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【現役ドラッグストア店長直伝】メリットが大きい新世代鼻炎薬へ誘導する方法とコツ<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】メリットが大きい新世代鼻炎薬へ誘導する方法とコツ<登録販売者のキャリア>

ドラッグストアにとって重要なシーズンである、花粉症の季節がやってきました。
特に昨年登録販売者試験に合格した方にとっては初めての花粉シーズンとなります。

昨年末から風邪などの感冒の流行で風邪薬の売上が大きく伸長したと思いますが、花粉シーズンはそれよりも大きな、年間でも有数の売上を占める期間となります。
しかしOTC(一般用医薬品)の中には古くからデメリットの大きい鼻炎薬が存在し、それらは現在でも人気のカテゴリとなっています。

今回は「新しい鼻炎薬への切り替え」をおこなううえでの知識や接客の切り口を紹介しますので、ぜひ店頭で実行してください。

目次

なぜ花粉シーズンが重要なのか

なぜ花粉シーズンが重要なのか

ドラッグストアにとって花粉症商材は最重要ポイントなのです。
その理由を知っておくと会社の指示などを理解できます。

風邪シーズンと花粉シーズンの特徴と違い

年末年始に風邪薬の販売数が大きく伸長しましたが、この時に何が売れたか覚えていますか?
風邪薬の他にも、栄養ドリンクやマスクなどのヘルスケア関係、除菌関係、栄養機能食品や経口補水液も一緒に購入するお客さまが多かったはずです。

花粉症のシーズンはどうでしょう。
鼻炎薬や目薬などを中心に、点鼻薬や花粉対策スプレーなどの販売数が伸びるはずです。

では風邪シーズンと花粉シーズンの特徴の違いは何でしょう。
それは「買上点数」「一品単価」です。

風邪では風邪薬の他には「回復」と「予防」の商品が求められます。
花粉症では「各種治療薬」と「花粉対策アイテム」が求められます。

ここでのポイントは、花粉症では複数の医薬品の需要があるということです。
「鼻炎薬」「点鼻薬」「目薬」の他にも、目を洗うための「洗眼液」、アレルギーからくる頭痛や咽頭痛を抑えるための「鎮痛剤」、アレルギーによる皮膚症状を抑えるための「皮膚薬」など、多くの医薬品の需要が高まります。

またこれ以外にも掃除用品や健康食品、柔軟剤など花粉対策アイテムは非常に多いため、本当に困っているお客さまは複数購入されることも珍しくありません。
ひとりのお客さまの購入金額(客単価)が大きく向上するのが花粉シーズンなのです。

コラムの主旨から外れますが、年明けに落ち込む売上を立て直す存在でもあります。
ここでお客さまの需要に応えることで満足度と店舗の成績を上げることができるので、会社は強い指示を出してくるのです。

お客さまにとっての鼻炎薬

どんなOTC(一般用医薬品)でもお客さまの立場で接客することは重要です。
ではお客さまにとって鼻炎薬とはどんな役割なのか考えてみましょう。

花粉症の方の行動は、理由は何であれ次の3パターンです。

  • ①薬を使わない
  • ②病院で治療する
  • ③OTC(一般用医薬品)で対応する

この中でドラッグストアに来店されるのは当然「③OTC(一般用医薬品)で対応する」のパターンです。
しかし「②病院で治療する」方も処方薬を切らして同成分のOTC(一般用医薬品)を購入するパターンも年々増えてきました。

明らかにフェキソフェナジンに代表される第二世代薬の需要が伸びているため、通院されているお客さまは使われている第二世代薬を選択される方が多い傾向です。
そして「③OTC(一般用医薬品)で対応する」方は若年層が第二世代薬、中高年層が第一世代薬を選択する割合が高い傾向があります。

前回のコラムで第一世代薬のリスクについて触れていますのでご一読ください。
【現役ドラッグストア店長直伝】初めての花粉症接客のコツ<登録販売者のキャリア>

特に第一世代薬を選択されるお客さまは即効性を求めることが多く、副作用リスクに注意を払う必要があります。

販売側にとっての鼻炎薬

わたし達登録販売者にとって鼻炎薬はあらゆるOTC(一般用医薬品)の中でも「副作用リスクが高い商品」と「安全性が高い商品」の差が大きく、接客をおこなううえで頭を悩ませるジャンルでもあります。
上記の前回のコラムでも言及しましたが花粉症は国民病といえるほどに患者が多く、国民3人に1人は花粉症とされているほどです。

フェキソフェナジンが第2類に区分変更される以前は店頭に第一世代薬しかなかったため、その頃から市販の鼻炎薬を使用していて第一世代薬ならではの効果と実感が忘れられず使い続けている方が多いのが現状です。

OTC(一般用医薬品)は効果や利便性が求められますが、それより副作用が上回ることは避けなければいけません。
その面から考えると、第一世代薬から第二世代薬へ変更するようにお客さまを誘導することが花粉シーズンの最大のポイントとなります。

メリットとデメリットの有効な訴求方法とは

メリットとデメリットの有効な訴求方法とは

第一世代薬から第二世代薬に変更するにはお客さまに対してそれらのメリットとデメリットをわかりやすく説明する必要があります。
お客さまによってメリットとデメリット、どちらを優先して接客するか見極める必要があります。

第一世代薬のメリットとデメリット

第一世代薬のメリットは即効性と明らかに「効果」が実感できることがあげられます。
持続性のある第一世代薬は特に人気で長時間症状を抑えたい需要が大きいことがわかります。

成分が古いため副作用も多いですが、代表的な副作用の「口喝」「倦怠感」で効いていると勘違いしている方もいらっしゃるため第二世代への移行が難しい面もあります。
仕事や勉強に支障が出るうえに、特に自動車運転などをしなければいけないお客さまは禁忌となり、これに持病も合わせると禁忌に該当するお客さまはかなり多いと考えられます。

また第二世代薬にあるような早期に服用を開始し継続すると症状が悪化しにくい、といったメリットも第一世代薬にはないため、現在では優先順位がかなり下がっています。
このデメリットをどのようにお客さまにお伝えするのかが重要となるのです。

第二世代薬を使ったことがない方には今年こそ新しい鼻炎薬を試し、QOLを向上していただきましょう。

第二世代薬が効かない方へのアプローチ

お客さまの声として多いのが第二世代薬を使ったものの効果が感じられず、第一世代薬に戻ってしまうパターンです。
第二世代薬に対する信頼を失ってしまったともいえるため、ここから再度、第二世代薬を使っていただくのが難しいのです。

このパターンでお勧めなのが、ステロイド点鼻薬です。
後述しますがステロイド点鼻薬は第二世代薬より効果が優れているともいわれるため、「脱第一世代薬」としては最適と考えています。

わたし達もお客さまも、「鼻炎薬=飲み薬」という固定観念から離れる必要があります。この「ステロイド点鼻薬」をお勧めするとき、わたしは以下のように説明しています。

「そもそも鼻に症状があるのなら鼻に薬を使えばいいんです。」
「虫刺されも患部に使いますよね?それと同じです!」
「実はフェキソフェナジンなどより効果的だともいわれているんです」

第二世代薬は使い続けると効果が増していくので数回の使用で中止されてしまうのは、実力が充分に発揮される前に「効かない」という烙印を押されるようなものです。
セルフ販売で購入されたのなら仕方がない面もありますが、接客をおこなったうえでの販売ではこのようなことがないよう充分に説明をおこなうべきです。

また、点鼻薬が使えるお客さまなら第二世代薬よりステロイド点鼻薬をお勧めするのが現時点では正解です。
ステロイド点鼻薬はメインで使うべきですが、お客さまの反応によっては「第二世代薬のプラス一品」としてお勧めするのも有効です。

ステロイド点鼻薬は基本的に1日2回の使用で2カ月使用可能なので、1日当たり20~30円で使用できる「高コストパフォーマンス」商品です。
この金額訴求でステロイド点鼻薬をお勧めする切り口も有効です。

また鼻詰まりへの即効性を求めているお客さまには、小児から使用可能な冷感塗布剤をお勧めすると知名度もあるので喜ばれることも多々あります。
特に鼻詰まりで寝苦しいために「第一世代薬」や「血管収集剤点鼻薬」を使用しているお客さまにお勧めしましょう。

お客さまの生活リズムに対応した販売をおこなうには

登録販売者の勉強では持病とOTC(一般用医薬品)成分の関係について学んだはずです。
しかし店頭でお話しするお客さまの生活にまで踏み込んで接客することに慣れていない登録販売者も多いと思いますので、持病以外も少なくとも下記のポイントはお聞きしましょう。

  • ①仕事(勉強)の有無
  • ②自動車・自転車の運転や機械操作
  • ③昼の服用が可能か

この三点で「①仕事(勉強)の有無」「②自動車・自転車の運転や機械操作」どちらかが該当した時点で第一世代薬は禁忌となります。
あくまでも肌感ですし立地にもよりますが、郊外店舗ならほぼすべてのお客さまが第一世代薬は禁忌となるはずです。

また第一世代薬は数十年前、昭和時代から販売されてきたOTC(一般用医薬品)でもあります。
花粉症が社会現象となった時から販売されているため、惰性で使い続けている中高年層のお客さまが非常に多いのが現状です。

このようなお客さまへの対応方法を紹介しますので参考にしてください。

想定されるお客さまのパターン別対応方法

想定されるお客さまのパターン別対応方法

第一世代薬から第二世代薬に変更するときに有効だった接客トークをここで紹介しておきます。
これらを繰り返せばリスクが少なくOQLが悪化しないOTC(一般用医薬品)をお客さまにお勧めすることが徐々に可能となりますので実践してみてください。

「濫用等のおそれのある医薬品」を利用する

花粉シーズンでは「濫用等のおそれのある医薬品」第一世代薬のレジ対応をおこなう機会が増えるはずです。
鼻炎薬での濫用対応は主に鼻詰まりへの効果がある「プソイドエフェドリン」が該当します。

ご存じの通りこの成分は濫用の危険性とともに、主に高血圧や緑内障が禁忌となります。
このような長期間販売されているOTC(一般用医薬品)は使用者も数十年という長期に渡って使用している可能性が高いため、使用開始した時には持病がなくても現在は持病が発症、あるいはさらに悪化している可能性があります。

このため濫用対応の際に持病確認をおこない、安全性の高い第二世代薬や高血圧でも使えるステロイド点鼻薬をお勧めすることが可能です。
特にステロイド点鼻薬の「フルチカゾンプロピオン酸エステル」を使用した商品は昨年12月に第二類医薬品へリスク区分がおこなわれたので訴求がしやすくお勧めです。

「今シーズンから高血圧の方も使える花粉症専用の点鼻薬が販売されていますよ!」
「効かないといわれている第二世代薬より効果があるとされています」
「第一世代薬はリスクが大きいため、長期に渡っての使用は持病を悪化させる可能性が高いです」

このような文言で訴求し、お客さまの危機感を引き出すことでより安全性の高いOTC(一般用医薬品)に誘導するべきです。

店頭で第一世代薬を手に取った時のパターン

第一世代薬の第二世代薬の違いや、そもそも世代の存在をご存じないお客さまも多くいらっしゃいます。
今まで使っていたものは効果もわかることから満足して使い続けている方も多いのですが、デメリットを把握していない方も多いのです。

実は自覚できない副作用というものがあり、これを「インペアードパフォーマンス」といいます。
具体的には「判断力低下、集中力低下、作業効率低下」というものです。

つまり「眠くならないし症状を抑えられているから私に向いている」と考えて第一世代薬を使い続けている方は、知らず知らずのうちに大きなデメリットを負っている可能性が高いのです。
もちろん運転をしていたら道交法違反です。

※道路交通法第66条:何人も、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない

この声かけで全員が第二世代薬に変更できるわけではないですが、少しずつでもこうした啓蒙活動をおこなうことも登録販売者の責務です。
リスクを前面に訴えることも時には必要です。

  • 依存性(プソイドエフェドリン配合薬)
  • インペアードパフォーマンス
  • 持病での禁忌
  • 機械類の運転操作
  • 連用による効果の増強がない

第二世代薬にするだけでこれらがなくなる、もしくは少なくなるのです。

点鼻薬依存と思われるお客さま対応

そして思いのほか多いのが血管収縮剤点鼻薬による「薬剤性鼻炎」のお客さま対応です。
花粉シーズンだけでなく通年で多いのですが、この点鼻薬依存は花粉シーズンを起点として始まる可能性があるので安易な血管収縮剤点鼻薬の使用は事前に注意すべきです。

添付文書にも記載がありますが、基本的に血管収縮剤点鼻薬の連用は3日以内とすべきです。
薬剤性鼻炎は重症化すると手術の必要が出るほどの症状なので、同じ点鼻薬を複数本購入されるお客さまには受診勧奨をおこない、早期の治療を促してください。

そして特に注意すべきは若年層の使用で、若い頃に血管収縮剤点鼻薬の使用感の良さに慣れてしまうと漫然と使い続けてしまう可能性があります。
親が購入者の場合もあるため、血管収縮剤点鼻薬を購入の方はできるだけ使用者を確認してください。

そして最後に、風邪と違って花粉症は数カ月続く症状です。
リスクの大きい医薬品は短期間なら影響は小さくても、花粉症のような長期間にわたる使用だとそれにともないリスクも大きくなります

「濫用対応」として捉えても花粉症は数週間から数カ月症状が続くことから、第一世代薬はおすすめできません。
そしてお客さまのQOLや持病リスクを考慮すると第一世代薬は更に優先順位が下がります。

今回お伝えした内容を参考に、お客さまに第二世代薬やステロイド点鼻薬の大きなメリットをお伝えしてください。
店舗業務は多忙ですが、花粉シーズンに接客強化をすることでお客さまの意識も変わり、よりよい市販薬を選んでいただけるはずです。

我々の仕事はお客さまのQOLを向上させることです。
その場限りの判断ではなく、お客さまの生活に合わせた医薬品を案内できるよう心がけましょう!

ケイタ店長(登録販売者)

執筆者:ケイタ店長(登録販売者)
ドラッグストア勤務歴20年、一部上場企業2社で合計15年の店長経験を活かし、X(旧Twitter)などで登録販売者へのアドバイスや一般の方への生活改善情報の発信を行っている。X(旧Twitter)フォロワー数約5,000人。

過去の記事 【現役ドラッグストア店長直伝】初めての花粉症接客のコツ<登録販売者のキャリア>
新しい記事 【現役ドラッグストア店長直伝】頭痛の接客スキルを磨こう<登録販売者のキャリア>