新型コロナウイルス用検査キットについて
新型コロナウイルス用検査キットについて
未だに終わりの見えない新型コロナウイルス感染症の流行ですが、薬局やドラッグストアでは、新型コロナウイルス感染症に対する検査キットに関する問い合わせが、再び増えています。厚生労働省は2021年9月27日から、医療用抗原検査キットを薬局で販売することを特例的に認めました。医療用抗原検査キットは薬剤師の情報提供が必要ですが、それ以外にも様々な検査方法がありますので、ぜひこの機会にどのようなものなのかを把握しておきましょう。
・主な検査方法の一覧
検査種類 項目 |
PCR検査 | 抗原検査キット(抗原定性検査)【医療用】 | 抗原検査キット(抗原定性検査)【研究用】 | 抗体検査 |
---|---|---|---|---|
調べるもの | ウイルスを特徴づける遺伝子配列 | ウイルスを特徴づけるたんぱく質(抗原) | ウイルス感染やワクチン接種によって体内で作られる抗体 | |
精度 | 抗原定性検査より少ない量のウイルスを検出できる | 検出には、一定以上のウイルス量が必要 | ‐ | |
検査実施場所 | 抗原定性検査より少ない量のウイルスを検出できる | 検体採取場所で実施 | ‐ | |
判定時間 | 数時間+検査機関への搬送時間 | 約30分 | ‐ | |
備考 |
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参考:厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部 新型コロナウイルス感染症に関する検査について「PCR検査との違い」の表を一部改変して作成
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00132.html
・PCR検査
PCR検査は、精度が高いです。結果が出るまでに抗原検査よりも時間がかかりますが、発熱などの症状のある人や、感染者の濃厚接触者は、医療機関などにおいて保険適用(自己負担なし)で検査を受けることができます。一方で、無症状であっても、何らかの理由により検査を希望する人については、検査費用を自己負担することで検査を受けることができます。どの医療機関でPCR検査を受けられるかは、各自治体のホームページで公表されています。例として、都内でPCR検査を実施している医療機関の情報ページと、自費検査を行っている検査機関を以下に記載します。
● 東京都福祉保健局 診療・検査医療機関の一覧
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/soudan/hatsunetsugairai.html
● 厚生労働省:自費検査を提供する検査機関一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-jihikensa_00001.html
参考:厚生労働省 社会経済活動の中で本人等の希望により全額自己負担で実施する検査(いわゆる自費検査)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00199.html
・抗原検査キット(医療用)
医療用抗原検査キットは、無症状者に対する確定診断には推奨されません。また、症状があったとしてもウイルス量が少ない場合には、感染していても、結果が陰性となる場合もあります。このような事情により、たとえ陰性であったとしても引き続き感染予防策を講じる必要があるため、医療用抗原検査キットは、薬局で薬剤師が情報提供や指導を行った上で販売されます。なお、医療用抗原検査キットは、薬機法における薬局医薬品として取り扱われます。
参考:厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部 新型コロナウイルス感染症流行下における薬局での 医療用抗原検査キットの取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/000836277.pdf
・抗原検査キット(研究用)
抗原検査キットには、研究用と書かれたものもあります。②の医療用抗原検査キットと異なり、薬機法に基づく承認を受けておらず、性能などが確認されたものではありません。いわゆる「雑貨」扱いとなります。よって、登録販売者だけでなく、医薬品の資格を持っていない一般スタッフでも販売することが可能です。研究用の検査キットについては、購入者が医療用抗原定性検査キットと混同することがないよう、そして、診断目的と誤認することがないよう、厚生労働省から注意喚起が出ています。
参考:厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部 新型コロナウイルス感染症流行下における薬局での 医療用抗原検査キットの取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/000836277.pdf
また、消費者庁からも、研究用の検査キットではなく、体外診断用医薬品の抗原検査キットを選ぶよう、以下のポスターが出されています。
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms209_211013_01.pdf
さらに、令和3年12月22日に厚生労働省から出された、研究用抗原定性検査キットの販売に関する留意事項についての事務連絡には、次のように記載があります。
"あわせて、今後、本事務連絡発出後(2~3か月程度)の状況を踏まえ、薬機法の承認を受けていない等、質の確保が保証されていない研究用抗原定性検査キットの販売を控えるなど、 消費者が適切に薬機法に基づく承認を受けた医療用抗原定性検査キットを選択できる環境整備に向けた更なる要請等を行う可能性があることを申し添えます。"
参考:厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部 新型コロナウイルス感染症の研究用抗原定性検査キットの販売に関する監視指導及び留意事項について
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/iji/000210271.pdf
つまり、今後の状況次第では、研究用抗原定性検査キットに対してもう少し厳しい環境整備を行う可能性があるということです。消費者の混乱を防ぐため、すでにこのような研究用検査キットの販売を取りやめている薬局・ドラッグストアもありますが、そうでない店舗もあります。お客さまから研究用の検査キットについて問い合わせを受けた際には、より適切な検査方法を推奨するようにしましょう。
執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
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