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事例から学ぶOTC医薬品〜皮膚用薬編(にきび)~

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

2021年9月15日

事例から学ぶOTC医薬品〜皮膚用薬編〜

  • 【お客様の背景】
  • 20代女性、顔のにきびに悩まされている。

お客さま: 最近、顔のにきびが増えてしまって。何かよいお薬はありますか?

登録販売者: ご案内いたします。症状が出始めたのはいつですか?

お客さま: 2週間くらい前です。とりあえず家にあったオロナイン軟膏を塗ってみたのですが、よくなったかと思うと新しいのができてしまって、追いつきません。マスクをずっと付けているからかもしれません

患部の状態を把握します。

登録販売者: 近年、マスクのせいで肌荒れを起こすお客さまが増えています。1回できてしまうと、なかなか治りにくいですよね。ニキビは顔全体に出ていますか?

お客さま: 恥ずかしくてマスクを外して見せられないのですが、5~6個のニキビが頬とあごにあります。

登録販売者: 無理に見せていただかなくて大丈夫ですよ。ニキビは炎症を起こしているような、赤色をしていますか?

お客さま: 白いニキビもありますが、それよりも気になるのは頬にできている赤いニキビです。

今回はすでにOTC医薬品を使っているため、医療機関への受診勧奨をします。

登録販売者: 承知いたしました。後ほどお薬もご案内いたしますが、すでに市販薬を使っていて2週間症状が治まっていないということなので、まずは皮膚科の受診を強くおすすめいたします。お医者さんで処方されるニキビのお薬は種類がたくさんありますし、市販薬と比べて効き目のよいものもいろいろあります。今回の場合、市販のお薬はあくまで受診するまでの繋ぎにしていただくのがよさそうです。

お客さま: そうなのですね。病院に行くのがめんどうだなと思っていましたが、早くキレイに治したいので、時間を見つけて受診するようにします。では、それまでに使う薬を選んでもらえますか?

登録販売者: ご理解いただき、ありがとうございます。炎症性の赤いニキビということなので、抗炎症薬の配合されたものがおすすめです。「ペアアクネクリームW」はいかがでしょうか?こちらの商品は、炎症を抑えるイブプロフェンピコノールと、アクネ菌を殺菌してくれるイソプロピルメチルフェノールが含まれています。

お客さま: よさそうですね。それをもらっていきます。それとこの機会にスキンケア方法も見直したいのですが、アドバイスをお願いできますか?

ニキビの治療は、日ごろのスキンケアも大切ですので、アドバイスができるとよいでしょう。

登録販売者: 承知いたしました。まず、洗顔は何度も行わず、1日2回がおすすめです。洗顔料をよく泡立てて、手で優しく洗ってください。洗顔後に乾燥が気になる場合には、化粧水や保湿剤などを使ってくださいね。化粧品を選ぶときは、「ノンコメドジェニック」と明記されたものがおすすめです。それと、メイクをしている場合には、先にメイク落としでメイクを落としてから、洗顔するようにしてください。

お客さま: 洗顔は1日2回、メイクはメイク落としで落とすのがよいのですね。洗顔料や保湿剤などの購入も検討したいのですが、ご案内をお願いできますか?

登録販売者: そうしましたら、化粧品担当の者に代わりましょうか?

お客さま: ぜひお願いします。

登録販売者: かしこまりました。

ニキビの接客の大まかな流れ

  • 1.症状を確認する
  • 2.受診勧奨すべきかどうかを判断する
  • 3.商品を選ぶ

1.症状を確認する

ニキビの症状には段階があり、分かりやすく、白・黒・赤・黄の色で例えられることがあります。
第一段階は白ニキビで、毛穴に皮脂がたまりアクネ菌が増え始めます。肌がざらざらした状態になりますが、これを「コメド」、「面ぽう」などと呼びます。黒ニキビは、毛穴に詰まった古い角質と皮脂が空気に触れて酸化し、黒く変色した状態です。
第二段階は赤ニキビで、アクネ菌が炎症を引き起こし、赤くなります。
第三段階は黄ニキビで、赤ニキビが悪化して膿がたまります。この状態になるとニキビ痕が残りやすいため、医師の治療を受けた方がよいでしょう。

2.受診勧奨すべきかどうかを判断する

次の場合は医療機関への受診勧奨をします。

  • ● ニキビが顔全体に広がっている場合
  • ● ニキビが膿んでいる場合(黄ニキビ)
  • OTC医薬品を使っても改善しない場合
  • ● より効果的な治療を受けたいという要望がある場合

残念ながらOTC医薬品のニキビ治療薬は、ガイドライン(※)で強く推奨されているものがありません。効果的な治療を受けたい、もしくは痕を残さずにキレイに治したいなどのご要望がある場合は、医療機関への受診を促してください。OTC医薬品を選択するときは、軽いニキビの場合や、今回の事例のように受診の繋ぎとして活用するのがよいでしょう。

※ガイドライン:エビデンス(科学的根拠)などに基づいて最適と考えられる治療法を提示する文書のこと。
参考:尋常性痤瘡治療ガイドライン 2016 日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/acne%20guideline.pdf
(尋常性痤瘡とは、ニキビのことです。)

ガイドラインでは以下の薬を強く推奨していますが、OTC医薬品にはこれらの成分が配合された商品はありません。

  • ● アダパレン:毛穴の詰まりに効果があり、にきびをできにくくする作用がある。
  • ● 抗生物質:飲み薬や塗り薬があり、アクネ菌や炎症に有効である。

いわゆる「抗生物質の外用剤」はOTC医薬品にもありますが、ニキビ治療で推奨されている医療用医薬品と同成分の商品はないため、注意が必要です。

3.商品を選ぶ

市販のニキビ治療薬の商品は、大きく分けて以下の2種類があります。お客さまのニキビの状態によって使い分けましょう。

● 抗炎症薬(イブプロフェンピコノール)の入ったもの
赤ニキビ、炎症性のニキビにおすすめです。
✓ ペアアクネクリームW
✓ メンソレータムアクネス25メディカルクリームc など

● イオウの入ったもの
イオウには角質軟化・皮脂吸収成分があります。白ニキビや毛穴の詰まったニキビ、脂性肌の人のニキビにおすすめです
✓ メンソレータムアクネスニキビ治療薬
✓ クレアラシル S3(ニキビ治療薬クリーム 白色タイプ)

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