2021年11月7日

事例から学ぶＯＴＣ医薬品〜鎮咳薬編partⅡ〜

• 【お客様の背景】
• ３０代、男性、会社員。咳の症状でメジコンせき止め錠Proを希望している。

今回は、鎮咳成分であるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物について学びましょう。
「メジコンせき止め錠Pro」が発売される前までは、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物が単独で配合された商品はなく、複合剤しかありませんでした。今回、「メジコンせき止め錠Pro」が発売されたことで、咳止めの選択肢が増えたことになります。コデインなどの麻薬性鎮咳薬が含まれた商品は、お客さまへの説明事項も多いため、今後はデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物などの非麻薬性鎮咳成分の需要が高まる可能性もあります。デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物のメリット・デメリットについて学習しましょう。

【デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物が主成分の商品一覧】

・麻薬性鎮咳成分との比較

一般的に麻薬性鎮咳成分には強力な鎮咳作用があると言われますが、医療用医薬品の「メジコン（成分：デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物）」のインタビューフォーム（薬剤師向けの医薬品解説書の一種）には、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の鎮咳作用は、コデインと比較して同等であると記載があります。次の表を見て分かる通り、麻薬性鎮咳成分は使用制限が非常に多いので、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を代替成分として提案する場面も出てくるでしょう。

【コデインとの比較】

一般用薬品の添付文書の内容は、医療用医薬品の添付文書と比較して省略されている傾向があります。たとえばデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物にも眠気の副作用がありますが、一般用医薬品の添付文書においては、「乗り物の運転を禁止する旨」を記載するルールになっていません。これにより、同じデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物が配合された商品でも、乗り物の運転を禁止している商品と、そうでない商品が混在しています。
なお、「メジコンせき止め錠Pro」では、「してはいけないこと」には乗り物の運転を禁止する旨が書かれていません。ですが、添付文書の欄外に、「メジコンせき止め錠Proを服用後、眠くなることがありますので乗物または機械類の操作にご注意ください。」と書いてあります。お客様にはその旨をお伝えするとよいでしょう。
また、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物の依存のリスクは低いとされていますが、海外では濫用されている事実もありますので、過量投与には十分に注意します。特に、「メジコンせき止め錠Pro」はデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物のみが含まれた商品ですので、より一層注意する必要があります。商品を複数個購入しようとする方や、頻繁に購入している方には、適正使用についてアドバイスをするようにしましょう。

・前回の鎮咳・去痰薬の記事もご参照ください。

事例から学ぶＯＴＣ医薬品〜鎮咳薬編 partⅠ〜
https://www.touhan-navi.com/contents/column/cat4/001064.php