【登販必見】実際に参加してみた!2024年JAPANドラッグストアショーでわかった最新動向とは!?
こんにちは、登録販売者転職のアポプラス登販ナビライターチームです。
2024年8月30日(金)~9月1日(日)に、24回目となるJAPANドラッグストアショーが開催されました。JAPANドラッグストアショーは、アジア最大級の規模を誇っており、ドラッグストア業界の関係者はもちろん、一般消費者からも注目を集めているイベントです。今回は、第24回JAPANドラッグストアショーの概要や主な出展ゾーン、薬剤師目線で見たドラッグストアショーの考察などを紹介します。
また、今回のドラッグストアショーの見どころは以下の通りでした。
- 多様性やセルフメディケーションをキーワードに、多くの人が利用しやすい製品やサービスが展開されていた。
- SDGsやフェムケアに注目した商品も多く見られた。
- セミナーでは、受診勧奨をしていくことの重要性が強調されていた。
目次
- ・第24回JAPANドラッグストアショーが開催!概要は?
- ・第24回JAPANドラッグストアショーではどんな出展があった?
- ・薬剤師がドラッグストアショーを考察!
- ・ドラッグストアショーから読み解く登録販売者のあり方
- ・まとめ|ドラッグストアショーでは最新の業界情報がわかる
第24回JAPANドラッグストアショーが開催!概要は?
第24回JAPANドラッグストアショーは、生活者のセルフメディケーションを支えるさまざまな商品や情報、システムが集結する展示会です。会場内では、展示の他にさまざまなイベントも催されており、老若男女問わず楽しめるイベントになっていました。
開催日程
開催日程は以下の通りです。
2024年8月30日(金)~9月1日(日)
10:00~17:00(8/30~9/1商談日)(8/31・9/1一般公開日)
8月30日は、ビジネス向けに公開されており、一般の方が入場できるのは8/31・9/1でした。
当日は天候が悪かったにも関わらず、多くの来場者数を記録しました。業界において、ドラッグストアショーの存在感が年々増していることの現れだといえます。
今年のテーマ
第24回JAPANドラッグストアショーのテーマは、「これからの多様性のある社会に向けたドラッグストアの挑戦~自分にあったセルフメディケーションを探して~」です。現在、SDGsや女性活躍などの推進により、一人ひとりの生き方や働き方が多様化し、尊重される時代になってきています。
ドラッグストアでも、最近はSDGsやフェムケアを意識した商品を見かけるようになってきました。登録販売者をはじめとした店舗スタッフには、これまでとは異なる売り場づくりや接客、エコ意識などが求められるようになるでしょう。
開催イベント
一般来場者向けイベントとして夏祭り・縁日のブースが出展されていました。SDGsをテーマに学びと遊びを取り入れた楽しい夏祭りは、子どもと一緒に楽しめるブースとなっています。また、男性を対象とした第4回Men's Beauty アワードも開催。9つの部門で選出され、表彰&受賞者によるトークショーも開催されていました。
他にも特別企画セミナーとして、8/30・8/31にビジネス向けセミナー、8/31・9/1に一般生活者向けのライフスタイルセミナーを開催。新しい製品やサービスに触れるとともに、ドラッグストア業界の動向についても知見を深められる内容となっていました。
「ビジネスセミナー」では多くのセミナーが開催されましたがそのなかの1つに受診勧奨をテーマにした講演とディスカッションがありました。ドラッグストアにおける受診勧奨とは、お客さまの症状にOTC(一般用医薬品)で対応することが難しいと判断されるとき、医療機関への受診を勧めることを指します。
セミナーを通して、OTC(一般用医薬品)販売の質を高めるための各店舗における取り組み、ドラッグストアにおける受診勧奨が抱える課題や、登録販売者が受診勧奨を通して担うべき役割の提言などがおこなわれていました。ドラッグストア業界における受診勧奨の重要性の高まりを反映したテーマだといえます。
第24回JAPANドラッグストアショーではどんな出展があった?
ここからは、第24回JAPANドラッグストアショーでどのようなブースや製品が出展されていたか紹介していきます。今年は、以下の12の出展ゾーンに分かれていました。
- ヘルスケアゾーン
- ビューティケアゾーン
- フェムケアゾーン
- SDGsゾーン
- 食と健康ゾーン
- フーズ&ドリンクゾーン
- ホームケアゾーン
- ペットケアゾーン
- エンジョイライフゾーン
- ライフケアゾーン
- ストア&ファーマシーソリューションゾーン
- その他ゾーン
中でも、今回はフェムケアゾーンと食と健康ゾーンに焦点を当てて紹介します。
フェムケアゾーン
フェムケアとは、「Feminine(女性)」と「Care(ケア)」を組み合わせた言葉です。女性特有の健康問題にかかわるお悩みを解決してくれる製品やサービスを指します。女性の働き方が変化していく現在、女性のライフスタイルをサポートする製品・サービスとして注目を集めています。
ドラッグストアショーでは、女性特有の健康問題を解決し、女性の活躍や健康促進を実現するための「フェムテック・フェムケア」商品が数多く展開されていました。また、フェムケアゾーンではセミナーもおこなっているため、ドラッグストアでの販売にも使える内容も得られます。
近年、フェムケア商品への関心の高まりに伴い、ドラッグストア業界が新たな市場を創造し、新しい市場づくりをしていくための一翼を担うジャンルとして注目されています。
試供品をもらえるブースもあるため、女性の方なら実際に自分で試してから仕入れを検討できるうえ、販売する際に自分の感想を取り入れて接客をおこなえるでしょう。
関心が高まっているフェムケアですが、人には相談しにくいと感じている方もいます。この機会にフェムケアの知識を増やし、フェムケアで悩んでいる方に自信を持って接客ができるようになりましょう。
食と健康ゾーン
近年、健康寿命を伸ばすためのヘルスケア製品が注目を集めています。ドラッグストアショーでは、生活習慣病や健康維持向上食などに焦点を当てて最新の製品が紹介されています。また、食と健康ゾーンではメーカーのエントリー推奨商品の展示をおこなっており、業界関係者で構成する選考員の審査による入賞商品を決定する「食と健康アワード2024」も開催されていました。
ドラッグストアでは医薬品や化粧品だけでなく、食品も数多く販売しています。ドラッグストアショーでは、高タンパク質のスナック菓子やスープタイプのプロテインなど目新しい商品も紹介されていました。これから発売される新商品の情報も得られるため、ドラッグストアで働いている登録販売者にとっては、よい情報収集の場になります。
商品がたくさんあるため、実際に店に仕入れる商品に迷ってしまった場合は、「食と健康アワード2024」の入賞商品を参考にすると話題にもなるのではないでしょうか。
その他の出展ゾーン
医薬品、化粧品、健康食品、ドラッグストアなどさまざまな業界から、多彩なブースが出展されています。お化け屋敷や縁日のような雰囲気のブースまであり、各企業が多くの人の興味を引き、製品やサービスを知ってもらうための工夫が凝らされたブースづくりがされていました。
株式会社マツキヨココカラ&カンパニーやウエルシアホールディングス株式会社、スギホールディングス株式会社などドラッグストアチェーン店を展開する企業も出展しており、商品やサービス自体だけではなく、ドラッグストア自体の動向を知ることもできるでしょう。
薬剤師がドラッグストアショーを考察!
ここからは、薬剤師・登録販売者講師として活躍されている村松早織さんに、登録販売者の視点からドラッグストアショーを考察していただきました。ドラッグストア業界のトレンドを理解して、売り場づくりや日々の接客に活かしていきましょう。

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧:Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC医薬品についての情報発信をおこなっている。
- ■著書
- ・医薬品暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第3章」徹底攻略(金芳堂)
- ・薬機法暗記帳 医薬品登録販売者試験絶対合格! 「試験問題作成に関する手引き 第4章」(金芳堂)
- ・これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2023年度版(KADOKAWA)
- ・村松早織の登録販売者 合格のオキテ100(KADOKAWA)
- ・やさしくわかる! 登録販売者1年目の教科書(ナツメ社)
フェムケア|今大注目の「フェムケア」は店舗の売上アップ施策にもおすすめ
近年、フェムケアコーナーを設置するドラッグストアも多く見受けられるようになってきました。ドラッグストアでの取り扱い商品としては、デリケートゾーン用の洗浄料や保湿剤、ウエットティッシュやシェーバー、フェミニーナ軟膏などの女性向けの医薬品、月経カップを始めとする生理用品など、多岐にわたります。
また、2023年には「ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート」が発売され、ドラッグストア業界でも話題になりました。本商品は、通常のおりものシートのようにショーツにつけて過ごすだけで妊活タイミングを知らせてくれるものであり、妊活中の女性の強い味方になります。
ドラッグストアの売上アップには、お店のレイアウト変更やこまめな商品の入れ替えが効果的です。フェムケアは年々関心が高まっているカテゴリですので、店舗の女性スタッフの声を取り入れながら、ぜひフェムケア専用コーナーを展開してみてくださいね。
健康食品|消費者の「普段の食事」への健康意識が高まりを見せている
スーパーのような生鮮食品のコーナーを展開するドラッグストアが増えていますが、やはりドラッグストアの最大の強みは「健康維持」と「セルフメディケーション」関連の商品展開です。
健康維持を目的とする「健康食品」といえば、サプリメントのように、食事とは別で摂取する商品をイメージしがちです。しかし、近年は、おやつ代わりに手軽に食べられる「健康志向の人のおやつ」や、いつもの食事の健康レベルを引きあげる「健康志向の人のごはん」の商品数が増えている印象があります。
例えば、今回の取材写真にあった「高タンパク質のスナック菓子」や「マイサイズプラスサポート」、「完全メシ カップヌードル」などがそれにあたります。これは、消費者の健康意識が「わざわざ摂取するもの」から「食事そのもの」へと移り変わっていることが、要因の一つとして考えられます。この機会に、健康食品売り場の商品展開を見直してみてくださいね。
ドラッグストアショーで仕入れたトレンド情報を店舗作りに活かそう
ドラッグストアショーは、業界のトレンドが把握できる貴重なイベントです。そのため、売上アップ施策を考えている店長や、医薬品・健康食品コーナーの棚作りを任されている登録販売者、最近のお客さま動向を把握したい一般スタッフにとって、非常に有用な機会になります。
今回のドラッグストアショーのテーマは、「これからの多様性のある社会に向けたドラッグストアの挑戦~自分にあったセルフメディケーションを探して~」でしたが、「フェムケアゾーン」や「食と健康ゾーン」では、「自分らしさ」を前面に押し出すような商品が展示されていました。
ドラッグストアには、外国人観光客やビジネスパーソンなど、さまざまな人が訪れます。以前は「みんなが使っているもの」が購入動機の一つになっていましたが、多様性の時代では「個々に合わせて選んだもの」が喜ばれるようになることでしょう。
お客さま一人ひとりの状況に応じたカウンセリングは、登録販売者の仕事であり、大切な役割でもあります。多様性の時代を生き抜くため、ハード面(店舗)ではトレンドの商品展開をおこなうと共に、ソフト面ではお客さまが心地よく買い物ができるよう、サポートしていきましょう。
ドラッグストアショーから読み解く登録販売者のあり方
ここからは、ドラッグストアショーの様子から読み解く登録販売者のあり方を紹介します。
登録販売者のあり方の現状と受診勧奨の重要性
「医療関連法規」の「医療職種に関連する法律」の中に登録販売者に関する法はなく、登録販売者は法律上で「医療者」として定められていない現状にあります。
2日目に開催されたセミナー「動き始めたドラッグストアにおける受診勧奨 その期待と課題」では、今後、登録販売者も法律上で「医療者」として記載され、日本のチーム医療を担う一員として活躍することが期待されていると述べられていました。
そのためには、登録販売者も適切な教育を通して臨床推論の考え方やセルフメディケーション、副作用に関する知識を身につけ、OTC(一般用医薬品)販売の質を高めなければなりません。
適切なOTC(一般用医薬品)販売の実現のために重要なことの1つとして、受診勧奨があげられます。2024年8月には、一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が「JACDS版受診勧奨ガイドライン第3版」を制定しています。
ここで定められている受診勧奨のあり方を登録販売者一人ひとりが理解し、受診勧奨のタイミングを見逃さないようにすることで、OTC(一般用医薬品)販売の質が高まり、法律上で「医療者」として認められることにつながるでしょう。
多様性を理解した接客や業務
近年、SDGsや女性活躍など一人ひとりの生き方や働き方の多様化が目立つようになってきました。その中で、ドラッグストアでもSDGsやフェムケアを意識した商品が増えてきています。必要とする人に適切な商品を販売するためには、働く登録販売者自身が多様性を受け入れ、一人ひとりに寄り添った接客をすることが大切です。
セルフメディケーションに対応できる知識のアップデート
セルフメディケーションとは、自分の健康に責任を持って軽い体調不良であれば自分で手当てをおこなうことを指します。病院に受診することなく市販の医薬品を使用して改善を図る必要があるため、どの症状やケガにはどの医薬品が効果的か、消費者自身が知る必要があるでしょう。
しかし、ドラッグストアに訪れるお客さまがみな正しい知識を身につけているわけではないため、登録販売者が接客の中で適切な医薬品を提案する場面は多くなっていくと考えられます。今後、セルフメディケーションがさらに進んでいけば、登録販売者はセルフメディケーションに対応した接客ができるよう、知識をアップデートしていく必要があるでしょう。
まとめ|ドラッグストアショーでは最新の業界情報がわかる
この記事では、2024年8月・9月に開催された第24回JAPANドラッグストアショーについて紹介しました。今回のドラッグストアショーは、多様性やセルフメディケーションをキーワードに、多くの人が利用しやすい製品やサービスが展開されていました。
また、近年注目を集めているSDGsやフェムケアに注目した商品も多く紹介されており、今後ドラッグストア店舗で展開が増えていくであろう製品やサービスに触れたり、体験したりできる機会となりました。登録販売者として働く方は、今回開催されたJAPANドラッグストアショーの内容をもとに、最新の業界情報を把握し、日々の業務に活かせるようにしましょう。
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