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事例から学ぶOTC医薬品〜外用鎮痛消炎薬編~

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

2021年7月27日

事例から学ぶOTC医薬品〜外用鎮痛消炎薬編~

  • 【お客様の背景】
  • 30代女性、授乳中である。子供の抱っこで手首が痛む

お客さま: 授乳中でも使える湿布薬はありますか?

登録販売者: ご案内いたします。症状をお聞きしてもよろしいですか?

お客さま: 子供を抱っこしていたら、手首が痛くなってしまいました。できれば薬で授乳をストップしたくないのですが...

授乳中の薬の選択肢として、外用鎮痛消炎薬は比較的使いやすいお薬です。

登録販売者: 育児中は体に負担がかかりますよね。湿布薬は授乳中でも、用法・用量通りに使っていただければ、授乳をストップせずに使用することができますよ。

お客さま: そうなんですね。子供への影響は大丈夫でしょうか?

お子さまへの影響を心配される方は多いので、しっかりと説明しましょう。

登録販売者: 湿布薬は、内服薬と比べてお母さん自身の血液中に吸収される量が非常に少なくなります。母乳移行する薬の量はさらに少なく、ほとんどありませんので、赤ちゃんに影響する可能性は低いと考えられます。

お客さま: そうでしたか。分かりました。おすすめの商品はありますか?

登録販売者: 選ばせていただきますね。ぜんそくなどの持病はありますか?

お客さま: ありません。

登録販売者: 何かお使いの薬やサプリメントはありますか?

お客さま: それも特にありません。

効き目がマイルドなお薬をご希望の場合は第一世代の鎮痛消炎薬を、強めのお薬をご希望の場合は第二世代の鎮痛消炎薬を選びます。

登録販売者: 効き目がマイルドなお薬と強めのお薬では、どちらの方がよろしいですか?

お客さま: 効き目のよいほうが助かります。それと、できるだけにおいのないものがよいですね。

ボルタレンシリーズにはさまざまな剤形がありますが、ここでは育児で忙しい状況を考慮して、何度も塗り直す必要のないテープ剤を選びます。

登録販売者: サリチル酸メチルやカンフル、メントールを含む湿布薬には独特なにおいがありますので、避けますね。それでは、ボルタレンEXテープはいかがでしょうか。1日1回貼っていただくと、24時間効果が持続します。1回に2枚まで貼れますので、両手首に使用することができますよ。

お客さま: 貼り替えの手間がないのは助かりますね。それをもらっていきます。

登録販売者: ありがとうございます。 お大事になさってください。

外用鎮痛消炎薬の接客の大まかな流れ

  • 1.症状を確認する
  • 2.受診勧奨すべきかどうかを判断する
  • 3.第一世代と第二世代の成分のどちらがよいかを判断する
  • 4.剤形を判断する

1.症状を確認する

手足や腰の痛みなどの体の痛みを訴えている場合、外用鎮痛消炎薬と内服の解熱鎮痛薬のどちらも選択肢になります。体の痛みが局所の場合は外用薬、痛みが複数か所ある場合は、内服薬の方が向いています。また、適切な用法用量で使用する場合、外用薬の方が、胃腸障害が出にくいという特徴もあります。

2.受診勧奨すべきかどうかを判断する

以下の症状があるときは、受診を促します。

  1. 症状が強くて日常生活に支障が出ている、歩けない、眠れない
  2. 腰痛にほかの症状(腹痛や吐き気、血尿など)が伴う→内臓の病気の疑いがある
  3. OTC医薬品を使っても改善しない

3.第一世代と第二世代の成分のどちらがよいかを判断する

① 成分の使い分け
症状が強い場合、第二世代の鎮痛消炎薬を選びます。

【第一世代 鎮痛消炎薬】
局所刺激により患部の血行を促し、末梢の知覚神経に軽い麻痺を起こすことにより、鎮痛作用をもたらすとされています。

成分の例:サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール

【第二世代 鎮痛消炎薬(NSAIDs)】
骨格筋や関節部まで浸透して、プロスタグランジンの産生を抑える作用を示します。

成分の例:ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム水和物、フェルビナク、インドメタシン

② 妊娠中・授乳中の人への対応
妊娠中の人では、第一世代の外用鎮痛消炎薬であれば使用できると考えられます。授乳中の人では、適切な用法用量であれば、どの外用鎮痛消炎薬も使用できると考えられます。

外用鎮痛消炎薬の場合、メーカーホームページに妊娠中・授乳中の薬の使用について記載のある商品もあります。説明に不安のある人は、お客さまのご案内時に、それらのページを見せながら説明するのもおすすめです。また、当社(株式会社東京マキア)が運営しているホームページでは、メーカーが一般の方向けに出している「妊娠中・授乳中の薬の服用」に関するページをまとめています。ぜひご活用ください。

https://drugstorenote.com/information/pregnant-and-breastfeeding/

4.剤形を判断する

外用鎮痛消炎薬は、使われている成分数はそんなに多くありませんが、剤形が豊富なために商品数がかなり多く見えます。大きく分けて、貼るタイプと塗るタイプがありますが、使い分けを見ていきましょう。

① 貼るタイプ:密着させて、しっかり長く効かせたい場合に用います。

  • ● テープ剤の特徴:うすい、はがれにくい
  • ● パップ剤の特徴:粘着性が低く、テープ剤よりも皮膚刺激が少ない、保湿力があるので高齢者などの乾燥肌に向く

② 塗るタイプ:塗り直しが可能な状況の人で、関節などのよく動かす部分に使いたい場合に用います。

  • ● ゲルの特徴:ベトベトせず、伸びがよい
  • ● クリームの特徴:マッサージしながら薬を塗りこむことができる
  • ● ローションの特徴:すぐに乾き、広範囲に塗りやすい、皮膚刺激が出やすいく

これらの特徴を踏まえ、お客さまの生活環境に合わせて剤形を選んでいきます。外用鎮痛消炎薬を選ぶ際、剤形は成分と同じくらい大切な検討材料になりますので、丁寧に説明できるようにあらかじめ準備しておきましょう。

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