登録販売者の研修中とは?業務でできること、できないこと。経験期間に必要な条件を解説
正規の登録販売者は、研修中の登録販売者に比べて、給与や転職などにおいて有利な面がたくさんあります。なぜこのようなことが起こるのか、一緒に見ていきましょう。
目次
- ・正規の登録販売者と研修中の登録販売者の違いは何?
- ・研修中の登録販売者が「できること」「できないこと」
- ・「研修中」から正規の登録販売者になる4つのメリット
- ・正規の登録販売者(店舗管理者)になる条件
- ・研修中の登録販売者必見!経験期間の数え方
- ・管理者要件を満たす場合の具体例
- ・登録販売者研修期間のよくある質問
- ・まとめ|研修中の登録販売者にはできることとできないことがある!
正規の登録販売者と研修中の登録販売者の違いは何?
正規の登録販売者と研修中の登録販売者では、業務の範囲が異なります。まずは両者にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
自分の裁量で第二・三類医薬品を販売できる
研修期間を終えた「正規の登録販売者」は、他の資格者のサポートがなくても、第二・三類医薬品を販売することができます。
一方、「研修中の登録販売者」は、必ず「薬剤師」または「管理者要件を満たした登録販売者」の管理・指導の下に医薬品販売業務に従事しなくてはなりません。なぜなら、薬機法の施行規則(以下、「規則」)に次のような規定があるからです。
規則第15条、第147条の2、第149条の6
研修中の登録販売者については、薬剤師又は登録販売者(研修中の登録販売者を除く)の管理及び指導の下に実務に従事させなければならない。
そのため、研修中の登録販売者は、他の資格者の勤務している時間帯に一緒に勤務する必要があります。これはシフトの組み方などにも大きく影響します。
店長・店舗責任者になれる
正規の登録販売者になると、店長や店舗責任者になることができます。店長や店舗責任者になれば、医薬品の販売だけでなく、店舗全体の「人」、「もの」、「お金」に関わる責任ある仕事を任されることになります。これは自分のスキルアップのよい機会になるのに加え、自身の経歴の底あげにもなるため、年収アップの近道であるといえます。
しかし、正規登録販売者になっても、なかなか店長や店長候補になる機会が回ってこないこともあります。とくに新規出店の少ない企業の場合、10年以上も店長ポジションが空かないことがあるため、「店長」や「店長候補」を条件に転職することも視野に入れてみましょう。
待っているだけではチャンスがやって来ないので、自らチャンスをつかみに行くといいですよ。
給与に差がある
正規の登録販売者と研修中の登録販売者では、一般的に資格手当に差があります。その金額は企業によって様々ですが、研修中の登録販売者では数千円であることが多いのに対し、正規の登録販売者の場合ではその倍以上であることが多いです。
このように、正規登録販売者になれば給与アップが見込めるため、少しでも早く研修期間を終わらせましょう。
研修中の登録販売者が「できること」「できないこと」
繰り返しになりますが、研修中の登録販売者は一人で医薬品の販売ができません。ここではもう少し具体的に、「研修中の登録販売者ができること」と「研修中の登録販売者ができないこと」について見ていきましょう。
研修中の登録販売者ができること
下記は、「研修中の登録販売者ができること」を箇条書きで示したものです。
- 指導者(薬剤師・登録販売者)の下でおこなう、「医薬品」のカウンセリング販売
- 「医薬品以外の商品(医薬部外品、化粧品、健康食品、日用雑貨など)」のカウンセリング販売
- 「医薬品」および「医薬品以外の商品」の品出しや発注
- レジ
研修中の登録販売者ができないこと
「研修中の登録販売者ができないこと」は、以下の通りです。
- 自分一人でおこなう、「医薬品」のカウンセリング販売
- 研修中の登録販売者の管理・指導
- 店舗管理者・区域管理者
上記の一つ目に記載のある、『自分一人でおこなう、「医薬品」のカウンセリング販売』は、会社(店舗)によって見解が異なります。例えばある店舗では、「研修中の登録販売者」にべったりと指導者がついて、医薬品の接客を見守ります。
本来はそういった形が理想ですが、人手不足などの理由により、「医薬品の接客で困った時に指導者を呼ぶ」「選んだ商品の最終確認をおこなってもらう」というように、限定的な管理・指導をする店舗もあるのが実情のようです。
「研修中」から正規の登録販売者になる4つのメリット
「研修中」から正規の登録販売者になるメリットは、単独業務の自由度向上、店舗管理者への道、給料アップ、キャリア拡大の4つに集約されます。これらは現場経験豊富な登録販売者の視点で、明日から実践可能な行動に落とし込んだ形で解説します。
1. 単独での業務が可能になる
正規登録販売者になると、自分の判断で販売・相談対応ができ、現場での主役になれます。
研修中の段階では、必ず責任者の常駐や確認が必要で、「最終判断は先輩」に委ねる場面が多くなります。 一方、正規登録販売者になれば、指定第二類・第二類医薬品を自らの責任で販売でき、症状の聞き取りから薬の選択、説明、販売までを一気通貫で担当できます。これは「任される範囲が広がる」だけでなく、「自分の判断が顧客の健康に直結する」という専門職としてのやりがいにつながります。
行動レベルでは、次のような学びと実践が重要です。
- 自分の「判断基準」を言語化する(この症状ならこの薬、という理由を説明できるようにする)
- 接客ごとに「問診→判断→提案」の流れを振り返り、先輩にフィードバックをもらう
- 疾患別・成分別の知識を「自分の販売トーク」に落とし込んでノート化する
これにより、「研修中だから相談を振る」立場から、「自分が店の相談窓口になる」立場へと一段上の専門家として振る舞えるようになります。
2. 店舗管理者になれる
正規登録販売者になると、店舗管理者として「店全体の医薬品管理と運営」を担えるポジションが見えてきます。店舗管理者(管理者)は、医薬品の発注・在庫管理・陳列・衛生管理・帳票類の整備など、薬事的な責任の中核を担います。 これは単に「役職がつく」という話ではなく、店舗運営の視点で物事を見ることで、マネジメント・リスク管理・数値感覚が身につきます。店の売上構成や客層を踏まえて、「どの医薬品をどのくらい置くか」「棚割りをどう最適化するか」を考えること自体が、キャリアとしての強力な武器になります。
行動に落とすなら、次のようなステップが有効です。
- 日々の発注作業に「なぜこの数量にしたのか」の仮説を必ず持つ
- 廃棄ロス、期限切れの原因を分析し、改善案を店長に提案する
- 新商品や漢方など、カテゴリごとに「売場の改善案」を1つは持って話せるようにする
こうした積み重ねが、「単に薬を売る人」から「店舗運営に関われる人」への成長につながり、将来的な管理者登用の土台になります。
3. 給料が上がりやすい
正規登録販売者は資格手当や役職登用のチャンスが増え、収入面での伸びしろが大きくなります。
多くの企業では、登録販売者資格の有無で資格手当が設定されており、正規登録販売者になることで基本給や時給が上がるケースが一般的です。
さらに、店舗管理者・副店長・店長などの職位に就く条件として「有資格者であること」が求められることも多く、昇格とともに役職手当が加算される可能性も高まります。これは、長期的に見ると「数年単位での年収差」につながる重要な要素です。
行動に移す際のポイントは次のとおりです。
- 自社の給与規定(資格手当・役職手当・昇給基準)を具体的な数字で把握する
- 半年〜1年単位で「収入目標」を設定し、そのために必要な評価項目(売上貢献・クレーム対応・指導実績など)を逆算する
- 上長との面談で「今後〇年でここまでのポジションを目指したい」とキャリア意欲を伝える
「なんとなく給料が上がる」のではなく、「資格と役割をてこに、計画的に収入を伸ばす」という意識を持つことで、仕事へのモチベーションも高めやすくなります。
4. キャリアアップが狙える
正規登録販売者は、店舗内の昇進だけでなく、教育・本部スタッフ・他社転職などキャリアの選択肢が大きく広がります。
登録販売者としての実務経験は、ドラッグストア内の昇格に直結するだけでなく、本部の医薬品担当、教育担当、採用担当、さらにはメーカーのMR・MS、コールセンター、ヘルスケア系のWebメディアなど、関連する多様な職種への扉を開きます。「資格+現場経験」があることで、履歴書・職務経歴書上の説得力が増し、「健康・医薬」に関する専門人材として市場価値を高めることができます。
行動に移すためには、以下の観点が役立ちます。
- 現職で「〇〇担当(漢方担当、教育担当、売場リーダーなど)」を引き受け、実績を作る
- 自分の得意分野(漢方、OTC全般、接客トレーニングなど)を明確にし、社内外でアピールできるようにする
- 転職サイトや業界情報を定期的にチェックし、「どんな経験が評価されているか」を逆算して日々の業務に取り入れる
これにより、「とりあえず今の店で働く」という発想から、「登録販売者としての専門性を軸に、将来どんなキャリアパスを描くか」を主体的に設計できるようになります。
正規の登録販売者(店舗管理者)になる条件
令和5年4月に改正省令が施行され、登録販売者の管理者要件が新しく変更・追加されました。現在の管理者要件を押さえていきましょう。
1920時間以上の実務もしくは業務経験をこなす
次の図は、第二類・第三類医薬品を販売する店舗における、3パターンの管理者要件を示したものです。
| パターン1 | 過去5年間のうち従事期間が 通算2年(1920時間)以上 |
||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| パターン2 | 過去5年間のうち従事期間が 通算1年(1920時間)以上 |
継続的研修(外部研修) | 追加的研修 | ||||
| パターン3 | 従事期間が通算1年(1920時間)以上 | 店舗管理者等の業務経験 | |||||
パターン1は以前からある管理者要件であり、パターン2とパターン3が2023年に新設(変更)された管理者要件です。
パターン2では、「過去5年間のうち従事期間が通算1年(1920時間)以上」とされています。今までは「通算2年以上」でしたが、改正省令では「通算1年以上」で満たせる管理者要件が追加されました。ただし、この場合、継続的研修(外部研修)と追加的研修を受けていることが条件となっています。
また、パターン3は、過去に管理者としての業務経験がある場合の管理者要件です。こちらも以前は「通算2年以上」でしたが、「通算1年以上」に短縮されました。
なお、2年から1年へと年数が変更されたのみで、1920時間の時間数は変わっていないことに留意しましょう。
なお、ここで言う「従事期間」とは、一般従事者としての「実務経験時間」と登録販売者としての「業務経験時間」を合わせたものです。実務・業務時間のカウントの仕方は企業によって異なり、カウントできる業務が細かく決められている場合や、一般従事者の間は全くカウントしない場合もあります。勤務先のカウント方法を知らない場合は、きちんと把握しておくようにしましょう。
【実務経験と業務経験の違い】
- 一般従事者
-
販売従事登録前
→「実務経験」
- 登録販売者
-
販売従事登録後
→「業務経験」
薬剤師・管理者要件を満たした登録販売者の管理下で従事する
一般従事者や研修中の登録販売者が実務・業務に従事する場合、薬剤師または管理者要件を満たした登録販売者の管理および指導の下でおこなわなくてはなりません。
正規の登録販売者になれば、一人で医薬品関連の仕事を任される機会も増えるため、先輩たちと話せる機会が減ってしまうこともあります。研修中は先輩方にわからないことを気軽に質問できる絶好の機会ですので、医薬品の接客を中心にどんどん学んでいきましょう。
実務(業務)従事証明書を自治体に提出する
実務(業務)従事証明書は、一般従事者または登録販売者としておこなった実務・業務経験を証明するための書類です。研修中から正規の登録販売者に切り替えるときは、実務(業務)従事証明書を発行する必要があります。
従事証明書を発行してもらうためには、実務・業務の実績を積んだ勤務先に直接依頼し、発行してもらった従事証明書は、その他必要書類とともに、勤務地の都道府県に提出します。
研修中の登録販売者必見!経験期間の数え方
実務・業務に従事する経験期間の基本的な数え方について解説します。
同じ店舗で月80時間以上実務または業務をこなす
この方法が、もっとも基礎的な実務・業務経験の積み方です。ポイントは1カ月の中で、同じ店舗で80時間以上、実務・業務経験を積むことです。
経験期間は連続していなくてもOKである
経験期間は、期間が連続していなくても問題ありません。例えば、以下のように3年間離職し、再度勤務する場合であっても管理者要件を満たすことは可能です。
【管理者要件を満たす例】
直近5年以内
- ドラッグストア
X社
1440時間
(18カ月)の
業務経験 
- 離職
(3年間)
- ドラッグストア
Y社
480時間
(6カ月)の
業務経験 
実務経験と業務経験は合算可能である
先述した通り、実務経験は販売従事登録前の経験、業務経験は販売従事登録後の経験です。これらの経験は合算することができます。
【管理者要件を満たす例】
直近5年以内
- ドラッグストア
X社
1440時間
(18カ月)の
業務経験 
- 離職(3年間)
※この間に試験合格 - 合算可能
- ドラッグストア
Y社
480時間
(6カ月)の
業務経験 
管理者要件を満たす場合の具体例
管理者要件を満たすには、様々なケースがあります。ここではいくつかの具体的な事例を紹介します。
月80時間未満で管理者要件を満たす場合
令和5年の改正省令よりも前の話になりますが、令和2年3月の改正省令により、多様な勤務状況を踏まえて管理者要件が緩和されました。以前は「月80時間以上」というしばりがありましたが、「月80時間以上」を満たさない月も従事期間として認められることになりました。
つまり月当たりの時間数にかかわらず、過去5年間において2年間かつ合計1920時間以上従事すれば、管理者要件を満たすことができるようになったのです。
例えば、以下のケースでは、実務経験期間は「月50時間」の経験時間数ですが、離職後の業務経験期間は「月110時間」の経験時間数へと調整しています。これらを合算すると、管理者要件を満たすことができます。
【管理者要件を満たす例】
直近5年以内
- ドラッグストア
X社
月50時間の実務経験を12カ月
(合計600時間) 
- 離職
(3年間)
※この間に試験合格 - 24カ月
(2年)
かつ1920時間
- ドラッグストア
Y社
月110時間の業務経験を12カ月
(合計1320時間) 
令和5年に新設された管理者要件を満たす場合
例えば、月120時間の実務・業務経験を積む場合、16カ月で1920時間の経験時間となります。この場合、「1年以上」かつ「1920時間以上」の両方の条件を満たしているため、さらに継続的研修と追加的研修を受けることで管理者要件を満たすことができます。
【管理者要件を満たす例】
直近5年以内
- ドラッグストア
X社
月120時間の実務経験を12カ月
(合計1440時間) 
- 離職
(3年8カ月)
※この間に試験合格 - 16カ月
(1年4カ月)
かつ1920時間
- ドラッグストア
Y社
月120時間の業務経験を4カ月
(合計480時間) 
管理者としての経験がある場合
平成21年(2009年)6月1日以降、つまり登録販売者制度開始以降に、店舗管理者または区域管理者としての業務の経験がある人の場合、通算して1年(1920時間)以上の実務・業務経験があれば、管理者要件を満たすことができます。
【管理者要件を満たす例】
2009年以降
現在
X社
月160時間の
実務・業務
経験を3年間
X社
店舗管理者
としての
業務経験を
5年間
(5年間)
登録販売者研修期間のよくある質問
研修期間中の登録販売者が抱く疑問を実務目線でまとめました。明日から業務に活かせる内容ですので参考にしてください。
Q1:登録販売者はバッジを着用できる?
はい、研修中用のバッジを着用します。
研修中は「研修中登録販売者」を示す特記事項付きバッジを着用し、責任者の監督下で業務を行います。正規登録販売者バッジとは区別され、顧客に研修中であることを明確に伝えることで信頼性を保ちますが、単独業務はできません。
Q2:研修期間は何日必要で、どう数える?
実務経験通算150日(欠勤除く)が必要です。
1日4時間以上の勤務を1日として計算し、週40時間超や深夜業は1.25倍換算されます。研修中は勤務記録を正確に管理し、都道府県ごとに異なるルール(例:連続勤務日数制限)を確認して計画的に積み上げましょう。
Q3:研修中は何の薬を販売できる?
第一類以外は責任者監督下で販売可能です。
指定第二類・第二類医薬品は研修中でも扱えますが、必ず責任者または正規登録販売者の常駐・確認が必要です。第一類は扱えず、相談対応も最終判断を責任者に委ねる形になります。
Q4:正規登録販売者になるための申請方法は?
勤務先経由で都道府県に申請します。
150日以上の実務証明書類を添付し、研修期間終了後に資格登録申請を行います。書類不備で遅延しないよう、事前に都道府県の様式を確認し、店舗責任者に提出期限を共有しましょう
Q5:複数の店舗で研修期間は合算できる?
同一資格区分内なら合算可能です。
第1種(ドラッグストア等)と第2種(化粧品店等)では不可ですが、同じ区分の複数店舗経験は通算されます。転職時は証明書発行を依頼し、空白期間なく継続管理して効率的に150日を達成しましょう。
まとめ|研修中の登録販売者にはできることとできないことがある!
法令上、研修中の登録販売者は一人で医薬品を販売することができません。具体的にどう行動すればよいのかについては、店舗のルールにしたがってください。また、研修期間を早く終えることができれば、「年収アップ」や「よりよい転職先の発見」にもつながります。管理者要件が緩和され、従事期間を短縮することも可能になったため、ご自身のキャリアアップについても考えてみてくださいね。

執筆者:村松 早織(薬剤師・登録販売者講師)
株式会社東京マキア 代表取締役
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開
X(旧Twitter)、YouTube等のSNSでは、のべ1万人を超えるフォロワー・チャンネル登録者に向けて、OTC(一般用医薬品)についての情報発信をおこなっている。
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