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【登販が知っておきたい!】服薬指導の基礎知識〜医療用医薬品とOTC医薬品の飲み合わせ〜

【登販が知っておきたい!】服薬指導の基礎知識〜医療用医薬品とOTC医薬品の飲み合わせ〜

【登販が知っておきたい!】服薬指導の基礎知識〜医療用医薬品とOTC医薬品の飲み合わせ〜

医療用医薬品を使っているお客さまへの対応は、「登録販売者からのよくある質問」のトップ10に入ります。とくにOTC(一般用医薬品)と医療用医薬品の飲み合わせの判断について、どうすべきか迷っている登録販売者も多くいることでしょう。本コラムでは、医療用医薬品との併用に関する知識や、薬剤師との連携の仕方について解説します。

目次

登録販売者のよくある疑問 医薬品の飲み合わせへの対応Q&A

登録販売者のよくある疑問 医薬品の飲み合わせへの対応Q&A

お客さまから「医療用医薬品を使っている」と言われた時に、どこまで登録販売者が判断してよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか?ここでは、医療用医薬品とOTC(一般用医薬品)の飲み合わせに関する登録販売者の適切な対応について、Q&A形式で解説します。

Q.登録販売者は医療用医薬品とOTC(一般用医薬品)との併用可否について判断してもよいですか?

A.OTC(一般用医薬品)の添付文書の「してはいけないこと」に記載のあるものを除き、登録販売者による判断は困難であると考えられます。そのためお客さまには、医師・薬剤師への相談を促すようにしてください。

【解説】
登録販売者の「医薬品接客マニュアル」とも呼べる「登録販売者試験問題作成に関する手引き」の第1章には、次のような記載があります。

"医療機関・薬局で交付された薬剤を使用している人については、登録販売者において一般用医薬品との併用の可否を判断することは困難なことが多く、その薬剤を処方した医師若しくは歯科医師又は調剤をおこなった薬剤師に相談するよう説明する必要がある。"

参考:厚生労働省 「登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)」

登録販売者は、あくまで「OTC(一般用医薬品)」のスペシャリストです。したがって、医療用医薬品とOTC(一般用医薬品)との飲み合わせについては、OTC(一般用医薬品)の添付文書の「してはいけないこと」に書いてあるものを除き、医師・薬剤師に相談するよう促すのがよいでしょう。

Q.登録販売者が、医療用医薬品との「簡単な飲み合わせ」の判断をおこなうのもダメですか?

A.飲み合わせについて、自分なりの「見解」を持つのは悪いことではありません。しかし、飲み合わせの「最終判断」については、やはり医師・薬剤師にお願いしましょう。

【解説】
まず、「簡単な飲み合わせ」の線引きは非常に難しいと考えてください。なぜなら登録販売者が知っている成分であれば「簡単な飲み合わせ」になるかというと、そうではないからです。
お客さまから薬について聞かれた時に、その背景について「薬剤師が考えること」と「登録販売者が考えること」は大きく異なります。例えば、「医療用医薬品のアセトアミノフェン」と「OTC(一般用医薬品)」の飲み合わせについて聞かれた場合を想定してみましょう。アセトアミノフェンは一般用医薬品としても使われるため、登録販売者にもおなじみの成分です。しかし、医療用医薬品の場合、アセトアミノフェンは解熱鎮痛の目的だけでなく「がんの痛み」にも使われますし、1日最大服用量は4,000mgとなっています(OTC(一般用医薬品)の場合は1日最大900mg)。このように、薬剤師と登録販売者では、成分1つに対しても「見ている視点」に違いがあるため、飲み合わせについても両者で全く異なる見解となってしまう可能性があります。ただし、「飲み合わせについて考えるのがダメ」というわけではないので、自己学習する分にはよいでしょう。

登録販売者が医薬品の飲み合わせに注意すべき薬

登録販売者が医薬品の飲み合わせに注意すべき薬

OTC(一般用医薬品)の添付文書の「使用上の注意」に、医療用医薬品との併用について記載のあるもののうち、主な成分をまとめました。

医療用医薬品との併用に関して「してはいけないこと」になっているもの

併用成分 「してはいけないこと」に
なっている理由
OTC(一般用医薬品) 医療用医薬品
イブプロフェン
※1回服用量200mgの場合
ジドブジン(レトロビル) 血友病患者において出血傾向が増強することがあるため。
フェキソフェナジン塩酸塩 水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤(マーロックス等) フェキソフェナジン塩酸塩の作用を減弱させることがあるため。
エリスロマイシン フェキソフェナジン塩酸塩の血漿中濃度を上昇させるとの報告があるため。
ロラタジン シメチジン ロラタジンおよび活性代謝物(DCL)の血漿中濃度の上昇が認められるため。
エリスロマイシン

医療用医薬品との併用に関して「相談すること」になっているもの

併用成分 「相談すること」になっている理由
OTC(一般用医薬品) 医療用医薬品
プソイドエフェドリン塩酸塩 モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩等) 併用により血圧を上昇させるおそれがあるため。
小柴胡湯 インターフェロン製剤 間質性肺炎を起こしやすくなるため。
ジクロフェナクナトリウム
(外用)
ニューキノロン系抗菌剤 痙攣を起こすおそれがあるため。
トリアムテレン 急性腎障害があらわれたとの報告があるため。
リチウム、メトトレキサート これらの薬剤の血中濃度を高め、その作用を増強することがあるため。
アスピリン
※一般用医薬品の場合も注意
相互に作用が減弱されることがあるため。消化器系の副作用を増強させるおそれがあるため。
ステロイド剤 相互に副作用、とくに、胃腸障害等が増強されることがあるため。
利尿剤 利尿剤の作用を減弱させることがあるため。
シクロスポリン 腎機能障害を増強するとの報告があるため。高カリウム血症があらわれるおそれがあるため。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤 消化管出血があらわれることがあるため。
参考:
厚生労働省 「登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和5年4月)」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 リングルアイビーα200の添付文書
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 ブルフェン錠の添付文書
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 アレグラFXの添付文書
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 アレグラ錠の添付文書
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 クラリチンEXの添付文書
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 クラリチン錠の添付文書
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 ボルタレンACαテープの添付文書
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 ボルタレン錠の添付文書

一般的に併用に注意すべき成分

すべての医薬品に共通して言えることですが、同種・同効薬には注意する必要があります。例えば、医療用医薬品の抗ヒスタミン成分を使っている場合、OTC(一般用医薬品)の抗ヒスタミン成分との併用は不適切であることが考えられます。

薬の飲み合わせに関する参考書籍

医療用医薬品とOTC(一般用医薬品)との飲み合わせについて勉強したい方は、以下の書籍を参考にしてください。薬の飲み合わせが薬効分類ごとに一覧表でまとめてあるので、持っていると心強い一冊です。

参考書籍:南江堂「今日のOTC薬 解説と便覧 改訂第5版」

登録販売者必見!医療用医薬品を使用中のお客さま対応の流れ

登録販売者必見!医療用医薬品を使用中のお客さま対応の流れ

医療用医薬品をお使いのお客さまに対応する際の流れについて、「自店舗に薬剤師がいる場合」と「自店舗に薬剤師がいない場合」にわけて解説します。

自店舗に薬剤師がいる場合

おくすり手帳を持参していますか?

はい

商品を何個かピックアップ
→薬剤師に併用可能か確認

いいえ

かかりつけの医師・薬剤師に相談していただく
(電話でも可)or
おくすり手帳の持参を促し再度来店してもらう

まずは、おくすり手帳を持参しているかどうか確認してください。持参している場合、商品を何個かピックアップし、薬剤師に飲み合わせについて最終確認をします。この時にピックアップする商品は、「併用可能かもしれない」、「この商品が併用できたらいいな」と思うもので問題ありません。つまりこの時点では、結果として薬剤師に「併用不可」と判断される商品の選出でもよいということです。実際の商品を薬剤師に見せた方がよい理由は、薬剤師が併用について考える時に具体例があった方が答えを出しやすいことと、「この成分が含まれないものはありますか?」というふうに登録販売者への指示が出しやすくなるからです。OTC(一般用医薬品)については登録販売者の方が詳しいことも多いので、両者の強みを活かして対応してください。
一方、おくすり手帳を持参していない場合、かかりつけの医師・薬剤師に相談していただくのがよいでしょう。また、おくすり手帳に病院や薬局の電話番号が書いてありますので、電話での問い合わせも可能です。

自店舗に薬剤師がいない場合

おくすり手帳を持参していますか?

はい

かかりつけの医師・薬剤師に確認していただく
(電話でも可)or
近隣の薬剤師のいる店舗を紹介する

いいえ

かかりつけの医師・薬剤師に相談していただく
(電話でも可)or
おくすり手帳を持参して薬剤師のいる店舗に行ってもらう

次は「自店舗に薬剤師がいない場合」についてです。おくすり手帳をお持ちの場合、そのままかかりつけの病院や薬局に行って相談していただくか、電話でご相談いただいてください。また、近隣の薬剤師のいる店舗を紹介するのもよいでしょう。一方、おくすり手帳がない場合は、おくすり手帳を持参のうえ、かかりつけの医師・薬剤師に相談していただくか、薬剤師のいる店舗に行ってもらってください。

まとめ|登録販売者は医療用医薬品を使用中のお客さまにも自信を持って対応しよう

医療用医薬品については登録販売者が判断できないことも多いため、なんとなく引け目を感じている方もいるかもしれません。しかし法律上、登録販売者には登録販売者の、薬剤師には薬剤師の仕事の領域があるだけなので、気にする必要はありません。「医療用医薬品を使用中のお客さま対応の流れ」をしっかりと頭に入れ、実際の接客でスムーズに対応できるようにしましょう。

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC医薬品についての情報発信をおこなっている。

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