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事例から学ぶOTC医薬品~インフルエンザ対応編~

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

2021年11月7日

事例から学ぶOTC医薬品~インフルエンザ対応編~

  • 【お客様の背景】
  • 20代、男性、学生。インフルエンザが疑われる症状で来店した。

お客さま: 今日の朝から熱があります。風邪薬はどこにありますか?

登録販売者: いらっしゃいませ。熱は測りましたか?

お客さま: 朝測った時は38度くらいありました。家に薬が何もなく、休日で病院もやってないので、困ってしまいました。

インフルエンザの可能性があるかどうかを確認していきます。

登録販売者: ここまで来るのも大変でしたよね...。熱の他に、関節痛や筋肉痛、全身のだるさなどはありますか?

お客さま: 関節痛なのかわからないのですが、なんだか体がきしむというか、痛みがあります。それととてもだるいのと、頭痛もあります。

登録販売者: 周りにかぜをひいている人はいますか?

お客さま: そういえば、インフルエンザに罹った人がいますね。もしかして僕もインフルエンザでしょうか?

登録販売者: 一般的にインフルエンザでは、高熱、関節痛や倦怠感などの全身症状が出ることが多いですね。医師でないと診断はできませんが、症状を伺った感じでは、その可能性も考えておいた方がよさそうです。

お客さま: そうすると病院に行った方がいいですよね?でも今日はかかりつけのクリニックがお休みなんですよね...。

インフルエンザの検査結果は、発熱直後だと正確に出ないこともあります。まずは医療機関に症状を相談するようにお伝えしてください。

登録販売者: そうしましたら、明日一度クリニックに電話していただいて、受診が必要かどうかと、どのタイミングで受診すればよいかを事前に確認するようにしてください。

お客さま: 分かりました。それではとりあえず、今日1日をどうにかするための薬を選んでもらえますか?

● ラックルの成分
1錠中 アセトアミノフェン 300mg

登録販売者: かしこまりました。インフルエンザが疑われるときは、使用できる解熱剤が限られていまして、アセトアミノフェンという成分が推奨されています。こちらの「ラックル速溶錠」はいかがでしょうか?

お客さま: 解熱剤ですか?インフルエンザウイルスを退治できるかぜ薬はないのでしょうか?

風邪薬を抗菌薬や抗ウイルス薬と勘違いされている方もいますので、丁寧な説明を心がけましょう。

登録販売者: かぜ薬はウイルスをやっつけるお薬ではなく、今ある症状を抑えるものになります。熱や痛みを緩和する成分や鼻症状を抑える成分、咳を止める成分を組み合わせて配合されています。

お客さま: そうなのですね、知りませんでした。

登録販売者: それと、お客さまの症状は熱と痛みとのことですので、解熱鎮痛成分以外の余計なものが入っていると、無駄な薬を服用することになり、副作用のリスクがございます。

お客さま: なるほど、よく分かりました。この商品には「腰痛・神経痛」と大きく書いてありますが、熱もこれで大丈夫なのでしょうか?

登録販売者: はい。痛みを抑える成分には、同時に熱を抑える作用もございます。現在、ワクチン接種の関係で、解熱剤が全体的に品薄になっております。通常はほかにもアセトアミノフェンの商品があるのですが、本日は品切れしております。ですが、こちらは「腰痛・神経痛」の方を対象にしたデザインのパッケージになっているだけで、成分はアセトアミノフェンになります。こちらの効能効果と成分名をご確認ください(パッケージを見せながら)。

お客さま: 確かにそう書いてありますね。たくさん聞いてしまってすみません。そちらをもらっていきます。

登録販売者: とんでもございません。今日は、脱水症状を防ぐために水分補給をこまめに行って、あたたかくしてゆっくり過ごしてくださいね。

インフルエンザは、通常、毎年秋以降に流行します。ですが、新型コロナウイルスの流行に伴い、インフルエンザの流行は例年にない動きとなっています。実際に、2021年の冬はインフルエンザが流行しませんでした。2022年の冬にかけてはまだどうなるのか分かりませんが、インフルエンザへの対応についておさらいしておきましょう。

● 風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルスの症状

症状 風邪 インフルエンザ 新型コロナウイルス
37〜38℃の微熱 38℃以上の発熱 37.5℃以上の発熱が4日以上続くことが多い
局所の症状(のどの痛み、鼻汁、咳) ある ある ある
頭痛 軽い 強い 場合による
全身症状(関節痛、筋肉痛、全身倦怠感) 軽い 強い 場合による
息苦しさ(呼吸困難) まれ まれ 症状が進むとある

インフルエンザの特徴的な症状として、高熱や全身症状、頭痛などがあります。インフルエンザが疑われる場合には、インフルエンザ脳症、そして、解熱鎮痛成分に注意する必要があります。

● インフルエンザ脳症

インフルエンザ脳症はインフルエンザの感染後に起こる急性脳症で、意識障害やけいれん、異常行動などの症状が現れます。一般的に幼児に発症しやすいですが、成人にも起こり得ます。
また、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)はインフルエンザ脳症との関係が示唆されているため、インフルエンザの疑いがある場合には使用を避ける必要があります。インフルエンザに伴う発熱への使用が推奨されている解熱鎮痛成分は「アセトアミノフェン」ですので、丁寧に説明するようにしましょう。

● 代替品を勧めるときの注意点

ある商品が品切れになっている時に、代替の商品をおすすめすることがあります。ですが、パッケージに大きく書かれた症状が、お客さまへの情報提供の足かせになることがあります。たとえば解熱剤をお求めのお客さまに、「腰痛」「生理痛」などと大きく書かれた商品をお勧めすると、同じ成分にも関わらずご納得いただけない場合があります。
このような時は、裏面に書かれた効能効果や成分を、お客さまご自身に確認していただくようにしましょう(字が小さいのがネックですが...)。私たちの「当たり前」が一般の方にとってはそうでないこともあります。思いがけない質問が飛んで来ることもありますが、お客さま側の視点を忘れないようにしたいものですね。

過去の記事 事例から学ぶOTC医薬品〜鎮咳薬編partⅡ〜
新しい記事 売れる登録販売者になる5つのポイント