【現役ドラッグストア店長に学ぶ】店長の指示への対応方法<登録販売者のキャリア>
【現役ドラッグストア店長に学ぶ】店長の指示への対応方法<登録販売者のキャリア>
ドラッグストアで勤務していると毎日のように会社や店長からの指示が降りかかってきますよね。皆さんはその指示にどのように対応していますか?
淡々と指示をこなす方、その意味を考えてジレンマを抱えてしまう方など様々でしょう。店長や社員、はたまたスーパーバイザー(SV)などとそりが合わない...とストレスを抱えている方も多いはずです。
同僚とは良い関係を築けているけど上司との関係だけが悪く、モチベーションが下がったり退職や転職を考えたり。この記事では、ドラッグストアで働く登録販売者の皆さんに役立つ「上司との関わりかた」を現役店長のわたしが実例を交えてお伝えします。
無理とも思える指示への対応をマスターすると、仕事のストレスも大幅に軽減されますよ!
目次
- ・冷静かつ客観的に話を聞くことは難しい
- ・【上司の考え方を知ろう】理由や根拠を探る
- ・【上司と対等に考えよう】代案を提案して議論する
- ・【上司になぜ提案すべき?】小売業に「正解」はない
- ・店長は何を伝えたいのか?
- ・話を受け入れやすくする4つの考え方
冷静に客観的に話を聞くことは難しい
上司からの指示に対して何らかの感情を抱いたとしたら、それはあなたが仕事に対して誇りややりがいを感じているからに他なりません。頑張っていますもんね!
しかし自分の価値観や予定から逸れた指示だとやはり負の感情を抱いてしまったり反感を持ってしまったりします。
店長の立場から店舗スタッフに指示を出したときに明らかに不満を持っているとわかる場面は実は多々あるんです。部下に不満を持たれる指示出しは上司として至らぬ点でもあります。反省。
指示への不満を繰り返しているうちに上司との関係も悪化して...というのがよくあるパターン。
店長の指示に対して仲間内でグチりあったり、会社方針に対して文句をいったり。
中には直接文句をいったり、その上長に告げ口をしたり、内部通報制度を使ったり...といったケースも。
しかし少し考えてみましょう。
この相手に対して感情的になることでメリットはありますか?
相手の要求を受け入れてデメリットはありますか?
相手がどんな立場でもどんな関係でも、頭は常に冷静にしなければいけないのです。
上司といえど人間ですし間違っているときもありますし、マネジメント経験が浅くまだレベルが低いという場合もあり、百人百様です。
近年、アンガーマネジメントという言葉がよく聞かれますが、正にコレなのです。
アンガーマネジメントとは、怒りの予防や制御のことです。
アンガーマネジメントで有名なのは「6秒ルール」ですね。
怒りを感じたら「6秒」待つと怒りの初期消火ができる、というものです。
確かに6秒待つことでとっさの余計なひとことが防止できたり、ヒートアップを防げたりする効果はあります。このアンガーマネジメントができたらもっと魅力的になるのにな、という従業員さんも経験上多いのです。
しかしこれがとても難しいのが仕事での人間関係です。
とっさに感情が出てしまうのは人間だから仕方がない面もあります。
冷静に、そして客観的に話を聞くのは意外と難しいのです。
ではどうしたら冷静でいられるか、考えてみましょう。
【上司の考え方を知ろう】理由や根拠を探る
上司が指示を出してくるのは必ず理由や根拠があります。
会社の指示をそのまま部下に伝えたり、自分の信念を強要してきたり、それは人それぞれです。
ここで自分が冷静になるためにも、相手が出す指示の「理由や根拠」を探ってみましょう。 相手の考えを探るのには利点が存在します。
それは「指示の内容を深堀りすることで相手を理解できる」ことと「自分が冷静になれる」という2点です。
「こんなムチャな指示を出す店長が悪い」と考えてしまう気持ちは十分理解できます。私も一般社員時代によくこのジレンマに陥ってきました。ただ、このジレンマに陥ると結局は自分の首を絞めることに繋がりかねません。事実、そんなジレンマに陥った私は何人かの後輩に追い抜かれた過去があります。
「自分はパートだから関係ない」と考える方もいるでしょうが、それでも評価に影響はありますし、何よりも環境が悪くなります。自分がよくても、その空気は同僚に悪影響ですよね。
最も避けたいのは数人の同調を集めて不満の集合体をつくること。 これは別の機会にお話ししますが、長期的に見ると「損」以外の何ものでもありません。
相手の言動に自分の感情を動かされてしまうのは「負け」です。 勝負ではないのですが、感情的になることで相手のペースになるか自分の状況が悪くなるか、どちらかなのです。
それを避けるにはどうしたらいいか。
「理由や根拠を探る」ことで相手の理解を深め冷静になったら、次に行うことは「代案を提案する」です。
【上司と対等に考えよう】代案を提案して議論する
こう話すと「代案ならある」と持論を展開する方が多いのですが、「代案を出す」ことと「持論を展開する」ことは大きく異なります。
前者は改善に向かっているのですが、後者はただのワガママだからです。
持論の展開はどれだけ行っても議論が発展することはありません。
そう、相手に向かって愚痴をいっているようなものです。
ここで相手、つまり店長と同じフィールドに立つ必要があります。
持論を展開することで店長を自分の領域に引きずり込むのではありません。
店長の指示に対して不満があるのなら、代案を提示しましょう。
店長 「来週の新商品Aをプロモ最上段に展開してください。」
あなた「わたしは新商品Bの方が売れると思いますが。」
店長 「投入量がAは多いんです、Aを展開してください。」
あなた「SNSでBは話題になっていますし、AよりBの方が粗利がとれるんです。」
代案は根拠を添えます。
こうすることでようやく議論が始まります。
店長も上司や本社の決定事項をそのまま指示として流しているだけかもしれません。
その際も、代案は提示しましょう。無駄なことではありません。
議論は自身や店長の、最終的には店舗の成長につながります。
それは、あなたの雇用維持にもつながるのです。
これが、「代案を出す」ことと「持論を展開する」ことの違いです。
【上司になぜ提案すべき?】小売業に「正解」はない
世の中には絶対的な「正解」が存在する業界もあります。
しかし小売業は「正解」がない業界です。それは世の中の潮流に沿う業界だからです。
コロナ禍であっても1年ごとに違いましたよね。10年前ともなるとかなりの違いがあるはずです。店舗で働いていてそう感じることはありませんでしたか?
つまり会社の指示も社長の指示も店長の指示も、正解ではありません。
だからあなたの感情も、間違いではないのです。
もしかしたら、会社のトップよりも「正解」に近いのかもしれません。
ただ、店舗で勤務する上で目指すのは「正解」ではないはずです。
自己顕示欲のために働いているのではないはずです。
ほとんどの方が、自身の守るべきもののために働いているはずです。
自分のプライドのために働いていませんか?
小売業に「正解」がない以上、持論は形を成さないのです。
つまり、指示を受けて自身の考えと違った時の負の感情も「正解」ではないのです。
正解がないものに対して正解を主張しても、いつまでも見つかりません。
だって、答えがないのですから。
私はドラッグストア業界に入り20年が経ちましたが、当時から恐ろしい程に「正解」と思しきモノは変化してしまいました。
変化しない持論に対して、変化するものが「正解」なのです。
店長は何を伝えたいのか?
ここで店長は何を伝えたいのか、ちょうど良いサンプル(私)がいるので見てみましょう。
店長の仕事の目的は何でしょう。
立場的には決してあなたの敵ではないですよね。
今の店長との関係が悪い方も、店長が変われば関係が良くなるはずです。
いないと思いますが、何回店長が変わってもダメだ...という方は小売業から転職した方が良いです。
店長の仕事の目的は「店舗の利益を上げる」ことです。
そしてそれは「あなたの雇用を守る」とも言い替えられます。
よく企業理念などに組み込まれる「地域への貢献」や「お客様の利便性」は目的達成のための手段のひとつであり、目的そのものではありません。
会社はあなたを雇用するための利益を出す必要があるからです。
これらの「手段」は会社が利益を得るための方法のひとつであり、店長はこの手段を会社からの「指示」として受け取ります。
その指示を店舗スタッフに伝達するので
「店長の指示=あなたの雇用を守るための手段」
ともいえるのです。
いい店長とは、この手段伝達が上手い店長なのです。
ここを履き違えると、冒頭のような「指示に対して負の感情を抱く」ことになります。
先ほどの「持論の展開」がダメだというのがまさにここで、持論から逆算しても会社の指示に到達しないのです。
本質をつかめていないと、この考えは「イエスマン」「サラリーマン」と言われますがここまで読んでいただいたのなら、そうではないとわかるはずです。
店長が何を考えているのかは個々で異なりますが、結果として自身の雇用を守るためだということは頭に入れておくとポジティブに指示を受けることができます。
話を受け入れやすくする4つの考え方
それでも店長の指示に対して負の感情を抱いてしまう方に、ドラッグストア歴20年をかけて身についたポジティブシンキングをいくつか紹介します。
実はここまで書いてきた「ダメな例」は、20年前の私の姿なのです。
多くの失敗をしながら身に付けてきた4つの「雇用を守る方法」を最後にご紹介しましょう。
①自分の役割を理解する各部門を担当されている方も多いはずです。部門担当になると業務が増えるので視野が狭くなりがちです。
例えば食品担当だったらヘルスやビューティー部門のことまで頭が回りにくくなってしまいますよね。
こうなると「食品屋さん」の意識となってしまいます。
適正発注をして廃棄を減らさないといけない、広告の品を事前に発注して展開場所を考えて...といっぱいいっぱいになってしまいます。
そこに店長に「意味不明な指示」をされて一気に負の感情が噴き出す...
ここでの「自分の役割を理解する」というのは、店舗における「食品の役割」です。
食品の役割は「集客」であり、いかにお客様に来店していただけるか...だけを考えて行動するのです。すると店舗全体の把握はしなくても視野が広く感じることができ、指示の意味が徐々にわかるようになるのです。
各店、各部門で状況は違いますが店舗全体での自分の立ち位置を把握し、役割を意識することで「食品屋さん」「化粧品屋さん」「雑貨屋さん」の意識から脱却できます。
視野を広く持って指示を受けると腑に落ちることが増えます。
②とにかく聞く不明点はどんどん聞くべきです。
店長や上司が年下だったり経験が浅かったりすると抵抗がありますが、それは誰もがそうなのです。どんどん聞いてください。
私は上司が年上でも年下でもどんどん聞きます。
聞くことで店長が何を期待しているのか、お互いの考え方に齟齬があるのか、ある場合は何なのかが把握できます。
作業の精度も上がるので聞くことはメモより重要といっても過言ではありません。
というと大げさですが、何かしらの目標を設定し、できれば店長と共有してください。
「〇〇を△個販売する」
「今週〇〇の棚替えを完了させる」
本当に何でもいいのです。短期でも長期でも構いません。
目標を設定することでモチベーションが上がりますし自分のペースで仕事ができます。
そんな時間がない!という方は「進捗遅れを今週中に取り返す」などでもいいのです。
自分で設定した目標に挑戦し、結果を報告するだけでも店長からの評価は上がりますし「振り返り」をすることができるのでオススメです。
ただ目標は達成可能なものにしましょう、無理な目標を立てても凹むだけです。
偉大なエジソンの名言に
「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまくいかない方法を見つけただけだ。」
という言葉があります。
失敗は同じ失敗をしなければ失敗ではありません。
上司から叱責されることもありますが、それを糧にしてください。
大丈夫です、失敗しても1回だけならそれは店長の責任です。
部下の責任を被るのは上司の責務なので安心して失敗しましょう。
いや、安心して「うまくいかない方法」を見つけてください!
執筆者:ケイタ店長(登録販売者)
ドラッグストア勤務歴20年、一部上場企業2社で合計15年の店長経験を活かし、Twitterなどで登録販売者へのアドバイスや一般の方への生活改善情報の発信を行っている。Twitterフォロワー数約5,000人。
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