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【指名の止まらない登録販売者を目指して】ドラッグストアで役立つズルい心理学《スベらない人間関係の作り方》

【指名の止まらない登録販売者を目指して】ドラッグストアで役立つズルい心理学《スベらない人間関係の作り方》

【指名の止まらない登録販売者を目指して】ドラッグストアで役立つズルい心理学《スベらない人間関係の作り方》

前回の記事で具体的な面接対策をし、見事にドラッグストアへの就職を決めた皆さま。
いよいよ"指名の止まらない登録販売者"を目指す旅が始まります。おそらく、期待と不安が入り混じり、ドキドキしながら店舗へと出勤していることでしょう。
(前回の記事: ドラッグストアで役立つズルい心理学 《面接の本番編》

実はこの一番最初が特に肝心なのです。多くの方は、今までの経験則を基にした方法、つまり"我流"で人間関係を築こうとします。その結果、うまく人間関係を築くことができず、頑張って入社した企業を早々に退職してしまうことに繋がってしまうのです。ですが安心してください。心理学的に正しい知識を身につければ、そのような未来を防ぐことができます。

ということで本記事では、初出勤から半年以内にやっておくべき『スベらない人間関係の築き方』をお伝えします。

目次

【指名の止まらない登録販売者を目指して】ドラッグストアで役立つズルい心理学《はじめの半年間編》

【はみ出し厳禁】店舗は"群れ"である

【はみ出し厳禁】店舗は

「仕事はチームワークが大切」とよく言われますが、なぜヒトはそこまでチームの輪を気にするのでしょうか。
答えは、我々の進化の歴史にあります。

ヒトはもともと、群れをなして生きてきました。猛獣のように鋭い牙や、高い運動能力はないため、約100人前後の群れの中で生活をし、互いに協力することで生き延びてきた社会的動物です。群れから外れる行動は、全体を危険に晒し、最悪の場合は死を意味します。その名残が現在も本能として強く残っており、群れの統率を乱す者を絶対に許すことができないのです。
初出勤日の皆さまは店舗スタッフたちから「本当に群れの仲間に入れても大丈夫か」「自分たちを危険に晒す存在ではないか」と、チェックされている状態と考えましょう。

つまり皆さまが【自分は敵ではない】というところを、どれだけ店舗スタッフへたちにアピールできるかによって、今後のドラッグストア人生の命運がかかっているのです。
分かりやすく一言でまとめると『郷に入っては郷に従え』ということになります。

私はこうして群れから嫌われた

私はこうして群れから嫌われた

かくいう私も、過去にとある店舗で大失敗した経験があります。
ある店舗に異動が決まり、心機一転頑張ろうと決意したのはよいものの、第一印象が決まってしまう重要な初出勤日の日にインフルエンザに罹患し、さっそくシフトに長期間穴を空け、店舗スタッフたちに迷惑をかけてしまいました。出鼻を挫かれ焦った私は、さらなる愚行に走ります。店舗内の非効率と思われるオペレーションを毎日のように指摘し、次から次へとルールを変更していきました。しかも、そこにスタッフとのコミュニケーションはほとんどありませんでしたし、何より私の立場は店長でもありませんでした。

その結果、私は『群れの輪を乱す侵略者』という認識をされ、その後数ヶ月に渡って店舗スタッフから通称"ヤマナオ外し"と呼ばれるイジメにあってしまいました。当然のことでしょう。
言い訳に聞こえるかもしれませんが、当時の私に一切悪気はありません。

「店舗を少しでもよくしたい」という想いだけで突っ走り、スタッフがどのように考えているかを考えなかった結果、みんなから嫌われてしまったのです。
話が長くなってしまいますので割愛しますが、そこから改めて信頼関係を築き上げるのは、相当な労力と精神的な負担が伴ったのは言うまでもありません。(結果的には円満に解決しております。)
そんな私のような失敗を犯さないためにも、初出勤から数ヶ月は、群を意識した仕事をしなければならないのです。

群れから好かれる心理学【ラポール】

群れから好かれる心理学【ラポール】

ではどのような行動をとれば群れから受け入れられるのでしょうか。
結論から言ってしまうと【ラポールを築く】が正解となります。ラポールとは、もともとは心理カウンセリングの際に、カウンセラーと患者の間に信頼関係ができている状態を指す言葉でしたが、最近ではビジネスの世界でも頻繁に使われるようになってきたので、聞いたことがある方も多いかもしれません。このラポールをスタッフとの間でも築いていきましょう、というのが、私からの提案です。登録販売者として働く上で、ラポールは欠かせません。

ここからは、スタッフとの間にラポールを築くメリットを科学的に証明されているデータも交えて3つ紹介しましょう。登録販売者としての高みを目指すためには必須の知識ですので、ぜひ覚えておきましょう。

メリット①困った時に助けてもらえる

登録販売者として働いていると、さまざまな質問をお客様、患者様からいただきます。
どれだけ日々勉強をしていても、自分の知識では分からないことを、必ずどこかで聞かれてしまいます。そんなとき頼りになるのが、周りの先輩や同僚たちです。特に先輩は知識だけでなく、どれだけ勉強しても得られない経験を持っています。そんなときにラポールが築けていないと、助けてもらうことができず、お客様や患者様に明確な回答ができません。

結果、登録販売者としての仕事がつまらなく感じ、ストレスを抱えてしまうのです。
考えただけでゾッとしますね。

メリット②薬の効果が増大する

前述の通り、ラポールはもともと心理カウンセリングに用いられる言葉です。
これは、我々登録販売者の仕事にも通じるものがあります。
お客様や患者様が、自分自身で薬を購入されることもありますが、基本的には丁寧な問診が欠かせません。その際、日ごろからスタッフとラポールを築くことを意識していれば、無意識のうちにお客様とも信頼関係が築けるようになります。

その効果は絶大で、あなたが提供した薬の効果が増大することが分かっています。
これはスタンフォード大学の研究で164人の健康な参加者に「アレルギーのテストをします」と告げて、ヒスタミンの注射をし、わざとアレルギー反応を起こさせます。その後、注射を打った場所に医師がアレルギーを抑えるクリームを塗布するのですが、ここで医師を以下の4グループに分けました。

  • A クリームを塗る医師が優しくて有能っぽい
  • B 医師が優しくないけど有能っぽい
  • C 医師が優しいけど無能っぽい
  • D 医師が優しくなくて無能っぽい

結果Aの医師にクリームを塗布された被験者のアレルギー反応がもっとも軽減していたのです。それ以外のグループの反応は、どれも同じレベルでした。
なぜこのような現象が起きるかというと、ラポールによって信頼関係が結ばれていれば、プラセボ効果が増大するからだと考えられています。
「指名の止まらない登録販売者」を目指すうえで、絶対に必要なことでだと思いませんか?

参考文献:プラセボ効果の利用:プラセボ反応に対する医師の特性の影響の調査。(apa.org)

メリット③老化を防げる

少し辛辣な言い方になってしまいますが、不健康な登録販売者はお客様から信用されません。(不健康そうに見えるのもNG)
ダイエットするためにジムに行ってみたら、太ったインストラクターが出てきた・・・などというのは勘弁して欲しいですよね。それと同じです。
お客様や患者様に健康を提案するためには、まず自分自身のヘルスケアは欠かせません。
「それは分かるけど、ラポールの話と何の関係があるんだ!」と思いますよね。
前述の通り、ラポールが築けなければ群れから外れ、孤独になってしまいます。
この孤独が皆さまの肉体を老化させることが分かっています。

これはカリフォルニア大学の研究で、141人の高齢者から血液と尿サンプルを5年間採取して、孤独がヒトの細胞にどんな影響を及ぼすかを調べたものです。
結果何が分かったかというと

  • 主観的な孤独感が強い人は、免疫系の遺伝子が12.2%活性化した
  • 孤独感の強い高齢者は、寿命が縮まるリスクが14%高くなる

簡単にまとめると、孤独を感じると全身に炎症が起こり、老化してしまうということになります。もちろんこれは高齢者を対象にした仮説ではありますが、孤独が健康にいいわけはありませんので、さもありなんといったところでしょう。この研究のポイントは"主観的な孤独感"という点ですので、メンタルが弱く、精神を病んでしまいやすい方は特に注意が必要です。

参考文献:社会的孤立感における白血球トランスクリプトーム動態の骨髄分化構造 |ティッカー (pnas.org)

明日から誰でもできる【ラポール実践】

明日から誰でもできる【ラポール実践】

群れから受け入れられ、且つラポールを築くことは案外簡単です。あまり難しく考えず、素直に取り組みましょう。それでは、その具体的なテクニックを解説します。

好かれるテクニック①プレゼントを持参する

何気にバカにできないのがプレゼントの効果です。必ず配属先の店舗にはプレゼントを持参しましょう。もちろん高価なものは必要ありません。ちょっとしたお菓子の詰め合わせで大丈夫です。大切なのは、あなたがプレゼントで"先制攻撃"を仕掛けることです。ヒトは何かを相手から貰うと「お返しをしなければいけない」という心理が働きます。心理学で【返報性の原理】と呼ばれるものです。
あなたに対し無意識のうちにひいきするようになり、店舗運営や人間関係の構築が容易になるの、ぜひ実践してみてください。

好かれるテクニック②スタッフの名前を呼ぶ

とても簡単なのに多くの人がやっていないのが、スタッフに対して、必ず相手の名前を付け加えて会話することです。心理学の世界で【ネームコーリング】と呼ばれるものですが、ヒトは自分の名前を呼ばれると、相手に対して好感を抱きやすいことが分かっています。

例えばあなたが山田さんだとしましょう。
以下のAとB、2つのドラッグストアがあります。具合の悪そうなあなたを見て、登録販売者が話しかけてきました。

A 「いらっしゃいませ。本日はどうされましたか?」

B 「いらっしゃいませ、山田様。本日はどうされましたか?」

あなたはどちらの登録販売者に好感を抱くでしょうか?無論、後者ですよね。
格式の高い旅館やホテルなど、上質な接客が求められる職場では必ずと言っていいほど使われているテクニックです。
ヒトは自分の名前には強いアイデンティティを抱いており、名前を呼ばれただけで「自分を分かってもらえた」「大切にされている」という感覚を抱きやすくなります。誰でも「おい」「なあ」「お前」と言われればイラっときますよね。

さらに近年の研究で、ヒトは名前を呼ばれると、脳内で幸せホルモンであるオキシトシンが分泌されることが分かってきました。
よく『スタッフの名前を"覚える"こと』などと言われたりしますが、覚えるだけでは不十分です。「ありがとう、○○さん」「○○さん、お疲れ様です」と、会話の中に必ず名前を付け加えるようにしましょう。

参考文献:ファーストネームでの呼びかけがオキシトシンホルモンに影響を及ぼす事を発見(POLA ORBIS HOLDINGS NEWS RELEASE)

好かれるテクニック③自分の名前を活かす

先程、名前の話を挙げましたが、もし皆さまの名前が一般的で読みやすい名前であるなら、積極的に自己紹介する方が得策かもしれません。【難しい名前は嫌われやすい】という切ない研究を紹介しましょう。

研究者たちは、新聞やWebで世界中の地域から、読み方が簡単な名前の人と難しい名前の人を2組ずつ抜粋しました。

《例》
【簡単グループ】
山田、田中、鈴木など

【難読グループ】
小鳥遊(たかなし)、東江(あがりえ)、一尺二寸(かまつか)など

そのうえで、被験者たちに以下の質問をします。

「名前の印象だけで、どちらの人のほうが嫌な性格に思いますか?」

「名前の印象だけで、どちらの人のほうがツアーガイドとして信頼できそうですか?」

結果は簡単グループの圧勝だったそうです。
こういった傾向は過去の研究結果からも示唆されています。ヒトの脳は認知的倹約家なので、出来る限り楽をしたがります。難読苗字は脳の警戒心を引き起こすため、好感度が下がりやすいのです。分かりやすく言うと、選挙ポスターがいい例でしょう。候補者の名前を"ひらがな表記"にし、少しでも親近感を損なわないように工夫されているのです。
「自分...難読苗字なんだけど...」という方は、ぜひ自己紹介に"前置き"を加えてください

「はじめまして、読みづらくて申し訳ないのですが、○○といいます。」

ヒトは前置きを加えられることで「自分の気持ちを分かってくれている」と感じやすい傾向があります。
いずれにしても、人間関係の最初の段階において名前は、非常に重要な意味をもつことを覚えておきましょう。

参考文献:People with Easier to Pronounce Names Promote Truthiness of Claims

好かれるテクニック④自己開示

「相手の話をしっかり聞く」というのはコミュニケーションの鉄則です。現に私も、スタッフの話をまったく聞かずに店舗改革に乗り出し、大失敗してしまったのは前述の通りです。ただ反対に【自分の話をまったくしない人は信用されない】というのも事実のようです。

2013年の研究で、面識のない参加者に12分間ずつ交代でコミュニケーションをしてもらったところ、自己開示をしない人は「こいつは何かを隠している」と思われて、好感度が下がってしまったそうです。相手の話を聞くことばかりに集中し過ぎるのも問題なのです。

とはいえ、いきなり「実は先週、妻と離婚しまして...」といったハードな自己開示をすると嫌われるというデータもありますので、自己紹介には適度なレベルが求められます。
「そんなこと言われたら話しにくくなったよ」という方もいると思いますので、おすすめの方法をお伝えしましょう。それは【他己紹介】です。

他己紹介とは、他人に自分を紹介してもらうことを指します。ズレた自己開示がスベるならば、最初から他人に聞いてしまえばいいのです。例えば、家族や友人に「今度新しい職場に行くんだけど、私の得意なことや、苦手なことって何だと思う?」と、予め確認しておき、それをそのまま話してしまうのがオススメです。そうすれば、すでに客観的な視点が加わっているので、自己開示はスベりにくくなります。もしそのまま流用することに抵抗を感じる場合は「よく家族や友人から正義感が強い反面、たまに頑固になりがちと注意されるので、気をつけたいと思います」などと、そのまま言ってしまっても大丈夫です。

参考文献:Taking turns: Reciprocal self-disclosure promotes liking in initial interactions

好かれるテクニック⑤困った時に助けを求める

よくアルバイトさんやパートさんに対して「自分は社員だから、しっかりしないといけない」と、自分を厳しく律するかのように、他人に一切助けを求めず、一心不乱に働く方がいます。たしかに、その気持ちは立派ですし、ある程度の責任感は重要です。ただ、やはり物事には限度があります。
想像してみてください。皆さまがあまりにも周りを頼らずに働き続ければ、スタッフの方々はどのように感じるでしょうか。

「私たちって必要とされていないのかな...。」

と不安感が増し、かえって信頼関係は希薄なものとなってしまいます。
「頼りがいがある社員」と「ワンマン社員」は紙一重なのです。

ヒトは群れで生きる習性があるのは前述の通りですが、実は群れで生きていく中で、とても重要なことがあります。それは"役割"です。ヒトは群れの中での自分の役割を重要視します。
当然のことでしょう。我々の祖先がまだ狩猟採集民だった時代、群れの中で役割がない者は爪弾きにされ、死に直結していました。もちろん現代で死ぬことはありませんが、まだまだその名残は強く、働く中で自分の役割を感じられないと、強い孤独を感じ、存在意義を失います。存在意義が感じられなければ「自分はいてもいなくてもいい存在なんだ」という感覚に襲われ、モチベーションは下がってしまいます。その孤独に耐えられなくなったスタッフは、自分と同じく孤独を感じている者を探し、新たな小さい群れを作ろうとします。これが"派閥"です。
これではラポールどころか、いつケンカが起こってもおかしくありません。

それを防ぐための方法はズバリ【助けを求めること】です。
誰かから頼み事をされたり、頼られた際、あるいは募金やボランティアに参加した時に「いいことをして気分がいいな」と感じた経験はありませんか?これは心理学の世界で【ヘルパーズハイ】と呼ばれる現象です。

ヒトは他人に親切にすると、脳内でドーパミンが分泌され、ポジティブ感情を得ることができます。これが先程の"役割"に直結するのです。誰かを助けることで「自分は必要とされているんだ」という感覚が生まれ、群れの中での自分の役割を認識し、モチベーションがアップします。

さらにもう一つメリットがあります。それは【ヒトは助けた相手のことを好きになる】という習性がある、ということです。
ヒトの脳は極度に矛盾を嫌います。これは【一貫性の原理】と呼ばれるものです。

『○○さんを助けた』=『自分は○○さんのことが好きだから助けた』

と言う風にヒトの脳は理解します。
"好きでもない人のことを助けるはずがない"と感じるわけです。
つまり、アルバイトさんやパートさんに助けを求めるという行為は、頼り甲斐がないと思われるどころか、むしろ相手に役割を与えながら、皆さまのことも好きにさせてしまう効果があるのです。

参考文献:Do unto others or treat yourself? The effects of prosocial and self-focused behavior on psychological flourishing. (apa.org)

さいごに

さいごに

最後にもう一つ大切なことがあります。
くどいようですが、ヒトは第一印象がすべてです。つまり出勤初日が勝負ということです。ラポールを築けなければ、皆さまは群れから爪弾きにされ、まともな精神状態で働くことはできなくなってしまうでしょう。
もちろん本記事のテクニックを実践するかどうかは、皆さまの自由です。
決して私のような失敗だけはしないよう、心から願っております。

ヤマナオ(登録販売者)

執筆者:ヤマナオ(登録販売者)
YouTube【ヤマナオ会議室】のチャンネル登録者数1.4万人。
DMMオンラインサロン【凡人賢者アカデミー】のオーナー。
登録販売者として、通算10年以上従事した経験を基に「医学」「心理学」「仕事術」をメインテーマとし、情報発信を行っている。

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