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業界コラム 基礎知識

なぜ登録販売者は知識不足に陥るのか?合格後も医薬品の勉強は必須です

登録販売者の講師を行っている株式会社東京マキア代表・村松早織先生が解説するOTC医薬品別の接客・対応方法をご紹介。よくある具体的な事例を交えながら、お客様の症状別での接客・対応方法を学べるコンテンツを特集します。

なぜ登録販売者は知識不足に陥るのか?合格後も医薬品の勉強は必須です

登録販売者試験の勉強で全力を出し切って合格し、ほっとしたのも束の間......。登録販売者として働き始めると、また勉強の日々が始まります。仮にあなたが「研修中」だったとしても、お客さまはあなたがわかりやすいように質問をしてくれることはありません。今回は、登録販売者として働く際の知識不足をどのようにして補うべきなのかを、学んでいきましょう。

目次

なぜ登録販売者は知識不足になりやすいのか

なぜ登録販売者は知識不足になりやすいのか

登録販売者の試験に受験資格は一切ないから
資格の勉強だけで成分に関する全知識を身につけるのは不可能だから
薬の成分と医薬品を結び付けるのが大変だから

登録販売者の試験に受験資格は一切ないから

登録販売者試験は、当初は学歴や実務経験などの受験資格がありましたが、2015年にすべて撤廃されました。よって現在は、学歴・ドラッグストアなどで働いた経験の有無に関わらず、誰でも受験することができます。したがって、医薬品の知識がまったくない業界未経験者であったとしても、試験に合格すれば登録販売者として働くことができます。

しかし、このようなメリットがある一方で、受験勉強のみの知識でいきなり店舗に立つことになる人もいます。受験勉強で得た知識は、店
舗で使う知識の「基礎」となるものですが、やはりそれだけではお客さま対応には不十分であるといえます。

資格の勉強だけで成分に関する全知識を身につけるのは不可能だから

お客さま対応で使う知識は登録販売者試験の勉強で得られる知識を基盤にして、その上に積みあがっていくものです。

料理で例えるなら受験勉強で得られる知識は、ジャガイモやニンジン、お肉などの材料の部分です。一方で、店舗でのお客さま対応で使う知識は、「その材料を使って何を提供するのか?」、「味付けやアレルギー対策はどうするのか?」といった調理の部分です。更に、実際のお客さま対応では、料理の提供そのものをやめることもあります。つまり、薬の提供をおこなわずに、医療機関への受診を促すこともあるのです。
このように、受験勉強とお客さま対応で使う知識は、異なる性質のものです。そのため登録販売者として働き始めるスタートラインにおいては、誰もが知識不足の状態であるといえるでしょう。

薬の成分と医薬品を結び付けるのが大変だから

登録販売者として働き始めてから最初に訪れる難関は、商品を覚えることです。どの成分がどの商品に入っているのか? これを覚えて初めて、お客さまにぴったりの商品を選ぶことができます。

特にドラッグストアには非常にたくさんの商品があり、端から端まで覚えようとすると挫折してしまいます。商品を覚えるときは、効率的な方法があります。これについては、後述する「売れ筋商品の成分を優先的に覚えていく」のところで詳しく説明します。

医薬品関連の知識不足が招く危険性

医薬品関連の知識不足が招く危険性

薬の基本的な説明ができないかもしれない
確認作業に時間がかかりお客さまを怒らせるかもしれない
薦めた薬が原因で重大な副作用を起こすかもしれない

薬の基本的な説明ができないかもしれない

医薬品の知識不足が招く一番のリスクは、お客さまに薬(商品)の説明ができないことです。お客さまは「自分にぴったりの薬」を選んでもらうために登録販売者に相談しますので、それが達成されなければ、失望されてしまうことでしょう。

確認作業に時間がかかりお客さまを怒らせるかもしれない

一般的に、何かわからないことがあるときは、「お調べいたします」とお客さまに断りを入れて、調べに行きます。この行為自体はとても大切なことです。しかし、わからないことがある度にこれを何度も繰り返していたら、お客さまはどう思うでしょうか。

薬局やドラッグストアには、具合が悪くて来店されるお客さまも多いため、現時点かつ考えうる方法の中で、「最良」かつ「最速」で対応する必要があります。医薬品の知識不足により、これが達成されない可能性があります。

薦めた薬が原因で重大な副作用を起こすかもしれない

新人登録販売者の中には、自分の推奨した薬が効いたのか、あるいはお客さまに何か重大な副作用が起こらなかったかを心配になる人も多くいます。私も新人登録販売者から、「帰宅後に一人で反省会が始まってしまい、なかなか眠れない」という悩みを相談されることがよくあります。これは、その日の自分の仕事の質が、自身のメンタルの健康に影響を及ぼしてしまう人が多いことを表しています。

お客さまの健康への配慮はもちろんのこと、自分自身のためにも、お客さま対応は常にベストを尽くすのがおすすめです。そのためにも適切な知識を身に付けていきましょう。

勉強法は?知識・経験不足の対策方法

勉強法は?知識・経験不足の対策方法

売れ筋商品の成分を優先的に覚えていく
研修を受けるようにする
薬に関する情報を常にアップデートする

売れ筋商品の成分を優先的に覚えていく

商品は、優先順位を付けて覚えていきます。優先順位の付け方は、会社や各店舗の状況によって異なりますが、一般的には、売れ筋商品、推奨販売品(※1)、季節商品(※2)などがあります。

売れ筋商品は、お客さまからの需要が多い商品ですので、棚の一番見やすい位置に陳列されています。商品が最も見やすく手に取りやすい場所はゴールデンゾーンと呼ばれ、一般的に75㎝~135㎝の高さの位置を示すことが多いようです。したがって、この位置にある商品を優先的に覚えていくとよいでしょう。

ゴールデンゾーン
  • ※1 推奨販売品:推奨販売とは、お客さまのニーズを直接伺い、それに適した商品をおすすめする販売方法のこと。推奨販売品として指定されている商品は、主にPB商品(プライベート・ブランド商品)などの利益率の高い商品であることが多い。

  • ※2 季節商品:薬局・ドラッグストアでは、季節に合わせた陳列棚を作るため、その時期に売れる商品をこのように呼ぶ。例えば夏であれば、水虫用薬や虫刺され対策商品などがある。

研修を受けるようにする

店舗販売業者等は、その店舗等において業務に従事する登録販売者に、研修を毎年度受講させなければなりません。また研修は、外部の研修実施機関がおこなう研修(外部研修)を受講していることが適当であるとされています。外部研修では主に以下事項に関する講義を受けます。

  • ① 医薬品に共通する特性と基本的な知識
  • ② 人体の働きと医薬品との関係
  • ③ 主な一般用医薬品とその作用
  • ④ 薬事に関する法規と制度
  • ⑤ 一般用医薬品の適正使用と安全対策
  • ⑥ リスク区分等の変更があつた医薬品
  • ⑦ 店舗及び区域の管理に関する事項(店舗販売業及び配置販売業の場合)
  • ⑧ その他登録販売者として求められる理念、倫理、関連法規等

外部研修は会社ごとに研修実施機関が定められていて、時期が来ると自動的に「これを受けてください」と指示されることが多いですが、「研修費用は会社が持ちますので、自分で好きな研修実施機関を利用してください。」という形式の会社もあります。色々な研修実施機関がありますので、自分でネット検索をおこない、面白そうなものを受講してみましょう

なお、外部研修の実施機関は都道府県ごとに掲載があります。一例になりますが、以下は東京都福祉保健局のページです。

参考:東京都福祉保健局「登録販売者に対する研修について」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kenkou/iyaku/hanbaijyuuji/kensyu.html

薬に関する情報を常にアップデートする

薬に関する情報は、刻一刻と変化します。昨日はOKだったものが、今日はNGになることもあります。お客さまが情報を取得するスピードは、SNSの普及により速くなっているため、情報は自主的に取りに行くようにしましょう。以下に、情報の取得方法を挙げていきます。

①製薬メーカーの営業担当者やラウンダーからの情報
製品情報について聞くときは、お店に訪問した営業担当者や陳列棚の整理などをおこなうラウンダーに確認するのがおすすめです。また、商品について不明点がある場合、商品に書いてあるお客さま相談室に電話で問い合わせをすることもできます。

②PMDAの添付文書検索
添付文書は随時更新されますので、添付文書を使って情報提供をするときは、PMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agencyの略。通称、独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の添付文書検索ページを活用します。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcSearch/

③行政情報
確実な情報が必要なときは、行政から出ている情報を調べます。検索窓に、「〇〇(調べたい単語) 厚生労働省」などと入れて検索をすると、ほしい情報が出てくることがあります。例えば、ワクチンの副反応に使用する解熱鎮痛薬に関する情報を調べるときは、「ワクチン 解熱剤 厚生労働省」と入れると、以下のページが出てきます

参考:厚生労働省「ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか。」
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0007.html

ただし、行政からの情報発信は何もかもを網羅しているわけではないため、情報が出てこないこともあります。

④OTC医薬品関連書籍
ここ数年で、OTC医薬品(Over The Counterの略。直訳するとカウンター越しに販売される、つまりはドラッグストアや薬局などで購入できる医薬品のこと)に関する書籍もかなり増えました。試し読みして気に入ったものをぜひ買ってみましょう。

⑤各種SNS
SNSでは、行政やメーカーがアカウントを作成し、直接情報を発信していることもあります。メーカーのアカウントでは新商品などの情報を発信していることもあるので、フォローするのもよいでしょう。

ただし、会社によってはSNSの利用に関して規定があることもあります。その場合は規定にしたがって利用しましょう

登録販売者必見!業務中の接客における注意点

登録販売者必見!業務中の接客における注意点

説明するときは理由を必ず伝える
病名を断言するような言動はNGである

説明するときは理由を必ず伝える

お客さまに商品のご説明をするときは、「こちらがおすすめです」などと伝えると共に、その結論に至った理由をお伝えするようにしましょう。また、理由をお伝えするときは、根拠のある情報をお伝えするようにしてください。
例えば、「この商品は低刺激です」とお伝えするときは、そのようにいえる根拠があればよいですが、そうでない場合、虚偽の情報をお伝えすることになってしまいます。
少し本題から反れますが、以前、私がSNSで見かけた投稿で、「この商品、店員に△△地方で一番売れていると言われたけど本当?」というものがありました。この投稿は、商品画像と共にUPされていましたが、その商品はとあるドラッグストアのPB品で、プソイドエフェドリン配合の商品でした。投稿内容の真偽は不明ですが、情報が勝手に拡散されてしまうのはこわいですよね。過激な売り文句は、思ってもみない形で表に出てしまう時代になっていますので、十分に注意しましょう。
なお、「売り上げNo.1」などの、効能効果や安全性などについての最上級の表現は、薬機法の適正広告基準で禁止されています。

参考: 厚生労働省:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000179263.pdf

病名を断言するような言動はNGである

「診断」とは医師が診察して病状を判断することであり、医療行為に含まれます。したがって、登録販売者が「あなたの症状は〇〇かもしれません」と病名を伝える言動はNGです。受診勧奨をする際に思わず使ってしまいそうな表現ですが、トラブルの元になりますので気を付けましょう。お客さまに病気の可能性についてお伝えしたいときは、以下の表現を使ってください。

  • ● 「OTC医薬品では対応できない病気が隠れている可能性があります」と伝える
  • ● 病名をやさしい言葉で言い換える
     〈例〉帯状疱疹→ウイルスによる皮膚症状

まとめ|登録販売者は知識不足を克服できる

今回記載した方法で、登録販売者は知識不足を解消することができます。一方で、足りない知識を埋めるには長い時間がかかります。このタイムラグを埋めるには、「わからないことを調べる方法」を把握しておけばよいのです。最後にその方法を列挙して終わりにしましょう。

  • ● 一人で解決しようとせずに、先輩や同僚にアドバイスをもらう
  • ● 添付文書を確認する
  • ● 商品に記載のある「お客さま相談室」の電話番号に問い合わせる
  • ● OTC医薬品関連の書籍に付箋を貼るなどして、すぐに調べ物ができるように準備しておく
  • ● 急ぎの用件でなければ、お客さまの質問をお預かりして、後日来店時、もしくは電話で返答する

以上です。

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。

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