調剤事務として働くメリット・デメリットとは?一般事務との違いも解説

こんにちは、登録販売者転職のアポプラス登販ナビライターチームです。
ドラッグストアやスーパーなどで日々忙しく働いていると体力に限界を感じてしまう方も少なくありません。登録販売者として転職を考えている場合、調剤事務を検討している方もいるでしょう。転職する際に、調剤事務での仕事内容や登録販売者が調剤事務で働くメリットとデメリットを理解しておくと、ギャップを感じずスムーズに働けます。
本記事では、調剤事務で働くメリットとデメリットや一般事務との違いについて紹介します。
目次
- ・調剤事務とは?
- ・登録販売者が調剤事務として働くメリット
- ・登録販売者が調剤事務として働くデメリット
- ・登録販売者が調剤事務として働く際に知っておきたいこと
- ・調剤事務はこんな人におすすめ
- ・まとめ|調剤事務には医療系ならではのメリットがある
調剤事務とは?

調剤事務とは、調剤薬局で受付や事務作業をおこなう仕事です。事務職の扱いとなりますが、一般企業の事務職とは違い薬名を覚えたり、調剤報酬明細書(レセプト)を作成したりするため、専門的な事務職です。
そのため、一般企業の事務職よりも向き不向きが分かれるでしょう。医療分野が苦手な方が働き続けることは難しいですが、仕事内容自体は2週間ほどで徐々に覚えられるといわれています。
仕事を覚えるのに人よりも時間がかかってしまう方もいますが、研修制度を設けている調剤薬局もあります。そういったシステムを活用し、医療事務での知識を身につけるとよいでしょう。
調剤事務の仕事内容
ここからは調剤事務での具体的な仕事内容について紹介します。調剤事務での具体的な仕事内容には、受付・電話対応、調剤報酬明細書(レセプト)の作成、調剤報酬の請求、会計作業、薬剤師のサポート、医薬品の発注・在庫管理などがあります。
- ・受付・電話対応
- 来局した患者さまから処方箋や保険証を受け取る受付業務をおこないます。受付業務だけでなく、薬局にかかってきたお問い合わせの電話対応もしなければなりません。薬局の第一印象が決まるため、受付・電話対応は丁寧に明るくおこなうことが大切です。
- 保険証の確認も事務に一任されているため、どういった種類の保険が適応されるのか、また、お持ちになった処方箋の薬があるのかという確認も必要です。
- ・レセプト作成
- 調剤報酬明細書(レセプト)を作成するために、処方箋内容をレセプトコンピューターへ入力する必要があります。同じ薬でも規格が違う場合もあるため、入力は慎重におこなわなければなりません。
- ・調剤報酬の請求
- 調剤事務では、調剤報酬の請求をおこないます。保険証を提示することで患者さまの医療費負担は1〜3割となります。残りの費用を負担しているのは、保険証を交付している健康保険組合や市町村などです。調剤事務では、健康保険組合や市町村に費用請求をおこなう業務があります。
- ・会計作業
- 患者さまが受け取りに来た処方薬の代金を会計する業務です。金銭の受け渡しだけではなく領収書の発行もおこないます。金銭のやり取りをおこなうため、丁寧な仕事が求められます。
- ・薬剤師のサポート
- 薬局によって異なりますが、薬剤師の指示を受けて調剤の補助作業や薬の配達をおこなう場合もあります。求められる作業はさまざまなため、柔軟な対応が求められるでしょう。
- ・医薬品の発注・在庫管理
- 使用した医薬品を補充するのも調剤事務の仕事です。不足分を計算し発注をかけ、納品したら補充する一連の流れです。納品した際には、数量に間違いはないか確認する必要があります。また納品した際の伝票処理もおこないます。高額の医薬品や劇薬も取り扱う場合があるため、慎重に管理しなければなりません。
調剤事務として働くには?
調剤事務として働くにあたって、必要な資格はとくにありません。そのため未経験でも勤務が可能です。しかし、「調剤薬局事務資格」や「調剤事務管理士」、「調剤報酬請求事務専門士3級」などは、調剤事務をおこなううえで必要となる知識があることの証明となるため、資格を取得してから仕事探しをすると有利に働くでしょう。
「調剤薬局事務資格」や「調剤事務管理士」は、薬や処方に関する基礎知識や医療保険制度などについての内容です。その他にも調剤報酬の改定に迅速な対応ができ、正確な算定・説明ができるようにすることが目的の「調剤報酬請求事務専門士3級」があります。未経験で働く際にも、資格勉強で知識がつけられるため、スムーズに業務をおこなえるでしょう。
「調剤薬局事務資格」は、受験資格はなく指定のカリキュラムを修了すれば、だれでも試験が受けられます。試験も在宅なため、試験会場に行く手間がかからず、合格後も資格を更新する必要がありません。どの資格を受けるか迷っている方や勉強に自信がない方は、「調剤薬局事務資格」がおすすめです。
登録販売者が調剤事務として働くメリット

医療系は景気に強く、調剤事務は経験を積めば転職もしやすい業種です。ワークライフバランスも取りやすいため、メリットが多くあります。ここからは登録販売者が調剤事務として働くメリットについて紹介します。
医療系は景気に強い
医療業界は将来性があると考えられています。私たちが生きていく中で、病院や薬局、ドラッグストアなどは必要不可欠です。薬局数は年々増加傾向にあり、2020年度に6万店舗を超えています。現在日本は超高齢化社会となり、2023年時点では3人に1人が65歳以上であるといわれています。そのため、病院や薬局、ドラッグストアの需要は高まり続け、今後も増えていくでしょう。
事務職の中でも一般事務は営利部門のため、不景気に入ると人員整理の一番の対象になりやすい職業です。一方で、今後日本が不景気になったとしても、調剤事務は不景気の影響を受けにくく安定して働いていけるでしょう。
経験さえ積めば転職はしやすい
調剤事務は、経験を積むことで同業他社への転職がしやすい職業です。調剤薬局は、今やコンビニエンスストアよりも多く全国に6万店以上もあるため、転職先を探すのに困りません。
一般事務は、企業により任される仕事がさまざまで、転職をするたびに新しく覚えることが多い傾向にあります。しかし、調剤事務では、使用している機材は異なるものの、取り扱っている医薬品は全国同じです。調剤報酬請求の業務もやり方は共通であるため、一度覚えてしまえば、転職した際も即戦力として使ってもらえるでしょう。
産休育休をはじめ、ワークライフバランスが取りやすい
女性が活躍する業界であるため、産休や育休が取りやすい職業です。調剤薬局は正社員だけではなくさまざまな雇用形態で働けます。契約社員やパート・アルバイトを募集しているところも多いため、曜日や時間を選択しやすく育児をしながらでも働きやすい職業でしょう。
調剤薬局の経営方針やスタッフ数などにもよりますが、調剤薬局は基本的に残業が少なくて定時に帰れる場合が多い傾向にあります。
調剤薬局では、高齢化により病院で診察を受け処方箋を受け取る人が増加し、それに伴い業務量も激増したため、人員不足に困っているところが多くあります。調剤事務の経験や資格がある人は採用されやすいため、結婚や出産、育児などで一時的に現場から離れたとしても復帰しやすいでしょう。
登録販売者が調剤事務として働くデメリット

登録販売者が調剤事務として働くデメリットとしては、土日休みではなく、営業や販売職よりもスタート給与は低い傾向にあることがあげられます。一般事務とは違い、接客や作業もおこなわなければなりません。ここからは登録販売者が調剤事務として働くデメリットについて詳しく紹介します。
一般事務のように土日休みではない
調剤事務は一般事務のように土日祝日が必ず休みになるわけではありません。日曜祝日が休みの店舗も多いですが、現在は大手ドラッグストアに併設されている調剤薬局も多いため、土日や祝日も開局している調剤薬局が増えています。
最近では、年中無休や24時間営業の調剤薬局もあります。一般事務のように土日祝日の休みを希望している場合は難しい可能性もあるため、入社する前に確認しておくとよいでしょう。
営業・販売職よりもスタート給与は低い
調剤事務は、営業職や販売職に比べてスタート給料は低い傾向です。しかし、これは調剤事務だけではなく、事務職全般でもいえます。一度事務作業を覚えてしまえば、担当したのが新人でも経験年数が長い人でも店舗に発生する売上は同じです。営業職や販売職と違い直接利益を生み出すわけではないため、給与はあがりにくいでしょう。
事務といっても接客や作業の要素も多いため向き不向きが分かれる
調剤事務は事務といっても、受付や電話対応、在庫管理といった作業などがあるため、向き不向きがわかれます。登録販売者として販売業に抵抗がない方はスムーズに働けますが、販売業を離れたいと思い調剤事務を選んだ方は、ギャップを感じてしまう可能性があります。
ドラッグストアとは違い、調剤薬局には深刻な病気や怪我を抱えた患者さまもいらっしゃいます。そのため、不安に寄り添い、安心できる対応をしなければなりません。面接時にどのような人材を求めていて、どのような仕事内容なのか確認しておくと、入社後にキャップを感じることは少ないでしょう。
登録販売者が調剤事務として働く際に知っておきたいこと

調剤薬局で登録販売者が働く場合、注意しておきたいことがあります。
調剤薬局によっては、登録販売者の実務経験に含まれない場合があります。これは、どれくらいの種類のOTC(一般用医薬品)を取り扱っているかが店舗によって異なるためです。OTC(一般用医薬品)を取り扱わず医療用医薬品のみを取り扱っている調剤薬局では、登録販売者の実務経験としてカウントされない場合が多くなります。実務経験としてカウントされながら働きたい場合は、就職する前に確認しておきましょう。
ドラッグストアの登録販売者として働いている場合、お客さまが少ない時間帯でも品出しや発注などさまざまな業務をおこないます。一方で調剤薬局の忙しい時間帯は医療機関の受付が終了する正午過ぎまでです。そのため午後になると患者さまの出入りが少なくなり、それに伴い仕事量も少なくなります。人によっては物足りなさを感じる場合があるでしょう。
また、調剤薬局では薬剤師やほかのスタッフとの連携が大切で、コミュニケーションを取る機会が多くなるでしょう。円滑に仕事をこなすためにも、日頃から人間関係の構築をおこなっておく必要があります。
最後に、調剤薬局で長く働いていると、調剤で扱う薬の知識は増えますが、OTC(一般用医薬品)へのかかわりが減ってしまいます。そのため登録販売者としてOTC(一般用医薬品)の知識を身につけておきたい方は、独学で勉強しておく必要があるでしょう。
調剤事務はこんな人におすすめ

今までドラッグストアやスーパーなどで登録販売者として働いていた方は、ドリンクや洗剤なども取り扱っていたため、品出しで体力を使う場合が多かったでしょう。調剤事務では、ドラッグストアやスーパーなどと違い体力を使う仕事よりも、パソコン作業や受付・電話対応などがメインとなります。そのため、体力に自信がない方でも働きやすい職場です。
そのうえ、今までの販売業で培ったコミュニケーション能力も、受付や電話対応などで活かせます。調剤薬局という狭い空間の中で、スタッフや薬剤師などとの連携や病院との連携も重要です。患者さまだけでなく従業員や病院との連携時でも明るくコミュニケーションがとれる人材は、調剤事務に向いているでしょう。
調剤事務では、調剤報酬明細書の作成や調剤報酬の請求などでパソコン作業もしなければなりません。そのためコンピュータースキルは必須です。会計時でも入力作業が必要となるため、スピーディーな作業が求められます。パソコンの基本的な使用方法や入力方法がわかっている方にはおすすめです。
パソコンに不慣れな方は、タイピングの練習やコンピュータースキルの勉強、資格取得をしておくと、働く際もスムーズに作業がおこなえるでしょう。
まとめ|調剤事務には医療系ならではのメリットがある
調剤事務は、一般事務と比べて将来性があり転職もしやすい傾向にあります。登録販売者として医療に携わった経験がある分、仕事への抵抗が少なく働けるでしょう。パソコンに不慣れでも、事前に勉強をしておけば、スムーズに仕事を覚えられます。
販売業よりも給料は低い傾向にありますが、ドラッグストアやスーパーなどで働いて体力の限界を感じてしまった方にはおすすめです。紹介した調剤事務のメリットとデメリットを参考にして転職を検討しましょう。
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