登録販売者が知っておきたい「医薬品PLセンター」とは?クレームの対処法も解説
登録販売者が知っておきたい「医薬品PLセンター」とは?クレームの対処法も解説
こんにちは、登録販売者転職のアポプラス登販ナビライターチームです。
登録販売者試験にも出題される「医薬品PLセンター」。実務には関係ないものだと思っていませんか?医薬品PLセンターは登録販売者にとってもお客さまにとっても正しく活用すれば役立つ制度です。
そこで本記事では、医薬品PLセンターの基本情報についてわかりやすく解説します。現場でのクレーム対応に役立つポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- ・登録販売者が知っておきたい医薬品PLセンターとは
- ・医薬品PLセンターでのクレーム応対の流れ
- ・登録販売者が医薬品PLセンターを紹介するのはどんな場合?
- ・薬に関するこんなクレームに、登録販売者はどう対応する?
- ・店舗にありますか?登録販売者のための「クレーム対応マニュアル」
- ・まとめ|クレーム対応は医薬品PLセンターなどの制度を正しく活用しよう
登録販売者が知っておきたい医薬品PLセンターとは
まず、医薬品PLセンターとはどういった施設なのかを確認していきましょう。
概要・趣旨
医薬品PLセンターは、平成6年7月に成立した製造物責任法、いわゆるPL法をきっかけに平成7年7月に開設されました。医薬品PLセンターのホームページによると「消費者が医薬品に関するクレームについて製薬企業と交渉するに際して、公平・中立な立場で相談できる機関を持ち、さらに相対交渉で解決できなかった場合でも裁判によらずに迅速に解決すること」が医薬品PLセンターの趣旨であると書かれています。
それまで医薬品のトラブルに関しては「医薬品副作用被害救済制度」が存在していましたが、それ以外に関しては何の消費者保護制度もありませんでした。医薬品PLセンターの設立によって、初めて製造販売元と消費者をつなぐルートができたのです。
参考:医薬品PLセンター
設立の目的
医薬品PLセンターは、製薬企業(原則として日本製薬団体連合会加盟団体会員)が製造または販売するヒト用医薬品(医薬部外品を含む)について消費者から寄せられるクレームを受付け、これを裁判によらず迅速に解決し、または解決に導くことを目的としています。ただし、医療行為に関わる問題には関与しないとされています。
相談の対象
医薬品PLセンターの相談対象となるのは、上記の通り製薬企業(原則として日本製薬団体連合会加盟団体会員)が製造または販売するヒト用医薬品(医薬部外品を含む)です。
化粧品や医療機器は該当しませんので、注意しましょう。
医薬品PLセンターでのクレーム応対の流れ
医薬品PLセンターへ届いた相談は、専門相談員によって以下の流れで対処されます。
医薬品クレームに関わるメーカーへの照会、対応の依頼
ヒト用医薬品(医療用医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品)についてメーカーに対するクレーム申し立てが入ると、専門相談員は相談内容に応じてメーカーへ照会または伝達し、対応を依頼します。
消費者とメーカーとの相対交渉の仲介
専門相談員はあくまで交渉の仲介人です。消費者とメーカーが円滑に交渉できるよう、アドバイスや情報提供などをおこないます。
PL審査会による調整・斡旋
相対交渉が不調に終わった際には、PL審査会による調整・斡旋を申請することができます。PL審査会は、法律専門家、医師・薬剤師、消費者代表、その他の学識経験者で構成されており、公平・中立な立場で調整・斡旋を図ります。
登録販売者が医薬品PLセンターを紹介するのはどんな場合?
実際に登録販売者が医薬品PLセンターを紹介する場合は、以下のようなケースが考えられます。
例1)「購入した医薬品を自宅で開封したところ、薬にヒビが入っていた。大丈夫だろうと説明書通りに使用したが、副作用が起こった」とお客さまからの申し出があった場合
例2)「購入した医薬品(チューブ薬)に黒い斑点があり、使用後に症状が悪化した。返品したい」とお客さまからの申し出があった場合
「正しく医薬品を使用して、副作用が起こった」場合は医薬品副作用被害救済制度の対象になる可能性があるため、お客さまへは医薬品PLセンターではなく医薬品副作用被害救済制度(PMDA)を紹介します。医薬品副作用被害救済制度については、詳しく後述します。
薬に関するこんなクレームに、登録販売者はどう対応する?
医薬品売り場でよくあるクレームと対処のポイントを紹介します。
「購入した薬が効かない!」
お客さまからこのようなクレームがあったら、まずはお客さまに不快な思いをさせてしまったことに対して謝罪をします。
声をかけられた登録販売者が悪いことをした訳ではありませんが、「それはお困りでしたね」と一度お客さまの感情に共感することでお客さまの怒りを和らげることができるかもしれません。まずは、真剣に話を聞いているという姿勢を示すことが大切です。
お客さまの話が落ち着いたら、「〇〇なのですね」と事実確認をおこないます。中には話を聞いてほしいだけのお客さまもいらっしゃいますので、お客さまがどのような対応を望んでいるのかは話を聞きながら最適解を探りましょう。
「返品・返金したい」というクレームに対しては、効能の有無を理由に返品・返金はできませんので、丁重にお断りします。
他に登録販売者がおこなえる対処法としては、用法・用量や症状について詳しく確認し、さらにお客さまの同意を得たうえで、医師に情報提供することも一案です。
「服薬後に副作用があった」
医薬品売り場において、副作用に関する問い合わせもよくあるケースの一つではないでしょうか。副作用については軽いものから重いものまで人によって症状が異なるため、対処法もさまざまです。
軽い副作用の場合は使用量や回数を減らすなど飲み方を工夫することで症状が緩和することがありますが、重い場合は服薬を中止し、医薬品副作用被害救済制度を紹介することができます。
医薬品副作用被害救済制度(PDMA)は、「病院・診療所で投薬された医薬品、薬局などで購入した医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による入院治療が必要になるほどの疾病や障害などの健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付をおこなう制度」です。正しい用法・用量で使用していることが前提ですので、まずはお客さまへ服薬状況について確認し、問題がなければ救済制度を紹介しましょう。
参考:医薬品副作用被害救済制度
クレームは初期対応が重要
前述の通り、クレームを伝えてくださるお客さまは自分の気持ちに寄り添い、共感してほしいと思っている方が多いようです。初期対応でしっかりと話を傾聴し、真摯に受けとめる姿勢を見せることが重要です。
また、初期対応が悪ければ二次クレームに発展する可能性があります。医薬品へのクレームから登録販売者に対するクレームに変わってしまうと、店舗側へのダメージとなります。あくまで医薬品に対する対処法を一緒に考えるという姿勢で、お客さまの気持ちになって発言・行動しましょう。
店舗にありますか?登録販売者のための「クレーム対応マニュアル」
上記のようなよくあるクレームへの対応については、店舗でマニュアルを作成しておくことをおすすめします。その理由は、以下の2つです。
1つ目は、よくあるクレームとその対処法を知っておくことで販売員がスムーズに対応できるからです。特に、登録販売者になって間もない販売員はクレームの経験も多くないでしょう。初めてのクレームにあいまいな対応をしてしまい、お客さまの怒りを逆なでしてしまう、といったケースは避けたいものです。事前知識があれば、正しい判断がおこなえるでしょう。
2つ目は、スタッフによって違う対応にならないようにするためです。クレームはその対処法によって店舗の評判や口コミに直結しています。個々の判断で接客をおこなうのではなく、店舗としての判断基準を設けてクレームに対応することが望ましいといえるでしょう。
そのため、店舗管理者は「クレーム対応マニュアル」を作成し、店舗内で共有しておくことをおすすめします。
まとめ|クレーム対応は医薬品PLセンターなどの制度を正しく活用しよう
登録販売者が現場で直面するクレームには多様なケースがあります。医薬品に関するクレームは医薬品PLセンターへ、副作用に関しては医薬品副作用被害救済制度(PMDA)へというように内容によって対処方法は異なりますが、いずれも正しい知識を持ってお客さまに対応することが求められます。
また、クレームは初期対応が重要です。お客さまの話を真摯に受け止め、共感する姿勢で接客しましょう。店舗管理者はクレームマニュアルを作成して、店舗の接客力をあげましょう。
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