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事例から学ぶOTC医薬品〜解熱鎮痛薬編 partⅡ〜

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

2021年10月12日

事例から学ぶOTC医薬品〜解熱鎮痛薬編partⅡ〜

  • 【お客様の背景】
  • 30代、女性。アスピリン喘息の既往歴あり。かぜ薬がほしくて来店した。

お客さま: アスピリン喘息の人でも飲めるかぜ薬はありますか?3年くらい前に、市販のかぜ薬を飲んだ後に喘息が出たことがあります。発作が軽かったので、結局アスピリン喘息かどうかは分からないままなのですが、お医者さんには念のため、市販薬を使うときは注意するようにと言われました。

OTC医薬品で対応できる症状かどうかを確認します。

登録販売者: アスピリン喘息の方でも飲めるお薬ですね。ご案内いたします。熱は何度くらいですか?

お客さま: 今朝測ったところ、37度5分でした。平熱は36度4分です。鼻水と喉の違和感も少しあります。

登録販売者: 37度5分で、熱と鼻水、喉の違和感ですね。いつから熱が出ていますか?

お客さま: 今朝からです。

医師による治療状況を確認します。

登録販売者: お医者さんから、お客さまが飲んでも問題のないお薬について、何か聞いていますか?

お客さま: 聞いた気がします。カタカナの名前だったと思いますが、成分名を忘れてしまいました。すみません。

薬を使わない選択肢についても話してみます。

登録販売者: 承知いたしました。一点、お聞きしたいのですが、かぜ薬は今ある症状を和らげるだけで、かぜ自体が治るわけではありません。今のところは症状が軽そうですので、薬がなくても問題なさそうでしたら無理に薬を使わなくてもよいのですが、どうされますか?あたたかくして水分補給をしっかり行い、安静にしていただければ、一般的なかぜでしたら数日でよくなります。

お客さま: そうなのですね。たしかに今の症状であれば、薬なしで様子を見てもよさそうです。でも症状が悪化すると心配なので、念のため薬を選んでいただくことはできますか?

【葛根湯の効能・効果】
体力中等度以上のものの次の諸症:
感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み

【地竜(ジリュウ)の効能・効果】
感冒時の解熱
フトミミズ科のPheretima aspergillum Perrier 又はその近縁動物の内部を除いたものを基原とする生薬である。

登録販売者: かしこまりました。アスピリン喘息の方でも服用できるお薬ですと、葛根湯か、地竜(ジリュウ)という生薬のお薬はいかがでしょうか?葛根湯は、熱が上がって汗をかく前の、寒気があるようなときに使うことができます。寒気の症状や、首筋のこわばりなどはありますか?

お客さま: 特にないですね。でも葛根湯なら飲めるんですね。夫が買ってきた葛根湯が家にあるので、今後のために覚えておきます。

登録販売者: そうですね。ただし、葛根湯はほかの解熱鎮痛薬が一緒に配合されている商品もありますので、成分表記が葛根湯だけになっているか、服用前によく確認するようにしてください。

お客さま: 分かりました。地竜というお薬は、鼻水などにも効きますか?

登録販売者: 地竜は昔からある熱冷ましのお薬です。熱以外の症状に対しては、ほかの商品を選んで、一緒にお使いいただく必要がございます。

お客さま: なるほど。今のところ一番気になるのは熱なので、地竜と経口補水液を買って帰ります。いろいろ教えていただき、ありがとうございます。

登録販売者: とんでもございません。お大事になさってください。

アスピリン喘息

アスピリン喘息は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や解熱鎮痛薬によって、発作が引き起こされる喘息です。「アスピリン」という言葉がついていますが、アスピリンだけでなく、ほとんどの解熱鎮痛薬が原因となります。また、痛み止めの坐薬や塗り薬、貼り薬などで発症することもあるので、注意が必要です。

● 特徴

症状 原因となる医薬品を服用して短時間で、鼻水・鼻づまりが起こり、次に咳、喘鳴(ゼーゼーやヒューヒュー)、呼吸困難が出現し、徐々にあるいは急速に悪化する
経過 軽症例で半日程度、重症例で 24 時間以上続くこともあるが、原因となった医薬品が体内から消失すれば症状はなくなる
年齢 30代~40代に多い
性差 やや女性が多い
アスピリン喘息の可能性が高い人 成人になってから喘息を発症した人、通年性の鼻炎症状のある人、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)や鼻茸を合併している人、季節に関係なく喘息発作が起こる人 等

参考:厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1b05.pdf

● アスピリン喘息の人が使用できる可能性のある薬

アセトアミノフェンは1回300㎎以下であれば、「ほぼ安全」とされていますが、OTC医薬品のアセトアミノフェンでは、アスピリン喘息を起こしたことのある人は「してはいけないこと」になっています。よって、かぜの場合の選択肢としては、葛根湯や地竜などがよいでしょう。
総合感冒薬の中に地竜が含まれたものもありますが、解熱鎮痛作用を高めるために、多くの場合、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛成分が一緒に配合されています。成分表記を確認し、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が含まれた商品を勧めないように注意しましょう。

参考:独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター NSAIDsを理解するためにするために:NSAIDs不耐症における危険薬
https://sagamihara.hosp.go.jp/rinken/crc/nsaids/about/nsaids02.html

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