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事例から学ぶOTC医薬品〜点眼薬編〜

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

2021年6月11日

事例から学ぶOTC医薬品〜点眼薬編〜

  • 【お客様の背景】
  • 30歳男性、会社員。パソコンでの作業によりかわき目があり、目薬を探しに来た。最近、充血も気になっている。

お客さま: 目薬はどこですか?

登録販売者: こちらでございます。よろしければ、選ぶのをお手伝いしましょうか?

お客さま: そうですね...仕事で1日中パソコンを使っているせいか、かわき目の症状があります。最近は充血も気になりますが、目薬を点してもこれらの症状がよくならないこともあって。高い目薬の方がよいですかね?

近年、たくさんの成分が入った点眼薬が発売されていますが、成分が多ければよい、値段が高ければよいということはありません。「必要な成分を必要な時だけ使う」というのがOTC医薬品使用の大原則です。
受診勧奨すべきかどうかを探っていきます。

登録販売者: 必ずしも高い目薬の方がよいということはありません。それよりも、ご自分の症状に合った目薬をお選びいただいた方がよいですね。かわき目や充血が気になるとのことですが、目やにやかゆみなど、ほかの症状はありますか?

お客さま: 目やにやかゆみはないですが、目が疲れていて、ゴロゴロ感が出るときもありますね。

お客さまの情報から、単なるかわき目ではなく、「ドライアイ」など医療機関での治療が必要な病気の可能性もあります。

登録販売者: 疲れ目とゴロゴロ感ですね。今お使いのお薬やサプリメントなどはありますか?内服薬も含めて教えてください

お客さま: 市販の目薬だけで、ほかにはありません。もうなくなりかけていますが、「点眼薬A」を使っています。

【点眼薬Aの成分】
  • ●塩酸テトラヒドロゾリン 0.05%
  • ●ネオスチグミンメチル硫酸塩 0.005%
  • ●クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.03%
  • ●ビタミンB6 0.05%
  • ●L-アスパラギン酸カリウム 1%
  • ●タウリン 0.5%
  • ●コンドロイチン硫酸エステルナトリウム 0.25%

登録販売者: こちらの目薬は1日に何回、どのくらいの期間使っていますか?

お客さま: 午前、午後と2~3回ずつです。同じ目薬を半年以上、毎日使っていますね。

登録販売者: 詳しく教えていただき、ありがとうございます。先ほど充血があると伺いましたが、充血の原因はいろいろありまして、その原因の1つに、点眼薬Aに含まれている「血管収縮薬」と呼ばれる成分があります。この成分は広がった血管をキュッと縮めることで、一時的に充血が治ったように見せかけることができますが、連用すると充血が悪化することがあるんです。

お客さま: そうなんですか。知らなかったです。どの成分ですか?この目薬を使うのはやめた方がよさそうですね。

登録販売者: 塩酸テトラヒドロゾリンという成分です。お客さまの症状がそれによるものと断言はできないですが、考えられる原因をひとつずつ消していくのがよいと思います。おっしゃるとおり、使用を中止してください。

お客さま: わかりました。

OTC医薬品で対応できない旨を伝えます。受診勧奨は「説得」しようとするとうまくいかないことがあるので、お客さまのご意向を伺いましょう。

登録販売者: それと、市販の目薬を使っても症状が改善しないとのことなので、一度眼科にかかることをお勧めします。かわき目などの症状ですと「病院に行くほどではない」と思われる方もいらっしゃいますが、病院での治療が必要なケースもございます。近いうちに受診する時間は取れそうですか?

お客さま: 分かりました。ただ、仕事の関係で来週になってしまうので、それまでのつなぎとして何か目薬を選んでもらえますか?

【ソフトサンティアの成分】

  • ●塩化カリウム 0.1%
  • ●塩化ナトリウム 0.4%

登録販売者: 承知いたしました。そうしましたら、「ソフトサンティア」はいかがでしょうか?こちらの目薬は人口涙液と呼ばれており、かわき目の症状を改善します。充血の症状もかわき目が原因となっていることがありますので、使って様子を見ていただければと思います。

お客さま: よさそうですね。ほかに候補はありますか?

要指導医薬品でヒアルロン酸が主成分の、「ヒアレインS」についてご案内します。人口涙液やヒアルロン酸は、医療機関でドライアイの治療薬として使われることの多いお薬です。

登録販売者: 薬剤師のみが対面で販売できる目薬がありまして、そちらも候補になる可能性があります。ただ、販売するかどうかの判断は薬剤師が行うので、確実ではありません。今の時間、当店は薬剤師がいないため対応できませんが、薬剤師がいる時間に再度来ていただければ、取り次ぐことも可能です。

お客さま: そうですか。そういう目薬があるということは頭に入れておきますね。今日は「ソフトサンティア」をください。

登録販売者: 承知いたしました。こちらの商品は小分けの目薬が4本入っています。1回2~3滴、1日5~6回点眼してください。だいたい3時間おきですね。開封後、約10日間以上すぎた場合は使用しないようにしてください。それと、充血がひどい時は冷たいタオルを目に当てると落ち着くことがありますよ。

お客さま: わかりました。いろいろ教えていただき、ありがとうございました。

登録販売者: お大事になさってください。

点眼薬の接客の大まかな流れ

  • 1.症状を確認する
  • 2.受診勧奨すべきかどうかを判断する
  • 3.血管収縮薬の必要性について考える

1.症状を確認する

今回の事例では、かわき目と充血が主訴になります。かわき目は、OTC医薬品で対応できる症状なのかどうかを判断し、充血はその元となっている原因を探っていく必要があります。

2.受診勧奨すべきかどうかを判断する

かわき目の症状で多い病気に、「ドライアイ」があります。ドライアイはさまざまな要因により涙のバランスが崩れる病気で、医療機関で診断を受けて治療を行う必要があります。ドライアイは、典型的な目のかわきの症状のほか、疲れ目、ゴロゴロ感、目やに、痛み、かすみ、かゆみなど、目に関する症状が多いほど、その可能性が高くなります。単なる「かわき目」の症状と「ドライアイ」の線引きを医師以外の者が行うのは難しいため、「OTC医薬品を使用しても症状が改善しない、もしくは、症状を繰り返している」ことが、受診勧奨の目安となります。
どのくらいの期間を目安に点眼薬を使用するかは、添付文書に記載があります。たとえば、ソフトサンティアは「2週間くらい使用しても症状がよくならない場合」、血管収縮薬の入った点眼薬は「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合」、使用を中止するように書いてあります。

3.血管収縮薬の必要性について考える

次に、充血の場合は原因を把握して、それに合った点眼薬を選んでいきます。最初から「充血=血管収縮薬」と安易に結びつけることはしないようにしてください。充血の原因には、ドライアイや結膜炎、疲れ目などがありますので、これらの根本的な原因に適した対応をしましょう。
事例で書いた通り、血管収縮薬は連用により充血の症状を悪化させることがあるため、使う機会を限定します。たとえば、充血しているとあまりよくない場面、たとえば何かの撮影など見た目が重要な予定があるときの、一時的な使用には適しています。

また、緑内障の人は、血管収縮薬によって症状が悪化する可能性があります。お客さまが自ら緑内障であることを教えてくださればよいですが、世の中には、潜在的な緑内障の人(緑内障の自覚のない人)もたくさんいます。高齢になるほどその割合が増えるので、特に必要性がない限り、40代以降の人の血管収縮薬入りの点眼薬の使用も控えた方がよいでしょう。

なお、血管収縮薬が含まれる点眼薬は、第2類医薬品に指定されているため、容易に見分けられます(ただし、血管収縮薬の入っていない第2類医薬品もあります)。つまり、血管収縮薬が不要な場合は、第3類医薬品の中から選ぶとよい、ということです。

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