持たないスタッフ)と同じく、品出し業務や陳列のメンテナンスなどが主な業務になることも少なくありません。漢方の専門性を活かした働き方をしたい場合は、漢方相談専門店や調剤併設店など医薬品の接客が中心の店舗への転職をおすすめします。
専門店では、お客様や患者様も「自分と向き合って相談に乗ってくれている」と感じやすいため、より丁寧なカウンセリングでお客様に合う漢方薬のご提案ができるでしょう。
まとめ|漢方を武器にして選ばれる登録販売者になろう(試験対策からキャリアアップまで)
漢方を得意分野にすれば、商品を選択するときの視点が広がり、転職時やキャリア戦略の面でも有利に働くでしょう。まずは、苦手意識を克服し、漢方の知識を活かして、お客様対応の質を上げることを目標にしてみてください。転職エージェントである「アポプラス登販」では、自身の強みを活かした転職サポートも行っています。漢方の知識と接客経験を上積みしながら、自身のキャリアアップにつなげていきましょう。

執筆者:當房 清香(とうぼう さやか)
登録販売者・薬機法管理者・調理師(ハラール認証)・国際中医薬膳師など
登録販売者として健康や薬に関するWEBライターとして活動。 裁判所書記官としての経験や、オーガニックマスターコーディネーター・食品添加物に関する資格などの資格を活かし、「自分や子どもの未来は、現在カラダに取り入れているものでつくられていく」 ことを幅広い視点でお伝えしている。
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