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【現役ドラッグストア店長直伝】お客さまに伝えたい「日焼け対策」の基本<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】お客さまに伝えたい「日焼け対策」の基本<登録販売者のキャリア>

気温と日差しが徐々に夏らしくなってきました。
登録販売者の皆さんの店舗でも日焼け止め関連の商品の販売が伸びてきていると思います。

日焼け止めは医薬品ではありませんが、皮膚薬と親和性が高いうえに店舗のビューティーアドバイザー任せになっている店舗が大多数なのが現状です。
日焼け止め関連商品は鼻炎薬や乾燥対策関連商品と同じく、お客さまが「年に1回しか購入しない」可能性のある商品です。

言い換えれば来店頻度の低いお客さまをファン化させるチャンスとも言えます。
登録販売者として「紫外線と日焼け止め」「日焼けのアフターケア」の知識を学んで夏の皮膚関連商材の接客力を高めましょう。

目次

紫外線の基本を覚えておこう

紫外線の基本を覚えておこう

日焼けの接客はするものの日焼け止めの接客はあまりしない...という登録販売者も多いのではないでしょうか。
日焼けの仕組みを原因でもある紫外線から理解しましょう。

UV-A・UV-B・UV-Cの違いとは?

まず知っておきたいのが紫外線の種類と、それぞれの肌への影響です。
紫外線は大きく分けて「紫外線A波」「紫外線B波」「紫外線C波」の3つに分類されますが、私たちの生活に関わってくるのは主に紫外線A波と紫外線B波の2種類です。

紫外線A波は肌の奥深くから真皮層にまで届くのが特徴で、いわゆる日焼けにではなくじわじわと肌の弾力やハリを損わせて長期的にはしわやたるみといった老化の原因になります。
また、ガラスも通り抜けるため室内にいても完全には防げない点がポイントです。

一方で紫外線B波は表皮に作用し、日焼けで肌が赤くなったり水ぶくれができたりするのはこの紫外線B波による影響です。
短時間でも強く反応するため、レジャーや屋外活動時には特に注意が必要です。

なお、紫外線C波はオゾン層や大気によって吸収されるため、地上にはほとんど届きません。

このように紫外線には種類ごとに特徴があり、肌へのダメージの仕方も異なります。
登録販売者としてお客さまに説明する際には「紫外線A波は老化、紫外線B波は赤みやヒリつきの原因」といった切り口で伝えると納得感のある接客につながります。

肌ダメージのメカニズム

ではこの「紫外線A波」「紫外線B波」の肌への影響をもう少し深く理解しましょう。

紫外線を浴びると肌はすぐに反応を始めます。
日差しの強い日に長時間外にいると肌が赤くなったりヒリヒリしますが、これは紫外線によって引き起こされる炎症反応によるもので肌が「ダメージを受けた」とSOSを出している状態です。

特に紫外線B波は表皮の細胞に直接ダメージを与えます
このとき皮膚の内部では活性酸素が発生し細胞のDNAが損傷を受けることがあります。

これが炎症を起こし赤みや痛み、ひどい場合は水ぶくれといった症状につながり、いわゆる「日焼け」が起こります。

一方で紫外線A波は皮膚のより深い部分の真皮層にまで届き、直接的な炎症反応は起きにくいものの肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンを破壊してしまいます。
これが長年蓄積されることで、しわやたるみといった「肌老化」が進行していくのです。

しかもこの変化はすぐに見た目には表れないためお客さまの意識としても軽視されがちです。

また肌は紫外線から身を守るためにメラニン色素を増やして防御しようとします。
このメラニンの過剰生成がシミやくすみの原因になることもあります。

つまり紫外線を浴びるということは肌が「焼ける」だけではなく細胞レベルでの損傷や老化をもたらしているということなのです。
こうした基本を理解したうえでお客さまと接すると正しい接客ができるようになります。

日常生活の紫外線リスク

日焼けというと「肌が黒くなる」「赤くなる」くらいのイメージで終わらせがちですが、実はもっと深刻な体への影響があることを知っておきましょう。
まず強い紫外線を何度も浴びることで肌の細胞が傷ついてしまうことがあります。

傷ついた細胞はうまく修復できずに変な増え方をしてしまうことがあり、それが将来的に「皮膚がん」につながることもあるのです。
例えば日差しの強いオーストラリアでは子どものころから「日焼けは危ないもの」として教育されていて日焼け止めの使用が当たり前になっています。

また、広い範囲が日焼けすると体の水分が失われて脱水状態になったり、熱がこもって熱中症になることもあります。
特に小さなお子さんやお年寄りは体温の調整が苦手なので、日焼けによる体調不良が起こりやすいのです。

登録販売者として、お客さまが「ちょっと赤くなっただけだから大丈夫」と思っているような場面でも「肌がダメージを受けた状態で、軽いやけどと同じなんですよ」と説明することで対策の大切さを伝えることができます。

日焼け止めの仕組み

日焼け止めの仕組み

紫外線から肌を守るための代表的な方法といえば「日焼け止め」です。
店頭でもたくさんの商品が並んでいてどれを選べばよいか迷うお客さまも多いのです。

日焼け止めに使われている成分や「SPF」「PA」の意味、塗り方や選び方のポイントを理解しておきましょう。

紫外線をどうやって防いでいるのか

日焼け止めは肌に塗ることで紫外線をブロックし日焼けや肌ダメージを防いでくれる商品ですが、その働きには大きく分けて2つの仕組みがあります。

ひとつは「紫外線吸収剤」を使ったタイプです。
紫外線を一度肌で受け止めて熱などに変えて外に逃がすという仕組みです。

もうひとつは「紫外線散乱剤」タイプです。
最近の新商品はこのタイプが多く、これは肌の上で小さな粒が紫外線を反射・はね返すことでガードします。
物理的に跳ね返すので肌への負担が比較的少なく、敏感肌の方や赤ちゃん用の日焼け止めにもよく使われています。

製品によっては両方を組み合わせたものもあります。
接客の際にはお客さまの肌質や使用シーンをしっかりとヒアリングし、どちらのタイプが合っているかを選んで提案してください。

SPFとPAの本当の意味

日焼け止めを選ぶときにパッケージに書かれている「SPF」「PA」の数値をみて購入されるお客さまが多いはずです。
これらは紫外線をどれだけ防げるかの目安を示していますが、実は意味を正しく理解しているお客さまは意外と少ないのです。

登録販売者としてこれらの数字の「本当の意味」をきちんと説明できると、お客さまの信頼にもつながります

まず「SPF」ですが、これは紫外線B波による肌の赤みやヒリヒリといった炎症を「どれくらい長い時間防げるか」の目安を示しています。
わかりやすくいうと「何も塗らなかったときに比べて、同じレベルの紫外線を受けたときにダメージが現れるまでの時間を何倍に延ばせるか」という意味です。

たとえば日焼けによる炎症が通常20分で出る人がSPF30の日焼け止めを使った場合、理論上は「20分×30=約600分」までは赤くならずに済む、ということになります。
ただしこれは理想的な条件下での話で、汗や皮脂、こすれなどで効果は落ちるため、現実には2〜3時間ごとの塗り直しが必要です。

一方「PA」は紫外線A波によるダメージ、つまり肌の奥にじわじわと届いてしわやたるみの原因になる「光老化」をどれだけ防げるかを表しています。
「PA+」「PA++」といった「+」の数で効果の高さを示しており、「+」が多いほどUVAに対する防御力が高いとされています。

日常の買い物や通勤など軽い外出なら「SPF20〜30・PA++」で十分です。
一方でレジャーや炎天下での活動には「SPF50+・PA++++」の高機能タイプをおすすめすると良いでしょう。

つまり「数値が高ければいい」というわけではなく「使う場所・時間・肌質」に合わせてちょうどいい日焼け止めを選ぶことが、肌を守るポイントです。
強い数値を勧めるだけではなく「正しく使えば肌をしっかり守ることができる」という安心感も一緒に伝えてあげましょう。

塗り方次第で効果が変わる

日焼け止めを購入されるお客さまから「ちゃんと塗ってるのに焼けてしまった」といわれたことはありませんか?
実はその原因の多くは商品ではなく塗り方にあります。

どんなにSPFやPAの数値が高くても正しく塗れていなければその効果は発揮されません。

まず、塗る量が足りないケースが非常に多いです。
日焼け止めのSPFやPAは、「1cm²あたり2mg」の量を塗ったときの効果をもとに表示されています。

これは顔全体でいうとパール粒2個分くらいで、実際に塗ってみるとけっこうしっかりした量です。
しかし実際は「薄くのばして終わり」という方が多く、これでは肌を十分にカバーできません。

また、塗りムラや塗り残しも見落とされがちなポイントで、鼻の下、耳、首の後ろ、髪の生え際などは忘れやすい部分となります。
こうした点も細かく意識して塗るように伝えると、お客さまの満足度も高まります。

さらに注意したいのが「塗り直し」です。
日焼け止めは汗をハンカチやタオルで拭ったりすることで簡単に落ちてしまいます。

特に炎天下では朝に一度塗っただけでは夕方までは持たないので2〜3時間おきに塗り直すのが理想的です。
メイクの上からでも使えるスプレータイプや携帯に便利なスティックタイプなどを提案すると喜ばれますしプラス1品にもなります。

登録販売者として「どれを買うか」だけでなく「どう使えば効果的か」まで伝えられると、お客さまとの信頼関係がグッと深まります。
「こう使えばもっと焼けにくくなりますよ」とひとこと添えるだけでも、そのお客さまにとっての印象が変わるのです。

日焼けは「火傷」を理解しよう

日焼けは「火傷」を理解しよう

お客さまの中には日焼けを軽く考えている方もいらっしゃいますが、日焼けは立派な「火傷」です。
ここでは「火傷」の再確認と受診勧奨ポイント、OTC(一般用医薬品)の使用について覚えていきましょう。

火傷の基準と受診勧奨ラインを覚えておこう

日焼けは「火傷」の一種に分類されます。
特に紫外線B波を長時間浴びると皮膚に炎症が起き、赤くなったりヒリヒリしたり水ぶくれができることがありますが、こうした反応は軽度のやけどと同じ状態なのです。

火傷は一般的に「Ⅰ度」「Ⅱ度」「Ⅲ度」の3段階に分けて考えられます。
日焼けによって肌が赤くなる、ヒリヒリするという症状は「Ⅰ度」に相当し、表皮のみに炎症が起きている状態ですが、これだけなら家庭でのケアで回復することがほとんどです。

しかし水ぶくれができたり皮膚がむけてしまったりした場合は「Ⅱ度熱傷」にあたる可能性があり注意が必要です。
特に水ぶくれが大きい、痛みが強い、または熱感が続いているときは、皮膚の深い部分にまで炎症が及んでいる可能性があり自己処置やOTC(一般用医薬品)では不十分なことがあります。

登録販売者として意識しておきたいのは「どの時点で受診を勧めるべきか」というラインです。
以下のような状態に当てはまる場合は、医療機関への受診をおすすめすると安心です。

  • 水ぶくれの範囲が手のひらサイズ以上ある
  • 顔・首・デリケートゾーンなど目立つ部位に損傷がある
  • 強い痛みや腫れ、発熱などの全身症状を伴っている
  • 高齢者や乳幼児など、皮膚の回復力が弱い方の場合

日焼けを甘く見てOTC(一般用医薬品)で済ませようとする方も多いですが上記のような症状があるときは皮膚科の判断を仰ぐことがもっとも安全です。

応急処置のポイントを押さえておこう

お客さまから日焼けの相談を受けたときにお伝えしたいのが応急処置の重要性です。
日焼けは皮膚が熱を持ち炎症を起こしている状態で、肌が軽いやけどを起こしていると考えるべきです。

まず重要なのは火傷と同じなので冷やすことです。
肌が赤くなってヒリヒリしているときはできるだけ早く冷やしてあげることで炎症の広がりを抑え、痛みも和らげることができます。
冷たい水道水で15〜20分ほど、肌に刺激を与えないようやさしく冷やすのが基本です。

冷却が終わったら保湿をおこないます。
日焼け後の肌は乾燥しやすくバリア機能が弱っているため、うるおいを補うことが回復のカギになります。

ワセリンや敏感肌向けの保湿ローションなどをたっぷりと使いましょう。
なるべく香料やアルコールの少ない刺激の少ないタイプを選ぶのがポイントです。

予め店頭で取り扱っている上記の商品を把握しておきましょう。
可能であれば日焼け止め売場に展開すると接客時に便利です。

OTC(一般用医薬品)は使える?

お客さまから日焼け治療用のOTC(一般用医薬品)を求められることもあります。
日焼けは「火傷」ですので対応も火傷と同じになるのでどのOTC(一般用医薬品)を使えるかは日焼けの重症度によって大きく変わることを、登録販売者はしっかり理解しておく必要があります。

まず、赤みやヒリつきだけの軽い日焼け(Ⅰ度)であれば、OTC(一般用医薬品)での対応が可能です。
たとえば、ウフェナマートやグリチルリチン酸などの非ステロイド性抗炎症成分を含む市販皮膚薬は、炎症や赤みの鎮静に効果があります。

痛みやかゆみが強い場合には、リドカインなどの局所麻酔成分を含むクリームも一時的に使用可能ですが広範囲や長期使用は避けるよう注意が必要です。

また日焼け後は乾燥しやすいため、ヘパリン類似物質や白色ワセリンでの保湿も大切です。熱が引いた後の肌のバリアを修復する目的で使うのはおすすめです。
必要に応じてイブプロフェンなどの解熱鎮痛剤も炎症や痛みを抑える選択肢になります。

ただし、水ぶくれができている場合は「Ⅱ度」のため、特に広範囲・顔・関節部位・痛みが強いといったケースでは、OTC(一般用医薬品)による自己処置はリスクが高いため受診勧奨となります。

日焼けは間違った知識を持っている方がまだ多いため、お客さまが正しい対応ができないことは登録販売者として避けなければいけません。

日焼け止め対応のポイントまとめ

最後に注意すべきポイントをまとめます。

・「SPF」は日焼け止めの「強さ」ではない
「SPFは強さではなく、日焼けするまでの時間をどれだけ延ばせるかの目安」であることを理解しておきましょう。
高い数値が必ずしも正解ではなく、使用シーンに合わせた提案が信頼につながります。

・正しい使用量と塗り直し
どんなに数値が高くても「正しい使用量と塗り直し」がなければ意味がありません。
顔全体でパール粒2個分を目安に塗り、2~3時間おきに塗り直すよう伝えましょう。

・日焼けは「火傷」と認識する
「日焼けは軽い火傷」であるという認識です。
赤みやヒリつきは炎症のサインであり、放置せず適切にケアすることが大切です。
特に皮が剥けていたり水ぶくれなどの「Ⅱ度」以上の火傷や、「Ⅰ度」でも広範囲に及ぶ場合は受診勧奨をおこなってください。

今回の知識は日焼け対応の基本ですのでしっかりと理解して接客をおこなってください!

ケイタ店長(登録販売者)

執筆者:ケイタ店長(登録販売者)
ドラッグストア勤務歴20年、一部上場企業2社で合計15年の店長経験を活かし、X(旧Twitter)などで登録販売者へのアドバイスや一般の方への生活改善情報の発信を行っている。X(旧Twitter)フォロワー数約5,000人。

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