登録販売者が独立開業する方法|試験合格や実務経験が必要になります
こんにちは、登録販売者転職のアポプラス登販ナビライターチームです。
登録販売者のなかには、業務に従事しながら独立を目指す方もいるのではないでしょうか。この記事では、そのような方が独立開業するための方法や、その手順などを解説していきます。
目次
- ・登録販売者が独立開業するには?
- ・登録販売者として開業するメリット
- ・登録販売者として開業するデメリット
- ・独立開業に向いている人の特徴
- ・登録販売者が独立開業する2つのパターン
- ・独立に向けての手順
- ・成功するための方法
- ・登録販売者が独立開業する際の注意点
- ・独立開業には資格や業務経験が必要
- ・まとめ
登録販売者が独立開業するには?
一般の医薬品を販売することができる登録販売者の資格ですが、自分の持っている資格をいかして独立したいと思う方には、すぐれた資格といえるでしょう。
薬剤師であればすべての医薬品を販売できますが、登録販売者なら第二類と第三類の医薬品のみの販売となります。しかし、限られた医薬品の販売であったとしても、ドラッグストアや薬局で見かける、ほとんどの種類の医薬品を販売することができます。
登録販売者として独立開業するのであれば、店舗管理者として自分の店舗を開業し、薬剤師を雇用することで調剤薬局を運営することが可能になります。
調剤薬局の独立開業に必要な条件としては、保険薬局指定と薬局開設許可を得ること、そして店舗に調剤室を設けることです。薬局の開業に関しては、医薬安全課や保健所に相談することが可能になるでしょう。
登録販売者として開業するメリット
企業に雇用されて働くスタイルと比べて、独立開業する場合の大きなメリットとしては収入アップが挙げられます。店舗運営が軌道に乗れば、従業員として働く給料の何倍もの収入を得ることが可能になります。
また店の造りや、取り扱う商品なども自分自身で決めることができ、自分が思い描くコンセプト通りの店を作れるのも魅力的なポイントといえます。さらに、接客スタイルや営業時間などもすべて決められるので、自由度の高い働き方ができることも独立開業ならではの特徴です。
登録販売者として開業するデメリット
独立開業するデメリットとして最も大きいのは、準備や手続き、資金調達のハードルが高い点があげられます。店舗の確保や仕入れなどの開業準備として、開業資金は数千万円程度必要になることも多く、事業計画を立てたうえで銀行に融資の相談をすることになります。
扱う医薬品の仕入れ先や価格交渉など、それまでおこなったことがないであろう初めての取り組みも多く、開業にこぎつけるまではかなりの負担になります。
独立開業に向いている人の特徴
独立開業といっても簡単なものではありません。それぞれの登録販売者にも特徴があり、向き不向きもあるでしょう。それでは、独立開業に向いている人とは、どのような特徴があるのでしょうか。
新しいことへの挑戦・研究する意欲
初めての独立開業では、手続きや仕入れなど初めて取り組むことがたくさんあります。店舗の従業員として働いているときも、新しいことへの取り組みや挑戦することもあったと思いますが、より多くの研究心が求められることになります。
初めてのことに興味があり、勉強することが苦にならない方は、独立開業に向いているといえるでしょう。
マネジメント能力の有無
開業する店舗の規模にもよりますが、接客や品出し、仕入れなど自分1人で運営するのは現実的ではありません。
基本的にはアルバイトや社員を雇用して、店舗を運営することになりますので、オーナーであると同時に店長としてのマネジメント能力が求められます。
面接・マニュアルの作成・スタッフの教育など、スムーズな店舗運営のために必要な運営業務はたくさんあります。他の仕事で店長やマネージャー職を経験したことがある方は、独立開業に向いているといえるでしょう。
h3交渉能力がある
自らの店舗を開業するまでには、資金調達や仕入れなど多くの関係先との交渉が必要となります。
交渉の内容を把握し、不利な条件を回避してしっかり利益を出すための交渉能力は不可欠といえます。独立開業は、交渉能力も必要になるでしょう。
豊富な人脈
人脈があれば商品の仕入れが非常におこないやすくなります。また、場合によっては様々な融通を効かせてくれることもあります。豊富な人脈があるのであれば、独立開業に向けた準備もしやすくなるでしょう。
登録販売者が独立開業する2つのパターン
登録販売者が独立開業するパターンは「個人で独立開業」と「フランチャイズで独立開業」の2つに分類されます。それぞれの特徴を解説します
個人で独立開業する
前述した通り、経営の自由度が高いことや、うまくいったときの見返りが大きいことがメリットです。店舗経営は自分の好きなように運営できますし、うまくいけば年収2,000万円以上といった、会社員だと実現できないような年収も目指すこともできます。
個人だとどういう店舗で開業することが多いのか?
例えば「ドラッグストア」や「薬局」は、登録販売者から独立開業している人も多い業種形態です。これらを独立開業するためには、以下のようなことをおこなう必要があります。
資金の準備
店舗を出店するためには、物件の確保や商品の仕入れなどに使用する、まとまった資金が必要となります。開業資金は物件取得費を除くと、1,000万円〜2,000万円前後の費用が必要といわれています。
出店場所の確保
店舗を出店する場所を確保する必要もあります。また新しく店舗を建てる場合は、物件面積や駐車場のスペースを決めることも必要です。
従業員の採用
店舗経営にあたり、正社員やアルバイト、パートの従業員を採用する必要があります。
仕入れ先の確保
登録販売者として販売できる一般医薬品の仕入れ先を見つける必要があります。
販売設備の準備
陳列棚やカゴ、各種備品など、店舗運営に必要なものを揃えていきます。
出店に必要な各種手続き
その他、出店に必要な営業許可証の手配など、手続きを進めていきます。
フランチャイズに参加して開業する
もう1つの独立開業の方法は「フランチャイズに参加して開業する」方法です。フランチャイズとは、大手企業などが培ってきたノウハウを借りて、独立開業できる方法のこと。個人で独立開業するよりもリスクを抑えることが可能です。
フランチャイズを展開している企業に対して加盟金を支払い、運営している期間は売上の一部を納めることで、大手のノウハウ等を借りて独立開業できます。
この方法で独立する際には「コンビニ・ドラッグストア・薬局」などで、フランチャイズを募集している企業があるのでチェックしてみましょう。
フランチャイズの事例
例えば大手コンビニエンスストアのローソンでは、インターン制度として、登録販売者の独立開業に向けたフランチャイズを設置しています。コンビニなどのフランチャイズ制度を使えば、大手が培ったノウハウをもとに、リスクを抑えて独立開業することができます。
h4フランチャイズの開業費用
小規模であればおおよそ数百万円、規模が大きくなると3,000万円前後まであります。少ない資金で始められるのは、フランチャイズのメリットです。開業費用には以下のようなものが含まれます。
・フランチャイズ加盟金
・フランチャイズ保証金
・店舗関連費
・調剤機器・医薬品の購入費
・広告宣伝費など
これはあくまでも目安で、規模の小さい薬局やドラッグストアであれば、必要な開業費用はもっと少なくなります。
独立に向けての手順
登録販売者として独立開業するにあたり、おこなうことは次の通りです。自身で店舗を独立開業する場合も、フランチャイズに加盟する場合も、どちらも共通して同じ内容になるので、参考にしてください。
店舗管理者を設置する
まず、登録販売者として店舗を独立開業する場合、店舗管理者を必ず設置する必要があります。店舗管理者とは「薬剤師または登録販売者の管理・指導のもと、2年間の実務経験を積んでおり1920時間以上の勤務をしているもの」に合致する人のみ、店舗管理者として登録することができます。
もし自分が、すでに店舗管理者の要件を満たしている場合、このステップは問題ありません。一方で、その条件を自分が満たしていない場合は、店舗管理者の要件を満たす薬剤師または登録販売者を雇用するようにしましょう。
このように、自分自身が店舗管理者になるか、店舗管理者の人を雇用する、このどちらかが必要です。どちらでも問題はないですが、独立開業する場合は自分が店舗管理者として登録する方が一般的です。
独立開業に必要な手続きをおこなう
店舗管理者の要件を満たしたら、次は独立開業に向けた必要な手続きをおこないます。
フランチャイズに加盟する場合は、フランチャイズ企業に聞けばやることをすべて教えてくれます。一方、自分自身で店舗を独立開業する場合、必要な資金等を準備した上で、以下2つの手続きをおこないます。
・保険薬局指定と薬局開設許可を取る
・店舗に調剤室を設ける
これらを満たした上で、店舗をオープンすることができます。
以上が具体的な手順です。必要な資金や人材を準備することができれば、あとはお店が繁盛するように、経営者として事業を進めていくやりがいのある日々のスタートです。
成功するための方法
登録販売者が独立開業で成功するポイントを2つご紹介します。
地域の人に愛された店舗作りをおこなう
ドラッグストアや薬局を開業する場合は、基本的には地域の方がお客様となります。
そのため、地域の人に愛され、何度でも繰り返し利用してもらえるような店舗作りをすることが、長期的に成功し続けるためのポイントです。
例えば、お客様がご来店されたらしっかり挨拶をする、丁寧な接客を心がける、店舗内を隅々まで常に清潔にするなど、そのような些細で当たり前なことも必要になるでしょう。このようなことをできていない店舗も多いので、他の店舗との差をつけるためにも、基本的なことをしっかりおこないましょう。
また、フランチャイズの場合は、他の加盟店での成功例を共有してもらうこともできます。他店舗でうまくいっている事例を取り入れることで、より成功に近づきやすくなるメリットがあります。
他業態と組み合わせた事業をおこなう
他業態と組み合わせた事業をおこなうことも、登録販売者が独立開業で成功するポイントです。最近では薬局やドラッグストア以外にも、登録販売者の資格を必要としている業種形態もあります。
例えばエステサロンやスポーツジムなどは、近年の健康ブームもあり、健康に良い商品を店舗で販売したい、また利用者も購入したいというお互いのニーズがあります。
そういったエステサロンやスポーツジムを自身で経営しつつ、登録販売者の資格で販売できる商品を売る、あるいはそれらを運営している企業や個人と提携し、売れた商品の売上金の一部を受け取るなど、いろいろな方法があります。
登録販売者が独立開業する際の注意点
登録販売者が独立開業する際の注意点もご紹介します。
登録販売者資格を使い、ネット販売のみの独立開業はできない
ネット販売のみで独立開業することはできないので注意しましょう。ネット販売をするためには、以下のような条件を満たす必要があります。
・薬局、薬店の許可を得た有形店舗がおこなわなければならない
・店舗名称を厚生労働省のページに記載しなければならない
・ネット以外に対面・電話での相談体制を設けなければならない
・サイト上に実店舗の写真があること
このように、店舗の実態がないと、ネット上でオンライン販売はできません。
店舗を出さずにオンラインで販売できれば一番リスクはないですが、現在の法律上ではネット販売のみの場合には諸条件をクリアしなければ開業できませんので、この点は必ず知っておく必要があります。
独立開業には資格や業務経験が必要
独立開業といっても誰でもできるわけではありません。ここでは、必要な資格や業務経験など基本的なことについて解説していきます。
登録販売者試験について
2014年までは、登録販売者の試験を受けるためには「大学などで薬学課程を卒業した者・高卒以上で1年以上の実務経験のある者」など、4つの条件がありましたが、2015年の登録販売者制度の改正によって、学歴や経験、年齢といった一切の条件がなくなり、誰でも登録販売者の試験を受けることができるようになりました。
資格試験は毎年8〜10月に行われ、出題される内容をまとめると以下の通りです。
【試験項目】
・医薬品に共通する特性と基本的な知識
・人体の働きと医薬品
・主な医薬品とその作用
・薬事関連法規・制度
・医薬品の適正使用・安全対策
【合格基準】
総出題数に対して7割程度の正答の場合であって、各試験項目ごとに、都道府県知事が定める一定割合以上の正答のときに合格とすること。
出典:厚生労働省の「登録販売者試験実施要領」
上記5つの項目で、合計120問の問題が出題されます。合格するためには、正答率で70%以上、また5項目すべてで30〜40%程度正解することも条件となります。一見すると「すごく難しそう」と感じてしまう方もいるかもしれませんが、試験は難しくありません。
登録販売者の試験は年1回、合格率は40〜50%と、他の国家資格と比べてもかなり高い合格率です。医薬品の問題も、勉強すれば未経験でもできる問題ばかりなので、未経験でも合格は十分できます。
必要な実務経験を2年間積む
登録販売者の資格を取っても、実務が未経験では医薬品の販売はできません。登録販売者として単独で医薬品を販売するには、直近5年間で通算2年分の実務経験を積み、「実務従事証明書」を都道府県に申請し、発行してもらう必要があります。
この「実務従事証明書」は、医薬品を販売する際に必要になるので、大切に保管しておきましょう。
「実務従事証明書」の申請書式は、各都道府県のwebサイトから入手できます。実務経験の記録を記載する部分は、実務経験を積んだ職場の方に記入してもらいましょう。
また、実務経験を積んでから退職した場合でも、過去5年間分のものであれば実務証明書の発行を受けることができます。申し出を受けた企業は証明書を発行する義務がありますので、迷わず申請してください。
登録販売者の実務経験を積める就職先
実務経験を積める就職先はいろいろとありますが、薬剤師や登録販売者がいる職場である必要があります。
一般的にはドラッグストアや調剤薬局、コンビニエンスストアなどで実務経験を積む方が多いです。実務経験を積める環境に就職していない方は、まずは、実務経験を積める環境へ転職し、最終的に独立するのに必要な「実務従事証明書」の取得を目指すこととなります。
資格を取得し、薬剤師や登録販売者がいる職場実務経験を積み、はじめて登録販売者として独立開業を視野に入れることができます。ひとまずドラッグストアなどで実務経験を積みたいときは、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
今回は登録販売者が独立開業するための方法について解説しました。
現在は、誰でも登録販売者の試験を受けることが可能になり、その登録販売者の資格を活かして開業したい方も多くいるのではないでしょうか。
登録販売者は市販薬を販売できるようになる資格です。市販薬は一般的な商品と異なり、不適切な使用によって健康被害が生じるリスクのある品物です。そのため、市販薬のインターネット販売・輸入はさまざまな規制があり、薬のネット販売単独で開業したり薬の輸入代行業をおこなったりすることはできないので注意しましょう。
一方で登録販売者が薬の販売店を開業する方法には、個人開業とフランチャイズ開業の2種類があります。これらには、それぞれメリット・デメリットの両方があります。
そのため登録販売者資格を活かして開業を考えている人は、これまでに述べた情報を参考にして、自分に合った開業方法を選びましょう。理想の店舗を持ち、仕事で充実した日々を送ってみてください。
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