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事例から学ぶOTC医薬品〜便秘薬編〜

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

2021年6月11日

事例から学ぶOTC医薬品〜便秘薬編〜

  • 【お客様の背景】
  • 20代女性。毎回、生理前に便秘になり困っている。便秘薬を探しに来た。

お客さま: すみません、便秘の症状がひどいのですが、どうしたらよいですか?

症状が出た時期や原因について探っていきます。
生理前はホルモンバランスの関係で便秘になることがあります。また、生理が来たと同時に下痢になる人もいます。
便秘への対応を考えるときは一般的に、①生活習慣の見直し、②整腸剤の使用、③便秘薬の使用 の順に検討していきます。

登録販売者: いつから出ていませんか?

お客さま: 毎回生理前になると便秘気味になってしまうんです。今回は長引いていて、もう4日目です。できれば便秘薬には頼りたくないのですが...

登録販売者: 生理前の便秘であっても、症状改善の基本は「生活習慣の見直し」になりますので、普段の生活について確認させてください。まず、水分補給はこまめに行っていますか

お客さま: はい、かなり気にしている方だと思います。それと、バナナとかキノコとか、できるだけ繊維質なものも食べるようにしています。運動も心掛けています。

登録販売者: すばらしいですね。今、何か薬は飲まれていますか?普段服用している薬についても、もしあれば教えてください。

お客さま: 整腸剤を飲んでいますが、ダメみたいです。そのほかは特にありません。

薬の使用をご希望でないので、まずは薬以外の方法を勧めてみます。

登録販売者: 2点ほどご提案がありますので、お話しさせていただきますね。まず1つ目が、オリゴ糖の入ったヨーグルトです。もしくは、オリゴ糖をご購入いただいて、通常のヨーグルトにかけていただくのもよいですよ。オリゴ糖は善玉菌のエサになるので、乳酸菌と合わせることで相乗効果が期待できます。

お客さま: なるほど。ヨーグルトは毎日食べているので、オリゴ糖を買ってみようかな。

整腸剤をお使いですが効果が今ひとつのようなので、非刺激性の便秘薬である酸化マグネシウムも一緒に勧めてみます。

登録販売者: のちほど場所をご案内しますね。もう1つが、酸化マグネシウムの便秘薬です。酸化マグネシウムは腸の中に水をひきこんで、便をやわらかくします。便秘薬にはクセになってしまうものもありますが、こちらはクセになりにくく、便秘薬の中では比較的安全性の高いお薬です。たとえば「酸化マグネシウムE便秘薬」という商品がありますが、いかがでしょうか?

お客さま: おなかが痛くなることはないですか?

登録販売者: 酸化マグネシウムは「非刺激性の便秘薬」と呼ばれることもあり、おなかが痛くなりにくいお薬です。服用錠数を調節できますので、少ない錠数から試してみると良いですよ。

お客さま: そうですか。そしたらそちらも試してみようかな。

飲み方についてお伝えします。便秘薬は服用錠数を自分で調節する必要があるので、どのように飲むのか必ずアドバイスを行いましょう。

登録販売者: そうしましたら、就寝前に1回3錠を、コップ1~2杯のお水と一緒に服用してください。多めの水と一緒に飲むのがポイントです。効果が出なければ1回6錠まで増やせるので、ご自分で調節してください。また、オリゴ糖と一緒に飲むと効果が出すぎる可能性があるので、まずはどちらか一方に絞って使ってみてください。

お客さま: 分かりました。先に酸化マグネシウムを使ってみようと思います。

便秘薬の接客の大まかな流れ

  • 1.頭痛の種類を確認する
  • 2.生活習慣の確認を行う
  • 3.腸剤や、おなかの調子を整える食品の使用を検討する
  • 4.便秘薬の使用を検討する

1.頭痛の種類を確認する

次の場合は、医療機関への受診を勧めます。

  • ● 下痢と便秘を繰り返している
  • ● 強い腹痛や吐き気、嘔吐を訴えている
  • ● 刺激性便秘薬を濫用している
  • ● 妊娠中である

妊娠中は、整腸剤や酸化マグネシウムであれば使える可能性があります。しかし、妊娠中の便秘は長期的に管理する必要があるため、OTC医薬品は一時的な使用に限り、かかりつけの産婦人科への相談を促してください。

2.生活習慣の確認を行う

便秘の予防や治療は、食生活をはじめとする生活習慣の見直しが最優先です。なぜなら一時的に薬を使って便秘を解消できても、普段の生活習慣が乱れていれば、便秘を何度も繰り返してしまうからです。

3.腸剤や、おなかの調子を整える食品の使用を検討する

便秘薬の使用を勧める前に、整腸剤や食品などのおなかの調子を整えるものを検討します。一般的にヨーグルトやオリゴ糖などは、薬よりも安価で安全性も高いため、お客さまも試しやすいとうメリットがあります。
今回の事例ではオリゴ糖を取り上げましたが、オリゴ糖は「プレバイオティクス」の一種です。辞書によれば、プロバイオティクスとプレバイオティクスの違いは、以下の通りです。

  • ● プロバイオティクス:腸内細菌のバランスを改善し、健康に有益な作用をもたらす生きた微生物。乳酸菌・ビフィズス菌・納豆菌など。また、それらを含む食品・医薬品などを指す。
  • ● プレバイオティクス:プロバイオティクスの増殖を促進する物質。オリゴ糖・食物繊維など。

腸内の善玉菌の割合を増やす方法には、大きく分けて「プロバイオティクスを摂取する方法」と「プレバイオティクスを摂取する方法」の2通りがあります。つまり、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせることで、相乗効果が期待できる可能性があります。プロバイオティクスとプレバイオティクスについては、次のサイトに詳しく書かれているので、合わせてご参照ください。

参考 腸内細菌と健康:厚生労働省

4.便秘薬の使用を検討する

便秘薬には大きく分けて、刺激性下剤と非刺激性下剤がありますが、まずは非刺激性下剤から使っていきます。刺激性下剤は耐性のリスクが指摘されているため、常用しないようにします。刺激性下剤は、非刺激性下剤を使っても出ないときに頓服使用するのがよいでしょう。また、一見、非刺激性下剤のような商品でも、刺激性下剤が一緒に配合されている場合があります。商品を選ぶときには十分に注意してください。

● 非刺激性下剤
塩類下剤酸化マグネシウム
浸潤性下剤ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)
膨潤性下剤カルメロースナトリウム、プランタゴ・オバタ種皮
● 刺激性下剤
大腸刺激性下剤ダイオウ、センナ、センノシド、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム水和物
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