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【現役ドラッグストア店長直伝】夏対策商品の正しい選び方・使い方を現役ドラッグストア店長が解説<登録販売者のキャリア>

【現役ドラッグストア店長直伝】夏対策商品の正しい選び方・使い方を現役ドラッグストア店長が解説<登録販売者のキャリア>

いよいよ真夏となりドラッグストア業界も大きな売上を期待できる季節になりました。
店頭では夏関連の商品が多く展開され、需要も高くなっているのではないでしょうか。

ただ、これらの夏関連商品は需要が高いだけに接客を伴わない「セルフ販売」が多く、わたし達に商品知識がなくても大きな問題がなく販売できる状態です。
しかし登録販売者として本当にそれでいいのでしょうか?

お客さまからの需要を満たすためには季節性のある商品知識を把握しておくべきです。
今回は「夏関連商品の本当の使い方」として、人気商品の意味と本当の使用方法を学んでいきましょう。

【この記事で得られること】

  • 夏の症状に対する正しい解決方法を覚えられる
  • 夏の商品の正しい使い方を覚えられる
  • 商品知識の勉強方法を学べる

目次

実は間違いだらけの暑さ対策

実は間違いだらけの暑さ対策

夏対策商品の多くは「暑さ」からくる問題を解決する商品です。
しかしこの時期に需要のある「熱中症対策」の商品は間違った認識で使用されているケースが非常に多いのです。

何が間違っているのか、まず最初に「熱中症」関連の商品からみていきましょう。

夏対策商品の使い方を間違える共通の理由

夏になると冷感スプレー、スポーツドリンク、虫よけ、日焼け止めなど、いろいろな夏向けの商品が店頭に展開されます。
この時期はお客さまの数も増えるため多くの商品が手に取られていきますが、お客さまも店員も使い方を本当に理解しているのでしょうか。

  • 冷感で熱中症対策
  • スポーツドリンクで脱水対策

実はこうした考えは「思い込み、先入観」だったりするのです。
夏対策商品を使うには「正しい知識」が必要不可欠ですし、この酷暑のなかで間違った知識で対策すると逆効果になる可能性もあります。

またパッケージの見た目やキャッチコピーだけを見て商品の説明を確認しなかったり、売れているから...と安易に選んで熱中症対策につかったり...
これは見た目で判断しやすい夏対策商品はセルフ販売されやすく、正しい使い方を教えてくれる人と出会う機会が少ないというのが大きな理由のひとつです。

また「冷たい・爽快・スッキリ」などの「分かりやすい使用感」が大きく、これが「対策したつもり」につながってしまうのです。
登録販売者としては、「なぜこの商品が必要なのか」「どう使えば効果的なのか」まできちんと伝えていくことが大切です。

では夏に陥りやすい間違った「暑さ対策」とは何かをみていきましょう。

熱中症対策の落とし穴

まず「熱中症」の定義を改めて確認しておきましょう。
熱中症とは「高温多湿な環境下で、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態になること」です。

つまり体の中心部分である深部体温が上昇してしまい、その熱を外部に放出できなくなった状態です。
そしてその結果起こる症状の総称が「熱中症」です。

要するに「体の中心部分の熱が上昇している」状態なので、対策は「体の中心部分を冷やす」必要があるのです。
しかし、ここで注意したいのが、実際に販売されている「熱中症対策グッズ」の多くが、体の中心ではなく皮膚の表面に「冷感」を与えているだけということです。

たとえ、冷感スプレーや冷感タオルは、使った瞬間は「スーッとして涼しい」と感じます。
しかしそれは皮膚の表面の感覚の話であり、深部体温はほとんど変わっていないのです。

しかも、冷感グッズの「冷感」は主にメントールによるもので、文字通り「冷たく感じている」だけで冷やしてはいません。
メントールを常温の缶ジュースに吹きかけると冷えるでしょうか?

つまり「冷感グッズ」を使うと皮膚表面だけが「冷たいような感じがする」だけで深部体温は高いままとなり、状況によっては深部体温が上昇しやすい状況になってしまうのです。
それどころか体が実際に冷えていると誤解し、発汗反応が遅れる可能性がある...という研究もあるのです。

「冷感グッズ」はこの点を理解した上で使用しないと、酷暑の中では命の危険もあるのです。

熱中症の本当の対策

では熱中症対策はどのようにおこなうべきなのでしょうか。
店頭にある商品で本当にお勧めできる商品はどれなのでしょうか。

それは「深部体温の上昇を防ぐ」商品です。
つまり「物理的に冷たくなる」商品をお勧めすべきなのです。

エアゾールスプレータイプの冷却グッズや衝撃を与えると冷却が始まるグッズなどが有効ですが、要は「使用方法を間違えると凍傷の危険がある」ような商品が「実際に冷やす」商品となります。

発熱時などに使われる「おでこに貼る冷却シート」も、おでこを冷やすだけで体温や深部体温が下がるわけではないので大きな意味はありません。
メントール含有の冷感グッズと同じく「冷えた感じがして気持ちがいい」だけなので熱中症対策として使うべきではありません。

店頭での商品案内とは別の対策としては、熱中症に陥ったときに最も推奨されているのは「アイスバス(氷水浸漬)」です。
これは家庭用のビニールプールに氷水を入れ、そこに熱中症患者を入れる...というものでアメリカではメジャーな方法です。

スポーツ大会や子ども行事で冷感グッズやスポーツドリンクを大量購入する方も多いですが、接客でアドバイスするのも有効です。
特にイベント参加者なら誰かがビニールプールは持っているので持ち寄るだけで命を救える場合も多いはずです。

アイスバスより効果は劣りますが、ビニールプールが準備できなくても手足を氷水で冷やすだけでも効果はあります。
水は空気よりも「熱伝導率」が高いので、扇風機や冷感グッズなどと比べはるかに効果的に冷却できます。
熱中症が疑われたら冷水を「できるだけ広範囲に浸す」のが基本です。

夏対策商品の使い方を間違えると?

夏対策商品の使い方を間違えると?

暑さ対策以外にも夏に需要が伸びる商品は多数存在します。
ここでは間違えられやすい夏対策商品の使い方を解説しておきます。

実はスポーツドリンクにも種類がある

熱中症対策の飲料として「経口補水液」と「スポーツドリンク」がありますが、実はスポーツドリンクも種類があります。
それが「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」です。

  • アイソトニック飲料
    人間の体液の浸透圧と同じ飲料なので「発汗前に飲むと吸収が良くなる」飲料
  • ハイポトニック飲料
    人間の体液の浸透圧より低いので「発汗中、発汗後に飲むと吸収が良くなる」飲料

見分け方としてはアイソトニック飲料は「糖質が多い(全体の2.5%以上)」、ハイポトニック飲料は「糖質が少ない(全体の2.5%以下)」という特徴があるため、栄養表示を確認してお勧めしてください。
特に高齢者は発汗が少なく日常的に「スポーツドリンクや経口補水液を飲んだ方がいい」という漠然とした認識が多いため、できるだけ「アイソトニック飲料」をお勧めすべきですが、当然「高血圧や糖尿病などの持病」を確認してお勧めする必要があります。

くん煙殺虫剤の本当の使い方とは

夏になると殺虫剤も大きく販売が伸びます。
殺虫剤の中でも「くん煙剤」は医薬品に該当するものが多いため登録販売者として把握しておかなければいけません。

くん煙剤の最も大きなポイントは「効果があるのは幼虫や成虫のみ」ということです。
つまり、卵や蛹には効果がありません。
虫は「蛹にならない不完全変態」と「蛹になる完全変態」に分別されるため、後者はくん煙剤が効かない期間が長くなります。

不完全変態(蛹にならない)...ゴキブリ、ダニなど
完全変態(蛹になる)   ...ノミ、ハエ、蛾など

どちらも卵の期間は効果がないので、1回のみの使用だと生き残った卵から孵ってしまい効果が限定的となります。
害虫によって孵化までの期間は異なるので、下記のタイミングで2回目の使用をすると効果的です(温度や環境により差があるのであくまで参考)。

ハエ(1~2日)・ノミ(2~14日)・蛾(3~10日)・ダニ(2~10日)・ゴキブリ(3週間~1か月)

日焼け止めと虫よけ剤の再確認

日焼け止めと虫よけ剤に関しては共通点が多いので同時に覚えておいてください。
どちらもポイントは「持続時間」「塗り方」「塗り直し」です。

前回と前々回のコラムで解説しているので確認しておきましょう。

【現役ドラッグストア店長直伝】虫よけ剤の本当の意味と使い方 【現役ドラッグストア店長直伝】お客さまに伝えたい「日焼け対策」の基本

どちらも近年はスプレー剤などの「簡単に使用できる」ものが多く塗りムラが発生しやすいので、使用方法や商品特徴を理解したうえでお勧めしてください。

お客さまへの伝え方と考え方

お客さまへの伝え方と考え方

ではお客さまに「正しい情報」をお伝えするのはどうしたらいいのでしょうか。
セルフ販売が多い中で「信頼できる登録販売者(店舗)」と思っていただける方法を考えていきましょう。

昔からある商品を否定しない

まずほとんどの方は選んだ商品を否定されることに嫌悪感を抱きます。
これは夏対策商品に限ったことではありませんが、まずお客さまが購入しようとした商品を否定してはいけません。

その商品の良さは認めつつ「他の商品の良さ」もお伝えしましょう。
例えばメントール含有の「冷感グッズ」を購入しようとしていたのなら、以下のようにアドバイスするとスムーズです。

「この商品は冷感があるので屋内で使用すると快適に過ごせますよね」
「もし屋外で使用する時は体を実際に冷やすのが有効なのでこの商品もお勧めです」

また、昔からある商品も時代と共に考え方や使用方法が違ってくることも多いのです。
例えば「ベビーパウダー」は昭和時代は「制汗・あせも」の対策に使われてきました。

ただ現在では使い方によっては肌に悪い影響を与える可能性があるのが分かっています。
特にすでに「あせも」になっている箇所に使用すると、汗腺にパウダーが入り込んで雑菌が繁殖する原因となるため使用は控えるべきです。

特にこの季節は以下を参考に声掛けをしてみてください。

「あせも予防に使ってくださいね」
「もしあせもや肌に炎症が現れたら雑菌が繁殖する可能性があるので他の治療薬をつかってください」

医薬品では「虫刺され治療薬」「万能的に使用できる皮膚薬」に根強い固定客がついていますが、決して商品を否定してはいけません。
その商品や新しいの商品のメリットとデメリットを提示し、お客さまに選んでいただくのがベストです。

古くから親しまれている商品には必ず「良さ」もあります。
また同時に「昔だから許された(認可された)」という側面も持ち合わせています。

「この商品はどんな症状に使いますか?」
「それだと新しく効果が高い商品も出ていますが試されたことはありますか?」

こんな一言とともに自身の体験談や他のお客さまからの反応をお伝えすると、スムーズな接客ができます。

商品特徴の確認方法とは

では店頭の商品の「本当の使い方」を知る、確認する方法を簡単にお伝えしておきます。
それは「パッケージの表面だけで判断しない」ということです。

登録販売者ならできているとは思いますが、医薬品以外でも必ず裏面などの「使用方法」を確認してください。
そこには必ず「メリットとデメリット」が記載されていますし、そこの記載の「メリット」以上の結果が得られることはありません。

パッケージはメーカー側の「売りたいポイント」が前面に出ているため、内容を鵜呑みにせず必ず添付文書や商品説明と照らし合わせて確認する癖をつけることが大切です。
商品販促には「消費者の心理に刺さる」文言が使われているため、販売側もそれにつられて勘違いしないよう注意してください。

そして分からないことがあったら必ず確認する癖をつけましょう。 熱中症の原因、害虫が殺虫しきれない原因、歴史の長い商品の人気の要因など、調べたりメーカーに聞いたりしてひとつずつ解決していくことで登録販売者をしての実力がついてくるのです。

まとめ

お客さまへの伝え方と考え方

それでは今回のまとめです。

・熱中症対策
熱中症は「深部体温を上げない・冷やすこと」がポイントなので「実際に冷却できる」商品を選び、熱中症になったら「冷水を広範囲に浸して冷却する」ことをお伝えする。
商品提案をおこないつつ、アドバイスをすることでお客さまの命を守ることができる。

・殺虫剤
虫の「卵・蛹」に殺虫成分は効きにくいため、くん煙剤は該当する害虫の孵化までの期間が経過してから「2回目の使用」をしないと効果が薄くなる

・日焼け止め、虫よけ剤
ポイントは「持続時間」「塗り方」「塗り直し」の3点。
商品の特徴をよく理解したうえで使用方法をお客さまにお伝えする。

・歴史のある商品
メリットをよく理解しお客さまの使用状況をお聞きした上で、否定はせずに最新の情報と商品をお伝えする。

お客さまに伝える「正しい(科学的な)最新情報」は、伝え方によってお客さまは大きく受けとり方が異なってきます。
正しい情報を登録販売者自身が理解し、伝える方法を日々学びとってみてください!

ケイタ店長(登録販売者)

執筆者:ケイタ店長(登録販売者)
ドラッグストア勤務歴20年、一部上場企業2社で合計15年の店長経験を活かし、X(旧Twitter)などで登録販売者へのアドバイスや一般の方への生活改善情報の発信を行っている。X(旧Twitter)フォロワー数約5,000人。

過去の記事 【現役ドラッグストア店長直伝】虫よけ剤の本当の意味と使い方<登録販売者のキャリア>