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【最新ドラッグストアニュース】通販大手Amazonが薬局事業に参入で、ドラッグストア不要論が再燃する?

【最新ドラッグストアニュース】通販大手Amazonが薬局事業に参入で、ドラッグストア不要論が再燃する?

【最新ドラッグストアニュース】通販大手Amazonが薬局事業に参入で、ドラッグストア不要論が再燃する?

登録販売者を取り巻く環境は常に変化し続けています。関連する法律の改正や業界全体の動向をキャッチすることは、店舗運営の方針やこれからのキャリアプランを考えるにあたって何かしらのヒントをもたらすかもしれません。
今回は、ドラッグストア業界を賑わせたニュース3本をご紹介します。興味がわいた内容があれば、詳しく調べてみてくださいね。

目次

登録販売者が知っておくべきニュース
①ドラッグストアチェーンが配送サービスに着手

登録販売者が知っておくべきニュース①ドラッグストアチェーンが配送サービスに着手

「頭痛薬や栄養ドリンクをすぐに欲しいけれど、今は自宅や職場を離れられない...。」という日常でよくある「困った」の解消に向けて、ドラッグストア各社ではさまざまなサービスを展開しています。

ニュース概要

大手ドラッグストアを中心に、自店舗で取り扱う医薬品や日用品を自社サイトやアプリ上で受注し、ドラッグストアと提携している配送サービス業者がお客さまのご要望の場所にお届けするサービスが人気を集めています。
この1〜2年でサービスを開始した企業が多く、取扱商品のジャンルと利便性向上に向けて各社でしのぎをけずっている最中です。ここでは特に注目していただきたい大手ドラッグストアの取り組みをピックアップしてご紹介します。

ドラッグストア各社による配送サービスと概要

大手ドラッグストア・ウエルシアホールディングスでは、デリバリーサービス「出前館」と提携し、OTC医薬品を含む日用品や飲料などのデリバリーサービスを2022年10月に開始しました。利便性と専門性の両立による「生活のプラットフォーム」実現に向けて同サービスを首都圏で開始、その後徐々に店舗数を増やし、2022年11月15日時点では35店舗まで拡大しています。これは、東京都23区の約96%の世帯をカバーしているそうです。

スギホールディングスでは専用アプリ「スギスマホオーダー」をローンチ、アプリ上で購入したOTC医薬品を含む商品を即日配送するサービスを開始しました。サービス対象は、スギ薬局川口末広店(埼玉県川口市)から2キロ圏内がサービス対象で、お届け日は最短当日、最長で3日後まで対応可能とのことです。

ツルハホールディングスは、医療機関と薬局を対象にしたオンライン診療・服薬指導サービス「SOKUYAKU」を、子会社の杏林堂薬局で2022年2月に導入しました。同じく子会社のツルハでも2022年9月に開始、全国163店舗(北海道114店舗、東京17店舗、神奈川県23店舗、兵庫県9店舗)で導入しています。また、札幌市内ではオンライン服薬指導後に処方薬を当日配送するサービスも同時開始したとのことです。今後も対応可能店舗を徐々に拡大する予定です。クスリのアオキでもSOKUYAKUを2022年2月から導入開始。同年11月からは、一部店舗でUber Eatsによる宅配サービスの運用を開始しています。

ドラッグストアに今後求められるビジネスモデルのありかたとは

ドラッグストアは、OTC医薬品を筆頭に、化粧品、トイレタリー・日用品など多種多様な商品を取り扱うようになりました。近年では食料品の取り扱いが充実した店舗も増加傾向にあり、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど異業態との同質化が進んでいるといえるでしょう。

利益性の観点から、調剤事業の拡大を進めるドラッグストアも増加傾向にあります。特に大型店舗はより効率的な運営をできる傾向があり、調剤事業への積極的な投資は今後も続くと考えられます。

今度ドラッグストアに求められる要件として、

  • 利便性(身近な店舗あるいは配達可能エリア、ライフスタイルにフィットした営業時間)
  • カテゴリ特化(HBCカテゴリを網羅する幅広い品ぞろえ)
  • 患者満足度(地域性なども反映した、調剤や相談などの対応)
  • 完結性(食品も含めてここに来れば欲しい物が手に入る、ワンストップ・ショッピング)

をあげる意見があります。

厚生労働省では、かかりつけ薬局とかかりつけ薬剤師の機能充実を推進しています。調剤併設型ドラッグストアが増えていることと、異業種との垣根が低くなりつつある現状を考えると、ドラッグストアは食料品も扱うようになり対物業務が増加していますが、本来の対人業務が改めて認識され、登録販売者など、専門知識を持つ方の活躍が期待されていることが伺えます。

登録販売者が知っておくべきニュース
②セルフメディケーション税制の利用意向の高まり

登録販売者が知っておくべきニュース②セルフメディケーション税制の利用意向の高まり

2017年からスタートしたセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)。一定条件を満たすことで所定の市販薬購入時に所得控除が受けられる同制度について、日本一般用医薬品連合会と日本OTC医薬品協会などから構成される関連団体が本年実施した調査から、興味深い結果が得られました。

ニュース概論

浸透状況(用語の認知・理解) n=152,634

ニュース概論01

セルフメディケーション自体の認知度は前回調査時から7.2ポイント上昇し74.2%。

セルフメディケーション税制の認知度は66.3%、理解度は22.0%、利用意向は20.7%でした。

本年から対象製品が拡大したことへの認知度は49.7%、理解度は12.0%とやや下回る結果です。

セルフメディケーションに対する意識
n=131(セルフメディケーション税制トライアル群26・セルフメディケーション税制主要利用群70・医療費控除主要利用群35)

ニュース概論02

セルフメディケーションと税制に対する意識について、「OTC医薬品使用により、受診が減り、医療費を増やさないことや、医療資源の有効活用に貢献できる」という意見に対して「あてはまる」と回答した方の割合は、セルフメディケーション税制を利用しているグループは28.2%、一般生活者(同調査では、税制は知っているものの確定申告不要かつ制度を利用する予定がない方)は2.6%で開きがありました。

セルフメディケーション税制に対する意識
n=131(セルフメディケーション税制トライアル群26・セルフメディケーション税制主要利用群70・医療費控除主要利用群35)

ニュース概論03

同制度を利用するメリットについても、セルフメディケーション制度を利用する群と一般生活者で差が生じました。「税金の還付」に対して「あてはまる」と回答した割合は、制度利用者は50.4%、一般生活者は4.1%です。
制度利用に向けた準備について、セルフメディケーション税制対象製品購入時のレシートを「すべて保管している」のは、制度利用者は80.2%だったのに対して、一般生活者では10.2%です。

制度を利用しない原因
n=131(セルフメディケーション税制トライアル群26・セルフメディケーション税制主要利用群70・医療費控除主要利用群35)

ニュース概論04

同調査では、同制度を利用しない原因に関する理由にも言及しています。最も多かったのは「医療費控除と併用できない」で42.0%、次いで「レシート保管が面倒」が39.7%です。制度に対して関心はあるものの、医療費控除と比較した結果諦めざるを得なかった方とレシート保管の煩雑さをネックに感じている方が一定数いることを示す結果となりました。

ヘルスリテラシーとセルフメディケーション行動の相関性

ヘルスリテラシーとは、医療や健康に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力です。今回実施した調査では、回答内容から回答者のヘルスリテラシーに関する分析を試みました。
制度の利用状況にもとづいてヘルスリテラシー得点を比較したところ、得点が高かったのは医療費控除利用者で、セルフメディケーション税制の利用者と制度未利用者では、前者のほうが高得点でした。

セルフメディケーション税制対象医薬品は3,380品目に拡大

2017年からスタートしたセルフメディケーション税制は、定期健康診断と予防接種などを受けていて、対象製品を1年間(1月1日〜12月31日)で消費税込み12,000円以上購入した方は、確定申告をおこなうことで所得控除が受けられるようになりました。当初セルフメディケーション税制は、2021年までの時限措置でしたが、2022年1月からは、対象品目を見直し、2026年まで5年間延長されています。

さらに、2022年からはセルフメディケーション税制対象医薬品が3,380品目に増えますので、市販薬をよく使うご家庭なら簡単に到達しやすくなるでしょう。販売する登録販売者の立場としては「セルフメディケーションの対象製品が欲しい」というリクエストが増えるかもしれないので、対象製品はチェックしましょう。

厚生労働省  セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について

日本一般用医薬品連合会では、従来の医療費控除とセルフメディケーション税制を使用した際の還付金を計算できるシミュレーションを公開しています。課税所得額、医療費控除対象額、セルフメディケーション税制対象製品の年間購入額を入力すると控除額の目安が出ますので、興味がある方は一度使用してみてください。

日本一般用医薬品連合会 知ってトク!するセルフメディケーション税制

登録販売者が知っておくべきニュース
③Amazon薬局が日本上陸!ドラッグストア業界にも影響はある?

登録販売者が知っておくべきニュース③Amazon薬局が日本上陸!ドラッグストア業界にも影響はある?

アメリカの大手企業Amazonが、日本の処方薬販売市場に参入するというニュースが2022年9月に流れました。Amazonによる公式声明は出ておらず、日本の調剤薬局やドラッグストアの将来にAmazonはどのような影響を与えるのか、業界全体の注目を集めています。

ニュース概要

Amazonによる処方薬と配送サービス(以下、便宜上「Amazon薬局」)はアメリカでは顧客データと独自の配送網を武器にした「Amazonファーマシー」が2020年にスタートしており、日本への本格参入は時間の問題と考えられていました。
Amazonがこの時期に日本市場への参入を画策した理由には、電子処方箋をはじめとするDX化、リフィル処方箋、調剤外部委託の3つの理由が考えられます。

電子処方箋が導入されると、患者さまからの申し出があれば医療機関は電子化した処方箋データを任意の場所に送信し、患者さまには引き換え番号を発行できるようになります。患者さまが電子処方箋に対応している薬局を訪問し引き換え番号を伝えると、その薬局が提供するオンライン服薬指導と処方薬の配送サービスを受けられるようになるのです。

リフィル処方箋は2022年4月から運用開始した制度で、1枚の処方箋を3回まで繰り返し使用可能になりました。

調剤外部委託については、現行の薬機法では薬局は患者さまから処方箋を受け取ったら薬局内で調剤しなければならないと定められていますが、2024年の法改正が認められれば調剤と配送業務を外部委託可能になります。

発表を受けた業界全体の反応

Amazon薬局の参入は、ドラッグストア業界と調剤薬局業界のあり方に少なからず影響を与えることは間違いなさそうというのが大方の見解です。特に、持病が比較的安定しているものの服薬が欠かせない患者さまや、薬局で待ちたくない患者さまはAmazon薬局と相性がよいでしょう。

しかし、Amazon薬局の日本進出は脅威になりうるものの、日本の市場を席巻できるのかどうかは、わかりません。なぜなら、Amazon薬局はアメリカで事業を展開していますが、Amazonほど膨大な顧客データと巨大な配送網を持っていても、アメリカの市場を独占できていません。また、日本の大手ドラッグストアチェーンでは、Amazonと同様のオンラインサービスを展開したうえで、実店舗におけるヘルスケア機能を充実させるなどの対応をとっています。患者さまがたとえば高齢者などでネットを使い慣れていない場合には、Amazon薬局を導入しても浸透に時間がかかると考えられます。

登録販売者に求められる対応

日本では、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となるため日本全体が超高齢化社会となる2025年問題が間近に迫っています。それに伴い、今後は在宅医療や訪問診療へのニーズがさらに高まるだろうと考えられています。よりきめ細やかな医療サービスの提供に向けて、厚生労働省はかかりつけ薬剤師・薬局に対して服薬情報の一元的・継続的把握と薬学的管理・指導、24時間対応や在宅対応、医療機関等との連携などを促しています。

対人業務を重視する姿勢は、一般用医薬品の販売ができる登録販売者にも今後さらに求められるようになるでしょう。実店舗を訪問する患者さまのニーズはどこにあるのか考え行動することが、これからも必要とされるドラッグストアや薬局になるための第一歩かもしれません。

まとめ|業界ニュースは定期的にチェックしてトレンドに敏感になろう

本記事では、ドラッグストアチェーンと配送サービス、セルフメディケーション税制に対する調査結果の解説、Amazon薬局の日本上陸について取り上げました。どのニュースも今後新たな展開が期待されていますので、皆さまも定期的にチェックしてください。編集部では、これからも登録販売者に関するニュースを定期的に取り上げていきます。

監修:山﨑泰弘氏

<監修>
山﨑泰弘氏

公益財団法人流通経済研究所 常任理事(消費者・店頭研究担当)
学習院大学法学部卒業後CVSチェーンを経て、2005年公益財団法人流通経済研究所に入所。2012年より明治学院大学経済学部非常勤講師。
主な研究領域は、コンビニエンスストア業態、協働マーチャンダイジング、ショッパー・マーケティング。
『インストア・マーチャンダイジング〈第2版〉』 日本経済新聞出版社 2016年(共著)
『店頭マーケティングのためのPOS・ID-POSデータ分析』 日本経済新聞出版社 2016年(共著)
など、著書と論文を多数上梓。

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