ドラッグストアの人手不足?ドラッグストアで働く人が知っておくべき現場の実態と対策
こんにちは、薬剤師・登録販売者講師の村松 早織です。
「ドラッグストアは人手不足で激務」という噂を聞いて不安になっている方はいませんか?確かに忙しい業界ですが、それには「市場の成長」という前向きな理由があります。そして今、多くの企業がその課題を解決するために画期的な対策を進めています。
この記事では、多くの現場を見てきた私の視点から、人手不足の理由と現場のリアル、そして「働きやすい環境」を作るための具体的な対策について解説します。
【この記事で得られること】
- 手不足の正体は、市場拡大による「出店ラッシュ」と「資格者不足」です。
- AIや自動レジの導入により、現場の「激務」は解消に向かっています。
- 今は売り手市場。未経験でも好待遇で採用される最大のチャンスです。
目次
- ・なぜドラッグストアは人手不足なのか?3つの構造的な理由
- ・【企業の対策】ドラッグストアの働き方を変える!最新の業務改善とDX
- ・人手不足の今だからこそ、ドラッグストアの登録販売者を目指すメリット
- ・まとめ:ドラッグストアは「進化」の途中。自分に合った環境を選ぼう
なぜドラッグストアは人手不足なのか?3つの構造的な理由
ドラッグストアにおける人手不足は、単に「スタッフが辞めてしまう」ことだけが理由ではありません。背景には「店舗数の増加」や「有資格者(薬剤師・登録販売者)の不足」などが挙げられます。
店舗数が増えているのは、それだけドラッグストアの需要が高いことの表れでもあります。実際、現在も市場は拡大し続けており、ドラッグストア業界は成長産業となっています。
人手不足は各店舗で常に改善が図られている課題ですが、まずはその構造的な理由から見ていきましょう。
①コンビニ以上のペースで進む「出店ラッシュ」
近年、ドラッグストアの店舗数はコンビニエンスストアを上回り、出店ラッシュといえる状況が続いています。背景には、政府が進めるセルフメディケーションの推進に加え、医薬品だけでなく食料品や日用品まで一度に購入できる利便性の高さがあります。こうした理由から、生活に欠かせない存在としてドラッグストアの需要が高まっているのです。
引用元:経済産業省「商業動態統計速報」(2025年11月28日発表)一方、日本全体では高齢化が進み、働き手となる現役世代は減少しています。そのため、増え続ける店舗数に対して人材の確保が追いついていないのが現状です。見方を変えれば、ドラッグストア業界は人手不足が続く「売り手市場」であり、就職や転職を目指す人にとってはチャンスが広がっている状況だと言えるでしょう。
②「登録販売者」の配置義務と資格者不足
医薬品を販売するうえで欠かせないのが、薬剤師・登録販売者といった有資格者です。これは法令で定められた遵守事項であり、販売する医薬品の区分に応じて必ず配置しなくてはなりません。
- 薬剤師...全ての医薬品を販売できる
- 登録販売者...第一類医薬品・要指導医薬品を除いた市販薬を販売できる
近年、ドラッグストアの人材不足が大きな課題となっています。実際、薬剤師・登録販売者の有効求人倍率は全体でおよそ3.5倍と高水準にあり、1人につき3件の求人がある、非常に就職・転職しやすい状況が続いています。
参考:厚生労働省|job tag 医薬品販売/登録販売者
参考:厚生労働省|job tag 薬剤師
③人手不足を生む「離職」と労働環境の課題
ドラッグストアは、医薬品から日用品まで幅広く買い物ができる利便性の高さが魅力です。その分、現場では多くの業務を同時にこなす必要があります。本来、薬剤師や登録販売者は医薬品に関わる業務を中心に担当する立場ですが、実際には一般スタッフと同じようにレジ対応や品出しを行うケースがほとんどです。
たとえば、レジに行列ができて対応している最中に、医薬品についての相談を受けたり、ポイントアプリの登録方法を聞かれたりすることも珍しくありません。こうした場面では業務の優先順位を考えて対応することになりますが、仕事の多さから「忙しすぎる」と感じ、退職を選ぶ人もいます。
さらに、営利企業である以上、本部から人件費の削減を求められることもあります。そのため、必要な人員配置を定めた法令を守りながら、現場の負担を抑えるというバランスを取るのが難しいという課題も抱えています。
【企業の対策】ドラッグストアの働き方を変える!最新の業務改善とDX
人手不足に悩む企業の中には、機械やシステムを導入することで業務の改善を図っているケースもあります。最近ではAIの進化が進み、働き手の負担を軽減してくれるようになりました。どのような変化が起きているのか、ここではその一例をご紹介します。
①レジ業務」の負担を減らす自動釣銭機とセルフレジ
人手不足への対策として、「自動釣銭機」や「セルフレジ」を導入するドラッグストアも増えています。
自動釣銭機は、入金やおつりの受け渡しを自動で行ってくれる機械です。従来のレジでは現金のやり取りを手作業で行うため、閉店後のレジ締め作業で金額のズレが生じやすく、残業して原因を探すことも少なくありませんでした。自動釣銭機はレジ誤差を大幅に減らせるため、業務効率が向上するだけでなく、スタッフの精神的な負担軽減にもつながります。
一方、セルフレジはお客様自身が会計を行う仕組みです。セルフレジのエリアには、基本的に担当スタッフが配置されています。そのため、登録販売者がほかの業務を中断してレジ対応に入る必要が減ります。その結果、ほかの業務を都度中断してレジ対応する機会を減らすことができ、より落ち着いて業務に取り組めるようになります。
②「品出し・発注」を効率化する自動発注システム
最近では、「自動発注システム」を導入している店舗もあります。自動発注システムとは、商品の在庫数や販売データなどをもとに、商品が一定数減ったときに自動で発注するシステムです。
これまでの発注業務は、ベテランスタッフの経験や勘に頼ることが多く、ミスを防ぐために常に気を張る必要がありました。やりがいのある仕事ではあるものの、責任が重く、精神的な負担が大きい業務でもあります。自動発注システムを導入することで、こうした負担を軽減できるだけでなく、勤務経験の浅いスタッフが多いシフトでも、安定した店舗運営が可能になります。
③電話応対」を減らすAI・自動音声の導入
ドラッグストアでは、日常的に店舗へ電話がかかってきます。忙しい時間帯には電話応対まで手が回らず、呼び出し音が鳴り続けることで、焦りやストレスを感じる人も少なくありません。
こうした課題を解消するために、電話応対にAIや自動音声を導入する店舗も増えつつあります。AIや自動音声を活用すれば、在庫確認や商品案内、取り置きの受付などを自動で対応でき、必要な場合のみスタッフへ引き継ぐことが可能です。精神的なストレスの軽減にもつながるため、今後はさらに多くの店舗で導入が進んでいくと考えられます。
人手不足の今だからこそ、ドラッグストアの登録販売者を目指すメリット
ドラッグストア業界の人手不足は、見方を変えれば「好条件で採用されやすい状況」と言えます。ここでは売り手市場である今だからこそ注目したい、登録販売者を目指すメリットについて解説します。
①未経験でも好待遇で採用されやすい
登録販売者の資格を持っていれば、未経験や職歴に自信がない方でも好待遇で採用される可能性が高いでしょう。ドラッグストアでは、法律上、登録販売者を常に配置する必要があるためです。
また、求職者が有利な状況のため、時給の交渉がしやすい点もメリットです。
②ライフスタイルに合わせた働き方が選べる
ドラッグストアの登録販売者は、ワークライフバランスを重視したい方にとって働きやすい環境と言えるでしょう。人手不足を背景に、企業側が柔軟なシフト対応を進めています。
午前中のみの勤務や土日休みなど、希望が通りやすいケースもあり、自分の生活リズムや家庭の事情に合わせた働き方を実現しやすくなっています。
③AIには奪われない「相談業務」の価値
登録販売者の重要な役割の一つが、お客様からの相談対応です。高齢化が進む中では、市販薬の案内にとどまらず、地域住民のさまざまな不安や悩みに寄り添う存在として求められています。
近年はAIに気軽に相談できる時代になりましたが、一人ひとりの状況をくみ取り、丁寧に対応することは人間ならではの強みです。薬学の知識を継続的に学び、それを実際の接客に活かせる登録販売者は、将来にわたってAIに仕事を奪われにくい職種だと言えるでしょう。
④管理者要件を満たす登録販売者の需要と待遇アップの可能性
登録販売者は、一定の実務経験を積んで「管理者要件」を満たすと、研修期間を終えた「正規の登録販売者」へとステップアップできます。管理者要件を満たすことで、責任ある立場を任されやすくなり、給与面などで待遇がよくなるケースも少なくありません。
なお、「追加的研修」を活用すれば、最短1年の従事期間で管理者要件を満たすことも可能です。早期にキャリアアップを目指したい方にとって、便利な選択肢の一つと言えます。
アポプラスキャリアの登録販売者 追加的研修まとめ:ドラッグストアは「進化」の途中。自分に合った環境を選ぼう
ドラッグストア業界における人手不足は大きな課題ですが、それを解消するためのシステム導入や制度改革なども急速に進んでいます。ドラッグストアへの転職を検討している方は、企業研究の際にその辺りの対応についても探ってみることをおすすめします。
ぜひ自分らしく働けるオンリーワンの店舗を見つけてください。
執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ2万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。
- ■著書
- ・医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略(金芳堂)
- ・薬機法暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第4章」(金芳堂)
- ・これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2025年度版(KADOKAWA)
- ・村松早織の登録販売者 合格のオキテ100(KADOKAWA)
- ・やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書(ナツメ社)
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