【登録販売者必読】経口補水液とスポーツドリンクはどう違う?熱中症対策の接客・売り場作りのコツを解説

こんにちは、登録販売者転職のアポプラス登販ナビライターチームです。
暑い季節が近づくにつれ、リスクが高まる熱中症。地球温暖化の影響などにより、以前より話題にのぼる機会が増えました。熱中症予防のための対策も重要になっていますが、熱中症や脱水症の対策飲料としてすすめられることの多い経口補水液とスポーツドリンクは、何が違うのか知らない方も多いでしょう。
本記事では、経口補水液とスポーツドリンクの違いやそれぞれに適したシーン、お客さまに提案する際の注意点などについて解説します。熱中症対策の売り場作りについても紹介するので、参考にしてください。
目次
- ・経口補水液とスポーツドリンクの基本的な違い
- ・経口補水液とスポーツドリンクの適切な使いわけ
- ・登録販売者が売り場で声かけする際のコツ
- ・登録販売者が知っておきたい提案時の注意点
- ・経口補水液とスポーツドリンクの売り場作りのコツ
- ・まとめ|熱中症対策の接客・売り場作りのポイント
経口補水液とスポーツドリンクの基本的な違い

経口補水液もスポーツドリンクも、脱水状態になった際に水や電解質を体内に効率よく取り込むための飲み物です。どちらも水・ナトリウムやカリウムなどの電解質、ブドウ糖などの糖質を主とした成分で構成されています。
しかし、電解質濃度や糖濃度は大きく異なっており使用するシーンも違うため、注意が必要です。経口補水液とスポーツドリンク、それぞれの特徴や基本的な違いについて解説します。
経口補水液とは
経口補水液は、脱水症を治療するための飲み物です。「特別用途食品」に分類されており、ひどい下痢や嘔吐によって脱水症になってしまったときなどに食事療法として用いられます。日常の水分補給としての飲み物ではないため、注意してください。
経口補水液は水・電解質・ブドウ糖などで構成されており、スポーツドリンクと比べて電解質濃度が高く糖濃度が低い点が特徴です。各成分の濃度は、脱水時に小腸からもっとも効率よく吸収できるような割合で決められています。
電解質とはナトリウムやカリウムなどで、これらの成分は体が正常な状態を維持するために重要な役割を担っています。神経や筋肉の機能を調整したり、体内の水分の浸透圧を調整したりといったことも、すべて電解質の役割です。脱水症で水や電解質が失われると、場合によっては命の危険も出てきます。
スポーツドリンクとは
スポーツドリンクは、運動で汗をかいた際などに、体内から失われた水や電解質を補うのに適した飲み物です。スポーツドリンクも水・電解質・糖質などで構成されていますが、経口補水液に比べ電解質濃度が低く、糖濃度が高い点が特徴です。
発汗時には、体内から水だけでなく電解質も失われます。汗をかいたからと水だけを飲んだのでは電解質のバランスが乱れるため、電解質も一緒に補給することが大切です。また、糖質には小腸での水分吸収を促す作用があり、さらにエネルギー補給の役割もあります。
スポーツドリンクは、水分補給が必要なときに適量で飲みましょう。飲みすぎは高血圧、糖尿病、肥満のリスクがあるため注意が必要です。
経口補水液とスポーツドリンクの適切な使いわけ

経口補水液とスポーツドリンクは、構成成分の割合が大きく異なります。そのため、それぞれ適切な飲み方があり、それを踏まえたうえで提案することが大切です。
「水分補給をしたいときにとりあえず飲む」といった使い方はしないようにしましょう。具体的には、次のようなシーンでの飲用が適しています。
経口補水液が適しているシーン
経口補水液は、ノロウイルスをはじめとする感染性胃腸炎によって下痢や嘔吐がひどく脱水症になってしまったときなどに使用する飲み物です。体調を崩している方向けの飲み物であり、健康な状態で水分補給を目的として飲むものではありません。
下痢や嘔吐がひどく水分がとれないとき、高齢者で充分に水分を摂取できず脱水症に陥っているとき、過度な発汗によって脱水症の危険があるときなどに使いましょう。
経口補水液の中には「脱水を伴う熱中症に適している」と書かれているものもあります。そのような記載があれば熱中症のときにも使えるため、ラベルを確認してください。
スポーツドリンクが適しているシーン
スポーツドリンクは、運動するときや高温多湿の環境で作業するとき、入浴の前後など、日常のさまざまなシーンで水分補給したいときに飲んでください。熱中症予防にも、スポーツドリンクが適しています。
大量に汗をかいた際はミネラルウォーターなどで水だけを補給するのではなく、スポーツドリンクで電解質も一緒に補給することが大切です。水だけの補給では体内の電解質のバランスが乱れて、熱中症の危険度が増してしまいます。
登録販売者が売り場で声かけする際のコツ

経口補水液やスポーツドリンクの売り場の前で購入を迷っているお客さまがいた場合には、状況に応じて声かけをしてみるとよいでしょう。どういった目的で商品を探しているのか把握できれば、より適切な商品を提案できます。
「どのような場面で飲む予定ですか?」「スポーツの際の水分補給として探していますか?それとも、風邪や感染性胃腸炎などで水分補給が必要な状態ですか?」「飲まれるのはご高齢の方や小さなお子さまですか?」などの質問をすることで、利用予定のシーンを聞き出しやすくなるでしょう。
経口補水液やスポーツドリンクと一緒におすすめしたい商品
経口補水液を購入したお客さまで、脱水症状があり発熱もしているようであれば、冷却ジェルシートなどをおすすめしてもよいでしょう。また、場合によっては感染性胃腸炎で下痢がひどいために、下痢止めを求められるお客さまがいるかもしれません。
しかし、感染性胃腸炎の場合に下痢を無理に止めようとすると、ウイルスを体内から排出できず改善が遅れます。下痢止めは販売せず、医療機関に相談するようおすすめしてください。
スポーツドリンクを購入したお客さまには、スポーツドリンク以外の熱中症対策として塩分入りタブレットや梅干し、塩昆布などをおすすめしてもよいでしょう。また、冷却ジェルシートや冷却スカーフをはじめとするさまざまな冷却グッズも熱中症予防に便利です。
具体的にどのような対策があるかわかりやすく掲示してあると、お客さまにも伝わりやすいでしょう。
登録販売者が知っておきたい提案時の注意点

経口補水液やスポーツドリンクを提案する際には、注意すべき点がいくつかあります。お客さまの症状によっては経口補水液やスポーツドリンクをおすすめできないケースもあるため、覚えておいてください。
経口補水液を提案する際の注意点
繰り返しますが、経口補水液は脱水症の方が水や電解質を補給するために飲むものです。病気の方のための飲み物であることを伝え、普段の水分補給としては使わないよう指導しましょう。
また、経口補水液にはナトリウムやカリウムが多く、さらにブドウ糖も含まれています。高血圧、糖尿病、腎臓病などで、医師からナトリウム・カリウム・糖質の摂取制限を指示されている方の場合、過剰に摂取してしまう危険もあるため注意してください。
食事制限の指示を受けているお客さまの場合には、必ず医師に相談してから使用するよう伝えましょう。とくにご高齢の方に販売するときには、食事制限がないかの確認も大切です。
スポーツドリンクを提案する際の注意点
運動時や炎天下での作業などの際には、熱中症予防のためスポーツドリンクが大切です。しかし、スポーツドリンクには糖質が多く、ナトリウムなども含まれます。飲みすぎると肥満、糖尿病、高血圧、虫歯などのリスクがあるため、注意しなくてはいけません。
たとえば、飲みすぎると糖質の影響で血糖値があがり、あがった血糖値を下げようとインスリンが分泌されます。しかし、スポーツドリンクを頻繁に飲むことを何度も繰り返すうちにインスリンを正常に分泌できなくなり、糖尿病の一種の「ペットボトル症候群」になってしまうのです。
ペットボトル症候群の発症例は、とくに若者やお子さまに多いため、状況に応じて注意を促すようにしてください。適度な量を飲むように指導しましょう。
経口補水液とスポーツドリンクの売り場作りのコツ

経口補水液やスポーツドリンクを販売する際には、売り場作りにもこだわってみましょう。初夏頃から、熱中症予防のための商品を集めた売り場を用意してもよいかもしれません。売り場をつくる際には、次のようなコツを実践してみてください。
エンドやレジ前に「熱中症対策コーナー」を展開する
お客さまの目に留まりやすいエンドやレジ前に、「熱中症対策コーナー」を展開するとよいでしょう。スポーツドリンクだけでなく、塩分入りタブレットや塩昆布、梅干しといった商品も集めた売り場にすることで、お客さまの興味をひけます。
さらに、冷却ジェルシートや氷枕、冷却ボディーシートなどの冷感グッズも並べてクロスセルを狙うのもおすすめです。トレンドにあがっているグッズなどがあれば、用意してみてください。熱中症で脱水状態になってしまったときのため、経口補水液も紹介してみましょう。
商品棚に図解入りPOPを設置して違いを伝える
商品棚の近くにわかりやすいポスターや図解入りPOPが設置されていると、お客さまが足を止めてくれるかもしれません。熱中症を意識している方は多いと思われるため、「こんなときに使ってほしい!」といったシーン別の具体的な提案がおすすめです。
飲み方の注意事項についても、伝えるようにしましょう。スポーツドリンクにはアイソトニック飲料とハイポトニック飲料があり、それぞれに飲用のタイミングがあります。どのタイミングで飲むとよいかなど、わかりやすくまとめてみてください。
お客さまの注意を引くキャッチコピー例
キャッチコピーはさまざまなものが考えられます。「猛暑」「酷暑」「灼熱の夏」といったワードと、「ひんやり」「爽快」などのワードが入っていると、お客さまの注意をひけるかもしれません。
また、海や青空などを写したインパクトのあるポスターの掲示も有効です。店舗や商品棚の目立つ位置での設置することで、視覚的な訴求力が高まり、通りかかったお客さまの興味を引きやすくなります。
このように、キャッチコピーにビジュアルを組み合わせて季節感や爽快感を演出することで、購買意欲の向上が期待できるのです。
まとめ|熱中症対策の接客・売り場作りのポイント
暑い季節になると、熱中症対策に備えるお客さまが増え、登録販売者としての接客にも工夫が求められます。接客の際は、商品を探しているお客さまの目的を聞き出し、適切な商品を提案することが重要です。
なかでも、熱中症対策としてすすめることの多い、経口補水液とスポーツドリンクの違いについてはしっかりと理解しておきましょう。利用シーンや成分の違いを踏まえた説明が、お客さまの信頼につながります。
また、売り場作りにも力を入れると、お客さまの注意を引くことができます。熱中症対策コーナーを展開し、季節感のあるキャッチコピーやポスターを活用することで、熱中症対策への意識を高めるきっかけをつくりましょう。
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